2018年2月9日に開催された、株式会社アーバネットコーポレーション2018年6月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:株式会社アーバネットコーポレーション 代表取締役社長 服部信治 氏

2018年6月期第2四半期決算説明会

服部信治氏:ただいまご紹介いただきました、アーバネットコーポレーションの服部です。

本日はお忙しい中、弊社の2018年6月期第2四半期決算説明会にご出席賜りまして、誠にありがとうございます。

会社概要

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それでは、会社の概要からご説明申し上げます。弊社の設立は1997年で、(現在)20年を過ぎたところです。資本金が約16億8,000万円です。

主な事業内容ですけれども、投資用ワンルームマンションの開発、1棟での販売、また、コンパクトマンション、ファミリーマンションの開発・分譲事業です。

従業員数ですが、監査役・社内取締役・子会社等をすべて入れまして、52名ということで、少数精鋭で運営しています。

決算期は、6月末です。本社は、千代田区神田駿河台にあります。

自社のブランドですけれども、主力であります、投資用ワンルームマンションについては「アジールコート」、コンパクトマンションについては「アジールコフレ」、ファミリーマンションは「グランアジール」、そして、戸建事業は「アジールヴィラ」というブランドで展開しています。

首都圏におけるマンション業界の現況

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首都圏におけるマンション業界の現況について、ご説明申し上げます。

(開発環境は)ホテル需要が旺盛な都心商業地の高値が続いています。都心3区が牽引していまして、都心部は高止まりしているという状況です。商業地の基準地価は、いわゆる旺盛な不動産事業が地価を押し上げて、5年連続で上昇しています。また、都心の住宅地についても、4年連続で小幅上昇が続いています。

しかしながら、埼玉・千葉については(地価は)横ばい、神奈川・茨城については若干下落という状況になっています。

工事関係では、オリンピックの関連工事が本格的にはじまりました。

また、職人が高齢化しているということもありますけれども、慢性的な職人不足が現状でして、これはしばらく続くだろうと考えています。

続きまして、販売環境です。分譲のファミリーマンションは、昨年7月〜12月の販売戸数、あるいは同時期の在庫戸数は、前年とほぼ変わらないという状況です。

成約率については、68.6パーセントということで、前年同期比0.5ポイント減となっていますが、逆に、23区内は3.7ポイント増となっています。こちらでは、都心が好調で、郊外が少し悪いという、いわゆる二極化の現象が明確に出ているわけです。

戸当たりの単価ですけれども、1戸当たり平均で言いますと、5,900万円ということで、これも前年同期に比べると10パーセント強上がっています。

投資用のワンルームマンションですけれども、都心の地価高騰による物件・土地の取得がなかなか難しいということもありまして、供給が不足気味です。

しかしながら、売れ行きは非常にいいということでして、年金不安を抱えた若年層や、あるいは、相続税対策ということで、富裕層の方の需要が堅調であるということです。

なかなか土地が買えなくて開発ができない(一方で)、売れ行きはいいということで、業界では品不足という状況が続いています。

決算ハイライト(連結)

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続きまして、決算のハイライト(連結)です。

売上高に関しまして、販売戸数は微増ですが、大型物件の事業用地の転売が、今期はありませんでした。そのため、前年同期に比べ、17.4パーセント減少しています。

開発販売は、戸数が前年同期比で10戸増の295戸となったものの、エンド向けの1棟売却がなかったため、平均単価が下がったことにより、前年同期比(の売上は)4億7,400万円減となりました。また、前年同期にあった土地転売もなかったということもありまして、仕入・販売を含めた合計で、(売上高は)前年同期を17.4パーセント下回る、88億3,400万円となりました。

営業利益は、販管費は減りましたが、売上高・利益率の低下の影響が大きく、前年同期比で30.8パーセント減となりました。

経常利益は、営業外費用の減がありましたけれども、営業利益そのものの減益影響が大きく、前年同期比で32.3パーセント減となりました。

四半期業績の推移

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四半期業績の推移です。通期予想に対する進捗率は、売上高・各利益とも50パーセントを超えています。

