窪田製薬HD、17年は共同開発契約終了で事業収益の計上なし 糖尿病網膜症治療薬など自社研究加速

2018年2月21日に行われた、窪田製薬ホールディングス株式会社2017年12月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料

スピーカー:窪田製薬ホールディングス株式会社 会長、社長兼最高経営責任者 窪田良 氏
窪田製薬ホールディングス株式会社 最高財務責任者 ジョン・ゲブハート 氏

窪田製薬グループのビジョン

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窪田良氏:みなさん、こんにちは。本日は、窪田製薬ホールディングス2017年12月期の決算説明会に、お忙しい中ご参加いただきまして、誠にありがとうございます。それでは、本日の説明会を始めたいと思います。

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我々の開発戦略です。

我々は、世界中で眼科疾患に悩むみなさまの視力維持と回復に貢献すること、眼を守ってみなさまの幸せを守ることをモットーに会社運営をしています。

特徴といたしましては、最先端科学の力を利用して、現在有効な治療法がない疾患に対して新薬を開発していく、あるいは、社会貢献もともにしていく、新しいイノベーションを生み出す、そういう会社の方針でやっていくというビジョンです。

窪田製薬グループの強み

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我々の強みです。

拠点を米国に置いていることから、多種多様な人材を確保して、イノベーションが起こる環境を会社の中に構築しているのが人材面での特徴です。

開発戦略としては、なるべく低コストで端的に成果が出るプロジェクトを中心に、なるべく早く、1つでも製品が世の中に出ていくことを重視した「Quick Win-Fast Fail」という開発の戦略を立てていることです。

あとは自社技術とパートナーシップです。自社の中の研究所およびケミストリー、バイオロジーなど、いろいろなチームを社内に持っている研究開発の強みと、外部の知的財産の導入の、両方のバランスで新しい科学イノベーションを生み出して、先ほどの戦略に基づいた新しいソリューションを見つけだしていくのが我々の強みです。

失明の主要原因

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ご存知のように、日本・米国・欧州では、失明疾患の上位疾患が若干異なります。

米国・欧州では加齢黄斑変性が失明の原因の第1位ですけれども、日本では緑内障が第1位であるというように、いろいろな疾患が失明疾患ではあるわけです。我々はこの中の網膜の疾患により重点を置いて、現在は開発を進めているということです。

世界で3,300万人の方が失明しているということですので、我々はそれを食い止めたいということです。

世界市場規模

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市場規模です。

お示ししておりますように、2兆円の市場規模になるということで、6.7パーセントの成長を遂げているということです。医薬品のセクターの中では、成長が著しい分野であることがご理解いただけると思います。

窪田製薬グループの事業フォーカス

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我々の事業フォーカスです。

開発は、探索研究から最終的な上市に至るまでに、いくつかの研究段階があります。

我々が今フォーカスしておりますのは、トランスレーショナル研究です。大規模臨床試験と探索研究の間にある、ヒトで、動物で出た成果のプルーフ・オブ・コンセプトを取って価値を最大化させる部分に、我々は特化しているということです。

アメリカでは探索研究にNIH(アメリカ国立衛生研究所)を中心として3兆円ほどのお金が流れており、後期の臨床試験に関しては大手製薬会社を中心に6兆円以上のお金が流れています。

その間のトランスレーショナルメディスンの部分は、それほど多くの会社やアメリカ政府が力を入れてる場所ではないので、そこがバイオベンチャーの力の見せどころということで、そこに特化しているということです。

開発品パイプライン

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我々の開発品のパイプラインは通常通りです。

エミクススタト塩酸塩のフラグシップを基に、低分子化合物であったり遺伝子治療であったりデバイスであったり、開発確率の高いものから、よりリスクは大きいけれどもアップサイドが大きいものまで、バランスのとれたポートフォリオを持つことが、製薬会社として成功する非常に重要な要素だと思っております。

