糸井重里氏が語る“手帳の会社”で描く夢 増収増益の決算で新商品「ほぼ日のアースボール」を披露

2017年10月18日に行われた、株式会社ほぼ日2017年8月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料

スピーカー:株式会社ほぼ日 取締役CFO管理部長 篠田真貴子 氏
株式会社ほぼ日 代表取締役 糸井重里 氏

サマリー

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篠田真貴子氏(以下、篠田):あらためまして、ほぼ日の篠田でございます。本日はお忙しい中、お時間を取って足をお運びくださいまして、誠にありがとうございます。

今日は、まず私から、今期の業績面を簡単にご紹介します。そのあと糸井より、今後私どもが成そうとしていることについて、お話を申し上げて、最後に私から業績予想の数字の内容について、少しポイントをご説明する。このかたちで進めさせていただきます。よろしくお願いします。

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それではまず、今期の業績報告なのですけれども、トピックのところを、先にお伝えいたします。今期につきましては、3点ございます。

まず、(2017年8月期の)売上高は対前期で伸びました。それから、着地予測に対しても、売上高はプラスで着地いたしまして、営業利益は同水準の着地となっております。

売上面は、「ほぼ日手帳」とその他の商品に分けてご説明します。ほぼ日手帳は、販売部数は前年(2016年版)の61万部から(2017年版は)67万部と、6万部の増加になりました。金額としましては、あとでくわしくお伝えしますけれども、基本的に同水準となっております。

それ以外の商品のところでは、既存商品の売上増がございました。それから、新しい取り組みです。今後、事業として展開していこうとしている「生活のたのしみ展」が、伸びに寄与いたしました。

次に、(2018年8月期決算の)業績予想です。大きな方向性としましては、基本事業であるほぼ日手帳を着実に伸ばして、こちらで利益を確保しつつ、これから取り組んでまいります新規事業への、主に人材採用の投資。そこで出た利益を、振り分けていきたいと考えています。

そのため、売上高は増収で、利益は(2017年8月期と)同水準になっております。この新しい取り組みのことと、新商品のことは、のちほどご紹介させていただきます。

17/8期決算の概要(P/L前期比較)

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まず、今期(2017年8月期)の、決算の概要です。

今申し上げたように、売上高は40億1,600万円。そのうち、ほぼ日手帳が26億5,200万円。(2017年8月期の構成比は)66パーセントとなりました。ほぼ日商品が約10億円、その他が約3億4,000万円でございます。

ほぼ日手帳ですが、先ほど申し上げたように、販売部数は伸びておりますけれども、売上としましては、去年(2016年8月期)に比べて1.8パーセント増にとどまっています。

これまでのご説明でも申し上げましたように、主に海外向けのところで部数を伸ばしています。去年(2016年)、あるいはさらに2年前から続いていた海外の売上の中で、中国のお客さまの爆買いとも言えるような買われ方が、だんだん落ち着いてきた。この影響が、金額面では出ています。

続きまして、ほぼ日商品のご説明です。ほぼ日手帳以外の商品ですけれども、こちらは前年(2016年8月期)の8億2,800万円から(2017年8月期は)10億円となり、着地予測を超える成果が出ました。

(その要因は)生活のたのしみ展という、(2017年)3月に初めて開催した、「生活のたのしみ」という切り口の、生活雑貨や食べ物の物販イベントです。この第1回目は手応えがございまして、売上に貢献をしたというかたちになっております。

その一方、販管費は金額としては18億2,400万円で、前年よりもかなり増えておりますし、ちょっと予想よりも超えるかたちになりました。

こうした新規事業での、主に採用による人材投資。私どもは通販で売上を伸ばしますので、その販売費用が、もともとの予算・前年より増えました。こうしたことが、増加の要因にもなっております。

これらの結果、営業利益は5億円ちょうど。前年(2016年8月期実績)、予想(2017年8月期予想)と、基本的に同水準となりました。

経常利益は、予想とわずかにズレていますけれど、4億8,200万円です。前年より下がりました分は、上場にともなう一時費用が影響しています。

結果として、当期純利益は3億4,000万円になりました。ここまでが、今期の数字の説明でございます。

17/8期決算の概要(販路別売上高)

