スマートフォンの値上げが止まりません。性能向上や物価高、円安などの影響で10万円を超えるのはもはや当たりまえ。価格を抑えたスマホも販売されていますが、日常生活に欠かせないアイテムであることを考えると、性能を妥協したくないのが本音です。

そんな中、10万円以下から購入できる、かつユーザーの求める性能と機能を搭載するSIMフリースマホとして注目を集めているのが、ASUSの「Zenfone 10」です。2022年に発表されて好評を博した「Zenfone 9」の後継機種としてさらなる進化を遂げ、2023年9月の発売直後から多くのユーザーの高評価を獲得しています。

出所:筆者撮影

Zenfone 10の魅力は「10万円以下から購入できる&小さい&パワフル」ということです。一般的に10万円以下のスマホはそこそこの性能しかなく、小さいスマホはパワーが不足しています。ハイスペックのスマホは大型のものがほとんどです。いずれかの要素を満たしているスマホは他にもありますが、全部が揃っているスマホは非常にレアです。

【Zenfone 10】10万円以内でハイエンドという数少ない選択肢

Zenfone 10のサイズは高さ約146.5mm✕幅約68.1mm✕奥行き約9.4mm、ディスプレイは5.9型ワイドとなっています。実際に手が小さめの女性に持ってもらったところ、片手でも無理なくスマホをグリップできました。画面が下半分になる「片手モード」を搭載しているなど、使いやすさも洗練されています。重さは172gと軽量なので、長時間使っていて疲れにくいのもポイントです。

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「パワフル」を象徴するのが、Qualcomm® Snapdragon™ 8 Gen 2というプロセッサーです。各社のハイエンドスマホが搭載している高性能チップで、YouTubeでの動画視聴やハイクオリティのゲームなどを驚くほど快適にしてくれます。なめらかな動きが美しいディスプレイや高品質のスピーカーシステムとの掛け合わせで、体験の満足度は飛躍的に高まります。

小さいのに…という文脈で外せないのが、4300mAhの大容量バッテリーです。前モデルと同じ容量ですが、電力効率が高めることで駆動時間は12.9%も延びています。また、30Wの急速充電や15Wのワイヤレス充電にも対応しているのもポイントです。

コスパの高いスマホでしばしば落とし穴になるおサイフケータイやマイナンバーカード機能もしっかりカバーしています。また、防水・防塵性能も備えており、お風呂やキッチン、アウトドアまで幅広いシーンで故障の心配をすることなく使用できます。

本体のデザインでは背面の和紙のようなザラっとした手触りの素材が特徴です。他のスマホにはない唯一無二のアクセントになっています。手に馴染む触り心地であることに加え、光沢が抑えられていて見た目も上品。傷がつきにくいのも強みです。

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前モデルZenfone 9では2色だったカラーは5色に増えています。ミッドナイトブラック、スターリーブルー、オーロラグリーン、コメットホワイト、エクリプスレッドとバリエーション豊かで、Zenfone 10の購入を検討するときにもっとも悩むポイントなのではないかというくらい、どのカラーも魅力的です。素材の質感がマットなこともあって、レッドのような明るいカラーでも派手すぎるという印象を与えません。

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【Zenfone 10】独自機能で操作が快適!ツボを押さえた使いやすさに注目

Zenfone 10は操作性においても、ユニークなギミックを多く備えているスマホです。特に注目したいのが、本体側面に搭載された「ZenTouchボタン2.0」。指紋認証センサーと電源ボタンを一体化した機構なのですが、さまざまな操作をショートカットできるスマートキー機能を割り当てることができる優れものです。

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スマートキーはダブルプレス(ボタンを2回連続で押す)/長押し/スワイプの3種類があり、それぞれ「設定」のアプリから割り当てるアクションを選択できます。「Googleアシスタントを起動したり、スクリーンショットを撮ったりできて便利そう!」というのが第一印象でしたが、設定画面をみると指定のアプリを開けたり、録音を開始できたり、カメラを起動できたり…とにかく自由度が高いです。「カメラ起動」にしてもカメラを起動/前面カメラを起動/写真撮影/録画など、細かく調整することが可能です。

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また、SNSやゲームなどで複数のアカウントを使い分けている人に便利なのが「ツインアプリ」機能。アカウントごとにアプリのアイコンを2つまで増やすことができるので、アプリ内で切り替える手間が省けます。またデュアルSIMを利用していれば、LINEアカウントを複製して1台のスマホで2つのLINEアカウントに同時にログインしておくといった便利な使い方ができます。

Zenfone 10にはこのほか、指定したアプリやシステムショートカットにすばやくアクセスできる「エッジツール2」、これからの季節にうれしい手袋を着けたままでも快適に操作できる「手袋モード」やポケットやバッグに入れたときの誤作動を防止する「ポケットモード」、ゲームに特化した設定や操作を集約した「Game Genie」機能、ロック解除せずにインスタントで写真が撮影できる「クイックショット」など…挙げだすとキリがないほどのうれしい仕掛けが詰まっています。

