2018年2月8日に行われた、株式会社ネクソン2017年12月期決算説明会・質疑応答の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料

スピーカー:株式会社ネクソン 代表取締役社⻑ オーウェン・マホニー 氏
株式会社ネクソン 代表取締役 最高財務責任者 植村士朗 氏

2017年第4四半期決算発表会・質疑応答

質問者1:ご説明ありがとうございました。野村證券のヤマムラです。3点お願いいたします。1点目は、中国の『アラド戦記』の部分ですけれども、(2018年)2月1日のアップデートから、具体的にどのようなイベントの評判が良いか、昨年は非常に好調なトレンドでしたので、昨年と比べてどうだったかなど、何か比較をして、変化があれば教えていただければと思います。

植村士朗氏(以下、植村):ご質問ありがとうございます。中国の『アラド戦記』の第1四半期の状況ですが、昨年と比較して今年は、旧正月が少し遅くはじまるということで、アップデート自体が2月1日と、昨年より約2週間ほど遅くなっております。

ですので、KPI等々は、ある程度、旧正月の状況を見てみないと分析できませんが、足元の状況を申し上げると、やはり2017年、1年間で非常に大きく成長して、ユーザーベースがしっかりしている状況を踏まえて、今回も良質なコンテンツのアップデートができたと思っています。そのような点では、非常に好評であったということになります。

ご承知の通り、昨年はレベルキャップの開放等を行って、さらに成長が加速しました。今年はそのようなレベルキャップの開放はなく、コンテンツのアップデートのみで、新しい職業のキャラクターを追加するなど、そのようなアップデートをしております。

ですから、足元の状況、直前まで見れる限りの数値を見て、一定の成長は見込めると考えております。

質問者1:ありがとうございます。韓国のモバイル(ゲーム)のところもお伺いしたいのですが、『AxE』や『OVERHIT』、『熱血江湖 M』や『Durango: Wild Lands』(以下、『Durango』)と、まずは順調に立ち上がったというところだと思いますが、今後の育て方と言いますか、各々まったく違うゲームだと思いますので、何か戦略等々、コメントをいただける範囲でお願いいたします。

植村:韓国のモバイル(ゲーム)ですけれども、ネクソンのグループとしては、ある程度の大型タイトルを出せば、しっかりと(アプリストアの)上位に来るという状況で、非常に良い状況であると思います。

問題はリテンション、長く遊んでいただけるようにゲームを育てていくことだと思いますが、それぞれゲームのジャンルは違いますけれども、やはり良質なコンテンツのアップデート、あるいは、ユーザーが求めるスピード感、このようなニーズにしっかりと応えていけば、リテンションは保てると思っています。

基本的にそれぞれ細かい戦略はありますが、大きく言うとやはり、デイリーでのオペレーションと、コンテンツのアップデートを行っていくことが重要だと思っております。

ただ、それぞれのタイトル、例えば『OVERHIT』等は、韓国だけではなくグローバルに、非常に好評をいただけるであろう、とくに日本に合うのではないかと見ておりますので、韓国でまずローンチしたタイトルを、それぞれのユーザーに合う各地域にいち早く拡げていくということが、グローバル展開の戦略になります。

AI領域への技術投資の可能性

質問者1:ありがとうございます。最後ですが、冒頭でオーウェンさんに技術への投資について、少しコメントをいただきました。

中長期の話になりますが、以前いくつかお話をお伺いして、非常に興味深かったので、今とくに(どのような)テクノロジーにご興味があられるか、投資対象として優先順位があれば、最新の状況を教えていただけますでしょうか?

