連日報道される目黒区の船戸結愛ちゃん(5)の虐待死事件。ニュースを目にするたび胸が痛み、涙を流す方も少なくないでしょう。3人の子どもを抱える筆者も、暗く、苦しく、辛い気持ちで報道に目を通しています。

これまで起きた一つ一つの事件は比べられるものではありませんが、今回は改めて子育てについて考えさせられる機会となりました。結愛ちゃんの事件を思いながら、再度考えたいのが「子どもの人権」です。日本は、1994年に国連の「子どもの権利条約」に批准しています。それでも自分は子どもの人権を意識して子育てできていたのか、振り返ってみました。

子どもの自尊心を傷つけるしつけをしていないか

普段、私たちは子どもの人権を軽く捉え、子どもの自尊心を傷つけるような接し方をしていないでしょうか。たとえば以下のようなことを、無意識にしていないでしょうか。

  • 「おもちゃを片付けないと捨てちゃうよ!」「置いていくよ!」と、実際はしないことを言って子どもを脅す
  • 子どもの遊びに「何でそんなことをしたの!」と問いただす
  • 「もうあんたはダメなんだから」と人格を否定するような発言をする
  • 「ダメ!」と怒鳴って終わり
  • 大声で怒る
  • 疲れているときに子どもに対して口調が強くなったり、怒るなど八つ当たりをする

これらのことを、大人に対してやる人は少ないでしょう。大人にはやらないけれど、子どもにはやる。その時点で、子どもの人権を軽く考えているのではないでしょうか。とはいえ筆者も、上記のようなことを子どもにしてしまった覚えはあります。

児童精神科医の佐々木正美さんは、著書『子どもへのまなざし』(福音館書店)で「しつけというのは、子どもの自尊心を傷つけるようなやり方でしようとしては、ぜったいにいけないのです」と言います。しつけに関わらず、子どもの自尊心を傷つけるような言動はよくありません。それなのになぜ、「子どもだから」と人権を軽視してしまうのでしょうか。

大人側に余裕がないと難しい

大人のほうが肉体的にも、精神的にも、経済的にも大きな力がありますから、どうしても自然と上下関係が生まれてしまいます。大人側がそのことを頭に置き、「子どもを一人の人間として捉える」という意識をしっかりと持ち続ける必要があります。

とはいえ、大人側に余裕がないとそれもなかなか難しいことです。「身体の余裕、心の余裕、経済的な余裕、環境的な余裕(子育てを手伝ったり相談にのってくれる人はいるか、夫婦関係は良好か)」などありますが、これらの余裕がなければ、しばしば子どもに八つ当たりしてしまう大人も少なくありません。現代では余裕のない大人がほとんどである、とも言えそうです。

本当に「仕方がない」のか?