寿命が延びるほど不安になる人も増える「老後」

「いつまでもお金に困らずに暮らしたい」というのは誰しもが思うこと。しかし、科学や医療の発展によって寿命が延びたことで退職後の資金に不安を抱える方は少なくありません。ここでは、定年後の働き方やセカンドライフについてちょっと考えてみましょう。

能力は変わらず賃金は激減!「再雇用制度」

本題に入る前に、一般的な話として、皆さんの同年代の方々はどんなことが気になっているのか、少し見てみましょう。

現在、高年齢者雇用安定法の改正によって、定年の60歳を過ぎても希望者は再雇用されて65歳まで働くことができます。しかし、能力的には定年前と大きな違いはないのに、賃金はいきなり2分の1あるいは3分の1になるというケースも多く、大企業ですら満足のいく待遇で65歳まで働くことのできる人はごく少数といわれています。

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内閣府の調査では、65歳を超えても働きたいという人の割合は66%もあります。一方で、厚生労働省の2014年の調べでは、65歳以上の労働者の7割以上は非正規雇用であるという数字も出ています。

つまり、「働きたい」「働かざるを得ない」という状況とは裏腹に、60代以降の雇用状況はますます厳しいものになると見られているのです。

寿命は伸びても、定年は同じようには伸びない

高齢者の労働について議論されるようになったのは、とりもなおさず、日本人の寿命が右肩上がりに伸びているからです。日本人の寿命は、男性の場合、高度成長期真っ只中の1960年には65.32歳、バブルが崩壊した1990年には75.92歳、そして2015年には80.75歳まで伸びました。

昔は55歳が定年だったので、セカンドライフは平均10年しかありませんでしたが、現在は60歳で定年を迎えたあとに、働きたくても難しい状況の中、平均20年という長いセカンドライフが待っているのです。

老後の不安=お金の不安

各種リサーチを手がけているライフメディアが、30歳から59歳の男女を対象に、「老後の不安」についてアンケートをとっています。それによると、75%の人が老後に不安を感じており、不安を感じる項目は、以下の順番になっています。

  1. 老後の資金
  2. 年金制度
  3. 病気やケガ
  4. 老後の住環境
  5. 老後の仕事
  6. 親の介護
  7. 自身や配偶者の介護

定年予備軍である50代を含む30?59歳という世代は何よりも「老後の資金」「年金制度」といったお金に関連する不安を持っていることがわかります。

定年後・雇用延長の終了後は、多くの人にとって収入で一番大きな割合を占める「労働」がなくなるわけですから、これまでと同じ暮らしをすることはほぼ不可能です。

ワンランク上の生活に慣れるのは簡単ですが、ワンランク下の生活に慣れるのは難しいこと。皆さんの不安も当然です。

セカンドライフはお金を増やしながら送るのがベスト

セカンドライフを貯金を取り崩しながら送るのが間違いというわけではありません。しかし、人間が生活をするにはお金がかかります。特に、定年後は若い頃に比べて体力も落ち、病気になる確率も高いです。

ご存じの方もいらっしゃると思いますが、「健康寿命」というのは「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と定義されています。平均寿命との差は、男性で9.13年、女性では12.68年となっています。

つまり、この期間は「健康ではない期間」ということになります。健康ではない期間には、何かしらの治療や介護が必要ということ。今までにプラスしてお金がかかるということです。

そんな厳しい状況の中、減っていく貯金残高を見て不安に苛まれながら切り詰めて生活するのは果たして本当に幸せなのでしょうか。幸せの形は人それぞれですが、せっかく自分だけの時間が増えたのなら、たとえば趣味を増やしたり、家族や友人との時間を持ってみたりするなど、お金に悩むことなく暮らすほうが幸せではないでしょうか。

やはり、セカンドライフでもお金を増やしていくのが大切です。

お金を増やす方法は増えている

セカンドライフでもお金を増やしていくのが大切なのは、おそらく皆さん肌で感じていることでしょう。しかし、60代以降の雇用状況は厳しく、思うようにお金を増やしていくのは難しい状況……。

ただ、お金を増やすための身近な選択肢自体は増えています。再雇用制度を使って「細く長く」働くこと、年金を使っていくこと以外にも、たとえば株や不動産、投資信託など「投資」というのも選択肢になるでしょう。

最近では、毎月一定額を投資信託に積み立てていく「つみたてNISA」や、私的に年金を積み立てて、受け取る年金を増やすなど手軽なお金の増やし方もあります。

「老後なんてまだ先の話」や「老後のお金のことは気になるけれど、年金もあるしなんとかなるだろう」と考えている方も多いと思いますが、今からでも老後の資金について考えてみてはいかがでしょう。

(白石定之『投資信託でうまくいく人、いかない人』をもとに編集)

投資信託でうまくいく人、いかない人 「定年世代」が上質なセカンドライフをつくる方法

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2005年創業。ビジネス書・実用書を中心とした書籍出版や企業出版、メディア・コンテンツ事業、デザイン制作事業などを手がける。

主な刊行書籍に、20万部突破の『誰からも「気がきく」と言われる45の習慣』をはじめ、『特定の人としかうまく付き合えないのは、結局、あなたの心が冷めているからだ』 『起業家のように企業で働く』 『すべての仕事を紙1枚にまとめてしまう整理術』 『21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由』 『自分を変える習慣力』 『鬼速PDCA』など。