2018年5月24日に日本証券アナリスト協会主催で行われた、日本ドライケミカル株式会社2018年3月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:日本ドライケミカル株式会社 代表取締役社長 遠山榮一 氏

会社概要

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遠山榮一氏(以下、遠山):おはようございます。平成30年3月期の決算説明会ということで、50分ほどみなさんにお時間をいただいて説明させていただきます。

みなさんは、もう(決算の)数字はプロの方だと思いますので、数字(のご説明)はある程度端折って……今日はビデオを持ってきましたので、そういうものも見ていただければと思います。

まず、今年の3月期の(連結)売上高は、326億2,277万円ということでありました。

NDCが活躍する様々なフィールド

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それで、みなさんにもうご案内のように、人間の活動のある所、建物がある所、ありとあらゆる所に、消防防災設備……これがなくてはならないものでございまして、社会インフラの底辺の一番基本的なところの一部を、我々防災メーカーが背負っているということでございます。

この(説明会会場の)建物なんか(で言えば)、スプリンクラー設備や消火器とか、ありとあらゆるものが、建物の中にも、工場にも、グラウンドにもある。こういうことでございます。

売上構成

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それで、(連結売上高の)326億円(となった)、2018年3月期の売上の事業別の数字なんですが。

まず、防災設備事業。これは、建物・プラントの消火設備、あるいは自火報設備になりますが、(連結売上高の)ほぼほぼ半分の139.5億円、42.8パーセント。

それから、こちらにあるメンテナンス事業が、消防設備・自火報設備。そういう設備に対して、法令上は年2回の点検が必要ということで、メンテナンス(を行っています)。この比率は、今は25~26パーセントですけど、これを上げていくことが、我々のこれからの1つの課題でございます。

それから、商品事業。これは、消火器などの機器ですね。防災絡みの機器、防災グッズ。これも我々は作っており、販売店を通して販売しています。これが85.1億円で、26.1パーセント。

それから、車輌事業。これは、消防自動車ですね。我々はこれも作ってまして、これが5.2パーセントということです。(すでに)みなさんにご案内のように、消防自動車の業務での一番のメーカーさんは、モリタさん(モリタホールディングス)であります。

この消防自動車で、日本ドライケミカルは、これから比率・数字を上げていきたいということでございます。

日本の年間の消防自動車の全体生産台数が、梯子も含めて1,100~1,200台なんですよね。おそらくこれは、ずっと変わっていない。その(状況下で)私どもが作っているのは40台そこそこなので、これをもうちょっと、なんとしても増やしていくと。これが、1つの課題でございます。

日本ドライケミカルの歩み

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歴史をちょっと振り返らせていただきますと、日本ドライケミカルという会社は、1955年に創設いたしましたので、それから(2018年現在で)62~63年の歴史があるわけですが。

第1ステージ(1955年-2001年)、もともと日本ドライケミカルという会社は、旭硝子の子会社からスタートした会社で、いったん上場した会社でありました。

その後(第2ステージの)2000年に米国タイコインターナショナル……今、これは「タイコ」という会社の名前がなくなって、ジョンソンコントロールズという会社になりましたが。そこの100パーセント子会社となりまして、それが8~9年(続いたということ)ですね。

その後タイコの株式から離れて独立独歩の会社になりまして、上場を果たし、現在に至っているということでございます。2008年から今(2018年)までが、第3ステージと言っていいのかなと思います。

それから、おそらく今年あるいは来年(2019年)から……今までが第3ステージだとすれば、次の時代が第4ステージと。こういう意味合いで、私自身もそういう思いで、今会社を経営しているというところでございます。

連結損益計算書

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まず、前年の(決算の)数字です。売上高は、前年度比増収ということでございます。

経常利益は、前年度よりちょっと落ちまして、11億6,000万円ということでございます。

総利益は増えているんですが、経常利益で若干数字を落としましたのは、開発費です。将来に向けたいろんな研究開発で、提携先とのいろんな研究開発をやっています。そこの費用が少し嵩んだということでございまして、そのことによる減益でございます。

それから、(親会社株主に帰属する)当期純利益は11億400万円ということで、前年度より増えてますが、これは特別利益によるものでございます。

補助金の収入がございましたので、これが特別利益に加算されて、純利益は増収というかたちになっております。

(売上高が)326億円、そして営業利益が11億円、経常利益のところで10億円台のところです。これを確保できる体力を持っていますが、さらに売上を伸ばして、数字を伸ばしていくということでございます。

