2024年1月15日に発表された、株式会社ココナラ2024年8月期第1四半期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:株式会社ココナラ 代表取締役社長CEO 鈴木歩 氏
株式会社ココナラ 執行役員CFO 松本成一郎 氏

ココナラの事業内容

鈴木歩氏(以下、鈴木):代表取締役社長CEOの鈴木です。どうぞよろしくお願いします。本日は事業内容のご紹介、財務・決算説明、トピックス、今後の方向性の4部構成でご説明します。

まず事業内容です。サービス名称をアップデートしているため、簡単に補足します。

我々が主力としているサービスは、マーケットプレイスの「ココナラスキルマーケット」です。また、新しいセグメントとして「ココナラ法律相談」を「メディア」と呼んでいます。こちらの2つは、これまでと大きく変わりません。

一方、昨年1月頃から本格的に開始しているエージェントセグメントでは、トータル4つのサービスがラインナップされています。こちらの部分をマイナーアップデートしています。

これまでの「ココナラテックエージェント」は「ココナラテック」、「ココナラプロフェッショナル」を「ココナラプロ」、そして「ココナラハイコンサル」を「ココナラコンサル」に名称変更しています。

より短く、ストレートに伝わるサービス名称にすることで、ユーザーに訴求していきたいという考えです。

ココナラのVision&Mission

ココナラのVision・Missionです。Visionは「一人ひとりが『自分のストーリー』を生きていく世の中をつくる」です。

Missionでは引き続き、「個人の知識・スキル・経験を可視化し、必要とする全ての人に結びつけ、個人をエンパワーメントするプラットフォームを提供する」を掲げています。

ココナラが実現したいこと

ココナラが実現したいことについてご説明します。最終的には、すべてが揃うサービスプラットフォームを実現していきたいと思っています。サービスプラットフォームを通じてサービス・スキル・知識・経験を提供する人、享受する人といった、あらゆる人に機会を提供します。

また、オンラインプラットフォームの特性を活かしながら、時間・場所・環境・年齢にとらわれず、あらゆるユーザーとクライアント、個人と社会のつながりを作っていきます。

そして、フェアな取引を実現します。我々が作り続けているマーケット自体が先駆者のいない領域のため、一挙手一投足において誠実かつ信頼性の高いかたちで事業を進めていき、マーケットを作り上げていきます。

ココナラがターゲットとする市場規模イメージ

ココナラがターゲットとする市場規模イメージです。オンライン・オフライン問わず、サービスマッチングの潜在市場の規模は18兆円あり、今後10年間をかけて、10%をオンライン化した場合の1.8兆円をターゲットと捉えています。

一番小さなオンラインマッチング市場規模の枠組み部分のみ、マイナーアップデートしています。これまでは2020年時点のデータを提示し続けていましたが、直近である2023年の約3,000億円にアップデートしています。

我々の取り組みについては変わっていません。巨大な市場に対し、我々だけが成せるUI・UXを通じ、オンライン化を加速していきながら市場を作り、その中でしっかりとシェアを取っていきます。

セグメントの変更

続いて決算説明です。まず、セグメントの変更について簡単にご説明します。

この2四半期の間に2段階で変更しているため、今回はスライド右側にお示しした最新のセグメントでご説明します。売上の9割近くを占める「ココナラスキルマーケット」は、今後のセグメント名を「マーケットプレイス」とします。

中央にお示ししている「ココナラテックエージェント」と呼んでいたセグメントは、テック領域以外のエージェントサービスも複数立ち上がってきたことを鑑み、すべてを総称して「エージェント」とします。

「法律相談」のセグメントも、今後の新たな事業領域拡大を見据え、法律相談にとらわれることなく「メディア」としてセグメントを設定しています。

今後は「マーケットプレイス」「エージェント」「メディア」という区分でご説明していきます。

2024年8月期第1四半期 決算ハイライト

決算ハイライトです。まず、連結についてです。全社売上高は前年同期比プラス28パーセントで、13.9億円に拡大しています。営業利益は黒字で着地しています。

マーケットプレイスについては、流通高は前年同期比プラス7パーセント、売上高は前年同期比プラス8パーセントの成長となっており、新しい機能をいくつか立ち上げています。

メディアについては、売上高は前年同期比プラス29パーセントと、引き続き力強く成長しています。エージェントについては新たな会社をグループに招き入れ、まだ立ち上がりフェーズでありながらも、売上高は徐々に拡大しています。