年度予想については、今のところ変更はありません。

貸借対照表

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貸借対照表です。総資産は、棚卸資産やホテル・収益物件の取得によりまして、対前期末比25億1,700万円の増の、260億7,700万円となったところです。

流動資産は、現預金の1億8,800万円の減があったものの、棚卸資産の14億3,400万円の増などによりまして、対前期末比で14億5,000万円増の、211億5,900万円となりました。

固定資産は、ホテル・収益物件の取得等により、対前期末比で10億6,700万円増の、49億1,700万円となりました。この結果、総資産は260億7,700万円となりました。

負債は、棚卸資産の増加にともなう長短期借入金の増の19億7,800万円、着工時の建築費計上等による買掛金の増の3億9,900万円、法人税等の納付による未払法人税等の減の1億円などによりまして、前期末に比べ20億4,500万円増の、186億8,400万円となりました。

現預金は、法人税や配当金の支払もありまして、前期比で1億8,800万円減の39億2,400万円となりました。

株主資本は、四半期純利益による7億5,800万円の増加、ストック・オプションの行使による1,700万円の増加があったものの、配当金の支払による3億100万円の減少によりまして、4億7,400万円の増加にとどまっています。

キャッシュ・フロー計算書

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キャッシュ・フロー計算書です。営業活動のキャッシュ・フローの増加要因としては、税金等調整前四半期純利益が11億500万円、仕入債務の増加が3億9,900万円、減価償却費が5,700万円です。減少要因としては、棚卸資産の増加が14億3,400万円、リース投資資産の増が3億5,700万円、法人税等の支払で4億2,100万円、前受金の減・その他で3億5,200万円となっています。

投資活動のキャッシュ・フローの減少要因としては、収益物件等の取得によるものであります。

財務活動のキャッシュ・フローの増加要因としては、短期借入金の増で3億7,000万円、長期借入金の調達で47億3,300万円です。減少要因としては、長期借入金の返済で31億2,400万円、配当金の支払額で3億円となっています。

物件の現況

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続きまして、物件の概要です。今走っています、今期2018年6月期ですが、579戸の(契約)予定を立てています。自社開発用地の取得分が574戸、買取再販が5物件です。

表(の1行目)にあります、「アジールコフレ中野坂上」は、いわゆる分譲用のファミリーマンションです。一部北側の部分に投資用マンションを埋め込んだ、特殊なマンションでして、これはすべて販売・売却済です。

(表の2行目の)「LOVIE麻布十番」から(表の11行目の)「西馬込VPJ」までが、投資用のワンルームマンションです。LOVIE麻布十番と(表の8行目の)「LOVIE銀座東」は、いわゆる投資会社に販売したもので、その他の物件はすべてワンルーム販売会社への卸売となっています。

(表の)下から5番目にある「アジールデューク目黒」は分譲のテラスハウスで、今まさに販売中です。(その下の)「アジールデューク落合」については、今工事中です。(その下の)「アジールメゾンド方南町」は、いわゆるアパートですが、1棟での販売が終了しています。

(表の下部2行の)「鷺沼PJ」は、A・Bともにアパートで、今工事中です。買取再販を、今年は5物件行うということで、今のところ2物件が売れており、他の物件は販売中です。

欄外にありますけれども、来期の第22期(2019年6月期)ですが、自社開発用地の取得済が644戸あります。その内訳は、投資用ワンルームマンションが12棟・633戸、アパートが1棟・11戸という内訳になっています。

この644戸のうち、実はもうすでに売買契約済、あるいは契約見込が599戸ということで、ほぼ終わっています。残りは、わずか45戸ぐらいでしょうか。これを売り切るということとプラスで、これに上乗せをしていきたいと考えている次第です。