連結業績の推移

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この何年間、売上がずっと……総じて右肩上がりとまではいかないけれども、順調に伸びてきていると思っております。

ちなみに、消防防災の業態でナンバーワンの会社さんが、みなさんもご案内かもしれないですけど、能美防災さんです。能美防災さんは、売上がだいたい1,000億円でございますので、私どもはその3分の1です。ゆくゆくは400億円・500億円と、あまりお約束はできないですけども、そういう思いでやっていきたいと思います。

連結貸借対照表

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貸借対照表は、見ていただいて(おわかりのように)、資産・負債・総資産(の合計がそれぞれ)増えておりますが。これは主に、手前どもの会社は、どうしても年前半の2月・3月の売上が、ずっと横々でいくんですけど。1月・2月・3月は、どうしても各社さんの決算月、あるいは市町村の決算(にあたるということ)ですね。

ここにどうしても集中するということで、売上がバーンと伸びます。そうすると、売上が3月に増えるということは、売掛金はばーっと出ますので、毎年同じ傾向ではあるんですが、この3月期はとくにそういう傾向が大きくございました。ここ(スライド右上の吹き出し)に書いてありますように、売上債権の増加が大きな要因で、総資産が増えていると。

それと同時に仕入(債務)も増えますので、そういうことで、総資産・総負債が増えているということでございます。

連結キャッシュ・フロー計算書

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次に、キャッシュ・フローです。

まずは、営業活動によるキャッシュ・フローということで、順調にしっかり行われております。

それから、確実に設備投資もやっておりまして、そういうものの流れる中で、投資活動(によるキャッシュ・フロー)はマイナスと。

財務活動(によるキャッシュ・フロー)も、こちらも逆に借入金の返済を一部でやっておりますので、こういうかたちでマイナスになっております。

トータルでは、プラスのキャッシュ・イン。こういうことでございます。

受注残高推移

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それから、受注残高については、我々は決算報告書にあまり書いていなくて、この(スライドの)上の文章だけなんですが、今日はせっかくみなさんがお越しなので、数字だけちょっと申し上げます。

ここ5年の平成29年3月期までの受注残高は(平成25年3月期から)65億円、77億円、87億円、94億円、96億円ときたんですが、この平成30年の3月期はもう少し増えているということでございまして、受注残高も順調に今推移していると。

みなさんにご案内のように、首都圏……とくにこの(茅場町の)エリアも含めて、大手町とかに行かれると、ものすごくビルが建ってますでしょ? 東京オリンピック・パラリンピックに向けた建物のリニューアル、あるいは新築物件。これは、まだまだ出てきます。

一番今、私どもが懸念しているのは、今いろんな新聞でも出てますが、労働力・協力業者の確保。こういうものがございますが、私どもの協力業者の数は、全国で170~180社でございます。

この数の協力業者を持っているという意味では、かなり我々は、強力な武器を持っているということです。今後の受注残高は、これから仕事……消火設備や自火報設備を作っていかないといけない。こういうことでありますが、これをやるための労働力を、我々はしっかり持っているということでございます。

利益計画(連結)

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2019年3月期(計画で)売上高は335億円。営業利益は、きりのいいところで10億円。経常利益は10億1,500万円。こういう計画をしています。

当社の経営課題と経営施策

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次に、成長戦略ということで、今日本ドライケミカルがどういうことを考えているのかについて、お話をさせていただきます。

(図の矢印に逆行して)上から言ってもいいんですけど、経営課題。これは、なにがなんでも収益を上げていかなければいけないということで、「収益基盤の強化」。これが、なくてはならない。

そうすると、何をしなきゃいけないかということですよね。消防防災メーカーは、大きく……みなさんもご案内かと思いますけど、ただいま能美防災さん、ホーチキさん……こちらは自火報設備が主体です。そして、もう1つの大きな会社さんのモリタホールディングスさんは、消防自動車が主体です。

その中で日本ドライケミカルは、消火設備も自火報設備も、両方とも持っています。消防自動車も持っています。それで、そういう競争をする他社さんがいるわけですので、どう我々の製品・システム・サービスを差別化するか、お客さまに我々の製品を買っていただくか、納得していただくか。

