VR元年からさらに成長し続けるVR業界

2016年はVR元年だと言われたが、リサーチ会社のIDC Japan株式会社が発表した「AR/VRヘッドセット市場 2017年の国内/世界出荷台数および世界市場予測 」によると、2017年のAR/VRのヘッドセットの世界出荷台数は836万台(国内出荷台数は約34万台)となり、2016年より9.1%減少した。2018年は前年比48.5%増の1,242万台、さらに2022年には6,894万台に達すると予想している。

そのVRが楽しめる施設が渋谷と新宿に集中して続々と誕生している。VRのみを専門にしている施設としては、バンダイナムコが運営する「VR ZONE」や、ゲームセンターのアドアーズの「VR PARK」などが有名だ。

コミュニケーションツールとしてのVR

そんな中、最大4人が同時にプレイできる世界最長級のVRゲームや、世界大会も開催される「HADO」などが楽しめる「VREX(ヴィレックス)新宿店」がオープンした。2017年11月オープンの「VREX(ヴィレックス)渋谷宮益坂店」に続く2店目となる。

運営しているのは、広島県を中心に複数の書店を運営する企業で、CDやDVD、ゲームソフトの販売やレンタルも行なっているフタバ図書。

「VRを楽しめるエンターテインメントとして、多くのお客さまに来ていただき、コミュニケーションツールとして使っていただけたらと思います。VREXでは一緒にプレイする人が見え、互いの肉声が聞こえ、ハイタッチなどのコミュニケーションが可能です。広めの空間でVRの世界の中を自由に動き回れて、初心者でも簡単に理解できて楽しめます」と話してくれたのは、フタバ図書の川島さん。

現実さながらのリアルな仮想世界を友人と、さらには見知らぬ人と一緒に体験でき、現実世界での繋がりもできる。ちなみに、VREXは「VR+EXPERIENCE(体験)」から名付けたという。

どこか未来チックなホワイトとパープルのインテリア(著者撮影。以下、特記のないものは同様)

 

VREXではVR(仮想現実)とAR(拡張現実)の2つが楽しめる。簡単に説明すると、VRはクローズドな仮想現実の映像を投影したもの。対してARは現実の世界に重ねるように映像を映し出すもので、スマホゲームの「ポケモンGO」がARの技術を使っている。

VRゲームは10種類、ARゲームとしては2種類の「HADO」があり、特に「HADO」を導入しているのは全国で数カ所しかなく、東京ではVREXのみが取り扱っている。

プレイルーム内は自由に動けて、境界線(壁)はゴーグル内に表示されるのでぶつかる心配はない

プレイルームの中を自由に動き回れて最長50分遊べる

VRゲームの場合、プレイ時間は人数によって違ってくるが、たとえば「バーチャルライフ」は30分~50分と世界最長級。VRゲームは没入感を高めた1人で遊ぶものが多いが、VREXでは基本2人以上で遊ぶことを目的にしている。

たとえば「まくら投げ」など対戦系ゲームだと、1人で遊んでも面白くはないだろう。かといって1人で来たら遊べないというわけではなく、他の人と一緒に楽しむこともできる。もちろん自分から声をかけて誘ってもいいが、スタッフがマッチングしてくれるから声を掛けづらいという人でも安心だ。

VRゲームはVR開発会社ハシラスと共同開発していて、VREXでしか体験できないオリジナルとなる。最新技術のVRゲームを、仲間たちとカラオケやボーリングをする感覚で楽しめるまったく新しい施設と言える。

VREXでは1メダルが350円で、VRゲームは2メダルで遊べる。他のVR施設では入場料があったり、ゲームのセット販売で高めの設定になっているのと比べると、ゲームセンターで遊ぶ感覚で気軽に体験できるのが特徴だ。

また、フードやドリンク、アルコールは1メダルから交換でき、待ち時間に、あるいはゲームをしながらレストランやバーも楽しめる。アルコールも取り扱っているので合コンにも利用できるのは、今までのVR施設ではあまりなかった試みだろう。

ランチタイム限定の「VERXアボカドチーズバーガー(700円)」

気になるVR酔いやVR/ARゴーグルの装着感は?

今回、実際にVR/ARゲームを体験してみた。まずARゲームの「Mogura in VR」から。土管から出てくるさまざまなモグラを捕まえてカゴに入れて、誰が一番多く捕まえられるのかを競うゲーム。ルーム内を自由に歩き回るため、本気でやるとかなりの運動量になる。

次に体験したのが世界最長級の「バーチャルライフ」。こちらはVR版人生ゲームのようなもので、ゆっくり自分たちのペースでゲームを進められ、用意されているベンチで休むことも可能だ。

VRゲームは両方ともMSIのバックパックを背負って、HTCのヘッドセットを装着するのだが、重さはそれほど感じない。また、コントローラーの操作は2つのボタンのみで、練習モードもあるから誰でもすぐに慣れるだろう。気になったVR酔いはまったくなかった。

MSIのバックパック式VRキットを背負いコントローラーで操作する(写真提供:フタバ図書)

 

最後に体験したのがARゲームの「HADO」。こちらは、先ほどのVRよりも軽量小型のヘッドマウントディスプレイと、利き手にアームセンサーを装着するが、より動きやすいように設計されている。

エナジーボールを作り出し、腕のパンチするような動作で発射でき、相手に当ててライフを削ることで勝敗が決まる。バリアを作れば防御もでき、ボールをかわすために動き回るのでスポーツに近い感覚だ。

VRゲームはソフトを入れ替えるだけでさまざまなゲームが楽しめる。今後も新作をリリースしていくというから、何度行っても楽しめるだろう。

ARゲーム「HADO」は両サイドに分かれて対戦する

鈴木 博之