2018年5月8日に行われた、株式会社NTTデータイントラマート2018年3月期決算説明会の内容を書き起こしでお届けします。IR資料

スピーカー:株式会社NTTデータイントラマート 代表取締役社長 中山義人 氏

会社概要

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中山義人氏(以下、中山):本日お忙しいところ、私どもの決算発表会、ご参加いただきまして、誠にありがとうございます。それでは早速、昨年度の事業状況について、ご説明をしていきたいと思います。今日はこちらにある順番で、お話をしてまいりたいと思います。

会社の概要は、もう改めて言うまでもないかもしれませんが、エヌ・ティ・ティ・データ・イントラマート。名前のとおりの「Intra-mart」という名前のパッケージ製品を、広く展開をしています。子会社が2社ございまして、上海での販売子会社、あとはイントラマートCSIという子会社。この2社がございます。

決算ハイライト【前年比】

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まず、前年対比との決算ハイライトからお話をしたいと思いますけれども、売上高・営業利益・経常利益・当期利益ともに、昨年度よりも増収増益を達成しています。パッケージに関しましては、前年比で1億1,200万円ほどの増加の、53億2,200万円。内訳でいきますと、パッケージ事業。この後お話しますが、これが大きく伸ばしています。逆に、もう1つのセグメントであります、サービス事業。こちらが昨年度に比べますと、大幅な減少になっている状況でございます。

営業利益に関しましては、前年比2,900万円増の6億2,600万円。経常利益は、1億1,800万円増の6億2,200万円となります。

決算ハイライト【計画比】

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計画対比でいきますと、売上高が届きませんでした。

もともと55億円の計画でございましたが、53億2,200万円にとどまりました。これも先ほどのように、パッケージに関しては、計画よりも大きく伸ばすことができましたが、サービス事業のセグメントが、計画よりも下がっていることによります。営業利益・経常利益ともに、計画よりも上回っています。

業績概況

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今私がお話した状況を、数字の表にしたものになります。

経年の通期売上高・営業利益の推移

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経年では平成26年度から、営業利益に関しまして、このように伸ばしてきている状況でございますが、やはりこの3年間、トップライン、売上高がほぼ横ばいになっているところが課題でございまして。こちらをどう伸ばしていくのかというところです。このへんもとくに今日、説明の中心にしていきたいと思います。

営業利益率の推移

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まずは、営業利益から説明していきますと、パッケージ事業の伸長によりまして、だいたい昨年と同じくらいの営業利益率です。11.8パーセントになります。これは、通常パッケージ事業が売上伸長しますと、営業利益はそれに伴いまして、大幅に増加していくんですけれども、これもまた後ほど出てきますが、私ども今、この後のトップラインを伸ばすための、いろんな先行投資をしています。

新製品・ソリューション強化の実施により、研究開発費が増加している面。あるいは、人材育成・要員の増加によって、販売費が増加していることによりまして、営業利益率はほぼ昨年と横ばいの数字になります。

事業セグメント別業績概況

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セグメント別です。

財務の状況

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財務の状況です。

パッケージ事業①

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各事業セグメントごとに、中身を振り返っていきます。まず、パッケージ事業からになりますけれども、とくに伸びましたのが、業務プロセス改善というキーワード、とくに働き方改革がちまたでも言われていますが、まさにそういったものをITで効率化していくためのツールとして、認知度が普及しています。

そういった業務プロセス改善を実現していくための上位モデルと言いますが、私どもでいきますと、エンタープライズ版という一番販売単価の高い商品が、大きく伸びています。この中にBPM、ビジネスプロセスマネジメントとか、RPAという、こういった業務効率の自動化に寄与する機能が含まれていまして。こういったものを使った大型案件が増加をしています。もう1つは、クラウドサービスです。こちらも新規導入が堅調に推移をしました。

パッケージ事業②

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こちらがパッケージ事業の経年の伸びになります。昨年度対比でいきますと、8.9パーセント増ということになりますが、このパッケージ事業の、また、中身を見ていきたいと思います。

パッケージ事業 - 保守・ストックライセンス

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保守・ストックライセンスからいきますと、昨年度対比で11.5パーセントの増加です。これは私どものビジネスモデルですけれども、パッケージをお客さまに販売しますと、その初年度から全体のライセンスの約20パーセントが、経年で保守料として上がることになります。これが経年で積み重ねてきていますので、非常にストックライセンスとして、安定した収益基盤のもとになっていることになります。

