「億り人」に湧く仮想通貨、ホントの価値は?

2018年、資産運用のトレンド[これってバブル?編]

2018年に入り、「今年こそは自分の資産を増やしたい!」とお考えの方も多いと思います。そうした方に向けて、参考にすべき対策と資産運用メニューを、資産運用の専門家で、ストーリー仕立ての投資入門書『隣の人の投資生活』の著者である、クレア・ライフ・パートナーズ代表・工藤将太郎氏に2回に分けて伺いました。

今回は、投資先として「これって本物なの? ただのバブルなの?」という疑問も多い2つのテーマを解説します。

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日本の不動産価格はバブル?

編集部:投資と言えば不動産投資という方法も選択肢の一つかと思います。最近では、東京オリンピックの影響もあり、不動産価格が上昇していると聞きました。状況としてはどうご覧になっていますか?

工藤:投資用不動産は、住宅用と違って、そこまで大きな価格上昇は起きていません。もちろん、ここ数年は徐々に上昇していますが、その原因はいくつかあります。まずは、金利の低下が最も大きな要因かと思われます。現在、マイナス金利の導入により、これまでにない低金利時代に突入しています。金利が低くなると、支払利息が軽減され、融資を受けられる金額が増えます。同時に、金融機関も返済不能となるリスクが減ると判断し、融資を受けられる年収層も広がります。

投資用不動産は、これまで年収500万円以上の方が一般的には対象となっていましたが、金利が下がることで、融資条件も緩和され、年収400万円台の方も、不動産投資が実施できるようになってきました。

加えて、物件供給が減ってきていることも要因となっています。「良い物件=良い立地」が最も大切なポイントと言われますが、良い立地にはすでにマンションが建てられているケースがほとんどで、新築マンションでの好立地建築は非常に難しくなっています。その結果、良い立地の中古マンション需要が高まり、価格も少しずつ上昇傾向になっています。

ここに、高齢者が増えたことによる相続対策での購入者が増えたこと、東京オリンピックや円安の影響で海外投資家が増えたことも加わってきます。

編集部:現在は不動産バブルのようにも感じますが、今後バブルが弾けることもあるんでしょうか?

工藤:不動産価格の現状は、確かに比較的高水準を維持していますが、今後大きな価格下落が本当にあるかと言われると、需要の高まりから急激に下がることはないかもしれません。東京オリンピックを契機に、東京や大都市部の不動産はより注目を浴びるでしょうし、好立地物件も少ない日本では、東京都内や大都市部の需要は引き続きあるでしょう。バブルが弾けるようなことも考えにくいかと思います。

編集部:なるほど。不動産価格について、ほかに注意して見ておくべきことはありますか?

工藤:そうですね。もし価格が下がるとすれば、「銀行の貸出金利の上昇」がポイントになります。金利が上昇すると、融資に対する返済額が上昇します。すると、返済ギリギリの年収や収支で借りていた投資家は、返済額の上昇により返済が滞る可能性があります。そうなれば、安値での早期売却や自己破産案件なども増え、物件価格が一部下落する可能性は考えられます。

どちらにしろ、不動産投資を長期で資産形成のために活用するのであれば、自身の年収に合った適正な買い方をしつつ、「買い時を見定める」よりは「長期的な視点で目的に合った投資なのかを考える」ことや、節税や繰り上げ返済による早期完済、相続対策として、景気や市場動向に振り回されることなく、安定した資産運用が行えるよう検討することが大切だと思われます。

仮想通貨(ビットコインなど)は今後どうなる?

編集部:最後に、“億り人”という言葉もあるくらい最近一番気になるビットコインなど、「仮想通貨」について教えていただけますか?

