冬になると、「食欲が高まり太ってしまう」といった「冬太り」に悩まされる人は多いのではないでしょうか。単に季節的にこってり系の食べ物が恋しくなったり、忘年会・新年会があったりという要因も多いと思いますが、実はこの冬太りが「冬季うつ」という病気の症状かもしれない、という話があります。

食欲が減るのではなく増える

「冬季うつ」は、その名の通りうつ病に近い症状が出る病気です。うつ病では食欲が減少することが一般的ですが、「冬季うつ」はその逆で、食欲が増大します。特に炭水化物の摂取量が多くなるといわれています。

季節変動に影響されやすい女性に患者が多く、国立精神・神経医療研究センターが全国の成人1000人に調査したところ、2%の人たちが「冬季うつ」にかかる可能性が高いという結果が出ました。

症状改善のカギは日光!?

そもそも、どうしてこのような病気にかかってしまうのでしょうか? 実は、大きな理由の一つに、日光にあたる時間が短いというのが挙げられます。

冬は夏よりも日照時間が少ないため、意識的に太陽にあたる必要があります。というのも、人間は日光にあたると「セロトニン」という神経伝達物質を合成します。この物質が「冬季うつ」の症状とも深く関係していると言われています。なお、ただなんとなく日光浴をするのではなく、目の奥に光を届かせることが大切です。ただ、太陽を直視して目を傷めないように気をつけないといけません。

少し話がそれてしまいますが、日光にあたることの効果は、「冬季うつ」の改善だけに留まりません。骨粗しょう症やⅠ型糖尿病、ガンの予防にもなるといわれています。これだけの効果があるのなら、日光にあたらない手はありませんね。

「トリプトファン」で改善促進の手助け

「冬季うつ」の改善には、食事内容の改善も重要といわれています。体内で合成されない必須アミノ酸である「トリプトファン」を摂取することで、日光にあたった際に、より効率的にセロトニンを合成できるのです。

本来、通常の食生活を送っていれば、「トリプトファン」が不足することはありませんが、先ほどお話ししたように、「冬季うつ」では、食事内容が炭水化物摂取に偏ってしまうので注意が必要です。「トリプトファン」は肉類や豆類、チーズなどに多く含まれているので、これらの食品を積極的に摂るようにしましょう。

一息ついて、日光浴

食欲の増加や気分の落ち込みが病気の症状かもしれないとは思ってもみなかった、という人は多いのではないでしょうか。もちろん食欲や気分の変化がただの一過性のものである可能性も高いのですが、「もしかしたら私って、冬季うつなのかもしれない……」と感じたら、気分転換に外出して、意識的に日光にあたってみてはいかがでしょうか?

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