2018年2月14日に行われた、第一生命ホールディングス株式会社2018年3月期第3四半期決算説明会の内容を書き起こしでお届けします。IR資料

スピーカー:第一生命ホールディングス株式会社 執行役員 経営企画ユニット長 隅野俊亮 氏

第一生命グループ業績 – 決算ハイライト

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隅野俊亮氏:第一生命ホールディングス株式会社の隅野です。本日は遅いお時間のなか、第一生命グループの2018年3月期第3四半期決算報告の電話会議にご参加いただきまして、ありがとうございます。

さっそく2ページをご覧ください。第一生命グループの業績ハイライトをお示ししています。国内生命保険事業では、引き続き環境変化に応じた商品・チャネルミックスの戦略的シフトを進めています。

また経済環境の改善を背景に、グループ業績は会社予想を上回る進捗をみせており、グループ修正利益を上方修正したほか、海外生命保険事業における一時的利益もあり、連結純利益予想を上方修正いたしました。

また(2018年)1月2日のプレスリリースの通り、米国子会社のプロテクティブ社が、米国リバティライフ社の個人保険、年金の契約ブロックを再保険形式で買収することで合意しています。プロテクティブ社は伝統的な保険事業と買収事業を併せもち、高い成長と収益貢献を実現してきました。

今回はプロテクティブ社として過去最大の買収となりましたが、手元資金で賄い、引き続き米国市場でのさらなる成長が期待されます。買収手続きの完了は2018年度上半期を見込んでいます。

第一生命グループ業績 – 決算のポイント

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第3四半期決算のポイントは3ページにまとめています。今回の決算のポイントは以下の3点にまとめました。

第1に、営業業績についてです。

第一生命では商品ポートフォリオを保障性にシフトする戦略を継続し、主力商品の販売が順調に推移しました。第3四半期累計の新契約年換算保険料のうち、保障性商品の占率は約8割となっています。

また根強い顧客ニーズに応え、第一フロンティア生命では商品改定や新商品投入を行った結果、販売量が大きく改善しました。第一生命の営業職によるフロンティア商品の販売も本格化し、国内生保3社で環境に応じた商品・チャネルの戦略的シフトが進んでいます。海外でも各国で新契約が順調な伸びをみせました。

第2に、連結業績についてです。

前年同期比で増収・増益となり、連結純利益・グループ修正利益ともに、想定を上回る進捗となりました。なかでも第一生命は内外金融経済環境の改善等に伴い、想定を大幅に上回る進捗となりました。2017年12月末の、保有契約と経済前提をベースに試算したグループ・エンベディッド・バリューは、新契約の獲得に加え株価等経済連携の改善により、約6.4兆円と2017年9月末から増加しました。

第3に、通期業績予想についてです。

2017年11月に経済環境の改善を背景に、通期予想を上方修正いたしました。足元では、株式市場が調整色を強めておりますが、今後著しい環境悪化がなければ通期業績はさらなる改善が見込まれることから、グループ修正利益の予想を上方修正しました。また米国の法人税減税に伴うプロテクティブ社の一時的利益を加えたことにより、連結純利益予想を大幅に上方修正しました。なお、この一時的利益は修正利益の対象外となります。

第一生命グループ業績 – 連結主要業績(要約)

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4ページをご覧ください。連結損益計算書、連結貸借対照表を掲載しています。

第一生命グループ業績 – 連結主要業績

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5ページをご覧ください。連結及び主要子会社の業績概要について説明いたします。

連結経常収益は、前年同期比4,770億円の増加となりました。第一生命では貯蓄性商品の販売を抑制した結果、保険料収入が減少しましたが、その他グループ会社の保険料収入が好調な営業業績を反映して増加しました。なお、経常収益の増加要因として、各社における特別勘定資産運用益の増加がありますが、こちらは責任準備金の繰り入れで相殺されるため、経常利益には影響を与えません。

