投資を「ギャンブルだ」と言い切ってしまう人がいます。お金持ちの投資家の中には自分の投資内容を詳しく聞かれずに他人から「ギャンブルだ」といわれると不快な気分になる人もいます。なぜでしょうか。それは投資家の原則があるからです。では、投資とギャンブルは何が違うのでしょうか。また、お金持ちの考える投資とは何でしょうか。今回はこうした点について考えてみましょう。

そもそも投資とは何か

投資というとPCのモニターの前で、日中、為替や株式をトレーディングしている姿を想像するかもしれません。しかし、投資という行為は、自分以外の誰か、もしくは何かが収益を生み出してくれる機会にお金を投じることです。金融商品などの売買をする一部の作業を指すのではありません。

トレーディングは短期的な需給の差をとらえて超過収益を狙うものであり、資本市場に寄り添うことでそうした収益機会を狙う行為です。それと比べるとやや長めの時間で収益を上げる機会にお金を投じることとの違いはイメージできるかと思います。

もちろんトレーディングをする作業そのものは投資の一部であり、トレーディングという行為は否定されるものではありません。

お金持ちが期待する投資とは

お金持ちは投資に何を期待しているのでしょうか。それは自分の時間を使わなくとも収益を生み出すことです。お金持ちの行動としては収益機会を常に探し、自分が出張らなくとも(自分が手を動かさなくとも)収益を生み出す機会にお金を投じることを好みます。

もっとも、お金持ちにもトレーディング自体を楽しむ人もいますが、モニターを見ている間に別の仕事に関する大きな意思決定や仕事を同時にこなすことは難しいでしょう。「私はできる!」という方もいるかと思いますが、ほとんどということはないでしょう。

投資と投機を分けるもの、それはバリュエーション

バリュエーションという言葉をご存知でしょうか。投資機会の価値判断をする際の評価基準であり、プロセスでもあります。投資をする際には、その投資対象が割高なのか、割安なのかを判断することが必要です。

投資家が投資を検討している金融商品について、提示されている値段よりもその金融商品の価値が高いと思えば投資をしますし、安いと思えば投資を見送ることでしょう。投資家からすれば極めてシンプルな行動です。

もっとも、この判断をするには基準が必要です。この基準をもってお金を投じるのが「投資」です。また、その判断基準がないものが「投機」ということになります。したがって、投資家からすれば極めて合理的な判断のもとにお金を投じているのであって、それを「あてずっぽうだ」とか「ギャンブルだ」と言い切られると、そうではないと言いたくなります。

まとめ

今自分がお金を投じようとしていることが「投資」か「投機」かに迷ったら、自分が直接行動しなくともそれは収益を生み出すのか、また正しく価値評価(バリュエーション)出来ているのかを今一度振り返ってみてみましょう。こうした要因を整理することで自分がいま「投資」をしようとしているのか、また「投機」をしようとしているかの目安にはなるでしょう。

青山 諭志