これは、我々が日本ドライケミカル独自の製品・サービス、これを持たなければいけないということです。この独自の防災製品・防災システムの開発が、今後も本当に重要になってくるということでございます。

そうすると、じゃあそのためにどうするかということでございますが、冒頭で申し上げたように、次の世代の防災製品・消防製品の開発。どういうものが、これからの日本の消防・防災に必要不可欠なのか。こういうものを開発していくことが、極めて重要なことでございます。

そのために今、日本ドライケミカルは、独自での技術開発部隊を持っております。今は50名くらいの体制でございます。

アライアンスの強化

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それで、それ(独自の技術開発部隊がある)だけでは不十分でございます。どうするかというと、ここに書いてございます、アライアンスの強化。つまり、日本ドライケミカルだけではできないようなところを、信頼できるパートナーと手を組んで、研究開発を進めていくということでございます。

これによって、日本ドライケミカル独自の製品・システムを開発していくと。これが極めて重要な課題でございます。せっかくですので、後でビデオでお見せします。この数年はこういった施策のもと、いろんな、言ってみれば種まきをしてきたと。

その種まきをしてきたことが、おそらく今年(2018年)から来年・再来年(2019年・2020年)に実となって出てきて、世の中の安心・安全の領域で、日本ドライケミカルが大きな一翼を担うだろうと。こう思っています。

とりわけ、私どもの課題というか、注力しているところがございます。もともと日本ドライケミカルというのは、消火器からスタートしました。消火器から「火を消す」ということで、消火設備もずっと行ってきたわけでありますが。

さらに数年前、火報の会社である沖電気防災という会社を子会社に入れて、吸収合併しました。自火報ビジネスの「自火報」というのは、「自動火災報知設備」でございます。(会場を見て)こういったところにも火報の機器はついてるんですが、煙や熱を感知して報知しています。「火事です! 火事です!」と。

みなさんの家にも住宅用火災警報器とかがありますけど、そういうビジネスでございます。こちらの裾野としては、消火設備よりも自火報のほうが、圧倒的に広いです。

ある特定の大きさ以上の建物に、消火設備は自動でついてまいります。自火報設備は、ほぼすべての各家庭……一戸建ての住宅にも、1つは住宅用火災警報器を付けなければいけないことになっています。

そういう意味では、こういった自火報設備のほうが、裾野が広い。その裾野の広いところに、我々が入っていっています。

そうすると、我々日本ドライケミカルという会社は、消火設備ができて、それから自火報も持っていて、消火器も作っていて、消防自動車も作っていると。これだけの幅広い防災・消防に関して、すべてをやっている会社は、日本ドライケミカルだけです。そのことの独自性(がございます)。

そして、名実ともに「総合防災」というところで、お客さまからすれば、日本ドライケミカルに言えば、防災のすべてのことに関しては、なんでも答えをもらえる。我々からすれば、お客さまに、防災のすべてを提供することができる。言ってみれば、ワンストップソリューションということでございます。そういったところに、しっかりと我々の独自性を出していきたいと思っております。

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ここまでアライアンスの強化というところで(ご説明してきましたが)、みなさんの(お手元の資料の)ところでいくと、29ページ。

(株式の状況は)こういうことで、今は日本ドライケミカルの1番目の(株主は)綜合警備保障さん……これはALSOKさんですが、今は(所有比率が)15.53パーセントと。

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それで、前から繰り返し申し上げていますが、これからは防災の隣のところに、防犯セキュリティ(ALSOK)があるんです。それで、防災の横(右側)のところにも、また電気通信(OKI)というセグメントがある。

それから、産業セグメントです。なぜか「防災」というセグメントは、実は日本の産業文化にはないんですけど。防災といいますか、消防防災ですね。その消防防災の右隣にセキュリティ(ALSOK)がいて、左隣に通信(OKI)がいる。

今はこういう感覚を、自分は持っています。そうすると、ALSOKさんとの事業提携というのはどういうことかというと……ALSOKさんは、防犯セキュリティでしょ? このセキュリティには必ず、防災が付いて回るんですよ。

これから日本で、1人住まいのお年寄りの方がいっぱい出てらっしゃる。そうすると、今はALSOKさんがホームセキュリティをやられていると。ホームセキュリティということは、その「セキュリティ」の大きな意味の中には、当然防災も入っている。