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少しくわしく中身を見ていきます。まず、販路別で見ていただきます。

販路は、直販・卸売・その他に分けております。資料の右側が今期(2017年8月期)を示しています。見ていただくとおわかりのとおり、どの販路でも基本的に売上は伸びています。直販で伸ばしたのは、主に生活のたのしみ展です。卸売のところでは、海外向けのほぼ日手帳が伸びております。

17/8期決算の概要(地域別売上高)

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続きまして、先ほどから何回か触れました、ほぼ日手帳の海外向けの売上のご説明です。こちらの資料は、全社の売上を地域別に見たものでございます。

これで見ていただくと、いちばん下が日本で、次に中国・アメリカ・その他に続いております。(内訳を占めている)順序としては前年(2016年)と今年(2017年)で変わらないのですけれども、海外の比率が前年より上がっております。

(海外売上高比率は)去年は約16パーセントだったのが、今年(2017年)は19パーセントです。伸びでお伝えすると中国よりも、アメリカ・その他のところが、大きく伸びています。

国のバランスとしても、さまざまな地域でほぼ日手帳を楽しんでいただけているということが、実際の売上の数字にあらわれていると思います。

17/8期決算の概要(四半期別売上)

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「(売上高には)四半期の変動がありますよ」というお話を毎回させていただいているのですけれども、今期の売上の約66パーセント、3分の2がほぼ日手帳でした。前期に比べて、若干ほぼ日手帳の依存率が下がっていますけれども、まだそれでも主力商品です。これは季節商品でございますので、どうしても売上が第1四半期、第2四半期に偏るという構造になっております。

17/8期決算の概要(17/8末B/S)

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バランスシートです。数字の動きが大きかったので、わかりやすい話ではあるんですが、ここでは2点ご説明します。

1つは、上場いたしましたので、(資金調達によって)株主資本と現預金が増えたところ。また、棚卸資産がけっこう伸びているんですが、ここは主に「ほぼ日手帳」で、オペレーションの改善と営業方針の変更があったためです。

毎年改善しているオペレーション面では、販売した商品の製造のコントロールが過去よりもスムーズにいった結果、きちんと納品されてきています。

もう1つは、(ほぼ日手帳の)ブランド価値が上がってきたことです。今までは、今年のカバーは今年しか売れない。「来年になったら、まったく新しいカバーですよ」というメッセージを非常に強く出して、新しいカバーとともに、新しい年の手帳を買っていただくということをやっておりました。

過去のカバーもデザイン性その他でまったく遜色がなく、これも含めてほぼ日手帳であると、お客さまに受け取っていただける環境が整ったと考えました。今年(2017年)から「アーカイブショップ」として、過去に発売したデザインのカバーを、まずWeb上で販売する。(2017年)4月にはキャンペーンと銘打って、過去のカバーを中核にした販売もしてみました。

これが非常に好評でしたので、実は今期においては、過去の人気カバーと今年新しくデザインしたものを、一緒に並べて販売するようにしております。そのように営業方針を変えました関係で、過去のカバーも評価損を過剰に立てることなく、商品価値があるものとみなしました。

その結果、(棚卸資産の)数字としては増えております。(過去と今年のカバーの)どちらも販売機会が増えるという環境が整ったゆえの、棚卸資産のアップだとご理解いただければと思います。

17/8期の取組み(ほぼ日手帳17①)

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ここからは、画像を元にしたご説明です。

まず、ほぼ日手帳です。資料の左側が、2017年版のラインナップでした。もう今は2018年版を販売しているんですけれども、この(本体とカバーのセットの)種類を増やしました。

また、「アーカイブキャンペーン」というかたちで過去のカバーも販売したところ、実際の売上にも貢献し、ある意味販売の選択肢を広げるということにつながっています。

17/8期の取組み(ほぼ日手帳17②)