連結経常利益は、同185億円の増加となりました。第一生命は順ざやの改善等がキャピタル損益の減少等を上回り、前年同期比で増益に転じました。第一フロンティア生命の販売増や経済環境の改善により、増益となりました。反面、海外生保事業では前年同期に発生した特殊要因による利益押上げ効果の剥落等により、プロテクティブ社が減益しました。

親会社株主に帰属する当期純利益、いわゆる連結純利益は、同157億円の増加となりました。第一生命の増益に加え、ジャナス・キャピタル社とヘンダーソングループの合併に係る株式交換益が233億円となり、前年同期に計上したアセット・マネジメントOneの再編に係る持分変動益125億円を上回ったことが、増益となった主な要因です。

第一フロンティア生命の純利益は、法人税負担の増加により比例した、第3四半期累計のグループ修正利益は1.683億円となりました。

第一生命グループ業績 – 連結主要業績

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6ページをご覧ください。

連結純利益の変動要因を主要項目別にまとめています。第一生命の基礎利益値の順ざやが増加していますが、これは円安による利息配当金収入の増加等や、株価上昇による投信の配当解約益等の一時的な運用収益が計上されたもので、会社予想を上回って推移しています。第一フロンティア生命は、内外の株式市場が堅調に推移したことから、最低保障リスク関連損益が改善しましたが、販売増に伴う危険準備金繰入れ額の増加や、法人税負担の増加により減益でした。

連結純利益は、ジャナス・ヘンダーソンの合併に係る株式交換益が特別利益として、税前で335億円、税後で233億円計上されていますが、この取引の税務上の取り扱いについては引き続き確認中です。

第一生命グループ業績 – グループ各社の業績

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7ページをご覧ください。グループ企業主要各社の決算はご覧の通りです。

第一生命グループ業績 – 新契約動向

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8ページをご覧ください。グループの契約業績について、年換算保険料ベースに説明いたします。

第一生命は一時払い終身保険の販売停止や、平準払個人年金の販売減少により、二桁の減少となりましたが、昨年4月の料率改定に合わせて実施した商品性の改定や、営業職の評価基準の調整から表れ、保障性主力商品の好調な販売が継続しています。

第一フロンティア生命は、外貨建て年金に係る商品改定や新商品の導入効果に加え、第一生命の営業職による好調な販売を背景に、着実に実績を伸ばしています。ネオファースト生命の新商品の導入効果等により、好調な販売を続けており、3月からは法人向け商品を新たに販売する予定です。詳しくはプレスリリースをご覧ください。

海外生命保険事業では、プロテクティブ社は変額年金の販売は伸び悩んでいるものの、料率改定により契約年金の販売が拡大しました。オーストラリアのTAL社が個人保険事業では競合他社の保険料率引き換え等を背景として、一部商品の販売は減速していますが、第1四半期に団体保険事業で複数の契約を獲得したため、新契約は高い伸びをみせています。

第一生命ベトナムを個人代理人の販売好調に加え、提携チャネルの貢献も高まり、好調が続いています。

以上の結果、グループ全体の新契約では同1.7パーセント減となりました。

第一生命グループ業績 - 保有契約動向

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9ページをご覧ください。保有契約に関する年換算保険料の動向です。グループ全体の保有契約は、前期末比1.4パーセント増、為替変動要因を除けば同1.7パーセント増と、プラス成長を維持しています。

第一生命 財務諸表(要約)

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これより事業会社ごとにご説明してまいります。11ページをご覧ください。まず第一生命の要約財務諸表です。

第一生命業績 – 基礎利益~当期純利益の状況

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12ページをご覧ください。第一生命の業績動向を基礎利益から当期純利益への流れで説明しています。基礎利益は最低保証に係る責任準備金の繰入れ、戻入れを調整した後の数字です。調整後基礎利益は、前年同期に比べて順ざやが大きく改善し、保険関係損益の減少に合わせて基礎利益の増加につながっています。保険関係損益の減少は、新料率に基づく新契約に係る標準責任準備金の繰入の影響です。