したがって、このようなポートフォリオを組んでいます。

糖尿病網膜症:進行段階と現治療法

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我々のフラグシップである、エミクススタト塩酸塩についてお話をします。

糖尿病網膜症に対して現在開発をしています。世界で1億人以上が患う疾患で、糖尿病の合併症の中で一番多いのが糖尿病網膜症です。

糖尿病というのは、血管が塞がって徐々に循環障害を起こし、最終的には脳梗塞・心筋梗塞という大きい血管が詰まって死に至る病気です。

体の中でもっとも細い血管が、網膜にある血管ですので、そういった意味では、まず最初に詰まって目に症状が出て失明に至るということです。非常に重篤な眼科領域の失明疾患として知られております。

現在は、レーザーで治療をしたり、手術をしたり、一部注射で治療は行われておりますけれども、なかなかやはり満足に治療されている状況ではないと我々は考えております。より侵襲度の低い飲み薬で治療できないかと、エミクススタト塩酸塩を糖尿病性網膜症に開発しています。

いったいどのように効果があるかということでありますけれども、経口投与によって網膜の中のエネルギー消費を抑えてあげます。血管が詰まってしまったのであれば、その足りなくなった血流に合わせて細胞の消費エネルギーを抑えてあげれば、それでも細胞は死なずに済むということです。

血流や酸素がうまく運ばれてこないにも関わらずフルスピードで網膜が動こうとすると、そこで不協和音が生じて網膜が死んでしまうということです。

現在行われている治療法は、網膜を光凝固で焼いて間引いて不可逆的に網膜を死滅させることによって、詰まった血管の足りない血流に合わせるという治療ですが、非常に侵襲度が高いものです。

網膜を焼いてしまうということですから、一部、視野欠損が起きてしまうわけです。我々は、それを飲み薬で、可逆的に網膜のエネルギーレベルを落として、それで糖尿病性網膜症の治療効果を上げることを目指しているわけです。

増殖糖尿病網膜症:臨床第2相試験完了

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現在、第2相の試験のスタディが終わった段階で、データ解析を進めている状態です。データの結果次第で、今後どのようにやっていくかということです。

糖尿病性網膜症などの患者数の多い疾患は、大規模臨床試験を最終的にやらなければいけません。そのようなことをやるという決断をするには、やはりパートナーが必要だと考えているので、今後のデータをもとに、パートナーが見つかるかどうかで、開発を進めるかを考えるということです。

このように、糖尿病性網膜症も急成長しているマーケットであることが知られております。

スターガルト病

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同じエミクススタト塩酸塩ですが、今度はスターガルト病に対する開発であります。

こちらは糖尿病性網膜症と違って、希少疾患です。日本では2万人以下、アメリカでは20万人以下の疾患を希少疾患と言います。スターガルト病は、全世界で15万人弱が罹患している希少疾患です。

この希少疾患の特徴は、大規模臨床試験を実施しなくても、より小規模な臨床試験で薬剤の認可が可能であるということです。我々のようなベンチャー企業であってもレジストレーションを捉える、あるいは承認に必要な試験を実施することができるということで、我々が今これにフォーカスをしている要因です。

これはABCA4遺伝子の異常で起こってくる病気です。我々は今まで前臨床試験で、まさに同じ遺伝子が障害される動物モデルで薬効を示しております。そういった意味では、もっとも科学的な蓋然性が高い疾患であると考えております。

ご存知のように、癌でもあるいは糖尿病性網膜症でも加齢黄斑変性でも、まず動物で有効性を確かめて、それで人で試すわけです。問題になるのは、動物でなかなかいいモデルがないことです。人間と同じ病態を再現しきれていないということで、いかに動物に効果が示されてもヒトで再現されないことが、いずれの製薬会社も直面している大きな課題です。

このスターガルト病は、マウスもヒトも、まったく同じ遺伝子異常を持っている単一遺伝子疾患であるという意味で、動物モデルで起こった現象がヒトで再現されやすいものです。

