次に、一時金の増加ですが、企業側が残業代の減少分を一時金で補うように努めていることは確かです。しかし、これは生産性向上が図られるという前提があることに加え、増加分は昨年比で+0.2~+0.5カ月分(一部筆者推定)に止まっています。

さらに、多くの企業では一時金支払いは年2回ですし、最近は年1回払いのケースも増えています。(年に1~2回もらえる)一時金が増えるから、月々の残業代が減っても、毎月の消費を従来通りにする消費者がどれくらいいるのか疑問が残るのは筆者だけでしょうか。

公表されているデータから推測する限りですが、残業代の減少分を、賃上げと一時金の増加で100%カバーしているかどうか微妙な感じがします。少なくとも、残業代の減少分を補って余りあるというような賃上げと一時金の増加は見込めないと考えられます。

「働き方改革」+「消費税10%」=2020年の景気腰折れ?

こうして考えると、働き方改革による生産性向上は残業代の減少につながり、月々の個人消費に少なからず影響を与えると考えるのが自然ではないでしょうか。特に、まだ基本給が高くない若年層にそうした消費行動が出てくると予想されます。

それ以上に懸念が残るのが、2019年度後半以降です。このまま、1年半後の2019年10月に消費増税(現在の8%を10%へ)を行って、本当に景気の腰折れは回避できるのか、真剣に考えなくてはならないでしょう。働き方改革による生産性向上と個人消費は、まさしく諸刃の剣と言っても過言ではないのです。

LIMO編集部