2018年4月27日に行われた、日東電工株式会社2018年3月期決算説明会の内容を書き起こしでお届けします。IR資料

スピーカー:日東電工株式会社 取締役 常務執行役員 武内徹 氏

2018年3月期決算説明会

武内徹氏:武内です。本日はご多忙のところ、日東のテレフォンカンファレンスにご参加いただきましてありがとうございます。これより2018年3月期通期の連結業績と、2019年3月期の見通しについてご報告いたします。

まず2018年3月期の業績の概要を申し上げます。

2018年3月期事業年度における経済環境は、昨年度からの景気拡大基調が継続し、良好なファンダメンタルズも伴って、世界的な成長に支えられました。国内でも良好な雇用環境や人手不足を背景とした効率化投資などが続いており、国内経済は緩やかながらも堅調に拡大しています。

しかしながら、2018年に入ると、好調だった先進国の株式市場は、高値圏から大きく調整しており、米国、中国などの保護主義的な動きにも警戒感が高まりつつあります。

このような経済環境のもと、当社グループはオプトロニクス、インダストリアルテープにおいて、変化の激しいスマートフォン市場などの大きな変化に対し、付加価値の高い新たな製品の投入することで、前事業年度から大きく業績を上げることができました。

決算および業績予想サマリー

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全体の売上高は前事業年度と比較し11.5パーセント増の8,562億6,200万円。また営業利益は35.8パーセント増の1,257億2,200万円。当期利益は37.3パーセント増の874億6,300万円の増収増益となりました。これらにつきましては、いずれの数字も1事業年度としては当社にとりまして過去最高のものとなりました。

セグメント別の状況

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次にセグメント別の業績の概況を申し上げます。

インダストリアルテープではトランスポーテーション事業の自動車材料は、構造材料などでは主要市場における自動車生産台数の減少の影響を受けましたが、EV向けなど車の電装化に向けた製品のスペックイン活動を拡大させました。

基盤機能材料はスマートフォン向け構造接着両面テープや、電子部品、製造工程用のプロセス材料など、エレクトロニクス関連製品が業績を大きく牽引し、さらにエアーフィルター用途などのフッ素加工式材料や、保護材料なども着実に収益を伸ばしたことにより、当セグメントの収収益性向上に貢献しました。

以上の結果、売上高は9.3パーセント増の3,391億9,500万円。営業利益は25.2パーセント増の343億5,700万円となりました。

次にオプトロニクスについて申し上げます。情報機能材料では有機ELディスプレイを用いたスマートフォン向けで、製品の材料構成や製造プロセスの変化に対応したタッチパネル用の透明フィルムや、透明粘着シートなどの新製品が業績を大きく牽引しました。プリント回路やプロセス材料も、付加価値の高い製品を供給するとともに構造改革も進め、収益性をさらに高めました。

当セグメントは第4四半期に入り、スマートフォン需要が減速しましたが、前事業年度からは大きく収益を拡大させることができました。以上の結果、売上高は17パーセント増の4,906億3,200万円。営業利益は91パーセント増の925億4,800万円となりました。

ライフサイエンス事業では、核酸医薬の受託製造においてお客さまの新薬開発中止を受け、収益面で影響を受けました。

この受託案件では契約に基づき支払われるものの一部について収益認識をしましたが、前事業年度との比較ではセグメント全体の収益は大きく減少しています。

しかしながら、ライセンスを供与した肝硬変治療薬、さらに独自で開発を進めている肺線維症治療薬がいずれも次の治験フェーズに入り、着実な進展を遂げています。

以上の結果、売上高は18.6パーセント減の361億7,100万円。営業利益は71.8パーセント減の59億8,500万円となりました。

その他セグメントは、売上高は2.9パーセント減の252億7,900万円。営業損失は1億4,000万円となりました。

2019年3月期業績見通し

続きまして、2019年3月期の業績の見通しを申し上げます。2019年3月期の経済動向は、引き続き世界的にファンダメンタルズが良好で、拡大基調が継続するものと見られていますが、保護主義的な通商政策の広がりや、不安定な金融市場による企業業績や消費の落ち込みに伴う急激な変化に留意する必要があります。このような状況のもと、当社グループは以下のように対処していきます。

インダストリアルテープにおいては、トランスポーテーション事業では海外エリアごとに拠点による供給体制の最適化を推進し収益を改善するとともに、次世代自動車分野や自動車以外のモビリティ分野での新製品開発に取り組み、市場の変化とニーズに応えていきます。

基盤機能材料では、既存事業の構造改革を進める一方、豊橋工場でのプロセス材料や、関東工場でのフッ素加工式材料の製造設備での投資を実行し、付加価値の高い製品を拡充しました。市場変化や顧客ニーズにいち早く対応するとともに、他事業との連携による新製品創出などにも積極的にチャレンジしていきます。

オプトロニクスにおいて、情報機能材料では業界トップの技術力に磨きをかけるとともに、合理化を徹底し、高収益事業の維持、拡大に努めます。また既存事業の技術共用や材料、製造技術などの私的財産を用いた新たなビジネスモデルをさらに拡大していきます。

プリント回路およびプロセス材料においては、ハードディスクドライブ、半導体メモリー向けの既存事業のシェア拡大等、微細回路の多用途展開によるポートフォリオ改革にも取り組んでまいります。

ライフサイエンスにおいては、後期認証や新薬承認を追い風に、ますます活発化してくる核酸創薬分野において、新規顧客開拓を強化し、受託製造サービスのシェアを拡大するとともに、創薬事業では線維症および難治性がん治療薬領域で研究開発を推進し、新たな柱の事業として育てていきます。

これら各事業における課題を確実に実現していくことにより、2019年3月期の通気連結売上高および利益は、次に申し上げますとおり当期に比べ成長する見込みです。

売上高は当事業年度と比較し、0.4パーセント増の8,600億円。営業利益は7.4パーセント増の1,350億円。当期利益は14.3パーセント増の1,000億円を見込んでおります。

なお業績見通しは、為替レート1米ドル107円を前提としております。この見通しは現時点で入手可能な情報に基づき当社が判断したものであり、実際の業績はこれらの業績見通しと異なる結果となり得ることをご承知おきください。

最後に当社グループは今年10月に創立100周年を迎えます。この記念すべき節目を超え、次の100年に向けてより一層の成長を実現していくために、激しい変化をチャンスに変え、当社の強みである技術によってお客さまの価値創造に貢献していきます。以上です。

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