加齢黄斑変性などは、ヒトの場合は煙草やいろいろな化学物質に曝露されて何十年も経った結果、病気が起こってくるという状態の病気ですので、動物で同じようなモデルは存在しません。

だから、スターガルト病のモデルをベースに、ヒトの加齢黄斑変性も似たようなものであろうということで、我々もそうやって開発をしているわけです。

我々の加齢黄斑変性に対する試験は残念ながらうまくいかなかったことから、やはり動物モデルの効果がヒトと同じ病態を再現していなかったということが、ある意味証明されたわけですが、それに比してスターガルト病は、同じ遺伝子異常をヒトも動物も持っています。その動物のサイドで効果が示されていたということで、ヒトでより効果が出る可能性が、例えば加齢黄斑変性よりは、高いのではないかと我々は考えているわけです。

スターガルト病:エミクススタトの作用機序

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作用機序です。

ABCA4遺伝子は、網膜にたまっている毒性物質を外に汲み出す、ポンプのような遺伝子です。トランスポーター遺伝子ですけれども、その遺伝子が壊れてしまうと目の中の毒素が排出されず、目の中に溜まってきてしまって、それで細胞が死んでいくと考えられています。

我々のエミクススタト塩酸塩は、その毒素の産生を抑えるので、排水口が壊れていても産生を抑えてあげれば、目の中に(毒素が)溜まらなくなり、薬効が期待されるというわけです。

有毒なビタミンA代謝物A2Eの減少効果

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この(スライド左側の画像)明るい緑色のところが、目に毒性物質がたくさんたまった状態です。前臨床試験で、我々の化合物を投与すると、毒性物質がたまらない状態が起こっているわけです。

用量依存性に毒性物質の産生が抑えられているということがありますので(スライド右の棒グラフ)、これをヒトでも再現できれば、病気の進行を予防できるのではないかと考えているわけです。

スターガルト病:臨床第2a試験完了

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現在、臨床第2a相試験が無事終了して、非常にきちっとした薬理作用が確認できました。今後は最終試験、臨床第3相の試験を年内に開始できるよう、準備を現在進めています。FDAとも話し合いはすでに行っています。エンドポイントに関して、加齢黄斑変性のドライフォームと同じように、多角的なエンドポイントと言いますけれども、眼底の画像に伴う病態の変化で認可すると言ってくれているのは、我々にとって非常にプラスです。

今まで、この眼科領域の病気というのは、視力がどれだけ上がったかということで、認可されることが多かったわけです。しかし、実は視力というのは、その人が疲れていたり、角膜の状態、コンタクトレンズの具合などによって、目の網膜の状態に関わらず、影響を受けます。みなさんもご存知かと思いますが、「はっきり見える」「ぎりぎり見える」といったファジーな検査です。

眼底の画像解析は客観的なエンドポイントであるため、視力を使うのに比べて、より少数の患者さんで、より短期で結果が出るということがわかっています。

そういった意味では、スターガルト病に対して、まだ世の中に薬がまったくない領域の病気に対して、網膜の画像解析をもとにしたエンドポイントで認可をしますよ、ということをFDAが言っているのは、非常に大きなことです。ですから、これをもとにアメリカで開発していきたいと考えています。

できれば日本・ヨーロッパでも開発していきたいと思っていますけれども、それは今後、同じエンドポイントを認めるのか、あるいは国によってはやはり視力が必要か、当局と話し合って理解を深め、それぞれの地域で開発していきたいということです。

白内障

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続きまして、「ラノステロール類縁低分子化合物」です。

「ラノステロール類縁低分子化合物」を白内障に対して、あるいは老視に対して開発するというプロジェクトです。

白内障は目の水晶体、レンズが濁ってきてしまいます。これは簡単に言えば、卵の白身が茹でると白くなるといった状態です。

もともとは透明なものが白く濁ってしまうのは、タンパク変性でタンパクが凝固して白くなるわけですけれども、そのときに白くなるだけでなくて固くなってしまいます。生卵の白身に比べて、ゆで卵の白身は固いわけですが、それと同じように、レンズが固くなってしまうので動かなくなって、視力の調整ができなくなります。それが老眼、老視と言われているものです。