オーウェン・マホニー氏(以下、マホニー):素晴らしい質問、ありがとうございます。プレゼンテーションの前に内々で話していたのですが、我々が技術に関心を持っているものを公の場で語る際には、競合他社がどうしてもそれを真似するということがありますので、今の質問に関しては、少し注意深く回答したいと思います。

我々はさまざまな領域に関心を持っていますその内の1つについて、具体的にお話をします。Pixelberry Studios(のタイトルの中で)、とくに『Choices: Stories You Play』というのは、表面的にはシンプルに見えるかもしれません。

しかしながら、プレゼンテーションで語ったように、とても深いゲームであると言えます。まだ、我々のユーザー獲得、メトリクスおよびアナリティクスの技術は盛り込んでいませんけれども、それでも『Choices: Stories You Play』はすでに成功を収めております。

少し先のことを考えてみますと、ゲームエクスペリエンスというのは、もう少しAIを活用したり、または少し音声認識などの技術を使ったりしたならば、どうなるでしょうか。

家ではAmazonの「Alexa」を使っています。コーヒーを飲みながら、ニュースや交通情報を聞きます。

(Appleの)Siri、またはGoogleの技術を使っている方もいらっしゃるかと思いますけれども、ゲームに対して話しかけられる。そこでインプット、アウトプットが実現できるということを『Choices: Stories You Play』に応用して、仮想の友人ができるとしたら、どうでしょうか。5年先、10年先を想像してみますと、技術的には十分可能であると考えています。

まるで仮想のキャラクターと話ができるという状態を作り上げることができるのではないでしょうか。それは1つの例であり、ゲーム業界は抜本的に、ここ5年の間に変わっていくと思っています。

そのような意味で、このビジネスチャンスに対して、大変期待を抱いており、さまざまな領域においてのトライ、チャレンジに向かっていきたいと思います。

『アラド戦記』のビジネスモデル

質問者2:ご説明ありがとうございました。ゴールドマンサックス証券のスギヤマです。

私からも3点お願いしたいのですが、冒頭のオーウェンさんのプレゼンテーションの中で、中国の『アラド戦記』がSoftware as a Serviceモデル、あるいはアニュイティのような伸び方をしているというご説明があったかと思います。

エンターテインメントの産業とはかなり違う売上のカーブを描くものだと思いますので、今回、このご説明に至った背景と、このパターンを他のゲームで実現するために、今、他のタイトルでは何が足りないのか、ご解説いただければと思います。

マホニー:ご質問ありがとうございます。『アラド戦記』のようなゲームが、なぜSoftware as a Serviceのように見えるか、アニュイティのようなビジネスに見えるか。

なぜ通常のエンターテインメントのプラットフォームとは違うかと言いますと、多くの人たちが考えるオンラインゲームのパターンというのは、最初の四半期で急速に成長して、その後の何四半期かで下がってしまう。

そして、(その状態で)安定するものだと思います。最初の1四半期、2四半期ぐらいで(成長の)90パーセント程を占めるというイメージを持っていると思います。

そのようなモデルというのは、まさにそうである、真実であるわけです。例えば、そのような(モデルの)パッケージグッズ、また、過去に業界のトレンドであったFacebookのゲームでも同じようなものが伺えます。

2009年から2012年の期間で想定されたモバイルビジネスもそうでした。ですが、このようなモデルの問題には、実は例外もあります。その例外が非常に大きいということです。

『アラド戦記』が一番良い例だと言ってもいいかもしれません。つまり、そのモデルには当てはまらないということです。少し下がったり、少し上がったりするけれども、全体的なトレンドとしては非常に安定している、または少し上昇しているということです。

どうしてこのようなことが起こるのか。これは本当に興味深いものだと思います。やはり、常に「『アラド戦記』がいつなくなるのか」というところを見ている人もいるかと思います。

実は、このような質問は私たちのIPOロードショーのときにも、一番よく出た質問でした。2011年、私がCFOだったときです。この『アラド戦記』がいつなくなるのかという質問が、一番多かったわけです。

今では、(初値が)2.5倍やそれ以上高くなったIPOロードショーの数は、2011年よりも増えているわけです。ということは、(それ以前のゲームは)正確なモデルではなかったということです。

つまり、そのようなモデルは、ゲーム業界の一番の大きなヒットには当てはまらないということです。例えば、『League of Legends』や、Tencent(中国)のゲームについても同じことが言えるかと思います。