その他に新たなサービスを複数立ち上げています。詳細は追ってご説明します。

2024年8月期第1四半期 決算概要

今回の決算概要になります。売上高はプラス28.4パーセントで13億9,800万円です。営業利益は第1四半期で9,700万円となっています。今後の方針については、通期の見通しの部分でご説明します。

売上高推移

連結の売上高推移をグラフ化したものです。前年同期比プラス28パーセントの成長の中でも、エージェントでポートエンジニアリングをグループ化したことが売上高のプラスに効いています。

マーケットプレイス 流通高・売上高・テイクレート推移

マーケットプレイスセグメントです。流通高は前年同期比プラス7パーセント、売上高はプラス8パーセントで、テイクレートは大きく変わらず安定しています。

マーケットプレイス 購入KPI推移

スライドは購入KPIを分解したグラフです。購入ユニークユーザー数(以降、購入UU数)において前年同期比マイナスです。一方、1人当たり購入額がプラス10パーセントとなっています。

購入UU数がマイナスになっていることは課題だと認識しています。今後どのように伸ばしていけるかについて、真摯に取り組んでいきたいと思っています。

一方、前年第1四半期と比較した特別事情として、2022年8月から10月にTVCMを実施していたところに対し、今回の2024年8月期第1四半期、つまり2023年8月から10月はTVCMを一切実施していません。そのため一過性の理由として、TVCMを実施していた期間の対比では、多少弱く出てしまうところがあったと認識しています。

今後は、持続的に四半期単位で成長させていくことができるマーケティング施策、プロダクト開発等を検討し、スピーディーに導入していこうと考えています。

マーケットプレイス 多言語化対応を開始

マーケットプレイスのトピックスです。前回の開示でもご説明したとおり、いよいよ購入者のターゲットを海外へ広げていくため、多言語化対応として英語、韓国語、中国語によるサービス提供を開始しました。

あわせて、決済手段においてもグローバルなPayPalを導入しています。まだ立ち上げたばかりですが、今後は積極的にマーケティングしながら海外需要を取り込んでいこうと考えています。

メディア(法律相談) 売上高・登録弁護士数推移

メディアセグメントです。スライドは「ココナラ法律相談」の開示です。売上高は前年同期比29パーセント増となっています。こちらを牽引する要因となっている登録弁護士数、特に広告費をお支払いいただいている有料登録弁護士数が、前年同期比21パーセント増となっており、売上増に大きく寄与しています。

メディア(法律相談) ARPPU・解約率推移

ARPPUについては、有料登録弁護士数が増えている中で、その単価も順調に伸びています。また、解約率も安定している状況です。

売上原価+営業費用

全体の売上原価と営業費用の合計です。スライドのグラフには、前四半期から水色で売上原価を追加しています。新たにエージェント事業を始めるにあたり、人材の給与が原価として加わることと、これまでの事項を見直し、マーケットプレイスにおいても、売上と連動性の高いシステム費や通信費の一部を売上原価に計上するよう変更しています。

職種別の従業員数

職種別の従業員数です。我々の競争優位性であるプロダクトの成長は引き続きキープしながら、安定的に成長しています。また、第1四半期において採用が一定程度うまくいったため、第2四半期以降も人員が順調に増加すると見込んでいます。

財務基盤

財務基盤です。引き続きキャッシュおよび資本の水準は十分であり、健全な財務基盤を維持しています。詳細はスライドをご覧ください。

通期業績予想に対する進捗

通期業績予想に対する進捗です。スライドに記載のとおり順調に進捗しており、第1四半期経過時点で24パーセントの進捗となっています。過去2年と比べても遜色のない、順調な立ち上がりだと考えています。

営業利益については通期見通しを1,000万円としていますが、第1四半期終了時点で9,000万円を超える営業利益が出ています。こちらは、普通に事業をしている中で数億円の超過営業利益が出ることは想定内であり、その部分をコントロールしながら適切に新規事業に投資をし、最終的な営業利益を1,000万円にしようというものです。

この考え方に変更はなく、通期業績予想について変更の予定はありません。

9月にココナラ経済圏の入り口となるトップページと登録フォームを大幅リニューアル

トピックスです。2024年8月期の初月に当たる昨年9月から、ココナラの経済圏を大きくアップデートしています。

これまでは、TVCMやWeb広告、SEO等でユーザーが我々のサイトを訪れた際に、無条件で「ココナラスキルマーケット」にランディングしていました。今後はココナラ経済圏として、単発型だけではなく時間型・プロジェクト型もラインナップしていくため、それらがわかるようなランディングページ構成に変更しています。