タンパク凝集を抑える化合物を開発すれば解決できるのではないかということで、今、医薬品の開発を目指しているということです。

白内障:手術から非侵襲的治療薬へ

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現在、白内障は手術で人工レンズを入れて治療しています。手術ですから、やはり必ず成功するということではありません。非常に安全な手術ではありますけれども、やはり手術は手術です。

さらに、現在はレンズ自体も、PMMA(アクリル樹脂)のプラスチックで、ハードコンタクトレンズのようなものを目に移植することで、手術を終えるわけです。しかし、(視力の)調節作用がないので単焦点レンズしか、基本的には使われていないという状況です。

できれば、生まれながら調節力のある目を回復することが理想です。我々は、その(ラノステロール類縁)低分子化合物の開発に意義があると考えて、開発を進めています。

ラノステロール類縁低分子化合物開発

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こちらに開発スケジュールがあります。

前人未到の白内障(治療薬)というものも、今までいろいろな会社が開発を行ってきましたが、なかなかうまくいっていない領域です。そういった意味では、チャレンジングなプロジェクトではありますけれども、なんとか前に進めていくということを考えています。

眼内レンズ - IOL:世界市場規模

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眼内レンズの市場、これは白内障(治療)の市場です。これも年率6.1パーセントで成長しているということです。

網膜色素変性

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続きまして、網膜色素変性症に対する遺伝子治療を行っています。

これは完全に失明してしまった方に対して、光をもたらすという意味で、私ども眼科医にとっては究極の夢です。

全く見えなくなった人を、見えるようにすることができるかもしれないということですので、非常に我々が力を入れているプロジェクトです。

網膜色素変性症は、世界中で4,000人に1人がかかると言われてる希少疾患で、約150万人の方がかかっているということです。

周辺から見えなくなっていって、最後は中心部分も消えてしまって、真っ暗闇になって視力を失う、非常に悲しい病気です。

子どものときに発症して中途失明に至る場合もありますので、なんとかそのような患者さんに対しての治療法はないかということで、我々はこの遺伝子治療を目指しています。

ただ、網膜色素変性症というのは、生まれながらにして遺伝子異常で起こる病気なのですが、100種類以上の遺伝子が原因になっていると言われています。

先ほどのスターガルト病はABCR遺伝子(の異常)たった1つですから、ABCR遺伝子に対する対処をすれば、その病気が治療される見込みがあるわけです。しかし、網膜色素変性症は100種類以上の遺伝子が原因となっているので、もし1個1個の遺伝子を遺伝子治療で治そうと思うと、100種類以上の薬を使わなければいけないということで、それは実際に行うことがほとんど不可能だと言われています。

オプトジェネティクス技術 - 遺伝子療法

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我々は「オプトジェネティクス技術」という、遺伝子の変異によらない、どのような理由で失明した方に対しても、視機能を回復することができる技術を開発しています。

ヒト型のロドプシンというものを今まで光を感じていなかったBipolar cell(双極細胞)に導入することによって、光を感じさせてあげるということです。

このオプトジェネティクスという技術は、体中のあらゆる細胞にロドプシンという光を感じる遺伝子を入れてあげることによって、光をつけたとき、その細胞がそれを感じるようになる、夢の技術と言われています。

ヒト型ロドプシンをオン型双極細胞に特異的に発現させることは、我々が唯一可能にしている、知的財産を所有している技術です。

そういった意味では、他の会社が真似できない技術を、我々は有しているということです。

こちらも現在、いくつかの会社と連携して、我々の知的財産を一緒に共有しながら、よりいい最終プロダクトを作るというコンソーシアムを組んで、そのような世界最高の遺伝子治療の技術を持った企業と組んで、前に進めているといます。

