歴史的な米朝会談を受けた市場は概ね冷静

トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は、6月12日、シンガポールで米朝首脳会談を行い、会談後には合意文書に署名しました。この「包括的な合意文書」には、「朝鮮半島に永続的で安定した平和体制を構築する努力を共同して進める」との文言が盛り込まれたほかに、以下の4点が合意内容として記載されました。

合意内容(Reuter報道より)

  • 北朝鮮は「朝鮮半島の完全な非核化に向けた取り組みにコミット」する。
  • 米朝は「米国と北朝鮮との新たな関係を築く」ことで一致した。
  • ポンペオ米国務長官と北朝鮮側の担当者が主導するフォローアップ交渉の実施で米朝は合意した。
  • トランプ大統領と金委員長は「新たな米朝関係の発展および朝鮮半島と世界の平和と繁栄、安全保障の推進に向けた協力にコミット」する。

合意内容の詳しい解説は他の報道にお任せしますが、個人的には、北朝鮮による自主的な核の完全廃棄という目標と体制保証を合意とし、具体論は今後の協議に委ねた首脳同士の総論的な合意と評価しています。

金融市場の反応はというと、概ね冷静に捉えていると言えます。日本や中国、香港の株式市場は、前日比小幅高で引けました。一方、韓国をはじめアセアン諸国の株価は、やや軟調で前日比では下げて終わっています。欧州株式市場も小幅安です。

おそらく、会談でのより前向きな結果への期待感が強すぎたと推測されます。会談前は終戦協定締結への期待もあり、南北朝鮮の経済的な協力推進を予想し、両国経済の発展が急進するとの楽天的な見方さえありました。

実際の会談結果からは、今後まだ米朝の間では踏むべきステップがあり、現時点では経済的に具体的な成果を期待するには至らないということでしょう。同時に、和平への道は大きく開かれたわけで、その点は評価すべきです。これは、経済にとっても、長期的には前向きな合意といえます。

米欧日の金融政策はどうなるか

世界中が注目した米朝首脳会談は、一定の成果を収めて無事終了しましたが、今週は、米・欧・日の中央銀行が金融政策を決定する会議を開催することも忘れてはなりません。

まずは米FRBが利上げを実施するかどうかですが、大方の予想通り、筆者も利上げの実施を予想しています。米国経済の堅調さは揺るぎなく、年内3回の利上げというFOMCでのコンセンサスをいかに実行するかを考えれば、利上げを見送る選択肢はないと考えます。

またECBですが、市場の予想は債券購入プログラムの年内終了を決定するというものです。筆者は、欧州経済の状況、特に南北地域格差が大きい現状からは、このタイミングでの決定は、やや拙速と考えています。

日銀については、政策変更なしを予想しています。金融緩和政策の出口にはまだまだ程遠いところにあり、むしろ市場に変な疑念を抱かせないことが肝要と思います。

つつがなくイベントの多い今週を乗り越えて、少し明るめ、リスクに関してはポジティブなトーンが一時的に強まることが考えられます。

ニッポン・ウェルス・リミテッド・リストリクティド・ライセンス・バンク 長谷川 建一