再来期である2020年6月期(第23期)については、すでに683戸分の自社開発用地の取得が終了しています。

こちらについては、高い物件は無理ですけれども、12〜13階建ての物件までは、今年(2018年)の5、6月までに取得すれば、再来期の第23期に計上することができます。すでに1月(の時点)で、この戸数(の契約が)終わりましたので、700戸、800戸、あるいは900戸も狙っていこうかと考えている次第です。

開発物件のご紹介

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続きまして、開発物件のご紹介です。パース図が付いていますので、後ほどご覧いただきたいと思います。

2018年6月期 通期業績予想

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通期業績予想です。第2四半期では、売上高が計画を下回っていますけれども、通期予想については変更はありません。

首都圏におけるマンション業界の今後の展望

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続きまして、首都圏におけるマンション業界の今後の展望です。

開発環境ですが、地政学的なリスクは拭いきれませんけれども、開発・建設投資の歩調は変わりません。とくに、ホテル業界の土地取得意欲は、都心だけではなくインバウンド効果の及ぶ地方にも、波及しているところです。

北朝鮮の脅威に対する懸念は払拭されていませんが、それ以外の地政学的リスクは少なく、国内の政治的混乱も大きなものは考えられないことから、環境に大きな変化は見られないものと考えています。

(開発環境の3つ目に)「城東・城北地域の利便性・資産性が見直され、開発が加速している」と書いています。神奈川・埼玉・千葉に比べて(東京都)23区は資産性が高いこと、ターミナル駅の周辺では賃貸需要も旺盛だということもあります。

そのような中で、いわゆる城東・城北地域については、都心に近いわりには土地代がまだまだ上がっていないこともあり、値頃感があるということで、魅力的な状況になっているわけです。

続いて、販売環境です。分譲マンションですけれども、2017年の3万6,000戸から、2018年は3万8,000戸に増加したわけですが、これから消費税の増税が、来年(2018年)の10月の予定になっています。それに対する駆け込み需要が、この春から来年の春までにあるのではないかということです。

その影響がどの程度のものになるかは、なかなか予想がつかないわけですけれども、かなりの量が出る可能性は、あると考えています。

投資用ワンルームマンションの環境ですが、地価高騰・ホテル業界との取得競争で供給不足(傾向が続きます)。先ほどもお話ししたとおり、なかなか事業の開発がしづらい状況は、続いていくであろうと考えています。

また、賃料については、大幅な上昇は見込めないかと思いますが、最近は賃貸が少し上がってきています。これは、やっぱり供給不足が影響しているのかもしれませんが、少し上がりつつあるという状況です。しかしながら、賃料については、大きな変動はないというところです。

いずれにしても、先ほど言いました年金不安のある若年層、あるいは富裕層の相続税対策という意味では、今後も取得の勢いは変わらないのではないかと予想を立てています。

首都圏地域別マンション供給動向

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次のページですけれども、首都圏の(地域別)マンションの供給戸数の動向を、グラフで表示しています。

当社の特徴

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続きまして、当社の特徴です。

「設計会社をルーツとするマンションデベロッパー」ということです。設計を内製化していまして、情報を取り入れて、いち早くプランを出して、業者さまに回答するということを続けています。そのような意味では、事業用地の取得が厳しい環境の中でも、比較的順調に物件の取得ができているのではないかと思っている次第です。

マンションの開発地域については、非常に苦しい状況でありますが、とにかく都心の駅から(徒歩)10分以内ということを崩さずに、がんばっていこうというところで、やっています。

もう1つ(の特徴)としては、「徹底したアウトソーシングによる少数精鋭の組織体制」です。先ほども言いましたが、契約社員・社外の取締役等も入れまして、連結社員数は52名です。いわゆる一般社員数としては41名で、一人当たり(の連結売上高)は、前期末の決算では、平均で約4億円を売り上げていますし、また(一人当たりの)当期純利益は、約3,500万円を上げているところです。