そういった意味では非常に世界的にも注目されている、まったく見えない人が見えるようになるかもしれないという技術です。

網膜色素変性:オプトジェネティクス技術開発

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失明したネズミの前にフラットパネルをおいて、そこにフクロウなどの映像を見せても、目が見えないのでまったく動きません。しかし、我々が遺伝子治療をしてあげると、そのフクロウが動いたときに逃げ回るということが確認されています。

少なくとも失明した実験動物に関しては、見えるようになっているということを確認しています。これをヒトで再現できれば、ということで、我々は開発を進めているということです。

一番最初の試験で、失明した方に、(ヒト型ロドプシンの)注射をして、このタンパク質が数日で発現するわけです。そうすれば見えたか、見えなかったかというのは、たちどころにわかります。

そういった意味ではPOC(プルーフ・オブ・コンセプト)も、実際には患者さんに投与するまでの時間はかかるのですけれども、効果があるかどうかの証明自体は非常に早くわかります。「あ、見えました」あるいは「見えません」ということですから。

それまでの準備としては、ベクターを準備したり、あるいはプロモーターを開発したりということで少し時間がかかりますけれども、臨床試験に入ったあかつきには、非常に早く効果がわかるということがありますので、我々はこのプロジェクトに非常に期待をしています。

目の健康と視力をおびやかす炎症

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続きまして、糖尿病黄斑浮腫およびウェット型の加齢黄斑変性に対する、低分子化合物の開発です。

我々が開発している化合物というのは、抗炎症作用をもつ化合物です。これは不飽和脂肪酸です。言ってみればプロスタグランジンや、あるいはアラキドン酸といったものの類縁化合物ですけれども、実は最近、こういう物質が、目の中あるいは体の中で炎症を抑える働きを、生体内で普通にしていることがわかってきました。

ステロイドのような治療薬を投与すると炎症が抑えられるということが知られていますが、どうしてそれが起こるかということは、このような生理活性物質が最終的に炎症を抑えていくと言われております。ですから、ステロイドの中の炎症を抑える作用を発揮している分子を、我々は薬剤化して開発していくことができているということです。

目の病気の中には、炎症が原因となっているものが非常にたくさんあります。前眼部であればアレルギーであるとかドライアイ、あるいは(眼内であれば)ぶどう膜炎です。後眼部であれば、先ほど申し上げました加齢黄斑変性や糖尿病性網膜症など、このように目のいろいろな部位の病気に関して炎症が関わっています。

現在のところ、(治療法として)ステロイドのような薬しかありませんけれども、ステロイドは長期投与すると非常に副作用が出ます。内服ですと糖尿病になってしまったり、骨粗鬆症になってしまったりしますし、点眼ですと白内障だったり、緑内障が発症してくることが知られております。我々はそれを、そのような副作用のないステロイドを目指して開発しているということです。

生体内物質模倣低分子化合物 - 抗炎症剤

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我々が開発している低分子化合物は、前臨床試験で血管新生も抑制することがわかっていますし、抗VEGF製剤と同等の血管漏出抑制作用が見られるのではないか、さらに、それに加えて抗炎症作用もあるということです。ですから、現在使われている抗VEGF製剤を置き換える、あるいは、それと併用で使う化合物に育っていくのではないかと考えて、開発を進めています。

生体内物質模倣低分子化合物開発

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こちらも、このようなタイムスケジュールで、最初から第2相の臨床試験、一番最初から患者さんに対して投与する臨床試験を開始していくということで、準備を進めているということでございます。

ウェット型加齢黄斑変性:世界市場規模

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ウェット型(加齢黄斑変性)の市場はすでに非常に大きな市場でありますので、成長率自体は先ほどまでにお示ししました疾患群に比べまして半分程度ではあります。けれども、絶対値が非常に大きな市場ですので、この市場を我々は確保しに行きたいということであります。