パッケージ事業 - ライセンス

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もう1つが、ライセンス販売です。こちらが初期にお客さまにご購入いただくライセンスの金額になります。これが昨年は大きく伸びました。17パーセントとなります。

パッケージ事業③

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では、なぜ大きく伸びたのかです。まず1つは、導入社数が今回6,000社を突破いたしました。グラフを見ていただきますと、この2013年から、急に導入社数の伸びが顕著になっているのがわかります。業務プロセス管理を含めた製品を、リリースしたのが、この2013年からです。

それまでは、いわゆるワークフローという製品を、ある意味地道に販売をしていたわけですが、業務プロセス管理という機能を付け加えて販売することによって、この導入社数の伸びが、一気に引き上がってきているのがわかります。

パッケージ事業 - ライセンス(BPM関連製品)

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業務プロセス管理というのは、「IM-BPM」という私どもの製品名になります。こちらがライセンス金額を大きく引き上げる、一番の要因になっているわけです。

パッケージ事業④

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トレンドなんですけれども、いわゆる業務プロセスのデジタル化と言いまして、今までは会社の中で手作業ですとか、エクセルとか、あるいは印刷したものをまた画面上で二重入力するなど、非常にアナログな業務が多いわけなんですけれども、こういったものをデジタル化できるツールになります。

私どもは業務プロセスの「Digital Transformation」というキーワードで、お客さまに訴求をしているわけですが、これは前年度比で24パーセントの伸びです。この4月以降も、さらに上回る伸び率が続いています。この流れはまだまだ続くと理解をしています。とくにRPAと組み合わせたソリューションニーズが高く、アナログの業務の全体的に自動化していき今まで2週間かかっていた仕事を1日とか2日で終えてしまうような、自動化のニーズが強くなってきていることが背景にあります。

パッケージ事業⑤

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理解を深めるために、1つ事例でお話をしたいと思います。

例えば、これはヤフーが導入した、「Yahoo!プレミアム」会員向けの業務プロセスのデジタル化です。

お客さまはこれまで、キャンペーンを企画して、設計をして、開発をして、月次運用。例えば、ソフトバンクユーザーにはポイントを2倍付与するといった、いろんなキャンペーンがあるかと思いますけれども、こういったものも全部、手作業とエクセルで管理をしていたわけです。

実際の工程にもかなりの時間がかかっていたんですが、こういったものには私どもの製品が力を発揮します。従来8時間かかっていたものを30分で終えるという、大幅な自動化を成功しています。このように一度自動化がうまくいきますと、例えば、このヤフーの中ですと、他にも同じような業務がたくさんありますから、そこにもどんどん展開して、同じ会社の中でプロセスの自動化がどんどん進行していくという深掘りにもなってまいります。

パッケージ事業⑥

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私どもは全国200社を超えるパートナーさんと一緒に、全国展開をしていますが、今までどちらかと言うとワークフローの技術習得にとどまっていたパートナーさんのスキルを、現在、先ほどの新製品の扱えるような技術者へのシフト、教育を、昨年度はかなり手厚く行いました。

サービス事業①

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では、今度一転して、サービス事業にいきたいと思います。

先ほど触れましたように、昨年度足を引っ張ったのが、サービス事業になります。コンサルティングや技術研修は伸長したんですけれども、SIの売上縮小が要因になっています。もう1つ、これも後ほど触れますが、ソリューション強化の実施に伴う研究開発費の増加、こういったものによりまして、営業利益率も低減していることがございます。

サービス事業②

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経年では(売上高が)昨年度7.2パーセント減ということで、平成28年度から12年連続で減少してきていることになるわけですが、実は理由があります。

サービス事業③

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あえて、売上のトップラインを減らしてきていた3年間と言ってもいいかと思います。

もともと平成28年度は、非常に収益性が低く赤字の温床になっていました中国のオフショア開発をやめました。平成29年度はさらに、不採算の原因を全面的にカットをいたしまして、ある意味全部、本来やるべき業務に絞り込んできていることが、この3年間のトップラインの縮小になります。