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海外です。数字面は先ほど触れましたけれども、海外のニュースをお伝えします。この資料のように、我々がユーザーのみなさんと実際にお会いして、ほぼ日手帳をどういうふうに使っていただいているのか、いろいろ教えていただいて、また次の商品開発につなげていくことをやっております。

「ミーティングキャラバン」は、国内の5ヶ所で開催しました。

海外ではフィリピンのマニラで、60人ぐらいのユーザーが集まられたところに我々が行って、実際に(ほぼ日手帳を)使っている様子などを見せていただきました。

17/8期の取組み(生活のたのしみ展)

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先ほど触れましたが、ほぼ日手帳ではない部分の商品の売上で、大きく貢献したものが、生活のたのしみ展です。こちらは、動画を観ていただくのが、いちばん場の雰囲気が伝わると思います。まず、それを観ていただいてよろしいでしょうか。

(第1回「生活のたのしみ展」の動画が流れる)

篠田:六本木ヒルズで、さまざまな外部のブランドですとかクリエイターの方に出展していただいて、商売のかたちとしては我々の仕入れ販売になります。それぞれのブランドの方と、我々社員全員で、総出で販売にあたりました。

映像で、行列がたくさんあったのを見ていただけたかと思います。切符があって入場できるタイプのイベントではないので、正確な入場者数はカウントできてないんですけれども、レジが動いた数は、3日間で1万5,700回でございました。

こちら、(2017年)6月にはWebストアも開設をしました。こちらのイベントでしか売ってなかったものを、改めてWebで販売する取り組みも行いました。

17/8期の取組み(ドコノコ)

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もう1つの新しい取り組みとしては、前の年(2016年)から取り組んでおります「ドコノコ」という、犬や猫の写真をシェアして楽しむSNSアプリになります。こちらは(2017年)6月6日で、ローンチから丸1年になりました。累計のダウンロード数が15万で、1日のアクティブユーザー数が1万5,000強で推移しています。

こちらは今、アプリの中でのユーザーコミュニティが非常に活発で、かつ密度濃く行われています。そこに対して、例えば資料左側のフォトブックという商品を販売して、収益を出しました。

このフォトブックは何かというと、ユーザーが投稿されたご自分の犬や猫の写真を選んで、ご自身だけのオリジナルのフォトブックが作れるというものです。

デザインや中のセリフなどを、写真と合わせて見てみることで、(本に載せる)写真を選びながら自分の犬を見て涙し、本が届いてまた涙するというように、ユーザーのみなさま方の、非常に熱量の高い声をいただいています。

17/8期の取組み(ほぼ日のアプリ)

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あとは、ほぼ日としましては、(2017年)6月6日で創刊19周年、今は20年目に入りました。その6月6日にホームページのリニューアル作業をしまして、「ほぼ日のアプリ」もローンチをしております。

ここまでが、この1年間の業績の数字、それから事業として活動した内容の主なご紹介となります。ここから、糸井にバトンタッチさせていただきまして、今後の展望についてお話を申し上げます。

ほぼ日の目指す姿

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糸井重里氏(以下、糸井):よろしくお願いします。どういうのが普通なのかわからないので、勝手に思ったとおりにやろうと思います。

(2017年)3月にみなさんとお会いして、この会社が今こうなっているということと、これからどうなるということと、両方を少しずつお話ししたはずなんですけれども。「これからどうなる」の部分というのが、何分にもまだ始まってないところなんですというお話が、とても多かったわけです。

18/8期の取組み(生活のたのしみ展①)

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そのうちの1つが、例えば生活のたのしみ展でした。「何か市みたいなことをやるの?」というくらいで、それ以上の説明は、見たことがない人に対してなかなか難しかったんですけど。実際に六本木ヒルズで(2017年)3月の末にやりまして、簡単に言うと、非常に大成功を収めたわけです。

