2018年6月7日の東京株式市場で日経平均株価の終値は前日より128円76銭安の22,694円50銭となりました。週初から4日続伸したこともあって利益確定などの売りが出ました。

米株高や円安などを受けて日経平均も上昇

6月1日に発表された5月の米雇用統計が好調だったことや、外国為替市場で円安が進んだことなどを受けて、日経平均は大幅な反発で始まりました。4日は前週末比で304円高となり、5~7日も続伸。4日間の上げ幅は累計で650円以上となりました。8日の取引時間中には一時、22,879円まで上昇し、23,000円に迫りました。

今後の動きはどうなるのか

今後の動きはどうなるでしょうか。引き続き、米株高と円安が追い風になりそうです。8日の米株式市場ではダウ工業株30種平均が3日続伸し、3か月ぶりの高値で終えました。ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は6日まで4日続伸し、連日で過去最高値を更新しました。7日は反落しましたが、8日には反発しています。8日のニューヨーク外国為替市場で円相場は続伸し、1ドル=109円50~60銭で取引を終えましたが、直近では円安傾向が続いており、輸出関連株を中心に買いが進みそうです。

今週は重要イベントが相次いで行われます。12日の米朝首脳会談、13日の米連邦公開市場委員会(FOMC)、14日の欧州中央銀行(ECB)理事会などです。

一時は中止と見られていた米朝首脳会談が開催されることから、北朝鮮を巡る地政学リスクは、足元では後退したといえます。ただし、会談が成功するかどうかは予断を許さないところです。特に今回は準備期間が短かったため、一定の合意に至らないことも想定されます。米トランプ大統領の言動も予測しづらく、決裂に終わる可能性もないとはいえません。その場合には、投資家の間に失望売りが広がることも考えられます。

一方で、7日には日米首脳会談も行われましたが、トランプ氏は日本との貿易不均衡の是正に強い姿勢を見せました。日米関係も楽観はできません。今後の利上げ加速や保護主義の動きにも注意が必要です。

25日移動平均線を回復、5日移動平均線とのゴールデンクロスも

今週の動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。先々週は大きく窓をあけて下落した後、75日移動平均線で下値をサポートされ反発しました。先週末は5日移動平均線で上値を押さえられていましたが、先週初4日には窓をあけて上昇し、これを一気に突破。その後は5日移動平均線で下値をサポートされ上昇しました。

6日にはローソク足の実体で25日移動平均線も超えました。5日移動平均線と25日移動平均線のゴールデンクロスも形成されました。

チャートの形は良好。目線を上に持って臨みたい

先週まで、足元では、5月21日(23,050円)を高値とする下降トレンドになっていました。この下降トレンドを崩すためには、戻り高値である28日の22,481円を上回る必要がありました。それに近い22,500円と25日移動平均線が重なるため、意識されやすいポイントでしたが、今週、そこを超えてきました。

その点では、直近の目線は上に持っていいでしょう。5日、25日、75日、200日と複数の移動平均線も、いずれも上向きになっています。

上値のめどとしては、まずは節目として意識されやすい23,000円を超えられるかどうか。過去にもみ合ったところであり、売買も積み上がっているため、ここを突破するためにはパワーが必要ですが、超えてしまえば強いサポートになる可能性もあります。特に5月21日の23,050円を超えることができれば、3月26日(20,347円)を底とする、新たな大きな上昇トレンドが発生することになります。

逆に下値めどは75日線の22,000円付近になるでしょう。

下原 一晃