重ねて注力してきましたのが、直接販売です。私どもは業務プロセスの自動化をこれからさらにいろんな業種・業界にどんどん展開していこうと企画しているわけですが、業種・業界ごとにどうしても業務ノウハウが必要になります。

その業務ノウハウを習得するために、必要なお客さまに関しては直接販売をしていくことで、社員のノウハウ習得につなげていく活動を、平成28年度から始めています。それまではパートナーによる間接販売が100パーセントだったんですけれども、この直接販売の部隊を組織してやっていくことで、業務ノウハウの習得が進みました。

どんなものが習得できたのかは、この後お話をしていきますが、最終的には出てきたものをまたパッケージのかたちにしまして、全国のパートナーを通じて、特定の業界にまた再販していくという、こういったモデルを、この3年間でうまく回し始めることができるようになってきたと理解をしています。

サービス事業④

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「intra-mart Accel Platform」が、先ほど言いました業務改善のプラットフォームです。そこの上に業種・業界ごとに、例えば、製造業向けであれば工場の自動化、IoTのソリューション、あるいはサプライヤーポータル、修理保守のノウハウを直販で習得しながら、ラインナップの強化をしてきているわけです。

これが製造業だけではなく、この後サービス業・金融業など、各業種・業界を越えて、幅広くラインナップが進んでまいります。

サービス事業⑤

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どんなことを創出できたのかということですけれども、昨年度、あるお客さまからの直接販売で習得し「修理保守ソリューション」の構築のパッケージ化をすることができました。とくにこの修理・メンテナンス業界は、人手不足が顕著な業界でございます。また、人手もかかる労働集約的な業界です。こういったところは非常に経営者の方も、IT投資に対する積極的な考え方が強いところでございます。

保守業務を自動化するソリューション、中にはAIで修理保守要員のディスパッチをするなど最先端の機能を組み込んでいるんですが、こういったものを我々が保守サービス会社に対して展開できるようになってきました。実際にこの4月からでも、この関係でお客さまにだいたい3、4件くらい、新規受注を繰り返しで取れるようになってきました。

ここから先はもう繰り返しになってきますので、質の高いサービスを展開できるようになってきます。

サービス事業⑥

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同じようなかたちで「サプライヤーポータルソリューション」も昨年度作りました。

製造業は海外にたくさんのサプライヤー、取引先を持っているんですが、こういったものの一元管理に頭を悩ますお客さんは多いわけです。また、取引先とのやり取りも、見積書・注文書含めて、紙とFAXと、まあいろんな手作業が多いところなんです。

こういったものも全部自動化するソリューションです。これも同じように、今期になりまして、完成したこのテンプレート、パッケージを展開していくことができるようになってきています。

サービス事業⑦

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こういった営みを今加速するために、さらにパートナーとの協業モデルを進めています。例えば、ティアックオンキヨーソリューションズ社と販売パートナー契約を結びまして、先ほどの修理保守パッケージ、修理保守のテンプレートです。これを家電業界向けに販売をしていただくことを、今進めています。

さらには、B-Prost社。こちらは、もともと保険業界に特化したノウハウを持っているベンチャー集団と提携しまして、今度は金融・保険業界のテンプレートの展開を共同で進めるといったふうに、今までの全国一律同じ内容を売っていたパートナーモデルとは、だいぶ業種・業界ごとの色がついたパートナーに、だんだん進化してきていると言えます。

サービス事業⑧

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そういったことで、このパートナーも積極的に業種・業界に展開していく「Leading Partner」と、あとは先ほどのように、私どもと一緒になってノウハウをかたちにして、パッケージテンプレートを作ってもらう「Offering Partner」に、層分けできるようになってきたということになります。

成⻑戦略

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では、この後の成長戦略を、引き続き話していきます。大きく4つの成長戦略ですけれども、まず1つ目。中堅マーケットからお話をしていきます。

成⻑戦略 中堅マーケットへの展開①

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私どもは今お話したような、業務プロセスの自動化にマーケットのポテンシャルを見出して、市場展開をやってきたわけですが、これまでは、例えばヤフーさんで言うように、大手が中心でした。今現在でも、やはり大手のお客さまとの受注が多いんですけれども、実際にやっていきますと、今は中堅のお客さまの引き合い・受注も増えてくるようになりました。ここでの中堅というのは、だいたい年商が200億円から300億円、400億円、こういったあたりです。