また、Blizzard Entertainment(アメリカ)なども同様です。ですから、そのようなモデルを考えてしまうと、(なぜSoftware as a Serviceのように見えるか)なかなか理解できないということがあるかと思います。

『2Dアラド戦記モバイル』の開発状況

質問者2:もう1点、今回スライドの17ページ、通期の見通しの中で、『2Dアラド戦記モバイル』について、通期での「開発/準備を継続」とありますが、2018年、年内に配信する目処が立っているのか、お答えいただければと思います。

マホニー:このゲームに関しては、まだ、発表の準備はしていません。申し訳ありませんが、それ以上お話しすることはできません。そちらに関しては、まず先にお客さまに言わなければいけないと思っています。

質問者2:今回『LawBreakers』で、コンソール(市場)に参入をされて、タイトル自体は終わってしまうわけですけれども、そこからのテイクアウェイであったり、今後のコンソールビジネスに関する考え方を教えてください。

マホニー:コンソールビジネス全体についてということですね。中期的な視点でお話したいと思いますが、5年以上ということになると、おそらく最終的には「統合される」ということだと思います。

さまざまなプラットフォーム、モバイル・PC・コンソール、3つのプラットフォームが統合されていくと思います。おそらく、いつかはそうなると思っています。

例えば、私はiPhone Xを持っていますけれども、本当に素晴らしいデバイスだと思います。5年前ですと、『Durango』のようなゲームは、モバイルではできなかったわけです。ネットワークも十分ではなかったし、グラフィックも十分ではありませんでした。

ただ、これからより高度なモバイルのゲームが出てくるでしょう。そして最終的には、もっとポータブルになっていくと思います。コンソールも、ビジネスの考え方が数年前とは変わってきています。任天堂がリーダーだったのですけれども、(例えば)「Nintendo Switch」のように以前あったもの、つまり、リビングルームでやっていたものを、よりポータブルにしてきたわけです。

私はこのことについてとくに洞察があるわけではないのですが、おそらくソニーとMicrosoftも、コンソールビジネスについて考えていると思いますし、数年前とは考え方が変わってきたと思います。

やはり、(ゲームをする場所が)リビングルームに集中していたものが、もはやリビングルームだけではないということです。

そこで、例えばメディアの消費を考えても、リビングルームではなく地下鉄の中とか、または外とか、移動しながらとか、いろいろな部屋で(ゲームをする)ということになってきていると思います。

コンソールビジネスについての質問に戻りますけれども、例えばこれから数年ということになると、コンソールビジネスには、非常に大きなチャンスがあります。とくに、オンラインゲームです。コンソールゲームは、以前はシングルプレイヤーとかグループプレイヤーゲームでした。

そして今では、リビングルームにもチャンスが広がっていると思います。そのようなところで私たちは、2018年以降もコンソール向けに、ゲームを提供していきたいと考えています。ご質問、ありがとうございました。

もう1つ(の質問の)、タイミングは、ちょっとわからないんです。私たちは、将来の予測をすることが仕事ではないので、みなさんと同じように将来を予測することは、難しいのですけれども。短期的には、大きなコンソールのビジネスチャンスがあると見ています。

『メイプルストーリー2』の貢献度は?

質問者3:クレディ・スイス証券のヨネシマです。私も3問あるので、一問一答でお願いします。まず1点目は、減損についての確認です。

2017年を振り返ると、毎四半期で、30億円とか40億円と出てきたというところでした。ゲームが、全体的には新タイトルがけっこううまくいっているのですが、毎四半期(減損が)出てきているので、これはどういう分野で減損が出てきているのでしょうか?