おかげで第2回目の目処が、思ったより早くつくようになりました。第2回は、1回目でやったことの成功を受けて、場所を約2倍の広さにできて、参加出展者がやっぱりまた2倍くらいになって、お家賃も実はお安くしてもらえるように……つまり、実績が見えたものですから。「ぜひまたやってください」ということで、非常にいい条件でやれるようになりました。

おかげで、第1回に比べると、第2回というのが……(スライドを見て)売り場面積は、倍どころじゃないね。間違った情報をしゃべってしまいましたが。

(会場笑)

糸井:こちら(資料)が本当です。今(2017年10月18日時点)、第2回始まるまであと28日というところで、大わらわでやっていますけれども。

実際にこれが、(会期が)3日間から5日間になり、広さも5倍ぐらいになり、出展者も3倍になりということが、3月に発表した時点からわかりやすく育ってくれたということ。これが、自分たちが(説明が難しくて)じれったがって、「やったらわかってくれるんだろうな」と思っていたことの、実際の証明になるかと思いました。今日は、例えばそのお話が進んでいますということを、お話ししにきました。

「生活のたのしみ展」という言葉ですが、よそで似たような展覧会があるかというと、実はございません。生活のたのしみ展を考えるきっかけになったのは、実は今、洋服やらおもちゃやら、そういうものがなかなかうまくいっていない状況なんですけれども。雑貨はそのわりに、それぞれ得手不得手があって、だめなところはだめなのですけど、人気は案外落ちていないんですね。

例えば「雑貨屋さんをやりたい」というのは若い女性たちの、わりに1つの夢になっています。「洋服」「おもちゃ」「アート」だとかという、そういう言葉のジャンル分けにとらわれない何かというものが、エネルギーとして売る側・作る側・買う側・楽しむ側の中にあるんじゃないか? と思って、「仮称・大雑貨展」というものを我々が考えたのが、スタートになっています。

ところが、「雑貨」という言葉で呼びかけても、人が集まりようのないもののほうが、魅力があるわけです。

sakura

例えばさっき(の生活のたのしみ展の映像中)、ちょっと花屋さんの写真が映りました。あの3月24日~3月26日の段階で、桜だけを売ってる花屋さんなんですね。そこで買ったお客さんに咲いた桜を楽しんでもらうために、その(生活のたのしみ展の)日数までで咲くように、育てた桜なんです。

それの専門店というのは、世の中にないわけでして。生花とかをおやりの方は、「どこどこになければ、どこどこで買う」みたいなかたちで手に入れようとするんですけど、一般の人が「今桜を買うとしたら、あそこで買える」ということをわかるようなお店は、ないわけです。それが例えば(生活のたのしみ展では)1つのテナントとしてある。

kasa

あるいは、(映像中に)傘を開いている写真があったと思うんですけど。あれは実は、キャンプや山用品で非常に評判の高いモンベルという会社の、山で差す傘なんです。それは、もともと僕が使ってたものなんですけど、軽くて小さくて丈夫なんで。実はこれ、都会で使いやすいんじゃないか? と思って。

いつもバッグの中に入れておいたら……今日は持ってこなかったっけ? それは便利なんじゃないかと思って。あの会社から傘だけ仕入れてこの売場に置けば、モンベルの「モ」の字も知らない、キャンプなんかやったことない人が、傘屋さんとして買ってくれるんじゃないか? と考えて。

(篠田氏が糸井氏に傘を渡す)

糸井:モンベルさんに話をしたら、「よくわからないけど、やってみたいです」と言って。(生活のたのしみ展では)結局、仕入れがもうできないほど売れまして、よそのお店に出してる分までも、六本木に持ってきてもらうというかたちで売れました。

(糸井氏が傘を開く)

糸井:ですから、傘しか売っていない……別に、この傘の宣伝に来たわけじゃないんですけれども(笑)。

(会場笑)

糸井:ですからつまり、「山で荷物をできるだけ減らしたい人たちが使うものは、OLの人たちとか男の人たちも、同じように都会で使えるんじゃないか?」という発想で編集しなおして。「『雑貨』というわりには、傘というのは雑貨屋さんには置いてないんですよ」みたいなことを集めて。

