2018年2月8日に行われた、株式会社ニコン2018年3月期第3四半期決算説明会の内容を書き起こしでお届けします。IR資料

スピーカー:株式会社ニコン 代表取締役 社長執行役員 牛田一雄 氏
株式会社ニコン 代表取締役 副社長執行役員 CEO 岡昌志 氏

2018年3月期 Q3ポイント

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岡昌志氏(以下、岡):本日は株式会社ニコンの決算説明会にお集まりいただきまして誠にありがとうございます。副社長CFOの岡でございます。

本日のアジェンダは2018年3月期第3四半期の決算報告と通期見とおしであります。

まず第3四半期業績のポイントをご説明します。

第3四半期の実績につきましては、前年同期比売上収益は11パーセントの減収。営業利益は270億円の改善。当期利益も163億円の改善となりました。

映像事業は市場の縮小が続く中、高付加価値製品への注力が奏功し、大幅に収益性が改善しました。精機事業はFPD半導体露光装置の販売台数は減少しましたが、半導体装置事業における収益重視の事業運営への転換が順調に進み、営業利益が大幅に改善しました。

第1四半期からの累計では、前年同期比で売上収益が7パーセントの減収。営業利益は124パーセントの増益。当期利益は57パーセントの増益となりました。

累計値で見ても、FPD事業の減益を上回る増益を映像事業および半導体装置事業で達成することができました。

2018年3月期 Q3:連結売上収益・損益

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続きまして、第3四半期の業績についてご説明します。

全社の連結売上収益損益については、黄色い線で囲った列をご覧ください。右側に前年同期比を示しております。

売上収益は1,968億円と前年比255億円の減収。営業利益は184億円と対前年比で270億円の増益となりました。当期利益は84億円と163億円の増益でした。

為替レートの業績への影響は対前年比でドル、ユーロともに円安となり、売上収益は前年比で87億円のプラス影響。営業利益は前年比16億円のプラス影響でした。

2018年3月期 Q3:セグメント別業績

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続きまして、第3四半期のセグメント別の業績です。

事業別の詳細は次ページ以降でご説明しますが、映像事業と精機事業の営業損益は前年実績を大きく上回っております。

2018年3月期 Q1-Q3:連結売上収益・損益

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次に第1四半期から第3四半期までの累計額をご説明します。

売上収益は前年比409億円減収の5,252億円。営業利益は229億円増益の414億円でした。

フリー・キャッシュ・フローは692億円と前年比178億円の増加となりました。増益による営業キャッシュ・フローのプラス影響および精機事業での前受金の増加が主な要員です。

為替レートの業績に与える影響は、第1四半期からの累計では、売上収益は前年比で199億円のプラス影響。営業利益は前年比47億円のプラス影響でした。

2018年3月期 Q1-Q3:セグメント別業績

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続きまして、第3四半期累計のセグメント別の業績です。

事業別の詳細は次ページ以降でご説明しますが、売上収益は映像事業、精機事業で減収。営業利益はヘルスケア事業を除き、前年実績を上回っております。

2018年3月期 Q3:映像事業

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映像事業です。

第3四半期の売上収益は前年比65億円の減収。第1四半期からの累計では、96億円の減収でした。一方、第3四半期の営業利益は、前年比79億円の増益と倍増し、第1四半期からの累計でも85億円の増益となりました。

レンズ交換式カメラ、交換レンズ、コンパクトデジタルカメラの全カテゴリーで前年比台数減少となりましたが、高付加価値製品へのシフトを進めた結果、平均単価は上昇し、営業利益が大幅に前年を上回りました。

なお9月に発売しました高精細な描写と高速レンズ撮影を両立させたデジタル一眼レフカメラ「D850」が世界各国で大変好評を博し、同時に販売経費も大きく減少したため、計画を上回る利益を上げることができました。

2018年3月期 Q3:精機事業

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次は精機事業です。

精機事業の第3四半期の売上収益は前年比243億円の減収。第1四半期からの累計でも416億円の減少でした。半導体露光装置の新品とFPD露光装置の6世代の販売が大幅に減少したことが主な要因です。

一方営業利益、第3四半期は前年比190億円の増益。第1四半期からの累計でも前年比140億円の増益となりました。半導体装置事業は構造改革効果による固定費削減効果と、サービス収益の増加により、収益は当初計画を上回って推移しております。

なお、計画しておりましたFPD露光装置の10.5世代の初号機は予定どおり中国のお客さまへ販売しました。

2018年3月期 Q3:ヘルスケア事業

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次にヘルスケア事業です。

第3四半期の売上収益は前年比8億円の増収。第1四半期からの累計でも20億円の増収でもした。眼科診断分野は世界各地域で前年比増収となりました。一方、バイオサイエンス分野では生物顕微鏡が政府予算執行遅延の影響を受け、前年並みの売上収益に留まりました。

営業利益は眼科診断、バイオサイエンスの両分野ともに先行投資の増加により、前年比で第3四半期は3億円減益。第1四半期からの累計では18億円の減益となりました。

2018年3月期 Q3:産業機器・その他

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産業機器・その他です。

第3四半期の売上収益は、前年比46億円の増収。第1四半期からの累計でも84億円の増収でした。産業機器事業は、半導体・電子部品・自動車関連の需要の活況を受け、 画像測定システムを中心に堅調に推移しました。営業利益は前年比、第3四半期では6億円の増益。第1四半期からの累計では9億円の増益となりました。

