新年を迎え、株式投資を始めようと意気込んでいる人もいるでしょう。ここでは株価の意味や情報の読み取り方などのポイントをいくつかおさえ、株価の見方をクリアにしていきましょう。

1 そもそも「株価」ってなに?

株価とは「1株当たりの価格」です。市場で売り手と買い手が取引のたびに合意した価格であり、取引が成立するたびに株価は動いていきます。

株価は、その企業の業績、事業環境や経済環境の変化、将来の見通しを反映して動きます。将来見通しが明るいと判断し「買いたい」人が増えれば上がり、将来見通しが暗いと判断し「売りたい」人が増えれば下がるのです。

2 株価を見る前に知っておきたい基礎知識

(1)「株価」と「株式時価総額」の違いを知る

株価を見る前に、まずは基本的な事項をいくつかおさえましょう。その一つが株価と株式時価総額の違いです。

まずは株価について、ある企業(A社)の株価が「3年前は5,000円だったけれど今は15,000円だ」とすれば、これは過去と比べて「株価が高くなった」といえますし、過去に比べてA社に対する投資家の評価が高まったといえます。

では、A社の株価が15,000円、B社の株価が5,000円だったときはどうでしょうか?「A社はB社より株価が高い」とはいえるのですが、必ずしもA社の株式に対する投資家の評価がB社に対するそれよりも高いといえない点には要注意です。どの会社が投資家に大きな株式価値を認められているかを考える際に、単純な株価の比較はあまり有用とはいえないのです。

ここで覚えておきたいのが、株式時価総額の概念です。株式時価総額とは、企業の株式の価値の総和のことで、株価×発行済株式数で計算されます。

さきほどの例で、A社の発行済み株式数が1,000株、B社の発行済み株式数が5,000株だったとしましょう。すると、株式時価総額はそれぞれ次のようになります。

A社:株価15,000円×発行済み株式数1,000株=株式時価総額1,500万円
B社:株価5,000円×発行済み株式数5,000株=株式時価総額2,500万円

株式時価総額で見た場合、A社よりもB社のほうが大きく、投資家から大きな株式価値を認められているといえます。

(2)「割安」「割高」という判断基準を知る

株式投資の際は、投資する価値があるかどうかも判断しなければなりません。ですから、株価が「割高」か「割安」かという視点から株価を見ることも重要です。

「割高」とは、今の株価が本来あるべき値段より高い、という意味です。一方、割安とは、今の株価が本来あるべき値段よりも安いことを意味します。ざっくり言えば、割高の銘柄よりも割安の銘柄のほうが「お買い得」ということになります。

割高か割安かの判断の基準としてよく使われる「株価指標」については「3 実際に株価を見てみよう(2)株価指標から株価を見る」の項目でもご紹介しますので参考にしてみてください。

3 実際に株価を見てみよう

(1)過去の株価推移を見る

株価を見る際の視点の一つは、現在の株価がこれまでの株価の推移の中で高い水準なのか低い水準なのかを見ることです。

長い期間で見ると、株価は上げたり下げたりしていることがほとんどです。そのため、現在の株価と過去の株価の水準の違いを見ておくことは大変有効といえます。

たとえばA社の株価チャート(1年、週足)を見てみましょう。1年の間に上げたり下げたりしながら、2017年12月末の時点では、2017年年初よりも株価が高くなっているのが読み取れます。

A社のチャート(1年、週足)

もうひとつ、B社(1年、週足)も見ておきましょう。B社の場合は、この1年間で上げたり下げたりしながら、2017年12月末の時点では、2017年年初よりも株価が低くなっています。

B社のチャート(1年、週足)

【ローソク足とは?】

先に示したように、株価チャートからは、その期間における株価の状態をつかむことができます。一般的な株価チャートは「ローソク足」と呼ばれる独特な形状をしています。ローソクに似た白や黒の棒で示すため、この名がついています。

ローソク足を見ると、次の4つの株価を一度に把握できます。

「始値」=その日(週・月・年)の取引で最初に付いた株価
「高値」=その日(週・月・年)の取引で付いた一番高い株価
「安値」=その日(週・月・年)の取引で付いた一番安い株価
「終値」=その日(週・月・年)の取引の最後に付いた株価

たとえば始値が100円で終値が150円だったというように、始値より終値が高くなった場合は、ローソク足の「柱」の部分を白で記します。これを「陽線」といいます。

逆に、始値が150円で終値が100円だったというように、始値より終値が安くなった時は、「柱」の部分が黒く塗りつぶされた形になります。これを「陰線」といいます。

また、始値以上に高値を付けた部分を「線」で表し、これを「上ヒゲ」、安値を付けた部分を「下ヒゲ」と呼びます。

なお、日ごとの値動きを示したローソク足を「日足(ひあし)」、週ごとであれば「週足(しゅうあし)」、月ごとであれば「月足(つきあし)」といいます。

(2)株価指標から株価を見る

規模や売り上げの大きさが違う企業の株式の価値を比較したいとき、本来の価値より割安か割高かを見たいときには「株価指標」を使って株価を見ます。代表的な株価指標には、次の2つがあります。

【株価収益率(Price Earnings Ratio、PER)】

株価収益率(PER)は、1株当たり利益に対し、株価が何倍まで買われているかを表す指標で、次の式で求めます。

株価収益率(PER)=株価÷1株当たり利益

この数値は、たとえば同業種内で比較して「A社が15倍でB社が10倍ならB社のほうが割安」というように、相対的な割高・割安を判断する材料として使うことができます。ちなみに、成長企業であればPERが50倍、100倍などになることもあります。

【株価純資産倍率(Price Book-value Ratio、PBR)】

株価純資産倍率(PBR)は1株当たり純資産に対し、株価が何倍まで買われているかを表す指標で、次の式で求めます。

株価純資産倍率(PBR)=株価÷1株当たり純資産

一般的には、PBRの数値が高いほどその銘柄の株価は割高で、低いほど割安だとされます。PBRの目安は約1倍ですが、成長株と言われる銘柄や、純資産が少ない銘柄のPBRは高くなる傾向があります。

まとめ

いかがでしたか。株価は誰でも簡単に入手できる情報ですが、過去との比較、同業他社との比較を意識することで、随分深く理解できるようになりますよ。少しずつでも学んでみてください。

 

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