クラリオン、18年3月期営業利益は38億円減 AI活用による「自動運転・駐車ビジネス」等で反転攻勢へ 

2018年5月9日に行われた、クラリオン株式会社2018年3月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料

スピーカー:クラリオン株式会社 執行役社長兼CEO 川端敦 氏

2018年3月期 決算概況 連結業績推移

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川端敦氏(以下、川端):社長の川端です。本日はお忙しい中、弊社の決算および事業説明会にご参加いただきまして、誠にありがとうございます。

本日は2018年3月期の決算概況に続いて、中期経営方針と目標、中期事業戦略を説明してまいります。

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まず2018年3月期の決算概況です。

2017年3月期の実績、2018年3月期の実績および2018年1月に修正した2018年3月期の業績予想を表にしています。

2018年3月期の売上収益は1,831億円。調整後営業利益は74億円。税引前利益および親会社株主に帰属する当期利益は記載のとおりです。

1月に出した業績予想と比べて10億円上振れておりますが、こちらは29億円を予定していた構造改革に関する費用が19億円になったためです。

配当に関しては、昨日の取締役会で2円と決議いたしました。

棚卸資産(回転日数)、ネット有利子負債、親会社株主持分(親会社株主持分比率)、フリー・キャッシュ・フローは記載のとおりです。

フリー・キャッシュ・フローに関しては、売上減の影響が大きいのですが、それ以外にも売掛債権の増加がフリー・キャッシュ・フローの減少につながっております。

調整後営業利益前期比較

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調整後営業利益の前期比較です。

前期(2017年3月期は)112億円でしたが、(38億円)減少の原因として、減収影響と価格影響があります。そちらを変動費低減、固定費減で補いきれずに、74億円という数値になりました。

製品セグメント別売上

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製品セグメント別売上です。

(棒グラフの)ピンク色の部分は、従来型の「Audio+Others」です。黄色い部分は、「Connectivity Navigation」とスマートフォン連携の「Display Audio」ユニットです。

緑色の部分は、今、弊社が推進している”SurroundEye”、つまり周囲360度をカメラで監視しながら安全運転をサポートする技術であるとか、あるいは“TCU(無線通信機)”のような製品を含む、「Safety & Information」と呼んでいるカテゴリーです。

売上は2017年3月期に比べて減少いたしましたが、我々が今非常に力を入れて開発をしているSafety & Informationの領域に関しては、額・パーセントともに十分膨らんでいるような状況です。

2019年3月期経営計画(連結)

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2019年3月期の経営計画(連結)です。

売上収益は1,650億円。調整後営業利益は30億円。税引前利益、親会社株主に帰属する当期利益は記載のとおりです。配当に関しては、継続的な配当を目論んでおりますが、現状は未定とさせていただきます。

中期経営方針、目標

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中期経営方針および目標の説明をさせていただきます。

こちらに交通事故削減、渋滞減少、温暖化対策、高齢化、過疎化、労働力不足という社会課題を記載しています。

こちらは従来のナビゲーションユニットを作っているメーカーが対象としている課題ではありません。

私どもはナビゲーションユニットを提供するところから一歩踏み出しまして、このような社会課題に対して、日立製作所あるいは日立オートモティブシステムズと力を合わせながら挑んでいくという決心を記載しています。

車の分野に関しては、今、盛んに言われているCASE(コネクテッド=接続性、オートノマス=自動運転、シェアリング=共有、エレクトリフィケーション=電動化)などの分野が、100年に1度の非常に大きな潮流だと言われています。

業界動向としては、(スライド下図「自動車産業」の)三角の部分が従来の自動車のアプリケーションです。ナビゲーションユニットはこの「走る・曲がる・止まる」をサポートする領域に入ると思います。

それに対して周辺産業は「所有」や「利用」、さらには車を使ってビジネスをする「物流」や「くらし」というところまで膨らませながら、自動車に関連するところをスコープに入れながらビジネスを展開していくことになっています。

従来は車中心で自動車ビジネスが動いていたのですが、今後は人が中心になります。車社会という観点から、シームレスにビジネスの領域あるいは生活の領域までサポートしていこうと考えています。

クラリオン めざす姿

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次にクラリオンがめざす姿を説明いたします。

クラリオンのCASEのCは、Connected & Convenience/コネクト、利便性です。車の中あるいは車の外において、シームレスにドライバーに対して利便性を提供する会社でありたいという気持ちを表しています。

