春になり、新社会人らしきスーツ姿のビジネスパーソンを見る機会も増えてきました。これからの社会人生活に胸躍らせている人、期待の一方でちゃんとやっていけるのか、と少々不安を感じている人、それぞれだと思います。

実際のところ、せっかく就職戦線を勝ち抜き入社した企業でいきなりガッカリした経験のある人もいるようです。一体どんな場面でそう感じたのでしょうか。

入社3年までにどのくらいの人が辞めるのか

理由は多々あれども、新卒で入社した会社にそれほど長く在籍せずに退職してしまう人は存在します。本題に入る前に、新規大卒の離職率はどの程度なのか、厚生労働省の「新規学卒者の離職状況」をもとに見ていきましょう。

これによれば、新規大卒就職者で調査対象の産業に就職した人数は、平成26年3月卒では42万7,000人超。それに対して、3年目までの離職者数は13万7,000人超。つまり30%以上が3年目までに一度は離職をしているわけです。

一方、業種で見た場合には離職率にばらつきがあることがわかります。

たとえば、「宿泊業・飲食サービス」の離職率は全体の数字よりも高く、平成26年3月卒では3年以内に50.2%が離職しています。「この年次の離職率が特に高いのでは?」と思われるかもしれませんが、決してそうとも言い切れません。実は過去からも概ね50%前後で推移しているのです。離職率の高さは同産業に特有の傾向だと言えるかもしれません。

また、「教育、学習支援業」でも平成26年3月卒では45.4%が3年以内に離職、「医療・福祉」でも37.6%が3年以内に離職しています。

では、就活生に高い人気を誇る金融機関はどうでしょうか。「金融・保険業」の平成26年3月卒を見ると、3年目までの離職率は21.8%です。全体よりは低いとはいえ、多くの就活生が憧れる金融機関に就職したとしても、3年以内に5人に1人は離職していることがわかります。

このように、産業ごとに離職率は異なるものの、必ずしも「最初の就職先=理想の楽園」とは言えない様子もうかがえます。

新入社員はどんな時に会社にガッカリしたのか

実際に3年以内に退職してしまった人はもちろん、30歳までに退職したという人の中にも新入社員時代の経験が忘れられなかったから、という人はいます。また、辞めるとまではいかずとも、せっかく入社した人気企業で入社早々モチベーションが下がってしまったという経験を持つ人は多いようです。

では、彼らは一体どういうシーンで入社した企業に幻滅したのでしょうか。

当初持っていたイメージと違う閉塞的な環境

「刺激を求めて大企業に就職したつもりなのに、職場はこじんまりしていて思った以上に閉じていた。昼食は島ごとにまとまってとる習慣があり、自分で好きにランチタイムを過ごせる環境でなく、息が詰まった」

高圧的なおじさん社員に遭遇

「社員食堂で空いている席を見つけて、隣にいた年配社員のグループに『こちらに座ってよいですか?』と聞いたら『ダメ』と一言。茫然としていると『縄張りってものがあるんだ』と追い払われた。それまで割と雰囲気のいい人事担当者とばかり接していたのでわからなかったが、結構こじれた性格の人が多かった」

人事から期待されていないことがわかってしまった

「入社した会社では、最初の配属先で自分が人事部から期待されているのか、昇進しやすい部署に配属されているのかが透けて見えると言われていた。私自身は専門職採用だったが、同期を見ていると最初の配属で実績を上げにくい環境の支店に配属された人は、その後のモチベーションを維持しにくかったようだ」

エリート意識が高すぎる先輩の圧力

「最初に配属された部署で『この部署にいる僕たちは選ばれた人間だ』と、ことあるごとに言ってくる先輩がいた。『お前は希望したから入れてやった』『役立たずはすぐ飛ばされるぞ』と言われ続けて、仕事でも余計な緊張感が高まり、ほとほと疲れ果ててしまった」

前向きな意見のつもりが…鼻で笑われ、頭ごなしに否定

「お客様と接する現場を見て、新入社員のフレッシュな目で改善策を発表するという研修。その発表会で担当課長に『そんな簡単にいくわけないだろ』と鼻で笑われ『お前たちに何がわかる!』と怒鳴られたチームがあった。確かに何も知らないけど、発表会の趣旨からしていかがなものか。こんな人が出世する会社なんだなと」

やりたい仕事ができなさそうだった

「先輩の話を聞いていると、本社や本店で昇進レースに残っていなければ、50歳を過ぎると子会社や関係会社に出されることが多い。その環境で自分がやりたいことが続けられるか不安に感じた」

まとめにかえて

いかがでしたか。最初に就職した会社を3年以内に3割が離職するのは、単純にミスマッチが原因だと片づけてしまうこともできますが、それだけではない人間関係や環境、理想と現実とのギャップといったことにも要因があるのかもしれません。

一方で、最初はいやいや入った会社でも、その後バリバリ活躍しているという人もいます。みなさんは新入社員のこの時期をどう過ごすのが良いと考えておられますか?

LIMO編集部