年収1000万円 vs. 貯金1000万円。目指すならどっちが簡単?

4月3日「資産形成を考える日」を前に

1,000万円といえば、年収にしても貯金にしてもある意味の大台であり、多くの人がひとつの目標としている数字ではないでしょうか。では、年収と貯金を見たとき、1,000万円を達成するのはどちらのほうが難しいのでしょうか。

年収1,000万円超の人はわずか4%しかいない現実

2017年9月に国税庁より公開された「平成28年分 民間給与実態統計調査」によれば、1年を通じて勤務した給与所得者は4,869万人。その平均給与は422 万円となっています。なお、年収が1,000万円超の人は全体の4.2%に相当する約200万人いるとされています。

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年収1,000万円超の人が200万人もいるなんて、と意外に思う方もいらっしゃるかもしれません。ただ、人数にすれば多く見えますが、該当する層は全体の約4%しかいないのです。たとえば高校時代の1クラスが50名だったとすると、年収1,000万円超をもらっているのはその中のたった2人ということです。そう考えると年収1,000万円を達成するのはなかなか難しい、といえそうです。

驚き! 世帯別貯蓄の全国平均値「1,820万円」のカラクリ

一方、貯金で1,000万円以上を実現する難易度は、どの程度のものなのでしょうか。

総務省が2017年5月に発表した「家計調査報告(貯蓄・負債編)」によると、2人以上世帯における2016年の1世帯当たり貯蓄現在高(平均値)は1,820万円とされています。

これを聞くと、みんなそんなにお金を持っているの?と驚く方もいらっしゃるでしょう。ですが、実はこの数字をきちんと理解するためにはいくつか注意点があります。

まずひとつめは「貯蓄」の定義です。これには預貯金の他に有価証券や生命保険、個人年金なども含まれています。したがって、「貯蓄」は「貯金」とは異なるものだということは、あらかじめ認識しておきたいところです。

もうひとつ、注意しておきたいのが「統計上、平均値と中央値とは分けて理解する必要がある」ということです。

平均値とは「データの値の合計をデータの数で割った数字」です。そして中央値は「データを順番に並べてちょうど真ん中にくる数値」となります。今回の貯蓄の「中央値」は貯蓄保有世帯で1,064万円、貯蓄「0」の世帯を含めると中央値は996万円となっています。

貯蓄の中央値でも1,000万円。やはり多く感じますね。ただし、実は最頻値と呼ばれる「最もデータの数が多い層」は、「貯蓄100万円未満」なのです。ですから、もし皆さんが「みんなそんなに持っていないでしょう?」と思われたとすれば、そのイメージはおそらくこの最頻値からくるものではないでしょうか。

出所:総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-平成28年(2016年)平均結果速報-(二人以上の世帯)」

年収1,000万円 vs. 貯金1,000万円、簡単なのはどっち?

こうしたデータからすると、年収1,000万円よりも貯金1,000万円の方が簡単なのでは?と思う方もいるかもしれません。しかし、これにも注意が必要です。

それは、貯蓄水準が高いのは現役のビジネスパーソンではなく高齢者だということです。2人以上の世帯について、世帯主の年齢階級別に1世帯当たり貯蓄現在高を見てみると、40歳未満の世帯が574万円であるのに対し、60~69歳の世帯は2,312万円、70歳以上の世帯は2,446万円。60歳以上の世帯の貯蓄水準が全体を大きく引き上げていることがわかります。

子どもの教育費やマイホームの購入など、出費も多い現役世代が資産を貯めるのは簡単ではないということかもしれません。とはいえ、いきなり年収を1,000万円にすることはできなくても、節約したり、無駄遣いをしないといった努力をすることで毎年100万円ずつコツコツ貯めて10年で貯金1,000万円を達成するといったことは決して不可能ではありませんし、実際に実現している人もいるはずです。

貯金が1,000万円あったら何ができるのか

この低金利の時代ですから、貯金をするにしても単に銀行に預けておくだけでなく、お金自体に働いてもらおうと考える人もいるでしょう。とはいえ、運用で資産を殖やすとなると、当然ながら元手となる資産が必要ですし、運用資産の規模によって、それに対するリターンも大きく変わってきます。

たとえば、株式投資で運用する場合。簡単なことではありませんが、仮に運よく年間に20%のリターンが出たとしましょう(ここでは手数料や税金などは考慮しません)。もし100万円を投資していた場合、1年のリターンは20万円ですが、これが1,000万円であれば200万円になります。20万円と200万円では、使い道も当然違うものになるでしょう。

また1,000万円貯まったら、住宅購入や不動産投資の頭金にする人もいるでしょう。それによって自分の住みたい家を建てて満足度を高めたり、配当収入を得ることも一手です。

現役世代であれば、多くは世帯の誰かが仕事を持っていて所得があると思います。この所得に加えて、投資・運用で資産形成していくことは悪い話ではありません。貯金1,000万円という水準があれば様々な資産運用に挑戦できますし、自分の生活スタイルを変えることも含めて、選択肢が増えることでしょう。

現役世代は年収1,000万円を目指すのも選択肢のひとつ

一方で、現役世代であるなら、将来を見据えて年収1,000万円にチャレンジしていく、ということも選択肢のひとつでしょう。

仕事で自分が評価され、市場価値が上がるプロセスを体験・体感することには大きな充実感があるものです。ただし、収入が増えるにつれ、所得税や住民税、社会保険料も増えていきます。

年収1,000万円の満足度は、税金等の額とそれらを差し引いた手取り金額、そしてそれで実現できる生活水準など、様々な要素を考え合わせたバランスの上で成り立っているともいえます。

チャレンジした結果、年収が上がっていくのは素晴らしいことですが、上昇するなかで生活水準を極端に上げてしまい、貯金に回したり運用に向けたりする資産が残らないという残念なケースもあります。

そう考えれば、年収が1,000万円になっても、ゆとりのある生活が保証されるとはいえませんが、年収1,000万円を達成することによって資産形成や運用の選択肢が大きく広がることは間違いありません。

まとめにかえて

いかがでしたでしょうか。資産形成を考える際には、収入を(できるだけ)増やして、支出を減らし、余った分を貯金や投資に向ける。この基本動作を意識しながら、個人個人で工夫をしていく余地を広げていきたいものです。

投信1編集部

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