また会員登録に際して、クライアントとサービス出品者一人ひとりのニーズに合わせて、より適切にサポートしていけるよう大幅に刷新しています。具体的には、エントリーフォームの中で、「個人属性か法人属性か」「ニーズは単発型か、あるいは時間型で業務委託をしたいのか」「もしくは雇いたいのか」といった部分がきちんとわかるよう、情報を取得できるように改良しました。

これにより、今まで以上にtoBの領域の需要等も確実に取り込み、持続的に成長できるような仕組みにしていきたいと考えています。

新規サービスにおけるマッチングが開始

新規サービスにおけるマッチングが開始しました。エージェントセグメントにおいて、昨年初頭から、ほかに先駆けて「ココナラテック」がサービスリリースしました。

そして昨年10月以降、オンラインアシスタント代行領域の「ココナラアシスト」、現在「ココナラ」で出品中の方で、ココナラが間に入りながらも実名制で品質高く制作物を納品していく「ココナラプロ」、ハイクラスの副業コンサルティングマッチングを実現する「ココナラコンサル」の3つを開始しています。

財務ポリシー

今後の方針です。財務ポリシーについては、これまでの説明会でお話ししている内容に変わりはありません。トップラインの中期的目標については、前年同期比20パーセントから30パーセント増を目指し、安定的に継続成長していけるようにがんばっていきます。

経営の優先事項としては、トップライン一辺倒ではなく、収益性も維持した経営へと方針転換していきます。その結果として、2024年8月期からは持続的な営業利益を上げて黒字化できるようなかたちを目指します。

損益については、黒字化は持続しながらも、きちんと再投資できる余力を残して経営していきたい考えです。

ココナラの中期的な戦略方向性

ココナラの中期的な戦略方向性として、大きく3つ挙げています。1つ目は、ココナラ経済圏の構築と法人利用の促進です。先ほどお見せしたような世界観で経済圏を構築しながら、そのtoB利用を促進していきます。

そのため、セールスの機能は拡充しながらも、我々オーガニックだけでなくみずほ銀行の力を借りながら、「みずほココナラ」という座組を用いて法人アカウントの開拓スピードを拡大していきたいと思っています。

2つ目は「ココナラスキルマーケット」の再成長です。短期的にはアフターコロナの反動やジェネレーティブAIの影響等もゼロではないものの、足元では海外対応や、toBあるいはエンタープライズのみなさまの需要を取り込み、より安心してご利用いただけるような、高単価案件に効く機能やリピート案件を生みやすい機能を開発していきます。

特に、これからの半期で力を入れていこうと思っているのが、公開募集機能の強化です。これまでのサービスをECのように購入するかたちだけではなく、クライアントのみなさまが公開募集で案件を投稿し、ユーザーを集めやすいような機能も強化していきたいと考えています。

3つ目はプロジェクト型マッチングの新規事業開発です。主にエージェントセグメントにおいて、「ココナラテック」をはじめ各エージェントサービスをしっかりと立ち上げていきたいと思っています。

こちらはセールスの機能や組織自体が肝になってくる領域です。プロダクトドリブンやテクノロジードリブンで立ち上がったココナラならではの勝ち筋として、ジェネレーティブAI等のテクノロジーを駆使し、効率的で精度の高いマッチング手法を開発して導入していきたいと考えています。

ココナラ経済圏の拡大

ココナラ経済圏の拡大についてご説明します。スライドのグラフは横軸が都度発注とプロジェクト/時間、縦軸が領域カテゴリとなっています。このスライドは数四半期連続で更新し続けているものですが、今回は見え方を少し整理しています。

プロジェクト/時間については、エージェントセグメントにおいて各種サービスがそろっています。まずはセールス的に事業を立ち上げていきながら、最終的にはプロジェクト/時間の領域でもマーケットプレイス型でプロダクトとしてのマッチングを実現していきたいと考えています。

またアライアンスにおいては、みずほ銀行とのジョイントベンチャーである「みずほココナラ」の準備が順調に進んでいます。多少は前後するかもしれませんが、お話ししたとおり1月末から会社を立ち上げ、しっかりと送客いただける仕組みを構築していきたいと考えています。

サービスラインナップ

サービスラインナップです。こちらのスライドは先ほどの「ココナラ経済圏」の補足資料になります。詳細を知りたい方はぜひご覧ください。

中長期の成長を見据えたココナラ経済圏構想

ココナラ経済圏構想についての補足説明です。スライド左側がファネルの入口で、左側から右側に移っていくイメージとなります。

集客では、これまでになかったtoB領域をしっかりと捉えた「みずほココナラ」をはじめ、セールスの仕組みを強化していきます。

オンボーディングでは「ココナラスキルマーケット」というマーケットプレイスに単一で飛ばしていたところから、経済圏ページを経て、各種ニーズに応じた単発型や時間型のさまざまなサービスに差配できる仕組みにしていきます。