したがって、みなさんに(とっては)ホームセキュリティプラス、火災から助ける。そういうことも当然出てくるということで、今提携をさせていただいています。

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それから、こちら(順位6)の沖電気工業さんは、みなさんにもご案内のように、大手通信会社であります。

防災とは、つまり「知らせる」「繋げる」、こういうことです。それで、沖電気工業さんともいろんな研究開発をやっています。今は沖電気工業さんの方で、いろんな光通信とか(をやっていますが)……みなさんも(ご存じのように)光通信というのは、いっぱい出てますでしょ?

じゃあ、(光通信の)「光」とはどういうことかというと、光でずっと通信をするというところです。その技術を、防災にも活かす。そういう仕組みづくりも、今は可能になってきています。

だから技術開発とは、いろんな意味で、今までの防災メーカーだけの立ち位置では考えもつかない、いろんな製品・システム・仕組みづくりが、できるようになってくるんです。

こういうことを日本ドライケミカルだけでやろうとしたら、絶対に無理なんですね。だから私は、こういったアライアンス(を強化しています)。私どもも小さいながらALSOKさんの株を持っているし、沖電気工業さんの株も持っている。

私どもからすれば、ALSOKさんなり沖電気工業さんは(当社より)もっとでかい会社だけど、お互いに株を持ちあっていく。そして、そういう会社さんとの、いろんな意味での製品開発・考え方に、今は毎日取り組んでいます。そういったかたちの中で、必ずや(経営課題の収益基盤の強化につながると考えています)。(順位5の)新日本空調さんも、目玉の会社さんです。

だから、そういったところで、いろんな考え方の総合防災を使って(いく)。あるいは、セキュリティの中に総合防災が入っていて、それから通信の世界では、ビル管理があります。「ビル管理」とはどういうことかというと、エネルギー管理・温度調節、それからエレベーターの調整。

ああいうところには、必ずコントロールパネルがあります。コントロールパネルで、総合防災のものを取り組んでいけば、1つの統合司令室・管理室で、1棟のビルの総合管理・ウォッチも可能になる。こういうふうに、おそらく時代は変わっていくだろうと。

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もう1回、アライアンスの強化のところをご覧ください。そういうことを、やっているということでございます。それから、もう1つ強調させていただきたいのは、今ここの(スライドの左側に)「海外製品」というところがあります。

今日本ドライケミカルでは、徹底的に海外の良いものを提供することに取り組んでいます。グローバルな防災会社さんとの提携・製品開発・日本市場への導入に取り組んでいくことも、申し添えております。

FireDosというのは、ドイツの会社です。それから、Xtralisはオーストラリアの会社です。これ以外にも、アメリカの会社もいっぱいあります。そういう良いものを、日本の市場に取り入れようとしております。おそらくその意味では、日本ドライケミカルが他の防災メーカーさんよりも、そういう意味では一番先を進んでおります。

始興金属の子会社化

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それから、この会社(始興金属)。これ(スライドの右下)は、アルミの容器です。アルミで消火器のシリンダーを作っている会社なんですが、この会社を子会社化しました。言ってみれば、アルミニウム製の消火器のシリンダーを作っている工場を、今は韓国に持っています。

(会場の消火器を見て)消火器もここにある……どこのか知らないけど。これは全部鉄ですので、みなさんに(鉄製とアルミニウム製の消火器をそれぞれ)持っていただくと、ぜんぜん違うと。おそらく、アルミの消火器ですと(鉄製の消火器より)30パーセントぐらい軽いです。みなさんのお家の消火器でも(重いよりは)軽いほうがいいので、そのような消火器を、もっと市場(でのシェア拡大)をやっていきたいと思っています。

例えば、ここに消火器があるでしょ? 消火器の中には何が入っているのかというと、粉末。粉末消火器の一番(多い)原材料が何かと言うと、リン酸アンモニウムが入っています。そのリン酸アンモニウムが、火を消す(ための)大きな要素です。

今日はせっかくですから、みなさんに、火災(が起きたとき)の火を消すための4つの項目を申し上げます。当然のことながら、火を消すための一番のあれ(要素)は、1つは「除去」。可燃物を取り除いちゃうっていうことです。もう1つは「冷却」。冷却の一番の大きな要素をもっているのは、水です。それから「窒息」。酸素を遮断しちゃうと。こういうことで、火を消します。

