2018年も株式市場には強気の見方が多い

2018年が明けました。日本を除いて1月2日から取引が始まった世界の株式市場は、昨年後半からの勢いを引き継ぐ形で好調なスタートとなった市場が多くなっています。

今年の株式市場に関しては、世界景気の拡大を背景に強気の見解というか、楽観的な見方をする市場関係者が多いようですが、果たしてどうでしょうか。

2017年の世界の株式市場はどう動いたのか?

まずは、終わったばかりの2017年の世界の株式市場を振り返ってみましょう。昨年1年間の騰落率を高い方から並べてみました。カッコ内は左側から2015年、2016年、2017年前半、2017年後半の騰落率です。なお、ここでは主要国の代表的な株価指数を取り上げています。

  • 【香港】香港ハンセン指数:+36.0%(▲7.2%、+0.4%、+17.1%、+16.1%)
  • 【米国】Nasdaq指数:+28.2%(+5.7%、+7.5%、+14.1%、+12.4%)
  • 【インド】ムンバイSENSEX:+28.0%(▲5.0%、+1.9%、+16.1%、+10.2%)
  • 【ブラジル】ボベスパ指数:+26.9%(▲13.3%、+38.9%、+4.4%、+21.5%)
  • 【米国】NYダウ:+25.1%(▲2.2%、+13.4%、+8.0%、+15.8%)
  • 【韓国】韓国総合指数:+21.8%(+2.4%、+3.3%、+18.0%、+3.2%)
  • 【インドネシア】IDXコンポジット:+20.0%(▲12.1%、+15.3%、+10.1%、+9.0%)
  • 【日本】TOPIX:+19.7%(+9.9%、▲1.9%、+6.1%、+12.8%)
  • 【日本】日経平均株価:+19.1%(+9.1%、+0.4%、+4.8%、+13.6%)
  • 【ドイツ】DAX指数:+12.5%(+9.6%、+6.9%、+7.4%、+4.8%)
  • 【フランス】CAC40:+9.3%(+8.5%、+4.9%、+5.3%、+3.7%)
  • 【英国】FTSE100:+7.6%(▲4.9%、+14.4%、+2.4%、+5.1%)
  • 【豪州】オーストラリアASX200:+7.0%(▲2.1%、+7.0%、+1.0%、+6.0%)
  • 【中国】上海総合指数:+6.6%(+9.4%、▲12.3%、+2.9%、+3.6%)
  • 【カナダ】S&Pトロント総合指数:+6.0%(▲11.1%、+17.5%、▲0.7%、+6.8%)
  • 【ロシア】モスクワMOEX:▲5.5%(+26.1%、+26.8%、▲15.8%、+12.3%)

注:暦年の騰落率は年末終値同士の比較。2017年前半の騰落率は、2016年末と2017年6月末との比較。後半は2017年6月末と12月末との比較。

総じて新興国株と米国株の好調が目立った2017年

いかがでしょうか。この結果を意外だと思う人も多いかもしれません。昨年秋以降の大幅上昇のイメージが強い日本株ですが、こうして見ると、2017年の年間ベースではほぼ平均並みということになります。今年も日本株の上昇を予想する根拠の1つと考えていいかもしれません。

また、昨年は米国株を除くと、トップの香港を含めて新興国株のパフォーマンスが良かったことがわかります。その一方で、欧州株はややパッとしない結果となり、ブラジルを除く資源国(豪州、カナダ)も他市場との比較では冴えない値動きだったと言えましょう。ロシア株は主要国では唯一の下落でした。

一方で、2017年を前半と後半に分けて見ると、前半好調だった市場は後半に若干スローダウン傾向が見られ(韓国、インド、ドイツなど)、逆に前半伸び悩んだ市場は後半に大きく上昇したケース(ブラジル、日本、豪州、カナダ、ロシア、NYダウなど)も少なくありません。

世界の投資マネーは常に動いている

この結果を見て分かる重要なことは、“世界の投資マネーは常に動いている”ということでしょう。

“大幅上昇”の定義にもよりますが、2015~2017年にかけて3年連続して2桁超の上昇を記録した市場はありません。2017年に世界の株式市場をリードした米国株でさえ、2015年と2016年は平均並み、もしくは、平均以下のパフォーマンスでした。

また、その一方で、3年連続して下落した市場もありませんし、それどころか、2年連続で下落した市場も見当たりません。

投資家から集めた莫大な資金をグローバルに運用する金融機関では、担当するファンドマネージャーが常に割安な市場、過度に売られ過ぎの市場を見つけ、割高感が出た市場や過度に買われた市場から投資資金を移していると考えられます。2017年の上位に名を連ねた新興国株の多くが、2015~2016年の低パフォーマンスの反動と見ることもできます。

3年間のパフォーマンスが今一歩だった欧州株の復活はあるか?

もちろん、各国の政治経済情勢や地政学リスクなども十分に考慮されており、ただ単に機械的に投資マネーを移しているわけではありません。北朝鮮問題が深刻となった後に韓国株が売られたり、原油価格が上昇に転じた後に資源国株が買われたりしたことはその代表例でしょう。

こうしたファンドマネージャーの視点に立った場合、今年の注目点は、直近3年間のパフォーマンスが今一歩に終わった欧州株や、資源価格の底入れ気配が強まった資源国株になるかもしれません。

また、強気の見解が多数を占める日本株も、こうしたグローバルでの資金の流れを考慮する必要がありそうです。

LIMO編集部