第一生命業績 – 解約失効高、営業職数および生産性

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13ページをご覧ください。保有契約の質、営業関連の規模、効率性を示しています。解約失効は良好な水準が続いています。

営業職の生産性に関しては、個人年金等の販売が減少したため、1人あたりの新契約件数は減少していますが、保障性商品の販売増加から1人あたりの営業収益価値は、前年同期比で増加しています。

第一生命業績 – 一般勘定資産運用の状況 (1)

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14ページをご覧ください。資産運用の状況について、ご説明します。左側のグラフは第一生命の一般勘定資産の構成比を示しています。内外の金利為替の趨勢をみながら機能的に配分を調整しますが、2017年12月末ではオープン外債への配分を増やしました。国内株式の構成比は、時価の変動を主な要因として増加しています。

右側のグラフでは、子会社等の株式を除く国内株式の簿価残高を、特定投資株式とそれ以外にわけてお示ししています。12月末の株式残高はリスク削減のための売却に対して、新規分野への投資が先行したため、前期末比で増加しました。通年では、売却額が積み上がる見通しです。

第一生命業績 – 一般勘定資産運用の状況 (2) 保有債券の状況

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15ページをご覧ください。保有債券の状況について、もう少し詳しくご説明いたします。外貨建債券は引き続き、信用格付けの高い債券を中心に運用しています。前期末との比較では、国債への投資を高めました。

右下のグラフは、外貨建債券の通貨別構成です。米ドルのヘッジコストが上昇するなかで、ヘッジコストが相対的に安いユーロ債券等への投資を増やしています。

第一生命業績 – 健全性指標

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16ページをご覧ください。第一生命の健全性についてです。左側の表では一般勘定各資産の含み益の変化を示しています。海外での株価上昇に加え円安も進むという環境で、外国債券の含み益が増加しています。国内株式の含み益も増加していますが、リバランスによる含み益の実現もあり国内債券の含み益は堅調です。以上の結果、一般勘定資産全体の含み益は前期末比約8,800億円の増加となりました。

右側のグラフで示した、現第一生命のソルベンシー・マージン比率は、含み益の増加により898.7パーセントと、引き続き高い水準を維持しています。

第一フロンティア生命財務諸表(要約)

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18ページをご覧ください。続いて、第一フロンティア生命の要約財務諸表です。金融市場環境において変動する、最低保証リスクや市場価格調整に係る損益を記載しています。

第一フロンティア生命業績

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19ページをご覧ください。第一フロンティア生命の営業状況等についてご説明いたします。営業業績については、8ページで概要をご説明した通りですが、左側のグラフでより詳細な商品別の販売動向を示しています。順調な販売により販売保有契約を着実に積み上げています。

右側のグラフでは純利益の変動要因を示しています。販売増に伴う事業利益の改善に加え、株高等の影響で運用収益が改善したことを受けて、最低保証リスク関連損益が収益の押上げの要因になっています。市場価格調節に係る損益は、2016年末の金利上昇を受け前年同期に大きな影響を与えていますが、今四半期は落ち着いた動きになりました。

純利益は外貨建て商品の販売増加に伴う危険準備金の繰入増加と、前年度の期中から税務上の繰越欠損金を解消し法人税負担が増加したことなどから減益となりましたが、業績予想を上回る高い進捗となっています。

米プロテクティブ財務諸表(要約)

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次に海外生命保険事業について、主要子会社の状況を説明します。21ページをご覧ください。まずプロテクティブ社の要約財務諸表です。現地の会計方針に従って計算された勘定科目を、日本の会計基準に沿って並び替えたものです。

米プロテクティブ業績(1)

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22ページをご覧ください。営業業績については各セグメントで、概ね堅調に推移しています。生保事業ではユニバーサル保険の好調な販売が続いています。年金事業では、金融商品の販売に係る規制動向をふまえ、独立代理人が販売に慎重になった影響で、変額年金の伸び悩みが続いています。