いずれのサービスで得た情報も、すべて共通のDBに集約し、最終的には「ココナラ経済圏」として、あらゆるユーザーにワンストップでシームレスな体験を提供していきたいと考えています。

以上で、私からのご説明を終わります。ありがとうございました。

質疑応答:マーケットプレイスの用途別成長率について

松本成一郎氏(以下、松本):「マーケットプレイスの流通高を法人利用と個人利用で切り分けると、成長率はどのようなトレンドになっていますか?」というご質問です。

鈴木:流通高は前年同期比プラス7パーセントとお伝えしましたが、各セグメントで大きな差はなかったと認識しています。そのため、今後は両セグメントともに再成長できる施策を打っていく予定です。

ただし、足元のポテンシャルとしては、法人利用のほうがより可能性があると思っているため、そちらを重点的に対応していきたいと考えています。

質疑応答:マーケットプレイスにおけるKPI推移の背景について

松本:「マーケットプレイスのKPIについて、購入UU数が前年同期比で減少、1人当たり購入額の単価が前年同期比で上昇した背景はなにが考えられるでしょうか? 今後の流通高の推移をどう見ているかも併せて教えてください」というご質問です。

鈴木:購入UU数が前年同期比で減少した理由の1つには、TVCMを放映していた前年との比較であることが挙げられます。

加えて、前四半期の通期決算でもお伝えしたとおり、主にマーケティングのWeb広告において、LTVとユニットエコノミクスの関係から、回収率の悪い施策を止めたことも、購入UU数が減少した理由です。

一過性の理由としては、ジェネレーティブAIがいくつかの領域を置き換えている中で、人でなくても対応できる、非常に低単価の制作案件等が一部なくなっています。

ただし我々は、超低単価の制作系案件に力を入れているわけではないため、それらが置き換わったとしてもマイナス影響はそれほどありません。今後は、反転攻勢を十分かけられる状況にあると思っています。

一方で、1人当たり購入額の増加については、toB、特に中堅クラスの法人からのご利用が増えたことが理由の1つです。そして、購入UU数減少の裏返しになりますが、超低単価案件の利用ユーザーが離れる一方で、高単価案件のユーザーがまったく離れていません。その結果、1人当たり購入額が順調に伸びています。

今後の流通高の推移については、いつまでもアフターコロナの影響を理由にするわけにもいかないため、しっかりと反転攻勢をかけられるよう、マーケティングを磨き込んでいきます。

またプロダクトとしても、マーケットプレイス全体で間口を広げられるよう、toBやエンタープライズの需要を喚起できる大型機能を複数開発中です。これらを今期中に一定程度リリースするべく、準備していきたいと思っています。

質疑応答:流通高拡大施策の進捗や今後の取り組みについて

松本:「特にエージェントセグメントにおける流通高拡大施策の進捗や課題、今後の取り組みについてご解説いただけますでしょうか?」というご質問です。

鈴木:エージェントセグメントにおいては、主にエンジニアやデザイナーを紹介する「ココナラテック」、ハイクラスの副業コンサルを紹介する「ココナラコンサル」、人事代行や経理代行等のオンラインアシスタントを紹介する「ココナラアシスト」、そして「ココナラプロ」の4サービスがありますが、領域ごとに状況や課題が異なります。

例えば「ココナラテック」では、稼働者や求職者の募集強化に課題感があります。また、「ココナラアシスト」は立ち上げ直後から一定程度の需要がある一方で、組織構築がスピード感として間に合っていない部分があるため、採用を着実に進めながら組織を作っていこうと考えています。

「ココナラコンサル」と「ココナラプロ」はまだベータ版ということで、これからしっかりと事業を立ち上げていく必要があります。今後は、PDCAを回せるような兆し、n数を作っていきたいと考えています。

一方で、第1四半期はエージェントセグメントの各事業を立ち上げ始めたばかりのため、マーケティングも含め、投資する余裕がまだありませんでした。その結果、営業利益は上振れて着地しています。

しかし、少しずつ体制も整ってきているため、第2四半期以降はマーケティング投資や人材投資を加速させながら、下半期にはしっかりとトップラインの兆しを作っていきたいと考えています。

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