責任は誰に? かぼちゃの馬車、レオパレス21問題の本質とは

サブリースのリスクが一気に顕在化

もう何年も前から訴えてきたことが現実になってしまいました。サブリース(一括家賃保証システム)の隠れたリスクについては、私が15年前に拙著『金持ち大家さんになるアパート・マンション経営塾』(日本実業出版社)に書いて警鐘を鳴らしました。

もちろん、本に書く何年も前からセミナーなどでも訴え続けていましたので、投資家が知ろうとすれば知ることができ、避けることができたリスクだといえます。ですが、今も昔も投資をする前に勉強する人は少ないようです。

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日本全国で問題噴出の「家賃保証」

リーマンショック以降、「一括家賃保証30年」という謳い文句で新築アパートなどの不動産投資が日本全国に広がり、マイナス金利で積極的な銀行の融資姿勢もあり、サラリーマン大家さんにもその投資スキームが広がりました。しかし、そのスキームの裏には大きな落とし穴が隠されていたのです。

投資家が多額の借金をして購入した物件は、実は業者の利益率が30%以上といわれるほどかなり割高。家賃保証の原資は、当然入居者から払われるべきところですが、そもそも割高な建築費に見合う割高な家賃設定になっているため、稼働率は安定しません。

結局、運営会社は保証額に足りない分は建築費で儲けた利益から補填し、それでも足りなくなれば、保証家賃を一方的に減額するという暴挙に転じます。

当然、大家さんは当てにしていた賃料が入ってこなければ、巨額のローンを抱えて破産寸前まで追い込まれる。そして運営会社も破綻し、銀行には不良債権が残る・・・。

先日、テレビ東京の「ガイアの夜明け」でも特集された女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」の破綻問題や、日本で初めて家賃一括借り上げシステムを導入した「レオパレス21」のサブリース賃料減額トラブルのように、いま日本各地でこのようなリスクが次々と顕在化し大問題になっているのです。

サブリースは家賃保証であって家賃保証ではない!?

一括家賃保証なのに、なぜこのようなトラブルが起きるのか?

それは、このシステムは家賃保証であっても、家賃減額できることを前提にしたシステムになっているからです。そのため、どのサブリース契約にも以下のような一文が必ず盛り込まれています。

「経済情勢、近傍家賃を鑑み、保証家賃は2年毎に見直すことができる」

これは借地借家法第32条1項に規定される「賃料減額請求権」を盾にした文言であり、この条文には「近傍家賃相場や経済事情の変動などがあれば、将来に向かって家賃の増減(値下げ)を請求することができる」と規定されています。

つまり、この法律上の規定があるために、仮にサブリース契約の条項の中に「家賃減額請求」に関する項目がなかったとしても、借主となるサブリース業者は、この法律によって賃料の減額を請求できることになってしまうのです。

これを盾にして、レオパレス21をはじめ様々なアパートメーカーが全国各地で次のようなトラブルを引き起こしています。

「家賃を10%減額してくれないと、これ以上家賃保証を継続できません。もし条件をのんでいただけない場合には、サブリース契約を解除して我々は撤退します」

さらにタチが悪いケースだと、家賃保証継続の条件として10年毎に「家主の負担で最新の設備等にリフォームする」という条項が入っていることもあります。しかも、このリフォームはサブリース業者指定の業者とする、という念の入れようです。

当然、保証家賃を下げて最新の設備にすれば、楽に入居者を獲得することはできるでしょう。それをサブリース業者指定の業者で施工するのが条件となれば、リフォームの利益もありますから、サブリース業者は儲かります。

しかし、リフォームで出費がかさみ、家賃も下げられたあげく、収益の悪くなる大家さんはどうでしょう?

彼らの要求をのまなければ、自分で賃貸経営をしなければなりませんから、他に仕事があったり、大家業の素人だったりしたら、背に腹は変えられず泣く泣く業者の要求をのまざるを得ない人も多いでしょう。こうして知識のない大家さんは骨の髄まで食い物にされる運命なのです。

成功したいならサブリースは当てにしないこと

昨今のサブリーストラブルに鑑み、国交省では賃貸管理業者登録制度に登録している企業に対して、サブリース家賃の減額説明を義務化しています。つまり、一括借り上げの提案時に、家賃増減の可能性についてしっかり重要事項として説明しなさい、ということ。

しかし、そもそも国交省の賃貸管理業者登録制度は任意であり、説明義務があるのは登録している業者のみ。しかも、説明をしなかった場合の罰則規定はありませんので、サブリーストラブルの抑止力には、ほとんどなっていないのが現状です。

「かぼちゃの馬車」問題は、スルガ銀行の不正融資問題も相まって大問題に発展していますし、レオパレス21に関しては、保証賃料の減額や全国数百棟に及ぶ建築基準法違反など、集団訴訟に発展するケースもでています。今後その実態がさらに暴かれ、さらに多くの被害者も顕在化してくることになるでしょう。

一番の責任は投資家にあり

しかし、それでも一番の責任は投資家にあり!と私は思います。

巨額の資金を投じて行うアパート経営は、第三者に丸投げすべきものではなく、投資家本人が経営者という意識をしっかりと持ち、事前に勉強をした上で取り組むべきものだからです。

特に不動産投資は株や投資信託などの金融商品とは違い、投資家本人でその投資結果をコントロールできる唯一の投資であり、学ぼうと思えば、不動産投資に関わるあらゆるノウハウが手に入ります。

不動産投資が体系的に学べる「不動産実務検定」などで学べば、サブリースをしない方がリスクも少なく儲けられるということが理解できるでしょう。また、全国各地の大家さんが主催する「大家の会」などの勉強会に参加していれば、このようなトラブルに巻き込まれることもなかったでしょう。

今回のトラブルに巻き込まれている投資家は、老後の不安から「少しでも蓄えを・・・」、「手軽に相続税が軽減できるから・・・」などと、十分な勉強をせず、安易に答えを求めた末の結果だといえるでしょう。8割がたは、そんな投資家が食い物にされていると思いますが、2割は投資家の自己責任です。

簡単に儲かる話がそこら辺に転がっているわけがありません。投資もビジネスも徹底的に頭に汗をかいた人が成功するようになっているのです。

一攫千金などクソ食らえなのです。

YouTubeにて最新無料動画「浦田健セミナー」を不動産投資、相続対策、資産運用などのテーマで毎週更新中。ぜひご覧ください。

浦田 健

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浦田 健
  • 浦田 健
  • 株式会社FPコミュニケーションズ代表取締役
  • 一般財団法人日本不動産コミュニティー(J-REC)代表理事

明治大学商学部卒。
2002年個人向け不動産コンサルティング会社を創業。 近年、国内はもとより海外の不動産コンサルティングを手がける。
2008年「すべての人に不動産の知識を!」を使命としJ-RECを創設、 同時に「不動産実務検定」を開始。全国35カ所以上に教室を開設し、いつでも、だれでも、どこでも 不動産実務知識が学べる環境をつくる。
主な著書に「金持ち大家さん」シリーズ他不動産関連書籍多数、発行部数は業界最多となる累計30万部を超える。