今回、第1四半期(の見通しで)は、あまり見込んでいないのですけれども、過去を見ると、減損が出やすくなってきているのかなと思います。減損に対する考え方や、どの分野で出てるかを、定性的でも構わないので教えてください。

植村:ご質問ありがとうございます。減損に関しての考え方なのですが、まず内容としては、ゲーム開発に関わる獲得したIPとか、あるいは前払いのロイヤリティというものについて、例えばゲームがクローズしたとき、あるいはローンチした後でもうまくリクープできなかったときに、減損をします。

やはり、かなり多くのパイプラインを持って開発を進めていっておりますので、どうしてもこのようなもの……1個1個を見るとそれほど大きな金額でないとはいえ、やはり積もるとそこそこの金額になってきます。

ですので、考え方としては、チャレンジをしてどんどんパイプラインを作っていく限りにおいては、(減損は)どうしても避けられない宿命であるかなと考えております。ただ、なにぶん減損は、具体的に見込むことができませんので、アウトルックの中では見込んでいないということになります。ですので、そこは若干ダウンサイドとして、減損が発生した場合にはそこからブレるというかたちになります。

質問者3:わかりました、ありがとうございます。2点目は、中国の事業について教えてください。『アラド戦記』が非常に好調だというお話と、『メイプルストーリー2』についてそこそこコメントもされていることから、大きくなってきているのかなという感じがしています。

ヒントとして、例えば今期に中国の伸びとして見込んでいるものが、10パーセント台から20パーセント台なのですが、『メイプルストーリー2』の貢献度は、けっこうインパクト的に大きいものでしょうか? 

例えば、10パーセントくらいのインパクトが出てきたのか、それともまだぜんぜん小さく、ただ中国でヒットはしているので、コメントしてるだけなのか。『メイプルストーリー2』の貢献度がどれくらいについて、教えていただければ幸いです。

植村:『メイプルストーリー2』に関しては、当然昨年にはなかったタイトルなので、YoYでかなり貢献してくれてます。ただ、『アラド戦記』があまりにも大きいので、そこと比較すると、全体の中国の伸びの中で、それほど大きなポジションを占めるというわけではありません。

PCオンラインビジネスに関しては、『アラド戦記』もそうなのですが、ゆっくりゆっくり育てて、息の長いものにしていくところが重要です。最初から急激に売上を上げるというよりは、しっかりと我々の期待値どおりに育てていければと考えています。

質問者3:それでは、中国の伸びは、『メイプルストーリー2』も多少貢献するけれども、基本的には『アラド戦記』だと考えてよろしいですか?

植村:中国だけで見ると、そうです。ただ、やはり一定の貢献はありますので、(『メイプルストーリー2』の貢献は)小さいものではないです。

今後の開発パイプライン

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質問者3:わかりました。ありがとうございます。最後に3点目として、パイプラインについて教えてください。22ページのパイプラインのところで、もし開示できるものがあれば、第1四半期出てくるタイトルについて、どこ(の地域)で何が出てくるかについて、今決まっているものがあれば、教えてください。

『Durango』とかは、この間韓国で出たばかりなので把握しているのですが、他にもこの第1四半期で出てくるタイトルや国について、開示できるものがあれば、教えてください。

植村:すでに公表している範囲で、お話しします。まずPCからは、『EA SPORTS™ FIFA ONLINE 4』を、ワールドカップ前を目標としたローンチの準備をしています。次に『Astellia』です。これは、だいたい第2四半期の6月ぐらいに、ローンチする予定になっております。あとは、『Battlerite』等は、2018年中で(ローンチすると)アナウンスしております。

次に、モバイルに移ります。『Durango』は、韓国ではすでにローンチしておりますが、グローバル展開を行っていくということです。中国を除くかたちですけれども、これの展開を準備中です。『OVERHIT』は日本に展開する予定ですが、時期は未定です。

あと、『Elsword M Shadow of Luna』は未定です。『KAISER』も、韓国でローンチする予定ですが(時期は)未定です。『DARKNESS RISES』は、『Dark Avenger 3』のグローバルバージョンで、名前を変えたものになります。これもグローバル展開をするところで、準備中です。

『ファイナルファンタジー® XIモバイル』と、先ほどの『アラド戦記』は未定です。『Project D』も未定です。『メイプルストーリーM』に関しては、グローバル展開しています。(時期としては)準備中ということです。『マビノギモバイル』は、2018年中(のローンチ)を目指して準備中です。

