コンビニ業界は既に緩やかな斜陽化へ?

一時前まで代表的な成長産業と目されてきたコンビニエンスストアが、大きな転換点を迎えています。いや、転換点はとうに過ぎて、既に緩やかな斜陽化に向かっているという見方も少なくありません。

実際、右肩上がりの成長を続けてきたコンビニ業界には、それまでなかった出来事が次々に起きています。

ミニストップが上場来初の赤字転落へ

3月16日、店舗数ベースでコンビニ業界第4位のミニストップ(9946)が、2018年2月期の業績見通しを下方修正しました。営業利益は従来予想17億円から▲1億円へ、連結最終損益も同1億5千万円から▲11億5千万への減額修正で、いずれも1994年の上場以降で初の赤字転落です。

下方修正の主な要因は、国内と韓国の売上低迷、および国内店舗を中心とした減損損失の計上となっていますが、国内コンビニ事業の不振が大きく足を引っ張ったことは明らかです。

なお、国内コンビニに関しては、既存店1店舗の1日あたりの売上高を対前年同期比101.5%で計画していたところが、通期での前年比は99.8%に止まったようです。計画が甘かったと言えばそれまでですが、コンビニ事業としては非常に大きな乖離と言えましょう。

しかし、これはミニストップに限った特殊要因ではありません。他のコンビニ各社も程度の差こそあれ、似たような状況にあるのです。

コンビニ業界の成長神話が崩壊しつつある理由

長らく好調が続いてきたコンビニ事業の頭打ち傾向が強まった主な理由は、(1)店舗拡大を進めてきたコンビニ業界内での過当競争(同系列店舗との競争も含む)、(2)ドラッグストアや食品スーパーなど他業種との競争激化、(3)消費者のネット販売へのシフトなどに加えて、昨今の人手不足に伴う人件費増加が追い打ちを掛けていると考えられます。

コンビニ各社も手をこまねくばかりではなく、様々なサービス拡充や高齢者向け宅配を開始するなどの施策を講じていますが、現時点では大きな効果が出ていないのが実情です。

こうした収益圧迫要因は今後も拡大すると見られ、とりわけ、(3)に挙げたネット販売の影響は益々大きくなると考えられます。コンビニ業界はもはや成長産業ではなく、生き残りを賭けた熾烈な戦いが続くという見方が出るのも当然のことでしょう。

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