「かぼちゃの馬車」のスマートデイズ社が経営破綻

4月18日、女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」を展開するスマートデイズ社が、東京地裁から民事再生法の申し立てを棄却され、破産手続きに移行することが発表されました。同社は4月9日に民事再生法を申請していたのですが、結局は事業再生が困難と判断されたようです。

帝国データバンクによれば、債権者911人に対して負債総額が約60億円となっています。今後、大きな社会問題に発展するかもしれません。

最近人気が高まってきたシェアハウスとは?

同社が手掛けていた女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」の事業内容について、ザックリですが説明しましょう。

まず、シェアハウスとは、自分の部屋とは別に、他の入居者と共同利用できる共有スペース(キッチン、浴室、トイレなど)を持った集合賃貸住宅を言います。共同住宅ならではの「交流」を楽しめ、加えて、通常の賃貸住宅に比べると初期費用や月々の賃貸料を抑えたリーズナブルな価格であることも大きな魅力とされ、日本でも人気が高まっています。

多くの投資家から集めた購入資金で事業を展開

同社は、こうしたシェアハウス建設資金を多くの投資家(所有者、オーナー)から集めました。そして、建設後は一括借り上げという形を取り、入居者からの賃貸収入が主な売上高となります。その賃貸収入から自社の取り分(手数料や代行費用など)を除いた金額を、投資した所有者に支払うというモデルです。

また、資金を拠出した所有者も、月々一定の収入を確保できるという目論見です。今流行りの“サラリーマン大家さん”事業と類似しており、実際にそうした所有者も数多くいた模様です。

最大のリスク要因だった入居者数の激減が現実に

この事業の最大のリスクは、入居者の減少(=“空室率の高まり”)です。入居者が少なければ、同社に入る賃貸収入が減って、それがそのまま所有者が受け取る収入の減少に繋がります。

今回、当初は“女性専用”という目新しさに人気が集まったものの、その後は入居率が低下の一途を辿り、結果的には計画を大幅に下回って資金繰りに行き詰ったということのようです。

また、同社が破産手続きに入ることから、所有者も投資回収の目途がつかなくなりました。

ビジネスモデル自体はごく普通の不動産投資だが…

“なんだ、普通の不動産投資と同じじゃないか。なぜ社会問題になるのか?”と思った人も多いでしょう。

そうです、その通りです。

確かに、同社が投資資金を集める際の違法性(虚偽説明、断定的判断の提供、利益保証など)があったかどうかは、今後明らかになると思われます。しかしながら、同じような不動産投資は数多く行われており、ビジネスモデル自体に違法性を見出すことは難しいでしょう。

では、一体何が大きな社会問題になる可能性が高いのでしょうか?

多額の資金融資を行ったスルガ銀行に大きな批判が集まる

最大の問題は、多くの所有者が購入資金を銀行からの融資(早い話が借金)で工面したことです。しかも、所有者の財務実態に見合っていない過剰融資だった可能性も高まってきました。

今回、所有者に最大の資金融資を行ったのがスルガ銀行であり(注1)、審査を含めたその融資態勢に大きな批判が集まっています。そして、ついに4月13日から金融庁による一斉立ち入り検査が始まったと報じられました(注2)

立ちり検査が進み、同行による資金融資の問題点、あるいは、一歩進んで何らかの違法性(スマートデイズ社との関係含む)が明らかになるのか、今後一層の注目が集まるでしょう。

注1)スマートデイズ社の債権者説明会で、スルガ銀行以外にも複数の銀行が資金融資を行ったことが明らかになっている。
注2)各報道機関が一斉に報じたものの、現時点ではスルガ銀行からの正式発表はない。

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