スマートフォン向けアプリ『Durango』のKPI

質問者4:ありがとうございます。『Durango』について、フォローアップの質問です。個人的に、これは非常にエキサイティングだと思っています。ただ、スタートが良くても、いろいろな理由で下がることがあると思います。

『Durango』に関しては、非常にスタートは良いのですが、例えば定量的に現状がどうなのでしょうか? ライフサイクルとして、どのようなKPIが出ているのでしょうか? このゲームが、例えば最近出てきた他のゲームと違うところは、どういうところでしょうか? 『Durango』の定量的なKPIについて、お話しいただけると助かります。

マホニー:ありがとうございます。短く答えると、ちょっとまだ時期尚早ということです。ご存じのとおり、これ(『Durango』)は非常に深くリッチなMMORPGなので、遊び方・プレイスタイルは、やはりもう少し長く見る必要があります。

「他と違うのは何か」について、なぜみなさんの質問に答えられないのかというと、これまでこのようなことを、モバイルでトライしたことがないからです。

その結果として、やはり興味深いけれども、なかなか予測が難しく、通常のベンチマークでは測れないところがあります。

例えば、よりシンプルにゲームをやるようなモバイルユーザーが、いろいろ入ってくると思います。中には、長期的に『Durango』をやらない人もいると思います。もともと、そのような、より深いエクスペリエンスを求めていないということで、例えばAppleやGoogleでフィーチャリングが始まると、去ってしまうところもあるでしょう。

ただ、よりディープなエクスペリエンスを求めている、例えばPCスタイルのMMORPG(をプレイする)といった人たちも、いると思います。ですから、まだちょっと(『Durango』については)パターンがつかめていません。定性的に言うと、今までの状況は非常にすばらしいです。

ただ、このようなゲームは、私たちとしてもあまり数週間で判断することはできないと思います。やはり、これから数年間でどうなるかということを、見ていきたいと考えています。ご質問では、そのようなところを探っていらっしゃると思いますけれども、まだまだその質問にお答えすることはできません。

質問者4:ありがとうございました、よくわかりました。もう少し、さらにそれについてお聞きしたかったのですけれども。例えば、ひょっとするとこれ(『Durango』)は、これまでと同じような動きをしないのではないかということも、考えていますか?

もちろん、冬季オリンピックが始まるということで、まだまだ診断ができないということでしょうか? それとも、まだまだそういう診断をするには、早すぎるのでしょうか?

マホニー:そうですね、まだちょっと早すぎると思います。ハイライトとして、スタートについては、非常に私たちはハッピーだということです。定性的に言うと、私たちのお客さまからのフィードバックを見ても、最初の数日間は、このゲームに対する需要(が多くあり)「非常にディープでリッチなゲームだ」ということで、本当に圧倒的なかたちで、私たちのキャパが足りなくなったぐらいです。

これは、非常にゲームがディープだからです。私たちは必死になって、それに対応しなければいけませんでした。(その結果)数日前よりも、とても良い状態になっています。ただ、これはそれだけゲームの需要が高かったということです。私たちの期待を、上回ったことによるものです。

全体で見ると、定性的なフィードバックとしては、本当にみんながいいと言ってくれています。もうその世界に引き込まれると。非常にイマーシブな経験ができると言われています。ですから、私たちもとてもそれに喜んでいます。全くこれまでと違うようなことをする場合には、やはりその定義というか現実というか、それが他のエクスペリエンスと比較ができないわけです。このゲームについては、私たちがパイオニアであるわけです。

中国『アラド戦記』のMAUが微減した要因

質問者4:ありがとうございます。もう1つ、第1四半期の中国『アラド戦記』のガイダンスに驚いているんですれども、さらにARPPUが上がるということはないでしょうか?

MAUとか課金率に関しては、第4四半期に下がっていると思うんですけれども、ユーザーベース、例えば課金ユーザーも上がってくるとかいうことで、ARPPUも上がってくるということは予測できないでしょうか?