それからもう1つは、みなさん(もご存じのように)「触媒」という言葉があるでしょ? それの(反対の)「負触媒」。「触媒」とは、どんどん活性化するという意味があります。それの「負触媒」ということは(抑制させるということです)。

火がどんどん燃え盛るのは、触媒の効果ということです。(負触媒では)それを抑制させる。抑制させて、火を消していくということでございます。この(消火器に入っている)粉末のリン酸アンモニウムは、負触媒の効果をもっております。これは肥料にも使えるんですが、火を消すときにうってつけのものでございます。

今は、通常の(粉末)消火器は我々も作っていますが、そのリン酸アンモニウムが40パーセント入っています。40パーセントしか、入ってないんです。残りは硫酸アンモニウムとか……これも火を消すものなんだけど、それほど効果的な消火能力があるものではない。

NDCプレミア90

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(そこで)今回、我々は「NDCプレミア90」というものを出します。これは(先ほど)申し上げた粉末薬剤のリン酸アンモニウムが、90パーセントの濃度で入っています。90パーセント入っていますと、やはり消火能力が、ものすごくぜんぜん違うんです。

それを、今日はせっかくですから、みなさんに……(決算の)数字だけ見ていてもあんまりあれだ(お伝えしたいことが伝えきれない)から、いっぱい動画を用意しています。10分~15分ぐらいお見せします。

通常の消火器の消火能力

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通常の(消火器の)「ABC40」……「ABC」というのは、A火災・B火災・C火災と(いうことです)。Aは木材とか紙(が燃える「普通火災」)ね。Bは石油類のB(「油火災」)です。Cは電気で(「電気火災」)、ABCと言っている。

どういう火災でも、この粉末薬剤で消せるんですが。(「ABC40」の)「40」は(粉末が)40パーセントしか入ってない消火器。こういう普通の消火器で、いったんやります。

(動画が流れる)

遠山:そうすると、今これで(粉末が)出てます。「B-14」というのは、消火模型を意味してます。2.8平米の大きさのオイルタンクに、オイルを入れてやっていきます。そして、今火をつけます。

(それを)あの大きさの消火器で消しにかかります。これは、消せない。というのは、この大きさ(B40)の消火器では本来、この半分(既定の面積分)しか消せないんです。

NDCプレミア90の消火能力①

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ところが、リン酸アンモニウムが90パーセント入った「NDCプレミア90」で(先ほどと)同じ面積でやると、実はこれが消えちゃうということです。(先ほどのABC40と)同じ大きさの消火模型で、リン酸アンモニウムが90パーセント入った消火器で消す。

(動画が流れる)

遠山:(かなり燃えているので)これは、みなさんも(ご心配かと思いますが)、うちのプロがやりますから大丈夫ですけど(笑)。消せるんですよね。

本当に、この(ABC40の)消火器は……自分で消火器を作っていながら、こんなことをみなさんに言うのもあれなんですが、リン酸アンモニウムが40パーセントしか入ってないとなかなか(消せない)。今の消火器は、実はこういった(ものが多いです)。

本来はこれの半分(既定の面積)を消すので問題ないんですけど、これだけのもっと大きなもの(既定の倍の面積)になると消せないということです。非常にこういう(既定の倍の面積も消火できる)ものも、我々は作っていくということです。

やはり、世の中に一番大切なのは……みなさんだって、そうでしょ? 自分の(住んでいる)ところに住宅用の消火器があったら、(よりたくさん)消えたほうがいいよね。あんまり消えにくいよりも、消える消火器のほうが良いということです。

NDCプレミア90の消火能力②

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それから、もっとお見せすると、これは今の消火模型で一番でかい、4平米のやつです。これは、炎が4、5メートルばーっと上がります。それで、一番大きな消火器……これの2倍の大きさの消火器です。これも当然消えないんだけど……普通の消火器ではね。でも、「NDCプレミア90」は、これだけ大きいんです。

(動画が流れる)

遠山:(普通の消火器より)もうちょっと大きな消火器です。これ(大型消火器に相当する消火模型)はものすごい火が出ます(が、それでも)、リン酸アンモニウムを90パーセント入れたやつ(「NDCプレミア90」)で、この消火器はちょっと大きいんですが……消せたんです。