【Zenfone 10】ブレない&明るいカメラが最高!実は要注目な「インカメラ」

1. 8倍ズームでも高精細!くっきり鮮明な仕上がり

Zenfone 10の背面カメラはデュアルレンズで、広角レンズ(5000万画素)+超広角レンズ(1300万画素)という構成です。特筆したいのは「ブレにくさ」です。広角レンズにジンバルモジュールと電子式手ブレ補正を搭載することで、ブレを徹底的に抑制しています。歩きながら動画を撮影したときの酔いそうなガタガタした感じがなくなる…というのが一番イメージしやすいですが、実は通常の撮影でもこのダブルのブレ抑制は非常に効果的でした。

ここからは作例を紹介しながら、Zenfone 10のカメラの特徴をみていきます。最初の作例は、夕方の東京駅舎。淡い色の空、駅舎の茶、手前の芝生と要素が多い1枚ですが、空の淡さはエモーショナルに、駅舎はパキっとした色味に、芝生は生き生きとした緑に、とそれぞれの良さがうまく表現できているのがよく分かります。

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次の作例は同じ場所で1倍ズームから8倍ズームに倍率を上げたときの1枚です。東京駅舎のアップですが、細部がつぶれることなく、くっきりと描写することができています。レンガの模様が鮮明なだけでなく、色のムラまでしっかりと表現されているのには驚きました。

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2. 夜景モードやライトレイルモードで印象的な1枚に

最近のスマホは多彩な撮影モードを搭載していますが、Zenfone 10が特に強いのは「夜」の撮影です。たとえば、オーソドックスな夜景モードは光の表現力が秀逸です。作例は上にオフィスビルの青白い光、下に東京駅舎の電球色という組み合わせですが、それぞれの特性がよく表れています。また、遠距離かつ日が暮れたシチュエーションだったにも関わらず、駅舎周辺の人や車もくっきりと描写されています。

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光を生かした撮影モードとしてユニークなのが、光の軌跡を幻想的に写真に表現してくれるライトレイルモードです。上級者向けかと思いきや、まったくそんなことはありません。今回は複数プリセットされている設定から「トラフィックライト」を選択して、道路を走る車をパシャリ。設定された秒数(トラフィックライトは4秒)の間、カメラを動かさず被写体に向けているだけで、アート作品のような1枚を撮影することができました。

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通常は三脚がないと難しい撮影ですが、そこはブレに強いZenfone 10。さすがに2時間を要するスタートレイル(星の軌跡を記録する設定)は三脚がなければ難しいですが、トラフィックライトをはじめ、滝や人の往来という設定であれば手持ちでも十分に美しい出来栄えに仕上がります。

3. インカメラが隠れた注目ポイント!明るさが際立つ新しいアプローチ

カメラのさまざまな機能を試しながら「もっと注目されてもいいのでは?」と感じたのが、インカメラです。

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イルミネーションをバックに自撮りしたところ、背景も人物も明るく撮影することができました。「イルミネーションは明るいけれど肝心の人の顔が暗くなってしまった」という失敗がよくありますが、Zenfone 10のインカメラはセンサーを工夫することで、この問題を解決。センサーをRGBの3色からホワイトを加えたRGBWの4色にすることで薄暗い環境下においても明るさを維持しています。

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【Zenfone 10】ライトユーザーもヘビーユーザーもうれしい絶妙なバランス

最後に「メインではないけれど、うれしい!」と感じたZenfone 10の隠れた魅力を紹介します。まずはデュアルSIM仕様であること。2種類のSIMカードを挿入して切り替えながら使えるため、プライベート用と仕事用のスマホを1台にまとめることができます。海外旅行によく行かれる方にとってもメリットがあるでしょう。

イヤホンジャックを搭載しているのも、最近のスマホで非搭載のモデルが増えていることを考えれば押さえておきたいポイントです。筆者は基本的に完全ワイヤレスイヤホンを使っていますが、オンラインで打ち合わせをしているときなどに電池が切れて困ってしまったことが何回かあります。有線派でなくても、万が一の保険としてイヤホンジャックがあるのはありがたいものです。

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Zenfone 10は税込9万9800円で10万円を切る128GBモデルのほか、256GBモデル(11万2800円)、512GBモデル(13万4800円)の選択肢も用意しています。データをたくさん保存しておきたい人であれば、ストレージの大きいモデルを選択するのもよいでしょう(※モデルによってカラバリのラインナップは異なります)。

Zenfone 10のユニークなポイントは「コスパがよい・小さい・高性能」の条件をすべて満たしていることですが、今回のレビューを通して、カジュアルなスマホユーザーからヘビーユーザーまで満足させる懐の広さがあることが強く印象に残りました。

直感的に操作したり、簡単に高品質な写真を撮影したりできるとっつきやすさだけでなく、極めようと思えばどこまでもカスタマイズできてしまう設計なので非常に愛着を持ちやすいです。「あまり難しくないスマホを使いたい」という人も、「使い応えのあるスマホを使いたい」という人も、同じくらい満足できる絶妙なバランスに仕上がっています。

参考資料