七福神に1柱加え、「八福神」めぐり

年末年始の過ごし方は様々です。帰省や旅行もいいし、家でごろごろ寝正月も満更ではありません。1年分の疲れをいやしたあとは、なまった体と心を目覚めさせるために七福神巡りはいかがでしょうか。最近は1年じゅう対応しているところもあるようですが、本来は年明け15日くらいまでに行うのが理想のようです。

七福神めぐりは、7つの災難を消滅すると7つの幸福がやってくる(七難即滅七福即生)という仏教典(仁王経)に由来しているそうです。元々は個別に信仰をされてきた7柱の神様が、七福神としてグループ化されるのは室町時代初期だと言われています(他にも諸説あり)。

福神様が7柱というだけでも縁起がよさそうですが、もう1柱加え、八福神めぐりも行われています。「八」も末広がりの数字とされていますので、七転八倒ではなく、七転び八起きの1年にしたいものです。

インド、中国、日本の神様が宝船に乗って渡来した、七福神

七福神はよく宝船に乗って描かれています。これは海から来た、つまり海外から来た神様だからだそうです。

インドから来たのは、大黒天。左肩に大きな袋、右手には打ち出の小槌を持ち、米俵の上に載っています。シヴァ神の化身で、中国を経て最澄によって伝えられたとされています。台所や田、商売繁盛の神様です。

また、上杉謙信が信仰したことで有名な毘沙門天、財や音楽の神様である弁財天もインドから中国を経て渡来したとされています。

中国から渡来したのは、背が低く長い額にヒゲの福禄寿(長寿)、大きなお腹で袋を背負った布袋(良縁、子宝)、老子が天界に入り南極老人星になったとされる白ひげの寿老人(長寿)です。

唯一の日本神は、恵比寿です。イザナギ・イザナミの子(ヒルコ)、大国主命の子である事代主など諸説あります。右手に釣り竿、左手に鯛を持っていることからわかるように、漁業の神様ですが、五穀豊穣、商売繁盛をもたらすとされています。

以上が代表的な七福神です。

太平洋を越えて渡来した神様もいる、八福神めぐり

八福神は、七福神にもう1柱の神様が加えられています。埼玉県久喜市の栗橋千葉県八千代市では、吉祥天。弁財天と2柱の女神様になります。吉祥天は、毘沙門天の妃、観音の化身などと言われ、困窮を除いて富貴をもたらすと言われています。

横浜市の瀬谷では、達磨が加わります。達磨はインド人の仏教僧で、面壁九年の座禅修行で手足が退化してしまったという伝説はよく知られています。そこから七転び八起きシンボルとして信仰されています。

太平洋を越えて渡来したのは、ビリケン様です。アメリカ生まれの神様で、足の裏をさすると幸福になるそうです。大阪府・通天閣、山梨県・河口湖などで八福神めぐりができます。

地元の8神社をめぐる、手作り感のある八福神めぐり

これまで紹介した神様以外をたずねる八福神めぐりは、福岡県・宗像市です。地元の8つの神社をめぐるもので、ウォーキングを兼ねた有志による手作り感のある行事のようです(参考:よしたけ八福神めぐり)。

未来の八福神めぐりを目指して、神社の歴史などを調べ、自分なりの八福神めぐりを考えてみる年末年始もいいかもしれません。

間宮 書子