ものづくりへの「5つ」のこだわり - ①

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続きまして、ものづくりへのこだわりです。

5つのこだわりを持っていまして、1つ目は、「モノトーンでインパクトのある外観」というかたちです。(これにこだわって)常にものづくりをしています。

ものづくりへの「5つ」のこだわり - ②

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2つ目は、ユーザーニーズをしっかり掴まえたいということで、アンケート調査を定期的に実施して、ものづくりに活かしています。

ものづくりへの「5つ」のこだわり - ③

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そのアンケート調査の結果、マンションに住む方の多くには、さまざまな要望があります。一番大きな要望は、「収納スペースがほしい」という状況です。(そこで、こだわりの3つ目は)当社は同じ面積、(例えば)25平方メートルのワンルームでも、他社あるいは当社が10年前に作っていたような25平方メートル(の部屋)に比べると、約800個から1,200個分に、収納量を増やしています。床面積を変えずに(収納量を)増やしているというところが特徴です。

ものづくりへの「5つ」のこだわり - ④

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こだわりの4つ目ですが、「自社開発までするこだわりのファシリティ」ということで、「ユノバース」という、当社オリジナルの単身者用のお風呂です。足を伸ばしてゆっくりと入れるお風呂を開発して、当社のワンルームにはすべて設置しています。

ものづくりへの「5つ」のこだわり - ⑤

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こだわりの5つ目ですが、「アートのある居住空間」というかたちで、玄関ホールをミニ美術館のようにする作り込みを、常に行っています。

CSR活動

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すべての物件で(アートのある空間の作り込みを)行っていまして、この活動をいわゆる立体アートを学ぶ学生さんに知っていただきたいということで、CSR活動として「アート・ミーツ・アーキテクチャー・コンペティション(AAC)」という、彫刻のコンペを開催しています。

これは、毎年10月・11月ごろに完成する当社のマンションの1つの、玄関ホールに飾る彫刻を全国の学生から募集します。最優秀賞には、100万円の賞金・奨学金を差し上げて、その作品を玄関に永久展示するという活動です。こちらを(2001年から)17年続けていまして、今年で18年目になります。実はこの活動が昨年、ここに書いていますが、メセナアワード2017で優秀賞をいただきまして、当社にとっては非常に励みになる賞をいただいたと考えている次第です。

損益計算書

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続きまして、28ページに損益計算書を掲載しています。

貸借対照表

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29ページには、貸借対照表が載っていますが、後ほどご覧いただければと思います。

株主優待制度の導入について

最後になりましたけれども、昨日(2018年2月8日)発表しました株主優待制度の導入につきまして、簡単にご説明を申し上げます。

当社は、株主のみなさまの日頃のご支援に感謝するとともに、当社の株式への投資の魅了を高め、長期的に保有していただける株主さまの増加を図ることを目的として、株主優待制度の導入に踏み切りました。

株主優待制度につきましては、株主総会・個人投資家説明会等の際に、株主さまからお問い合わせ・ご要望等が出ていましたので、以前より慎重に検討を重ねてまいりました。株主さまへは、配当と企業価値の向上について、株価で応えることではありますけれども、株主優待制度は、その一助になるものと考えています。

株主優待制度導入の株式は、株式のいわゆる売買高が増加し、流動性が高まることから、機関投資家の誘引になるものと期待しているところです。当社では、これまで定時株主総会にご出席された株主さまに、ささやかではありますが、感謝の気持ちを込めた品物をお渡ししていましたけれども、株主優待制度導入を機に、手土産を廃止いたします。

これまで、遠方の方や、いわゆる(株主総会の日に)所用のある方・ご出席が叶わなかった株主さまへも、(手土産ではなく)優待制度であれば、多くの株主さまに当社の感謝の意を公平にお届けできるものと考え、今回の導入に踏み切った次第です。

今後とも企業価値を高めるために、社員一丸となってがんばる所存ですので、変わらぬご支援・ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。

以上をもちまして、本日の説明を終了いたします。ありがとうございました。

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