今までの「intra-mart」をワークフローで展開していた時代には、年商が1,000億円以上のお客さま、従業員が1万人以上のお客さまを中心に販売をしていたんですが、業務プロセス周りのパッケージにしてから、今まで接したことのなかった中堅のお客さまに、ソリューション展開の裾野が広がってきていることになってきています。

成⻑戦略 中堅マーケットへの展開②

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現在、このチャンスをさらに活かすために「Accel-Mart」というクラウド版を、昨年度、市場投入をいたしました。非常に手軽な価格でスピーディに利用ができるということで、今こちらでの新規導入が増えています。クラウドでの収入はイントラマート社が直接パッケージだけではなく、クラウドを丸ごと月額で提供していくようなサービスになります。

これが現在新規で上がってきているわけです。一番最初にお話した中で、保守・ストックライセンスが伸びているグラフがあったと思いますけれども、プラスで乗ってくる売上につながるともくろんでいます。

成⻑戦略 ソリューション事業の拡大

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ソリューション事業の拡大です。

いろんな業種・業界のノウハウをためるために、直販を含めていろいろ展開をし始めているんですが、やっぱり社内でのSEリソースが課題になっています。そういったものを解消するために、私どもの200社のパートナーの中から、我々が展開しようとしていく業種・業界のノウハウを持っているパートナー3社にマイナー出資をして、一緒にノウハウをためこんでいく仲間を作ってまいりました。

今はここにある3社とともに、私どものサービス事業の体制強化の枠組みの中に入っていただきます。例えばサザンクロスシステムズ社という会社は、医療業界にも知見があるわけです。ですので、今、業務プロセスの自動化は病院の中でも、院内効率化というキーワードでニーズが出てきているわけですけれども、そういったものを一緒に展開しています。同じような仲間づくりを、必要に応じて投資を繰り返しながら、横に広げていくことを進めていく予定です。

成⻑戦略 デジタル技術への積極的な取り組み

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もう1つは、デジタル系技術への積極的な取り組みです。

先ほど言いました業務プロセスの自動化は、最近はいろんなデジタルテクノロジーを組み合わせて導入することが多いです。例えば、IoTと組み合わせることで、センサーから上がってきた情報をもとにして、修理保守のプロセスを自動的に動かすとか。

あるいは、RPAをと組み合わせることで、業務全体の自動化を実現したり。あるいは、AIを組み込むことで、これまで人でしか判断できなかったようなプロセスの意思決定の箇所を、全部自動化したりというようなことで、現在、お客さまが関心あるのは、フルオートメーション化と我々言っていますけれども、もう人手を一切かけないくらいの自動化をしたいというニーズがございます。それによりまして、本当にプロセスも短時間で処理ができるようになります。

あるお客さまですと、保険の申込み、保険金請求で、従来、1ヶ月近くかかっていたものが、数時間くらいでできるようになってきます。こういったデジタル技術を組み込みながら、そういったお客さまのニーズに積極的に応えていきたいと思っています。

成⻑戦略 海外市場への展開

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最後は、海外市場の展開ということになります。私どものプラットフォームの上に、海外でまた横展開できるようなテンプレートで、とくに中国とアジアを中心とした展開を積極的に進めています。とくに、私どもの関連の深いエヌ・ティ・ティ・データがそれぞれの東南アジア・中国において、今プレゼンスをどんどん発揮しようとしていますので、そこと連携しながら市場開拓を進めている状況でございます。

平成30年度 業績予想

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(平成31年3月期の業績予想として)売上高は約60億円です。

3年間ほぼ横ばいであったトップラインを大きく引き上げていくのが、来年の大きなポイントになってきます。パッケージ事業も引き続き堅調です。10.5パーセントの伸びです。昨年までマイナスであったサービス事業が、今期は16.5パーセントの伸びを設定しています。

差し引き、営業利益で6億6,000万円ということで、営業利益率11パーセントです。このあたりが来年度の目標になります。

ちなみに、連結配当性向は目標である30パーセントに向けまして、徐々に引き上げてきている段階です。来年度はその途中、通過点になりますが、23.7パーセントを配当性向の目標にしています。

以上になります。

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