例えば、イラストレーターの大橋歩さんが、「昔描いた絵がいっぱいあるんだけど、もう要らないの」と言ってるものをきれいに額装して、1点ずつオリジナルの絵として販売する。展覧会を兼ねているんだけども、買えるものである。このようなことで集まっていただいたのが、第1回だったわけです。

ちなみに、その場で採寸していちばんフィットするイスラエルの靴を、お取り寄せでお届けしますというかたちにした、NAOTという靴屋さんがいちばん売れました。

その他に、自分たちがチェコに買い付けに行った箱やらビンやらの古道具屋さん・アンティーク屋さん。よそでは見たことないものがあって、そこをぐるぐる回っている人たちの中に、新聞社の人だとか、そのご家族だとか、雑誌社、テレビ局というような人たちが、たくさんいたものですから。

(生活のたのしみ展は)たった3日間だけだったんですけど、寒い雨の中でもだんだん人が多くなっていきました。「次はいつやるんですか?」みたいにすぐ反応があったということで、この第2回が非常にやりやすくなりました。

この後はまたやってみないと、なかなか「おっ」と言ってもらいにくいんですけど。これ(生活のたのしみ展)の小さいサイズのものを、また別の場所でやるであるとか、地方に持っていくだとか。そういうことを考えながら、「生活のたのしみ展」というブランドとして、育てていくというつもりでおります。これを(2017年)3月の段階で、僕らが「こういうつもりでおります」と言っても、(開催前では)やっぱり見えにくかったので。

実際にできるようになったら、こういうご報告ができたという1つの非常にわかりやすい例です。このお話は、僕らがずっと何度も言い続けてきた「ほぼ日刊イトイ新聞」というインターネット上の新聞、ホームページと言われているもの。

これを1つの場として育ててきた自分たちが、他にリアルな場であるとか、あるいはまた違うかたちで、別の人たちの集まる場を作るということの例として、これは非常にわかりやすかったんですけれど。

18/8期の取組み(ほぼ日のアースボール)

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(糸井氏が「ほぼ日のアースボール」を会場に回す)

糸井:今日、こういうものを持ってきたんですけれど。ちょっとさわり心地とかは、ただの風船と思うんですけれど、回していただけたら。

何が見どころかと言いますと、「地球儀のかたちをしたビーチボールは、よくあるよね」とお思いになると思うんですけれど、台座と一緒に売っている地球儀よりも、これの方が精密です。小学生や中学生が持っている地球儀よりも、この地球儀の方が、実は精密です。

(糸井氏が、膨らませる前のほぼ日のアースボールを見せる)

糸井:なおかつこんな、パッケージに入って縮んだ状態のものがありまして。「こんなもの(膨らんだ状態のほぼ日のアースボール)があって邪魔だ」という人がいた場合には、こうなります。これは当たり前のことですけれども。凸版印刷さんがすごく力を入れてやってくれたおかげで、継ぎ目の正確性だとか、かなり今の印刷技術の高度な部分を、ここにこめています。

(糸井氏が私物のiPhoneを見せる)

糸井:なおかつ、今ここでみなさんにお見せすることには、なっていないんですけれど。自分のこのiPhoneには、秘密のアプリが入っていまして。膨らませた地球儀にこれ(スマホ)を当てると、その国の情報であるとか、あるいはその国で撮った岩合光昭さんの『岩合光昭の世界ネコ歩き』の映像であるとか。どんなところに昔恐竜が住んでいたとか、世界遺産であるとか。そういうものが、ここ(アプリ)に情報として伝わるようにそちら側(アースボール)にスイッチがあって、こちら側(アプリ)で見るというかたち。

地球儀だけでは得られない情報の塊みたいなものが、アプリと組み合わせることで機能します。「まあ、ありがちだよね」と言われるのかもしれないんですけれど、ちなみにみなさんのお宅に、地球儀はございますでしょうか?