超小型OCTデバイスソリューション

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続きまして、眼科の遠隔モニタリングデバイスの説明をさせていただきたいと思います。

私たちは、今までは医薬品に特化した会社ではありましたけれども、我々は目を守ることによって幸せを守ることを目指している中で、やはり医薬品だけでは不十分であろうと、機械による視力の維持向上も目指さなければいけない(と考えています)。

我々の医薬品に比べますと、このような機械の方が開発確率も高いということもありますので、行っていこうということで最近はじめたプロジェクトでございます。

これはどういうものかと言うと、我々はPatient Based Ophthalmology Suite(PBOS)という言い方をしていますけれども、患者自身が自ら、目の状態がわかるデバイスということです。

眼科関連のデジタルデバイスは、いろいろなところでベンチャー企業が作っています。いずれも眼科医がそれを使って患者さんを診断する装置はできてきている、あるいは作ろうとしている会社があるのですが、患者さん自身が自分で、医者に頼らず自分の目の状態がわかるという機械を開発しているところは、どこにもありません。それを我々は行っている。そこが、我々のデジタルヘルスの非常に大きな差別化要因であります。

現在はOCT、光干渉断層計という装置が使われているのですが、これは約1,000万円から3,000万円の機械でありますので、眼科医あるいは眼科病院にしか置いておくことができません。我々は特殊なレーザーを使って、それを100分の1から1,000分の1ぐらいの価格で製造することができる技術を可能にしました。

そういう知的財産を基に開発しているので、今までは病院に行かなければならなかった検査が、自宅にいながら、一家に1台あるいは一人に1台ということで、目の状態がリアルタイムでわかる。それを目指しているわけであります。

(スライドにデバイスの写真を表示)

これが一番最初のモックアップのデバイスです。このパーツ自体は全部、(最終的に)コンパクトにするデバイスと同じものをボードの上で組んで、まず最初の臨床試験に使うということで、現在、アメリカのカリフォルニア州で臨床試験を開始する準備を進めています。

もともとのデバイス自体は、我々のスイスにいるチームが、スイスは光学機械が得意ですので、スイス人のチームで作ったものをアメリカに移して、現在臨床試験の準備をしているということであります。もう間もなく、臨床試験が開始できることを期待しているわけであります。

PBOS:システム概要

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このシステムの概要ですけれども、基本的にはスマートフォンと、このデバイスを連携させて、患者さんが自分の目の状態を確認する。そのデータをクラウドにアップして、必要に応じて遠隔地にいる医者と共有したり、我々企業がそのデータをモニターすることで、患者さんの目の状態を把握するということであります。

これはいろいろなビジネスモデルが考えられるのですが、もちろんデバイスの販売もありますけれども、我々はそのデータの価値が非常に大きいと考えております。

例えば、現在、眼科の臨床試験をはじめる場合は、その病気の患者さんを集めてこなければなりません。そのプロセスを患者登録と言いますけれども、例えば500人の患者さんを集めなければいけないとすると、約1年程度の時間がかかることが知られております。

と言うのは、病院に行ってその病気を持っているらしい患者さんのカルテを出してきて、その人に電話をかけて、「こういう臨床試験がありますけど、来てもらえますか」と言って来てもらって、それでその病気がまだあれば、もしかしたら臨床試験に入ってもらえる、というプロセスを経ます。

大概、カルテを見て(患者さんに)来てもらっても、もう病気が進行しすぎていて、今の治療対象にならない、あるいはもう電話をかけても出てもらえないなど、いろいろなことがありまして、患者のリクルートには非常に時間を要しています。

医薬品の場合は、知的財産の有効期限の間のみ高い薬価が維持されるわけですけれども、そういったことを考えますと、1年早く開発が進むと、例えば(年間)1,000億円の売上のある薬であれば、最終的に1,000億円分、余分にトータルの売上が(上がります)。1年早く世の中に出せるということは、20年間の特許期間のうち、それだけ販売できる期間が伸びるわけですので、それだけの価値を見出すと考えています。