Aは、Autonomous/自動運転です。

Sは、Safety(Sensing)/安心・安全の領域です。クラリオンは車社会をサポートしていきたいと考えています。

Eは、Electrification and Entertainment/電動化、エンターテイメント、音響技術です。このようなことを標語として掲げてまいります。

この下の絵は、クラリオンの持っている強みとそれを適用してお客さまに提供する価値の記載です。

クラリオンのサウンド技術、あるいは統合ヒューマン・マシン・ インターフェース(HMI)技術。安全・安心技術。クラウド、ネットワーク技術を適用しながら、お客さまにシームレスな情報や自動駐車の機能、事業者さまに向けた運行管理の技術、快適空間の提供といったアプリケーションを訴求していきたいと考えています。

中期経営方針 経営目標

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中期経営方針、経営目標です。

中期経営方針に関しては、クラリオンブランドを確立した上で、社会における価値の再構築を目指してまいります。車両情報システムソリューションブロバイダーとして、グローバルに成長してまいります。

経営目標としては、2021年3月期は、売上収益2,000億円以上。連結調整後営業利益率5パーセント以上を目標といたします。

中期事業戦略

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中期事業戦略について説明いたします。

まずは基本戦略です。基本戦略の①と②は従来から大きく変えておりません。

①は事業ポートフォリオの変革、事業シフトの加速。

②はグローバル市場でのビジネスの拡大です。

③は2020年以降の成長に向けた事業基盤の構築を新たに設定しています。

戦略骨子です。

まずは事業ポートフォリオの変革および事業シフトの加速として、事業主体をシフトいたします。この絵にあるように、従来のAudio/IVI事業は開発主体を中国・アジア地域に移しながら、生産は中国・アジア・中南米でグローバルに展開していくことを目指しています。

一方、Safety & Informationあるいはコネクテッドという技術に関しては、日本・欧州・米州それぞれの地域で法律の違いがありますし、ユーザーのニーズも違います。これらに関しては、基本的な技術は日本で開発しますが、それぞれの地域のニーズを把握した上で、それぞれの地域で製品化していく方針で望みます。

さらに地域統括体制による「地域成長戦略」を進めてまいります。

後ほど説明いたしますが、中国においては、中国の地場のニーズを組み上げた上で中国で適応できるような製品を中国で開発・生産・提供していくことを目指します。

さらに経営資源の選択・集中・合理化を進めてまいります。

現状認識と今後の成長戦略

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クラリオンの現状認識を説明いたします。

私どもは2012年からポートフォリオの変革を行ってまいりました。

内容としては、利益率の高い製品に特化する開発、Safety & Informationの分野に特化した開発、コネクテッドに特化した開発に注力してまいりました。こちらをポートフォリオ変革の第1章と位置づけています。

昨年度の1月30日に公表いたしましたが、さまざまな課題が明らかになってまいりましたので、選択と集中によるポートフォリオ変革の加速を一層進めてまいります。

具体的には、2020年の足元を固めるという意味で、従来の利益率最優先という観点から、売上と利益率のバランスを取りながら足元を固めていく方針にいたします。

こちら(スライド下図・棒グラフ)にあるように、2018年3月期、2019年3月期はこのような(売上収益の)ボリュームできております。

Safety & Informationはもっと伸びると予測していたのですが、昨年度に関してはSafety & Informationも伸びず、いまひとつだったという認識です。

こちらの分野とConnectivity Navigation、スマートフォンと連携するDisplay Audioの分野を伸ばしていき、2021年3月期にはこのようなポートフォリオに変えていくことを計画しています。成長への取り組みに関しては、こちらにあるような具体的な対策を行ってまいります。

アモイ(中国)開発センター強化

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中国のアモイには、数百人レベルの開発人員を抱えている開発センターがあります。こちらを強化して、中国のみではなくグローバルに展開できるような製品開発を行ってまいります。

従来もAVナビゲーション・オーディオ等は開発を進めていましたが、今回受注いたした大口のIVI(In-Vehicle Infotainment system)の開発移管を本格的に行います。

非常に大きな開発で、この開発が成功すれば、アモイでグローバル向けの製品開発が可能になりますので、今年度は集中的に行ってまいります。

さらに中国国内ビジネスを拡大してまいります。

(スライド写真に)顔写真が見えると思いますけれども、ドライバーモニタリングシステムです。

こちらは中国におけるニーズをくみあげた上で、製品の企画までしてお客さまに提案しておりました。製品に関してはすでにカーメーカーさんから受注をいただきまして、現在量産の設計を進めております。