地球儀がある方、どのくらいいらっしゃいますか? 家に。(会場を見渡して)約4分の1くらいかな。「グローバル」という言葉をお使いになって、原稿に書いた方いらっしゃいますか? 書いた覚えのある方?

(会場を見渡して)すみません、この2つが重なっていると理想なんですけれども。みなさんは「これからは地球規模で……」「ニューヨークの市場が開いている」「日本は何時から何時までだけど、これはこうつながって」とか、散々書いていらっしゃるし、昨日(2017年10月17日)ISの首都が陥落したみたいなことも書いているけど、その場所はどこですか? というときに、本当に子どもと話をすることは、たぶんなかなか難しいと思う。できますよという人は、いると思いますけれども。

なおかつ、メルカトル図法の世界地図で見ていますから、「こことここは意外と遠い、近い」とか。つまり、ロシアを横断するというときにはものすごく遠いように思っていますし、同時にオーストラリアのことを、ユーラシア大陸に比べてずいぶん小さいと思っているんですけれど、地球儀で見るとそんなことないんですね。その実感を、子どものときからなんとなくで見ている子どもたちが、育つ。

あるいは親と子が「ユーゴスラビアってどこだっけ?」「ここだよ」というようなことで会話ができる機会というのは、インターネット上の地図を見てもできないんです。試しに、世界地図で検索してみてください。いい地図、1つもないですから。でもこの地球儀は、アプリと連動しなくてもその機能をすでに持っています。

というものが、オリンピックを前にして、どのくらい人々の中に伝わっていくものなのか。これは「ある映画はヒットするかしないか」みたいなところの博打性もあるので、あまりホラを吹くつもりはないんですけれども。少なくともこういうものが世界中で要求されている可能性があるということが、僕らが作りたい場です。もう少し完成度が高くなったら、生活のたのしみ展で先行販売しますので、もしよろしかったら、またそこで見ていただくとわかると思うんですけれど。

僕らのようにいわゆる文明国・先進国と言われるところにいて、いろんな国のニュースは全部入ってくるつもりの人たちも、実は(地球儀のような)丸い状態で考えていない。こういうことについての教育おもちゃという要素と、もう1つあるんですね。よその国とか地球全体のことをあまり知らされていない人たちが、これをどういうふうに扱うか? ということの興味も、もう1つあります。

友達にネパールで学校を作っている人がいるんで、その人のところに少しお譲りしようと思っているんですけれど。空が長細いかたちに見えているところで育った子が、世界があるんだということを、この球を見ながら勉強する機会というのがあったときに、その国の人たちが何を考えていくだろう? その国の子どもたちは、何を考えていくんだろう? というのを、僕らのこのプロジェクトの、遠い景色として今考えています。

いろんな家の外国のホームドラマとかに、誰が見るわけでもないのに邪魔にされて転がっている、この地球儀みたいなものが広がっているのが、遠景になります。中景にあるのは、学校教育で使うということじゃなくて、(アースボールが)家にあって猫と赤ん坊がじゃれているという姿です。

こういうものとして、僕らは「商品として、地球儀というものが足りていないんじゃないか?」と思った部分に、「ほぼ日のアースボール」という名前で販売しますということを、(2017年)3月に一応ちょっとお話しましたけれど。

いよいよ、みなさんの前にお目見えする機会が近づいたので、こういうところ(決算説明会)でアンテナをいつも張っていらっしゃる方々が、さまざまなお話……例えば「ISの首都が陥落したんだよ」というそのニュースの、その国はどこと隣接していて、どこと近いのかみたいなこと。

あるいはクレオパトラの映画を見たら、「なんでギリシャの人とエジプトの人が恋仲になったのか?」というのは、その地球儀で見たら、「ああ、なるほど。この距離だったら恋愛は成り立つな」みたいなことが体感できる。

(会場笑)

糸井:そういうツールになるという、そういう意味で今のところは予価6,000円弱になるんですけれど、紙でできたものよりも情報量の多い地球儀だということをおわかりいただければ、たぶんもうちょっと納得がいくと思います。膨らまして見る地球儀もございますが、だいたいだめです。実際にちゃんと使おうと思ったら、使い物になりません。ネット上の、「Google Earth」はまた別として(笑)。