これを、ある台湾の消防関係の人に見せたら、喜んでましたよ。拍手してました。それぐらいすごいの。だから、こういうものを、我々は世の中に提案していくということでございます。はい、次。

住宅用フードファン付 レンジ用自動消火装置 キッチンファイター

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「キッチンファイター」(の設置イメージ)は、ここに消火器を置いて、ノズルを出して……みなさん、糸魚川大火があったでしょ? 糸魚川大火のときは、ラーメン屋のご主人が荷物を取りに行って、コンロに火をつけたままで、置いていっちゃったんだけどね。

天ぷら油は、280度ぐらいで火が出ます。火が出たら(燃え広がり方が)すごいです。我々はそれに対して(「キッチンファイター」という)ソリューションを出しました。こういうところで24時間ウォッチしています。ここに「サーミスタ」という温度センサーがありまして、これは温度・熱を感知します。

熱を感知すると自動的に、このノズルから消火剤が放射されます。これは、すごくお値段的にもお買い求めできるぐらいの、いいところで出しますが。これで、24時間ウォッチします。ですから、この「キッチンファイター」が糸魚川大火のときに、ラーメン屋のお店に付いてたら、あの大火は防げた。24時間(ウォッチしているので)。だから、これはご家庭にも良いものです。

それから、今から我々はこれを、厨房のあるお店……世の中に、いっぱいありますでしょ? そういうところにこういうものを付けておけば、安全が保たれるということでございます。これは、日本消防設備安全センターさんの認証もとっております。これが、1リットルの液体消火器です。こういうものを、我々も開発しているということです。はい、それから次。

(動画が流れる)

遠山:みなさん、見てください。火が消えます。実際に(「キッチンファイター」で)消火しています。薬剤は強化液を使っています。

これが、レンジが付いて……ここでずっと、天ぷら油の温度を上げていきます。まず、白い煙が出てきて、突然炎が上がります。それから、火が燃え広がっていきます。

そうすると、ここに「サーミスタセンサ」が付いているんですが、このセンサーで温度を感知します。これだけ、天ぷらでね(燃えるんです)。これで感知して、一瞬で火を消します。なので、天ぷらの油は「鹸化」と言うんですけども、(石鹸のように)固まっちゃう。

だから、こういうものがちゃんと(提供できるようにしていきたいということです)。例えば、今屋台とかで(火事が起こったら)人がいて、そのまま燃えていたら、大変なことになるでしょ? だから、そういうもの(へのソリューション)を我々は提供して、世の中の安心・安全に繋げていきたいということでございます。それから、次。

DRFFE 密集住宅用高所消火装置

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みなさんも、せっかく今日お聞きになって(いるので、知ってほしいのですが、2018年)5月31日から6月3日の日曜日まで、5年に1回の展示会の「東京国際消防防災展2018」というものがあります。そこで、我々もこんなもの(密集住宅用高所消火装置の「DRFFE」)を出します。

これは、日本で一番出ている、普通の小型消防自動車です。これをずっと上に伸ばして、ここから(放水します)。ここにドイツ製の放水銃が付いています。地上からここ(放水銃)までの高さが、8メートルです。

そうすると、(守備範囲が)ぜんぜん違う。普通の消防団の常駐の人がやられると、こういうふうに持つでしょ? そうすると、だいたい(地上から)1メートルぐらいの高さになります。1メートルぐらいの高さから、放水するわけです。そうすると、守備範囲(スライドの黄色の手持管鎗放水範囲)が、やっぱり狭いです。消防の人がここでやってますけど、これだと、せいぜいこれぐらいです。

(それに対して、「DRFFE」は)理論上、8メートルのところからやると、1台の消防ホースがカバーするエリア(水色のDRFFE放水範囲)は、圧倒的に大きさが違う。8メートルですから、だいたい3階の上までいきます。上(先端)にカメラが付いていて、火災現場を見ることができます。どこに火災があって、どこで今一番火が燃えているか(を特定します)。

それによって、効果的な消火活動ができるということです。これを「東京国際消防防災展2018」に出します。本当は国際防災展まで秘密にしたかったんだけど、今日はせっかくの機会なので、お話しすることにしました。

(動画が流れる)