2018年3月期 通期見通し:ポイント

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次に2018年度3月期通期見通しについてお話します。

まずポイントです。

映像事業での「D850」の好調な販売を受けて、売上収益が計画費を上振れたこと、為替レートの見通しを1ユーロ130円に変更したことにより、全社売上収益を100億円上方修正しました。

2016年11月以降の一連の構造改革により、約300億円の固定費を削減した結果、収益性が改善しております。

全社営業利益の見通しは80億円上方修正し530億円とします。構造改革費用を除きますと、営業利益は620億円となる見通しです。

なお昨年の10月に発表した中国工場の閉鎖は、その後計画どおりに進捗しております。精機事業は半導体装置事業におけるサービス収益の改善と原価低減が進んだことにより、20億円の上方修正となります。

なお、本日公表しましたが、産業機器事業は構造改革の一環として、製品ごとの収益性を見直した結果、接触型の三次元測定機事業の売却を決定しました。

産業機器・その他では、これにともない30億円の一時費用が発生しますが、来期以降通期で約10億円の固定費削減効果を見込んでおります。

構造改革による収益構造の改善に加え、資本効率重視の経営への転換。ポートフォリオ経営の投入など、企業価値向上に向けた経営基盤強化を着実に進めております。

当期利益の見通しは、300億円で据え置きます。産業機器・その他の構造改革関連費用40億円に加え、米国およびベルギーにおける税制改革法の成立により、繰延税金資産を再評価した結果、税金費用が約30億円増加する見込みですが、本業の増益により、これらの影響を相殺できる見通しです。

当期利益の通期見とおしに関しましては、その内訳につき、参考データの22ページをご参照ください。

2018年3月期 通期見通し:連結売上収益・損益

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それでは具体的な数値について、ご説明します。

まずは全社の通期見通しです。黄色い線で囲った箇所が今回予想です。第4四半期の為替の前提レートは、ユーロを1ユーロ120円から130円に変更します。

為替レートの通期に与える影響は、前年同期比で売上収益が195億円。営業利益が55億円です。今期年間配当金につきましては、配当性向および40パーセント以上の利益配分方針に基づき、期末配当を17円とし、年間配当金31円を予定しております。

フリー・キャッシュ・フローの通期の見通しは、前回予想の250億円から600億円に引き上げます。精機事業での前受金の増加が主な要因です。

2018年3月期 通期見通し:セグメント別業績

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次にセグメント別の業績見通しです。各事業別の業績見とおしの前提につきましては、次のページ以降でご説明します。

2018年3月期 通期見通し:映像事業

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まず映像事業です。

映像事業の売上収益は為替の影響などにより、通期見とおしを120億円上方修正し、3,670億円とします。「D850」の好調な販売により、北米ではフルサイズセンサー機では年末に数量、金額ともにトップシェアとなりました。

営業利益は前年比で169億円、前回予想比では90億円増益の340億円を見込んでおります。

中国工場の操業停止にともなう構造改革関連費用60億円を除きますと、営業利益400億円となる見込みであります。

市場規模については、レンズ交換式カメラ1,100万台。交換レンズ1,800万本。コンパクトカメラ1,140万台の見通しを据え置きます。

当社の販売台数につきましては、好調な販売実績を踏まえ、交換レンズのみ400万本の見通しと、10万本上方修正します。

2018年3月期 通期見通し:精機事業

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次に精機事業です。

通期売上収益見とおしを前年比で220億円の減収。前回予想比では10億円上方修正し、2,260億円とします。通期では半導体露光装置の新品17台、中古品12台、FPD半導体露光装置販売台数68台の見通しに変更はありません。

上方修正は主に半導体装置事業のサービス収益が計画を上回って、推移しているためです。営業利益見とおしは、前年比で356億円。前回予想比では20億円増益の490億円に上方修正します。

FPD装置の販売台数が92台から68台に減少するため、減益となりますが、一方で半導体装置事業の構造改革効果により、収益性が大幅に改善し、計画を上回る黒字額を確保できる見通しです。

2018年3月期 通期見通し:ヘルスケア事業

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次にヘルスケア事業です。

売上収益は前年比13億円の増収。前回予想比で30億円の下方修正とし、通期売上見とおしを570億円とします。下方修正の主な理由は、バイオサイエンス分野において、生物顕微鏡の販売が政府関連予算執行の遅れの影響を受けているためです。

営業利益は前回予想である40億円の赤字を据え置きます。バイオサイエンス分野の見通しが計画を下回るものの、眼科診断分野での開発投資が一部来期にシフトする見込みのため、営業利益は前回予想レベルを維持します。

ヘルスケア事業は、長期的視点で利益成長の可能性を慎重に見極めながら、事業育成を継続していく方針です。

2018年3月期 通期見通し:産業機器・その他

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次に産業機器・その他です。

売上収益は700億円を据え置きますが、営業利益は産業機器事業の一部事業譲渡にともなう一時費用等の影響で30億円下方修正します。

産業機器事業は、ポートフォリオ経営の一環として注力する製品の選択と集中を進めており、競争優位性がないと判断した接触型の三次元測定機事業の売却を決断しました。

今後は、大型のX線検査装置や非接触型の三次元測定機などに注力することで、収益性を高めてまいります。今期営業利益は構造改革関連費用控除前では50億円となり、前回予想どおりとなります。

私からの説明は以上となります。ご静聴ありがとうございました。

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