ネット上である世界地図というのも、子どもを呼んで「このユーゴスラビアというのはな……」と見せても、地図と名のついたところには、情報はほとんど載っていないです。というようなことで、ここに対して、例えばあるテレビ番組が、「今までこの番組が通ったコースは、アースボールの中でも見られます」なんていうかたちで、コンテンツとのタイアップみたいなものを、これから考えていきますので。

非常に原始的に見える、ただのプラスチックの風船のようなものですけれども、プラットフォームとして機能していくということが、今すでに少しずつ始まっている状態なので、ここにのせていく情報がこの(アプリの)中にのっかったときに、またおもしろい展開になるのではないかと考えています。

「生活のたのしみ展」とこの「アースボール」というものが、当初(2017年)春の段階でみなさんにお見せできなくて。「あそこは手帳の会社だね、と一旦決めつけて構いません」と、僕らも言っていたんですけれど。

そこで、手帳の会社というのは、手帳というコンテンツ全体を売っている。手帳というプラットフォーム全体を育てているということと、他に今やりかけていることが全部同じような種類のコンテンツを生み出して、メディア化していって、そこにコンテンツを仕入れていく。そういう夢を持っているんですというお話が、少しは伝わりやすくなったかと思って、こんな小道具をお持ちしました。

18/8期の取組み(ほぼ日の学校)

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今日(2017年10月18日)実験的に、第1回の授業を内々でやってみたのですけれど、「ほぼ日の学校」というものが来年(2018年)の1月から始まります。

それは、(今の人たちには)古典が足りていないというところから始まったことです。森鴎外だ、夏目漱石だといった人は、古典の素養があって小説を書いていたわけです。

今例えば、株価についてどれだけくわしい人であるかということと、源氏物語読んだことがあるかということは、まったく別人のようになっているのですけれども。もう少し人間が作ってきた歴史と、人間が作ってきた社会、人間が作ってきた文化というものが体内に取り込まれたかたちで、経済のことも語られていくという時代。もう少し経ったら、そっちが本当なんじゃないの? と言われる可能性があるのではないか?

「大学生のあたりで、本を読むのをやめたのだよ」と自慢そうに言っている人とかを聞くと、「良いことなのだろうか、それは?」という気持ちは、たくさんの人の中にあると思うのですけれども。

古典だけを学ぶ学校というのを、まずシェイクスピアを題材に始めます。それの校長先生が(2017年)3月の段階ではまだ決まっていませんでしたが、元『考える人』の元中央公論社の編集長だった、河野通和氏です。

その方が入ってきてくれたおかげで、ほぼ日の学校というイメージも随分と、今までのいわゆるエスタブリッシュメント(社会的に確立した体制・制度)との、通路を作れる新しい試みとしての準備ができるようになりました。それが、シェイクスピアから始まります。

けっこうお話を聞くところによると、投資やインキュベーターみたいなことをやってらっしゃる方々から、「人間理解がいちばん大事なのだ」ということをよくおっしゃっているというお話を聞きます。

それが典型的な何人かとお会いしたのですけれど、「シェイクスピアをしっかりと若いときに読んでいると、それはもう、投資のときに役に立つのだよ。それは当たり前のことだよ」というようなことを、おっしゃっているのを聞いています。

そういう意味で、損得の世界ではないかのようですけれども、ビジネスにも大きい意味で役に立つ。そういう教室であり、同時に60歳でも30歳も同じ場所で机を並べる、楽しく授業をやっていくという学校が始まります。

これは昨日(2017年10月17日)募集を開始したので、まだ空きはあります。第2次募集で少し場所を取っといてありますので、もしご興味がおありでしたらちょっと値段高いですけれど、これはセールスですね、説明じゃない(笑)。

(会場笑)