米プロテクティブ業績(2)

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23ページをご覧ください。税引前営業利益は、前年同期比約10パーセント増となりました。ステーブル・バリュー事業で受託残高が増加していることに加え、運用収支が改善したことが主な要因です。

また生保事業は、年金事業において将来利益の推計前提を見直した結果、繰延新契約費用の償却額が前年同期比で軽減されたことなどが、プラスの影響を及ぼします。

年金事業では即時払年金において、年金支払対象契約が対前年で増加したことから、減益となりました。

当期利益は、前年同期に計上された修正共同再保険に係るキャピタル益が減少したことから、前年同期に比べ約25パーセントの減益となっております。

次にオーストラリアのTAL社について説明します。24ページをご覧ください。TAL社の要約財務諸表です。

豪TAL業績

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続いて25ページをご覧ください。TALについての営業業績については、8ページで概要をご説明した通りです。オーストラリア市場では大規模な業界再編が続いており、一部で価格競争がみられ、個人保険の新規契約が伸び悩んでおりますが、団体保険で第1四半期に複数の契約を獲得したことで、保有契約年換算保険料は前期末で7パーセント増となりました。

保有契約のにおいて保険料等収入が前年同期比7パーセント増となり、経常収益の増加につながっています。オーストラリアの経済環境を背景に、所得補償保険などの支払いは依然として想定を上回る水準で推移していますが、料率改定やコスト削減努力により基礎的収益力は5パーセントの増益を達成しています。

しかし当期純利益は、運用収益が前年を下回ったことなどにより、前年同期比で8パーセント減益となりました。

第一生命グループ業績予想 – 2018年3月期業績予想

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続いて連結業績ガイダンスについて、説明いたします。27ページをご覧ください。昨年11月、経済環境の改善を背景に、第一生命の利息配当金等収入が想定を上回って推移したため、通期予想を上方修正させていただきました。

しかしその後も、環境改善は続き足下では株式市場が調整色を強めてはいますが、今後著しい環境悪化がなければ通期業績はさらなる改善が見込まれることから、グループ修正利益の予想を2,000億円程度から2,300億円程度へ上方修正しました。

また米国の法人税減税に伴い、プロテクティブ社が繰延税金負債を取り崩し、一時的利益を計上する見込みとなったことから、連結純利益も大幅に上方修正しました。

連結純利益の増減要因分析/グループ修正利益の増減要因分析

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28ページ、29ページに前年度実績からの変動要因分析を掲載していますが、環境に応じた投資行動に伴う運用収支の改善には、内外株価上昇に伴う投信配当など今後も継続的に実現されるとは限らない要素も含まれております。

次年度以降の業績動向をみるうえでも、このような要素を控除したうえで評価、投資判断をしていただくようお願いいたします。

株主還元については通期決算をふまえて判断いたしますので、現時点では1株あたり45円の配当予想は据え置きとします。

EEV – ヨーロピアン・エンベディッド・バリュー (1)

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次にグループ・エンベディッド・バリューについて説明します。31ページをご覧ください。2017年12月末のグループEEV(ヨーロピアン・エンベディッド・バリュー)は、約6.4兆円となりました。

新契約の獲得に加え内外株価の上昇等の金融環境改善により、EEVは前期末に比べ約3,500億円増加しました。

EEV – ヨーロピアン・エンベディッド・バリュー (2)

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32ページをご覧ください。グループ各社のEEVをお示ししています。主要子会社のEEVはいずれも増加しております。

EEV – ヨーロピアン・エンベディッド・バリュー (3)新契約価値

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次のページをご覧ください。第3四半期における第一生命の、新契約価値の概算をお示ししています。商品の保証制シフトにより、第2四半期のモメンタムを維持しています。

以上で私からの説明を終了させていただきます。

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