世界中の製薬会社が、臨床試験のための患者さんをリクルートするときに、「患者が必要だ」と言って、我々のところに来て、そういう患者さんのデータを立ちどころに手に入れれば、臨床試験の期間を短くすることができます。我々はその生み出した価値の一部をいただくということを考えると、非常にデータに対するバリューがあると考えているわけです。

あとは、患者さんは半年に1回ぐらい、通常眼科の場合は診察したりとかするのですが、やはり、だいたい病院に行く少し前だけ、みなさん、がんばって点眼をしたり、いろいろなことをして、体裁を整えて病院に来ます。

そうすると、一見数値はその瞬間はいいのですが、実はその半年間の間に本当にその数値が維持されていたかどうか、今はわからないのです。だから、なかなか検査をしたときの数値はいいのに(病気が)進んでしまう。

それは、みなさんが健康診断に行くときに、「少しお酒を控えよう」とか、「その前は脂っこいものを食べるのを控えよう」と言って、いい数値を期待するのと一緒です。

実は、その6ヶ月間あるいは1年間、眼科に行かない間に本当に、そのいい状態が維持されていたかをモニターすることが大事なのですが、今はそれができていないために、病気が進んでしまって医療費の高騰に繋がっていることがあります。

それを我々が抑制できるということであれば、例えば、アメリカの保険会社などと我々が組んで、このようなデバイスを広めることによって、患者さんの予後をよりよくして、医療費を抑えるのであれば、これにお金を出しましょうという保険会社があるということも、1つのビジネスモデルとして可能性があると考えています。

あとは、現在、抗VEGF(血管内皮細胞増殖因子)製剤が、月に1回注射をしたり、2ヶ月に1回注射をする薬が出ていますけれども、実はアメリカ、あるいは日本でもそうですが、やはり患者さんは、できれば注射をする回数を減らしたいので、一旦注射して(病状が)よくなって、「意外に思ったほど悪くなってないな」という場合は1回注射を飛ばして、「2ヶ月後じゃなくて4ヶ月後でもいいですよ」ということをして、少しでも投与期間を伸ばそうとしてます。

実際、患者さんによっては、1年に1回の注射でも視力が維持できる方もいますし、毎月注射しないと維持できない方もいるのですが、それがどうしてそうなるかは、まだわかってないません。ですから、結局医者からしたら、この人は「2ヶ月後に来てください」あるいは「状態がいいから3ヶ月後に来てください」と伝えたにも関わらず、実はその途中で悪くなってしまっているということがあります。

ところが眼科は、目は両目あるせいで、なかなか自覚症状に乏しいために、患者さんは途中で悪くなっていても気づかず、それで「3ヶ月後」と言われたときに(病院)来てみると、思ったより(病状が)やや悪くなっていたので、そのときに注射をしてもなかなか視力がフルに改善しない。

これは最近、臨床試験のデータ、ポストマーケティングの試験によって、いろいろなところで明らかになってきていることで、抗VEGF製剤に関しては、十分な治療が行われていない、必要な投与回数に満ち足りていないということがわかってきました。

我々のこのデバイスがあれば、「アンダートリーテッド」という言い方をしますけれども、十分に治療を受けてない患者さんに対しての医療の提供ができるということです。

例えば今、平均的に(患者一人当たり)年間8回(抗VEGF製剤の)投与をしていて、世界中で8,000億円を売り上げているということがあります。それが(アンダートリーテッドの患者に対する投与が)9回になることによって、患者さんはより視力が向上する、8,000億円だった売上が9,000億円になるということは、全世界でそれくらい売上が増えるわけですから、その売上の増加分に対してのバリューを我々のデバイスが生み出したということで、それに対する報酬も期待できるだろうということです。

ですから、このデバイスは、装置を売るということより、その医療情報(取得が主目的)です。我々は世界中の目のデータを集めに行こうとしておりますが、それを持つということが非常に大きなビジネスチャンスがあると考えているわけです。