糸井:ただ、だいぶ埋まりました。たぶんすぐに埋まってしまうと思います。

それから、先ほどの生活のたのしみ展でちょっと言い忘れたのですけれど、とてもおもしろいことがございました。自分たちの社員の人数では足りなくなって、接客とさまざまな仕入と販売の人手が足りなくなったので、前回は友達とかに呼びかけたのですけれど、今回は公募で50人のアルバイトを募集しました。売り子さんです。

研修のときには、日給2,000円を払います。当日はいくらですみたいな。条件としてそんなにいいものではないですけれども、50人必要だったので集まってくれたらいいけどな……と募集しましたら、そこでアルバイトをしたいという、ぜんぜんお金に困っていない方が300人集まりました。今日から面接が始まっています。

このような、「売る側で立ってみたい」という方を含めて、生活のたのしみ展という場が人々を引きつける力をもっているという実感を得て、我々としてはこれが来年どうなっていくのか、というようなことを見越しながら仕事をしていく。

社是

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そしてみなさんにそんなご紹介をすることと、自分たちが今なにをどういうふうに目指しているのか。「夢に手足を。」という自分たちの企業理念みたいなものなのですけれども、「夢を夢のままで置いておくのではなく、今なにをすればその夢に運動能力ができるか? 自分を育てていく能力ができるか? ということを考えながらやっている会社なのですよ」ということを、いくつか新しい事業の説明をすることでさせていただこうかと思って、いくつかのお話をしました。

ちなみに、(アースボールの)見本があがってきたのが最近なのですけれども、配れるくらいできたので、これは欲しい方に差し上げる。2つ差し上げられるのですけれども、どなたかいりますか? では、この方2人。このほう(膨らんだまま)がいいですよね? 

(会場拍手)

糸井:ご家族への啓蒙本能を、思い切り満喫してください(笑)。

というようなことで、関連的なまとめた話もいいかもしれないのですけれども、こういうことを考えて、今こうなっていますというようなことを、より具体的にお話をしました。

ここで1回終わりにしていいですか? あとはご質問というかたちで。

18/8期の業績予想について

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篠田:すみません、今、糸井がお話ししたことを申し上げたことを前提にしているのが、今期の業績予想です。お時間もありませんので、簡単にご説明しますけれども。

予想としては売上が、今年の40億1,600万円から46億7,400万円まで、約16パーセントの伸びを見ております。

その内訳ですけれども、ほぼ日手帳は堅調な伸び、(増減額は)金額で言うと1億6,600万円です。

新しいサービスの売上規模は、合わせて5億円近くでみております。これが今、糸井から申し上げました「生活のたのしみ展」「ほぼ日のアースボール」「ほぼ日の学校」、そしてこれまでやってきた「ドコノコ」。これらの新しい取り組みが、売上に貢献するといった計画になっています。

「生活のたのしみ展」は、11月の半ばにまず(その年の)1回目。第4四半期に(その年の)2回目を開くということで、今予想をしております。

利益は基本、今年(2018年8月期)も同水準で今予想をしているのですが、この理由は主に、販管費のところです。こういった新しい事業に向けて、まだ今年は、ほぼ日手帳の売上の増によって得られる利益で補うかたちと考えています。

それから、新事業が立ち上がってくることによって得られる粗利も、新事業のさらに1つ先に向けて投資をします。最終的にはこの損益は、まだほぼ日手帳の依存率はまだ6割なのですけれども、中期的にはここをより他のプラットフォームが育てていくということに、人材の採用を中心として、投資的にお金を使っていく必要があると考えた結果、このような予想になっております。

中期計画の発表の予定は、今回はないのですけれども。社内で考えておりますのは、2年後3年後に向けましては、今申し上げたこういった新しい取り組みが、より大きく育っていって、その結果としてボトムラインも上がってくるということです。

そして経常利益率としても、過去2年前ぐらいの水準まで戻ってくるようなイメージで、今社内で事業を組み立てています。

これが、業績予想の前提の話でございます。ご不明点やご質問がありましたら、お願いいたします。

記事提供:ログミーファイナンス

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