このように、アモイの開発センターはグローバル向けの製品開発を行うと同時に、伸び盛りである中国の自動車市場に向けて、中国のニーズに合った開発を独自に企画しながら開発を行います。

さらに中国で光庭(楽庭)という会社と連携をしながら、ソフトウェア開発を加速してまいります。

スマートコックピット構想

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次はスマートコックピット構想です。

こちらにあるように、画像解析を含めた情報系の技術、低速運転支援やロケータ誘導の技術などの制御系の技術、AIエージェントやInfoSeatという統合ヒューマンマシンインターフェース(HMI)系技術はクラリオンが独自に開発いたしました。

これらを活かして、カスタマーバリューを実現しながら、お客様に安心していただけるユーザーインターフェースを実現するという観点で、IVI、ヒューマンマシンインターフェース(HMI)を車の中にビルトインしていく技術開発を進めております。

こちらは、IVIという人工知能の要素をある程度入れながら、日立製作所が開発している「LUMADA」に接続します。ローカルで人工知能の機能を働かせながら、「LUMADA」でビックデータの解析を行って、さらにそのデータを戻します。

この「LUMADA」は当然ながら、車だけではなく生活環境にすべてつながりますので、我々はこのスマートコックピット構想で車の中のサポートをするだけではなく、ドライバーの生活全体をサポートする技術開発を進めております。

Clarion Car

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こちらは昨年の東京モーターショー2017、あるいは今年(2018年)1月に開催された「CES(Consumer Electronics Show)」に展示したものです。

こちらに記載のある技術をすべてこのClarion Car(次世代先行技術デモンストレーションカー)の中に入れまして、お客さまに実際に体験・評価していただきました。こちらのアクティビティは今後も続けてまいりまして、2018年のCEATEC、2019年のCESに展示予定です。

自動駐車技術

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次は足元に近い技術ですけれども、自動駐車技術に関する説明です。(スライドの)上にあるのは、自動駐車のロードマップです。

自動駐車の元になるのは、2007年に製品を上市した「SurroundEye」という、車の周辺を360度監視する技術です。

画像を表示する技術がメインですが、画像を認識したり、立体物を認識して、障害物を認識して車を当てないように誘導するような技術も含まれるのですが、こちらの応用技術として「Intelligent Parking Assist」と「Full Auto Parking」を開発してまいりました。

この「Full Auto Parking」に関するファンクションは、日産リーフに搭載されました。私どもはさらに先の「Remote Parking」あるいは「Park by Memory」という技術を開発しています。

この「Park by Memory」という技術に関しては、今年(2018年)1月に開催された「CES(Consumer Electronics Show)」でデモンストレーションを行いました。

具体的にどのような技術かというと、狭い駐車場に車を誘導して停める時には、車の停め方に非常にコツがいるかもしれません。

あるいは(駐車するために)自分の車を右に寄せたり、左に寄せたりという場合があるかと思うのですが、そのようなときに、車に一度停め方を教えると、その後は経路に従って忠実に車を停めにいくという技術です。

日本のような非常に駐車場が狭いところや、アメリカのように歩道にまたがってガレージに入れなければいけないといった時には、特殊な経路で車を停めなければいけない場合がありますが、そのような時にも適応できる技術です。

(「Park by Memory」の)全体的な構成はこのようになっております。

コネクテッド技術を使って、スマートフォンをサーバーにつなぎながら、車両制御技術として日立オートモティブシステムズが開発している「ADAS ECU」と連携をとって、クラリオンが全体のシステムとしてまとめた上で、「Park by Memory」という技術を開発いたしました。

これからそのデモ映像をご覧いただきます。

Park by Memory デモ映像

(デモ映像が流れる)

こちらは、今年2018年1月の「CES(Consumer Electronics Show)」の展示を編集したデモ映像です。

経路を覚えて、(覚えた経路の)近くに車が来たことを認識して駐車できるという状態で、パーキングして、今度は車をそこから脱出させる技術です。

まずは入庫です。こちらは、ドライブから帰ってきたという想定です。

一度パーキングで学習した領域に車が近づくと、車が認識します。このあとは「私(車)がパーキングできます」と告げることになります。

ドライバーが定位置まで車を持ってくると、このあとは手放しです。一度右に振ってから左に振らないと入れないような狭いところは、教師データとして車に教え込むような状況を想定しています。