植村:先ほど申し上げたように、Q1に関してはまだ旧正月が遅いというところで、完全に分析はできていませんけれども、Q4の話をしますとMAUが微減で、

Paying Userは微増で、ARPPUが上昇というようなかたちになっています。

MAUが微減した理由は2つあると思っています。1つは、パブリッシャーによるBotの制裁です。もう1つは、先ほどもお話しましたけれども、旧正月の遅れというところです。

通常、旧正月に向けてイベント等でウォームアップしていくのですけれども、旧正月が遅いのでQ4がそんなにウォームアップしていないというところが、MAUの微減の理由だと考えています。

ただ昨年、Q3までPaying User数がかなり増加していたということを申し伝えていたと思いますけれども、そういった意味で、Q3からQ4のPaying Userの増加は、本当に微増というかたちになっています。

ですので、レベニューでドライブしているものはARPPUです。ですので、この傾向を考えると、Q1もある程度ARPPUは高くなるかなと思っていますけれども、『アラド戦記』以外の中国での他のPCタイトルのARPPUを見たり、モバイルのARPPUを見る限り、まったく高いということはありませんので、決して心配するようなARPPUの上昇ではないと思っています。

ですので、Paying Userが全体的に増えて、細かなアイテムを買っていただいた方々が課金の楽しさを覚えて、パッケージを購入しだしているという状況でのARPPUの上昇です。引き続き我々としては、中国の『アラド戦記』はヘルシーな状況にあると考えています。

『Durango』のマネタイズ戦略

質問者5:ありがとうございます。『Durango』に関する質問です。『Durango』は配信開始してから随分良好です。ゲームアイテムなどを販売している状況であるかと思います。ゲームアイテムの購入によって、パフォーマンスが上がると考えています。そこでさらなる収益化につながるかと思います。

この『Durango』のアイテム販売によって、収益は上がっているのでしょうか?

そして今後の『Durango』の戦略、とりわけ収益化に関してはどういったことを描いていらっしゃいますか?

植村:『Durango』は、もともとこのゲーム性と言いますか、ジャンルからしても、課金によってマネタイズするタイトルというよりは、やはり長い間適度に遊んでいただくというようなタイトルだと思っています。どちらかというと、PCに近いのかなというかたちです。

今のところ非常にリテンションもいいですし、そういった意味で、長いこと運用していくことを目標としています。その中でしっかりと長い間、売上と利益に貢献してくれればという考え方のもと運用しています。

ご質問のとおり、十分収益に貢献はしていますけれども、あまりマネタイズするようなゲームではないとは考えています。

質問者6:JPモルガン証券、モリと申します。1点目はQ1のガイダンスに関しまして、去年はたしか旧正月アップデートを踏まえてガイダンスが出されて、結果的に3月も(ガイダンス)効果が目一杯効いたということで、結果、もっと良かったということだったと思います。

今回は初動を踏まえて、どの辺まで効果が続くという前提でご計画を立てられているのか。そのあたりの感触を教えていただければと思います。

植村:旧正月のずれの影響は当然ありますので、アップデートが遅くなっていると。そういった意味では、3月いっぱいは持つというふうな影響があるというようなかたちで見込んでいます。

Q2に関しては、とくに数字は出せないですけれども、そういった意味では多少Q2にずれる可能性もあると思います。

e-Sportsの将来性について

質問者6:2点目がちょっと大きめの話になっちゃうんですけれども、e-Sportsの御社への影響というか、もしくはお取り組みに関して、ぜひオーウェンさんにコメントいただきたいと思います。今だとPUBGとか、かなりはやっているゲームが出てきていたりする中で、これは機会でもあり競争でもあるということだと思います。

そもそもe-Sportsのビジネス機会を、御社としてどう捉えていらっしゃるか。コメントいただけますでしょうか?