遠山:これは上から(見た様子です)。これで、自動操作ができるんです。角度を変えたりできる、非常に優れたものでございます。そういうものも、持っています。

これはうちの千葉工場で(消火は)隣の建物の上からやりました。火を消すのは、上から打つのが一番良いんです。上から打つことによって、消火能力もぜんぜん違います。これ(「DRFFE」)であれば、狭いところにもどんどん入っていけますので、集合住宅のようなところでは、こういうものが一番うってつけであろうということです。

超高感度煙検知システム VESDA

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それから、これは「VESDA」です。これ、V・E・S・D・Aでしょ? 単純なんだ。Very Early Smoke Detection Apparatusということで、VESDAと言っています。

今日は金融機関さんもいらっしゃってるけど、今は東京証券取引所でも、データセンターがすごいでしょ? データセンターのそれぞれのラックの火災や、ケーブル火災が多いんです。ケーブル火災について、普通の煙感知器が煙を感知したときには、おそらく火災は(すでに)相当出ている。

(それに対して)これは、煙が見えなくても煙を検知する優れものです。火災では、早く見つけて確実に消すことに尽きるわけでございます。こういったものにも、我々は(取り組んでいます)。これはオーストラリアの会社で持っていまして、今の日本では、我々しか扱っていません。

これにより、重要なデータを守ります。普通の煙感知器では見つけられない、本当に初期の段階での煙を、しっかり確実に捉える。しかも、これが優れていることは、全部のラックに付けられるということです。そうすると、どのラックで煙が出てるかがわかるんです。

例えば、あるラックで煙が出たとすると、「何番目のラックで、今煙が出てますよ」という場所を表示してくれます。場所を表示してくれるので、「VESDAアドレッサブル」ということです。アドレスは住所のことなので、場所を確定できるという意味で「VESDAアドレッサブル」と言います。

そうしたら、今度はそこにいる監視員の方や管理人の方が、ここ(煙が出ているラック)がわかっていますから、そこに行って消火器で(消火する)。そのときは、おそらくガス系の消火器が良いのでしょうけども、そういうもので消してしまうと。そうすれば、大切なデータを守ることができるということでございます。

東京国際消防防災展2018

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みなさんにもぜひ(お越しいただきたいのですが)、「東京国際消防防災展2018」を、ビッグサイトでやります。(2018年)5月31日から6月3日まで。我々がそこで出展するのは、先ほどの上からやるやつ(「DRFFE」)とか。

それから、これはちょっと専門的になりますけども、大きなトレーラーの上に泡の原液と混合装置も入れた、大きなコンビナートの中に移動できるようなコンセプトのもの(「FireDosプロポーショナー搭載トレーラー」)を出します。さっきの(「アライアンスの強化」で)ご紹介のね。それから、「キッチンファイター」です。ほかにもいろいろありますが、こういうものを出します。

日本ドライケミカルは、通常の防災メーカーさんとは違うコンセプトで、新しい消防防災システムの開発に取り組んでいくということでございます。そういう意味においては、日本ドライケミカルが、その分野ではおそらく一番手です。そういうところで、製品の差別化を図ります。

それと同時に、こういう優れたシステム・品物・防災機器で、環境にも優しいものを日本の消防の分野に入れなければいけない。どうしても、日本の消防・防災分野は、かなりゆっくり(進んでいます)。みなさんも、日本の消防防災は優れた技術水準にあると、お思いだと思います。私も、そう思いますが。

じゃあ、グローバルスタンダードから見たときにどうなのかというと、実は海外は、けっこう進んじゃってる。そういうところに我々は目を向けて、海外のシステムの良いものはどんどん取り入れていって、そして日本の安心・安全に繋げていく。これが大切だと思ってます。

日本では、どうしても地震や津波などの自然災害があるじゃないですか。そうすると、日本の総合防災力はなんぞやと。建物の耐震化とかは、当然日本も進んでいるわけですが。そういう中で、消防・防災のエリアで防災力に対して、日本ドライケミカルが大きな実績を通していくということです。会社の収益も大切だけど、世の中の安心・安全の質を少しでも高めるということも、大切でございます。そういうものに向かって、我々はがんばっていきたいと思います。

ちょうどいいお時間になりましたので、ここまでを、私からのプレゼンとさせていただきます。ありがとうございました。

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