工藤:国内では「仮想通貨」と言われていますが、海外では「暗号通貨」という言葉のほうが主流となっています。多くの方は、仮想通貨=ビットコインという認識かと思いますが、実は仮想通貨には、ビットコイン以外にも、イーサリアム、リップル、ネム、などのさまざまな通貨が存在します。

編集部:仮想通貨が次々に生まれてきている感じですね。

工藤:はい。「ハッシュ」と呼ばれる、非可逆性の(つまり、元に戻せない)暗号技術を用いて信憑性の高いデータのやり取りをすることがブロックチェーン技術、仮想通貨(暗号通貨)の仕組みの1つになります。このような技術は、非常に素晴らしいもので、さまざまな決済方式や情報処理方式として、今後採用されることになると思います。ただし、技術としての価値は非常に期待が持てますが、通貨としての価値はまだまだ未熟と言わざるを得ません。

編集部:通貨の価値としては未熟……? それはどうしてですか?

工藤:例えば、南米の最果てに、新しい国が誕生したとします。その国は非常に若い大統領がリーダーとなり、国のさまざまな技術や民度も高く、今後期待される国として知られることになりました。しかし、その国の通貨は複数存在して、USドルや日本円との相関性は非常に不明確で、その新しい国自身で、独自に他国通貨との連動性を作り上げているとします。そのような国は、“ギャンブル”的な要素での投機としては面白いと思いますが、“資産運用”としての投資対象にはならないでしょう。

もし、仮想通貨関連の投資先を選定するのであれば、仮想通貨やブロックチェーン技術を用い、革新的なサービスや商品を生み出す可能性のある企業や業界などに投資を行うことは今後大きな成長の可能性があるかと思います。

投資や資産形成をはじめる前にやっておくべきこと

工藤:さて、さまざまな投資商品の概要と今後の見解をお伝えしてきましたが、最も大切で重要なことは、自身の資産運用スタイルや、スタンスをしっかりと決める事になります。

編集部:スタイルやスタンス、ですか?

工藤:金融商品は、非常に優れているものが多くあります。しかし、それが自分に合っているのか、自分の資産状況や投資経験、あるいは今後の資産運用の目的に最も適しているのか、などを判断するのは非常に難しいことです。

自分がどのような資産運用タイプなのかを知るためには、実際に「資産運用スタイルを持った人を知ること」が必要です。あらゆる資産家や投資家も、必ず失敗をしています。その失敗の理由や、どのような考え方が失敗を招いたか、自分はどのような資産運用方針になりたいのかを知ることがとても大切です。

編集部:「投資手法」ではなく、「失敗事例」から学ぶということですね。工藤さんの『隣の人の投資生活』はまさにさまざまな人の失敗事例を集められた書籍なんですよね?

工藤:はい。具体的な投資手法は、すでに多くの書籍で語られており、いまさら説明する必要はないでしょう。ですが、資産運用に大切な「考え方」を語っている書籍はあまり見られません。

今までにも何冊か書籍を出版していますが、今回は特に初心者の方や、自分の運用方針に迷われている方などが少しでも前に進めるようにしました。ストーリー仕立てのマネー本で「関西弁を話す猫」も登場させたり、少しでも読みやすくなるよう工夫してみました。

物語を読み進めると、お金に対しての考え方が今までとは違ったものになると思います。そして「投資生活」へのファーストステップへと進んでいただけることが、私の願いでもあります。

 

■ 工藤将太郎(くどう・しょうたろう)

西南学院大学卒業後、日本生命保険相互会社入社。資産形成について知識を深めるとともに、自身でも積極的に不動産投資や海外投資を実践。2012年株式会社クレア・ライフ・パートナーズ設立、代表取締役社長に就任。

 


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2005年創業。ビジネス書・実用書を中心とした書籍出版や企業出版、メディア・コンテンツ事業、デザイン制作事業などを手がける。

主な刊行書籍に、20万部突破の『誰からも「気がきく」と言われる45の習慣』をはじめ、『特定の人としかうまく付き合えないのは、結局、あなたの心が冷めているからだ』 『起業家のように企業で働く』 『すべての仕事を紙1枚にまとめてしまう整理術』 『21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由』 『自分を変える習慣力』 『鬼速PDCA』など。