「インフルエンサー採用」、フォロワーが多い学生は優秀なの?

ビジネス、今日のひとネタ

近年、利用が増え続けているSNS。最近では、そうしたSNSを使って新卒採用を行っている企業が増えているようです。

その中でも話題を呼んでいるのが、SNSでフォロワーの多いユーザーを優遇する、「インフルエンサー採用」です。新卒だけではなく中途採用で行う会社もあるといいますが、いったい、どのようなものなのでしょうか。

インフルエンサー採用とは?

そもそも、SNSを利用した採用では、本名での登録が前提となっているFacebookが主に使われており、2012年ころからいくつかの企業で行われていました。しかし、InstagramなどのSNS利用率が高まっていくにつれ、フォロワーの多い、「インフルエンサー」と呼ばれるユーザーの影響力が大きくなってきました。フォロワーが多いユーザーの投稿には、あっという間に多数の「いいね」がつき、インフルエンサーが商品を紹介する投稿はフォロワーの購買意欲を促進しているとも言われています。

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インフルエンサー採用を行っている企業は、そうしたインフルエンサーは、流行などへの感度が高く、また情報収集やニーズの把握に長けている、としています。そうした考えのもと、フォロワー数や直近の投稿についた「いいね」の数が選考対象になっているようです。

「影響力」に限界もある

しかし、インフルエンサーの影響力が大きいとはいえ、その範囲が限られていることは確かです。総務省のSNS利用率に関する調査では、たとえば回答者全体のうちのInstagramの利用率は20%ほどにとどまっており、利用者の多くは10代から30代の女性に集中しています。

インフルエンサー採用が行われる職種は、主に販売やクリエイティブ職であり、インフルエンサーの学生に求められているのは、すぐにでも役立つブランディング力のようです。しかし、いま勢いのあるSNSが、3年後、5年後もそうだとは限りません。また、先ほどもお話ししたように、特にInstagramなどの場合は利用者層が限られているために、異なる世代のニーズ把握やそこに訴えかけられるブランディングができるかどうかについては未知数な部分もあります。

また、インフルエンサーマーケティングがビジネスとして成立しつつあることを受け、フォロワーや「いいね」の売買が行われるようにもなっています。その他にも、bot(ボット)と呼ばれる、機械が自動で投稿を行うアカウントによる無機的なフォローもあります。これらのことも踏まえると、企業にとってもある種の「賭け」である新卒採用において、SNSのフォロワー数や「いいね」数をメインの判断基準として就活生を見定めることが、良い結果をもたらすかについては疑問が残ります。

「フォロワーが多いからデキる」って安易すぎ?

もちろんその点の精査は企業側もある程度は行っているでしょうし、フォロワーが多いのは、何より本人の努力や工夫によるところも大きいはずです。そうした努力・工夫の資質が、他のSNSはもちろん他の仕事で活かされる可能性もあるでしょう。

ただ、ネットの論調を見ると、どちらかといえばインフルエンサー本人がどうこうというより、企業側の話として、フォロワーが多いから採用というのは、ちょっと安易すぎないかと思う人もいるようです。中には「そもそも自分の会社で、そういう人材を体系的に育てるべきじゃないのか?」という辛辣な意見もあります。

インフルエンサー採用は今後、上記のような課題点を克服し、「優秀な人材と出会える採用方法」へとなっていくのか、それとも「ただの話題作り」にとどまってしまうのか? すぐ結果・成否が出るものでもありませんので、この後も見守っていきたいところです。

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2005年創業。ビジネス書・実用書を中心とした書籍出版や企業出版、メディア・コンテンツ事業、デザイン制作事業などを手がける。

主な刊行書籍に、20万部突破の『誰からも「気がきく」と言われる45の習慣』をはじめ、『特定の人としかうまく付き合えないのは、結局、あなたの心が冷めているからだ』 『起業家のように企業で働く』 『すべての仕事を紙1枚にまとめてしまう整理術』 『21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由』 『自分を変える習慣力』 『鬼速PDCA』など。