マホニー:非常に大きなトピックだと思います。シンプルにお答えしたいと思うのですが、まず全般として、ちょっと馬鹿げていると思われるかもしれませんが、私たちの業界というのは、それぞれのトピックにあまりにも固執してしまうことがあると思います。

基本的に、全体の業界としては大きなインパクトではない。例えばFacebookが数年で終わるかとか、Facebookの戦略はどうかとか。そのような質問が以前はIPOのときに出たわけです。

そのときも「Facebookの戦略というのはない」「Facebookというのはプラットフォームとしてひどい」というふうに、そのときも言ったわけです。それは本当にそうなったわけです。

e-Sportsについては、同じことは言いません。これはおもしろいと思います。私自身もe-Sportsゲームを見ています。でも、少し気づいていないポイントというのは、これはもう主にPC環境だということです。コンソールとかモバイルではない。少なくとも今はそうです。近い将来もそうです。いろんな理由があると思うのですが。

ですから、いろいろとe-Sportsが話題になっていますけれども、日本というのはPC中心のマーケットではないので、どうしてかなという気がしています。

スポーツビジネスの変遷

2つ目として、例えば1つとか2つの大きなゲームをe-Sportsの分野で見ると、例えば『League of Legends』や『オーバーウォッチ』があると思います。

『League of Legends』や『オーバーウォッチ』を見ると、多くの企業にとって、例えばカリフォルニアではベンチャーキャピタルがあって、非常になかなか苦しんでいるところもあると思います。

あと国際的に見ても、日本はそうかもしれないんですけど、北米でいろいろなe-Sportsの話題になっているのは、従来型のスポーツのフランチャイズのオーナーや他のインフラがとても関心を持っているわけです。

スポーツが衰退してきているということで、例えば、野球も少し前からそうですね。あと最近ではNFLもそうです。やはり見る人の数というのが、私の理解ではかなり下がってきているわけです。

ですからチームオーナーとかエージェントとか、関連している人たちというのは、将来を見ると、「これはなくなるから、何か新しいことを考えなきゃいけない」。

そうすると、新しいゲームがe-Sportsをプッシュしているから、「e-Sportsを買わなきゃ」というようなことになるわけです。それが文字通り起こっているわけです。いろんな理由があると思いますが、どうしてe-Sportsが話題になっているか。一部は現実的であり、そうでないものもあると思います。こういったことが今起こっています。

もちろん、より幅広い「ゲームの見方」のディスカッションもあります。私には12歳と14歳の2人息子がいるのですけれども、ゲームをしているのを見るのが大好きです。e-Sportsだったり、スポーツでなかったりしますが、2人がソファに座ってジョークを言って、ゲームをやっていると。(Nintendo)Switchについても、それを見るのはおもしろいわけです。

ですからゲームをやる人。またはゲームを見る人。このような業界については、いくつかディスカッションがありますけれども、すごくゲームがうまい人を見て、それにコメントをするとか。そして見ている人の間でコメントをするというのもおもしろいわけです。これについては、私は非常にエキサイティングだと考えています。

e-Sportsであったりスポーツ、例えば韓国の10年前に『スタークラフト』がありましたけれども、実際のビジネスにするにはいろんなものが揃わないといけないわけです。かなりの投資が必要になります。ですから、予測をすることはできないのですけれども、ちょっと慎重に見ています。

ネクソンに関しては、「Nexon Arena」が韓国にあります。550人くらいが入れます。だいたい300くらいのイベントを年間にやっています。ぜひみなさん見ていただきたいのですけれども、カンナム(江南)の中心、いわゆるナイトライフの中心地にあるので、とても楽しいです。ライブでゲームをしている人たちを見ることができる。

こういったe-Sportsというのは、プレイヤー(ゲーマー)が(将来)どうなるかを決めていくということです。会社ではありません。これまでいろんな例があったわけです。

「これがe-Sportsゲームだ」と。しかし、それでうまくいかないことがあったわけです。ですからゲームを見ると、やはりプレイヤーが何をやっているか(が大事です)。それを例えばライブでブロードキャストするとか。

このe-Sportsの将来についてはいろいろなコメントがあると思います。役に立つかどうかはわかりませんが、トピックとしてはこれからも見守る必要があると思います。

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