大河ドラマ『直虎』、チャレンジの結果は?

ビジネス、今日のひとネタ

これまで数々の名作を生み出してきたNHK大河ドラマ。2017年の作品『おんな城主 直虎』が先日、最終回を迎えました。

当初寄せられた懸念

実はこの『直虎』には、放送前から心配の声が寄せられていました。

本作の主人公である直虎は、女性でありながらも井伊家当主「井伊直虎」として戦国時代を生き延びたとされる人物なのですが、彼女は一般的に知名度のある人物でないうえに、彼女にまつわる資料がほとんど残っていない状態であったからです。「実は女性ではなく、男だった」という説もあるくらいです。

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「逆境」を逆手に

資料がないという逆境。けれど脚本家である森下佳子氏この逆境を逆手にとって、視聴者を魅了する筋書きを作り出しました。

彼女は資料がないことを活かし、歴史の表舞台に立ち後世に名が残る人々と主人公との関係を自由に紡ぎ出し、新たな物語を作り上げたのです。中には歴史上の人物と直虎の道ならぬ恋なんて話もありました。こんなにも大胆な、妄想とも捉えうる創作は、資料が少ないからこそ成せる技です。

エッジの利いたサブタイトル

また毎話ごとにつく、くすっと笑えてエッジの利いたサブタイトルも評判になりました。具体的にいくつかあげますと、「嫌われ政次の一生」(第33回)、「信長、浜松来たいってよ」(第48回)など。すべて小説など既存の作品のオマージュになっていることはお気づきかと思います。

こういった小ネタに代表される遊び心は、波乱のドラマの中で、視聴者に本筋とはまた違った楽しみも提供しています。

数字とは別のインパクトを与えた

『直虎』全50回の平均視聴率は12.8%。これは歴代でもワースト2位の視聴率であり、数字のみで判断すると、成功とは言いがたい結果です。けれど、例えば高橋一生扮する小野政次が壮絶な最期を迎えた際は、SNS上で「政次ロス」が広がり、異例の追悼CD『鶴のうた』が発売されるなど一大ムーブメントを引き起こし、最終回の放送を終えた今、本作を評価する声は多く寄せられています。

本作が、数字上では失敗作であったけれども、確かに「人々の記憶に残る作品」であったということではないでしょうか?

今後の大河ドラマはどうなる?

長い歴史をもつ大河ドラマ。有名な人物はほぼ取り上げ済みです。これまでの視聴者を繋ぎ止めるには、今までとは違う視点が必要不可欠でしょう。そして『直虎』はその先駆者としての役割を果たしていたのかもしれません。

来年の大河ドラマは『西郷どん』。脚本家の中園ミホ氏は「ボーイズラブ」の要素が散りばめられていることを公言しています。時代とともに地味ながら進化し続けている大河ドラマ、このあとどうなっていくか見守りたいところです。
 

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2005年創業。ビジネス書・実用書を中心とした書籍出版や企業出版、メディア・コンテンツ事業、デザイン制作事業などを手がける。

主な刊行書籍に、20万部突破の『誰からも「気がきく」と言われる45の習慣』をはじめ、『特定の人としかうまく付き合えないのは、結局、あなたの心が冷めているからだ』 『起業家のように企業で働く』 『すべての仕事を紙1枚にまとめてしまう整理術』 『21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由』 『自分を変える習慣力』 『鬼速PDCA』など。