PBOS:超小型OCTデバイス開発

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これも今年中、もう間もなく、この数ヶ月以内に臨床試験を開始して、2019年の認証を目指すということでありますので、医薬品に比べまして短期の開発がが期待されているわけであります。こちらが我々の目指しているデザインのプロトタイプであります。

それでは、ここからは財務的な話をさせていただきたいと思いますので、バトンタッチして、我々の最高財務責任者でありますジョン・ケブハートからお話しさせていただきたいと思います。

連結損益計算書の概要(IFRS)

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ジョン・ゲブハート氏:当社は2月13日に決算短信を開示しています。

当社は、みなさまご承知のとおり、2016年に三角合併を経て内国会社となったことから、2017年度中に米国基準での財務報告を終了いたしまして、2017年度よりIFRS、国際会計基準を採用いたしました。

連結損益計算書の概要ですが、事業収益は、昨年大塚製薬さまとの共同開発契約が終了したことによりまして、2017年度では計上がなく、8億4,600万円の減少となりました。

研究開発費は昨年度と比較して4,400万円増加いたしました。研究開発費のうち自社研究については、エミクススタトの増殖糖尿病網膜症を対象とした臨床第2相試験や、スターガルト病を対象とした臨床第2a相試験、またPBOS(在宅眼科医療機器)等の新規開発を促進した結果、約10億円増加しています。

また、提携研究については、大塚製薬さまと提携していた臨床第2b/3相試験が、2016年5月に終了した影響によりまして、およそ10億円の減少となりました。

一般管理費は大きく減少いたしまして、昨年度に比べて13億円以上の減少となりました。昨年の本社移転のための三角合併に関連した弁護士費用等が4億4,200万円減少し、人件費等は2016年度の執行役員クラスの退職等々によりまして、3億700万円の減少、また、株式報酬費用は3億8,200万円の減少となりました。

この結果、営業損失は4億5,100万円改善いたしまして、約36億円となっています。当社グループといたしましては、今後も一般管理費の削減に努めながら、研究開発投資に資源を集中させてまいります。

連結財務状態計算書の概要(IFRS)

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続いて、連結財政状態計算書の概要です。

まず一番下の行、現金やその他の金融資産の合計額をご覧ください。2017年度末時点において、現金や金融資産を128億円保有しています。昨年末からは37億円の減少となっています。これは主に臨床開発等の研究開発を中心とした、営業活動のキャッシュ・フローの支払いによる減少です。

その他の流動資産は、1億700万円減少いたしました。これは主に大塚製薬さまからの営業債権の最後の回収による減少となっています。

一方、流動負債は2億1,100万円の減少となりました。2016年度において、大塚製薬さまとの共同開発・臨床試験が終了し、また三角合併手続きが完了したことで、前年度に比べて未払金等が減少しています。

資本は36億円の減少でした。これは主に当期損失による利益剰余金の減少や、円高を要因とした米国子会社の換算差額、すなわちその他の包括利益が減少したことによります。

2018年度の見通し

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今後の見通しですが、事業収益については、当社は継続してパートナー企業との提携を検討いたしまして、収益の確保を目指します。

当社の事業戦略は、開発パイプラインを前へと進め、戦略的パートナーとの提携を締結できる段階へと進めることで、開発後期の研究開発資金を確保し、製品を上市・販売へと持っていくものです。

収益が確保できるまでは、当社は営業損失を計上する見込みですが、当社の研究開発プログラムを推進することが、長期的に企業価値もしくは株主価値を高めることになると考えています。

既存の研究開発プログラムに加えて、当社は新しい技術の導入機会も継続して模索しています。

当社は常にコスト意識を持って事業を進めています。研究開発への資源投入を最大化できるように、コスト構造を常に見直していまして、2018年度においても一般管理費を継続して減少させる見込みです。

記事提供:ログミーファイナンス

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