(デモ映像では)非常に狭い、扉が開けられないような駐車場に停めるという想定ですので、(ドライバーは)車から降ります。このあとは、スマートフォンを操作すると、車が自分で駐車するようになっています。

出庫の場合も、あらかじめドライバーが待ち受けている場所を教えておくと、車が判断して、ドライバーの目の前まで自分で車を持ってくるようになっています。

(デモ映像では)一度反対側に(車体の)頭を振っているんですけど、「このようにしないと車庫から出られない」と車が判断して、入っている教師データにもとづきながら車を動かしているという状態です。

この技術に関しては、スマートフォン連携では日立製作所、車の制御では日立オートモティブシステムズと共同で開発いたしました。

また、さらに先の技術として、完全なオートバレーパーキングのような、自分で駐車場のパーキングロットを見つけて停めに行く、呼んだら自分の判断で車を目の前に持ってくるという技術に関しても、現在開発を進めています。

IoT連携(B to Bビジネス、ソリューションビジネス)

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次は、B to Bビジネス、ソリューションビジネスに関する説明です。こちらはすでにご案内のとおり、クロネコヤマトさん、ヤマト運輸さんに対して、日立製作所と共同で開発を進めているソリューションビジネスです。

各宅配車からの車両運行データを収集して、ビッグデータ解析を行って、配信しています。ビッグデータ解析では、こちら(スライド)にあるような、事故の未前防止型のデータを提供するようなサービスを行っている技術です。

基本としては、この(ソフトウェア)通信を行うための車載端末を搭載する技術とビッグデータ解析が肝となっています。

私どもは独自の技術を生かして、従来から乗用車向けに開発・提供させていただいていた「Smart Access」を事業者様向けに特化した「Smart Access for Enterprise」を新たに開発しています。

さらに、ドライブレコーダーと連携させて、さまざまな事故トラブル、あるいはヒヤリハットのようなイベント情報に関して、リアルタイムでサーバとデータを双方向にやりとりする「SAFE-DR(Drive Recorder)」という技術を開発し、(2018年)5月から提供を始めています。

AI技術活用

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最後の説明です。今までは足元の説明として、すでに開発済み、あるいはほぼ開発済みの技術を説明してまいりました。こちらでは少し先の2021年以降に実現するであろう技術を説明してまいります。

こちら(スライド)にあるように、AIを活用した技術になります。

ナビゲーションの歴史を見ると、昔は車の中に「ナビゲーションユニット」というものが単体で設定されていましたが、スマートフォンを使ったクラウド型になりました。

コンピューティングの世界で言うと、オンプレミス型からクラウド型に変わったというような経緯で説明できると思います。

クラウド型はクラウド型でメリットはたくさんあるのですが、実は車載器にもそれなりのメリットがあります。

車載器側では、車のセンサーの情報をたくさん取り込んで、画像データを取り込んで、瞬時に判断して車に対してアラームを出したり、ハンドルを切ったり、ということができるわけです。

この車載器側でやるべきことを定義して、さらに「車載器の上にAIが入ってきたらどうなるか」ということを現在検討しています。

従来型と違うのは、このクラウド・コンピューティング(ビッグデータ活用/データ解析を行うAIエンジン)からさらに一歩進めて、エッジ・コンピューティングという技術を開発しています。車載器側で何をやるか、クラウド側で何をやるか、ということを定義しながら、それぞれでやるべき仕事を決めていきます。

先ほども申し上げたように、車載器側ではいろいろな情報が取り込めて、瞬時に判断して動けます。一方クラウド側は、たくさんのデータを取り込めて、ビッグデータ解析にかけられます。そのような技術がありますので、それぞれの強みを生かしながら、それぞれでAIを活用する。そのような技術を開発しているわけです。

この技術に関しては現在、ドライバーモニタリングシステムにビルトインして、どのような技術ができるかを検討しています。

このように、足元の技術と2021年以降の技術の開発をそれぞれ加速しています。現在、足元に関しては、2020年まで厳しい状況がまだ続きますが、2021年以降の技術の開発を絶えず続けていく、というのが現状です。以上です。

記事提供:ログミーファイナンス

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