はじめに

ブラック企業という言葉は、皆さんご存知ですよね? なんとなく労働環境や給与待遇などに問題あったり、従業員を使い捨てにしたりする企業といったイメージを持たれている方も多いと思いますが、具体的にブラック企業とはどういったものなのかと聞かれると答えられないという方も多いのではないでしょうか。今回はブラック企業の特徴や定義、入社した会社がブラック企業だった場合の対応策などについて見ていきましょう。

目次

1. ブラック企業とはどういった企業なのか?
2. ブラック企業の労働時間、その特徴
3. ブラック企業の給与や報酬の特徴
4. ブラック企業の採用とは?その特徴
5. ブラック企業でよくある精神論、その特徴
6. ブラック企業でよく見られるハラスメントの特徴
7. もし入社した企業がブラック企業だったら?
8. おわりに

ブラック企業とはどういった企業なのか?

厚生労働省では具体的にはブラック企業の定義を示してはいません。しかし、一般的な定義としては、「労働者に対して過度な長時間労働やノルマなどを課す」「賃金不払残業やパワーハラスメントなどが横行しており、企業のコンプライアンス意識が極端に低い」「劣悪な労働環境の中で、耐えられる労働者と耐えられない労働者の選別を行い待遇に差をつける」といったものとなります。

つまり、労働基準法に定められた法定労働時間である「1日8時間、週40時間」という基準をはるかに超えた長時間労働を労働者に強いたり、残業代が支払われないにもかかわらず毎日のように残業をさせるといった劣悪な労働環境、そのような環境に耐えられない者にはパワハラなどで精神を追い詰める、採用や離職が繰り返されており常に求人を出しているような従業員が使い捨てにされている企業のことをいうのです。

こういった企業の体質は1970年代から問題視され始めましたが、元来多くの日本企業ではこういった体質が存在したというような見方もあるようです。労働環境への意識が高くなり社会の目が厳しくなったことによって、元々あった問題が表面化してきて社会問題として認知されるようになったということです。そして現在では改善すべき問題として、社会全体で取り組むことが必要となっています。

ブラック企業の労働時間、その特徴

長時間労働

ブラック企業の大きな特徴のひとつが長時間労働です。ブラック企業かどうかの基準としてもっとも重要なものとも言えます。企業側が労働者に残業をさせるためには、労働基準法第36条の規定に基づいて労働組合あるいは労働者の過半数を占める代表者との合意「36協定」締結が必要となります。

しかし、同法に基づく「労働基準法36条1項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準」では月に45時間という残業時間の上限値が規定されています。したがって具体的には、月に45時間を超える残業があるというのが「ブラック企業である」という基準になるとされています。

つまり、残業が月45時間を超えるとなると法令違反の状態となるため、ブラックの可能性が高まるのです。ちなみに月の残業が80時間以上になると厚生労働省の定義する過労死ラインを超えてしまい、命にもかかわります。

休日が少ない

休日が少ないというのもブラック企業の特徴です。休みがないことでリフレッシュできない、友達と会う時間もないというような状態はブラック企業の可能性が高いと言えます。平均的な企業の休日数は年間120日ぐらいとされています。カレンダー通りに土日祝日を休日だと考えても、年間120日程度になります。この休日が年間100日に満たないのなら、休日は少ない企業だといえます。

さらに年間の休日が80日を下回るといった場合には休日が少なすぎるブラック企業の疑いが濃くなります。年間80日の休日ということは、月に6日程度しか休めないということですから、休日がほとんど満足に取れないということですよね。

ブラック企業の給与や報酬の特徴

労働時間とともにブラック企業の基準となるのが給与です。労働時間や成果に対する給与が低すぎる、十分な報酬が出ないケースではブラック企業の可能性が高いでしょう。具体的にどういったケースがあるのでしょうか。

残業代が出ない

ブラック企業では、よく残業代が支払われないという事例があります。労働時間が長く残業が多いのがブラック企業の特徴ですが、残業代が払われることなくサービス残業となっているというケースもよく見られます。労働基準監督署の目から逃れるために、一旦定時でタイムカードを打刻してから働かせる、自宅での持ち帰り作業を強要するといったことが行われているケースもあります。これは当然法令違反です。

雇用契約がおかしい

固定給にあらかじめ残業代が含まれているような「みなし残業制度」の採用や、管理職だから残業代が出ないなどといったこともよく見られます。これらは正しく運用されているのであれば何の問題もありませんが、残業代を抑えるために悪用されているケースも多く、問題視されています。みなし残業を導入する際には従業員への周知徹底や固定残業代・残業時間の明確な記載ということが求められていますので、それらがない場合には違法なみなし残業ということになりブラック企業の可能性が高まるでしょう。

また、実際には管理職に相当する権限が無いにも関わらず管理職としている「名ばかり管理職」にも同じようにブラック企業の可能性が高いと言えます。

ブラック企業の採用とは?その特徴

ブラック企業の特徴のひとつに社員の入れ替わりが激しいというものがあります。ブラック企業は使えないと思った社員はすぐに切り捨ててしまうという体質があり、社員を使い捨てのように考えていることが多いのです。そのため、離職率がとても高く人の入れ替わりが激しくなります。

入社が簡単

もう一つブラック企業の特徴に、簡単に入社出来るという傾向があります。ブラック企業では、長時間労働など待遇の悪さから突然従業員が辞める、職場に来なくなるといったケースがよくありますが、引き継ぎなどが行われてスムーズに辞めていくという事例は稀です。社員が突然辞めると緊急に人材を確保する必要があるため、採用基準がとてもゆるく学歴や職歴などが重要視されないことが多いのです。

このため、基本的には入社自体はとても簡単で、経験やスキル、学歴などがなくてもすぐに採用されるケースはよく見られます。ブラック企業で重要視されるのは、過酷な労働環境でも耐えられるのかということになりますから、やる気がある人や情熱を持って働ける人、などという謳い文句が求人に載っていることも多いようです。もちろん、やる気や情熱はとても大切ですが、その言葉を隠れ蓑にして社員を使い潰そうというのがブラック企業の特徴でしょう。

ブラック企業でよくある精神論、その特徴

ブラック企業では、精神論がよく出てくると言われています。たとえば、「やればできる!」「仲間」「感謝」というようなフレーズです。上司が精神論でしか指導できない、ほかの指導の仕方を知らないというようなケースも少なくなく、頑張る=長時間労働だと思っているようなケースも多いです。

やればできる

この言葉には、「やる気がないからできない」、「文句を言わずにさっさと仕事をしろ」、というような意味合いが含まれています。このような言葉だけで具体的なアドバイスや指示がないというのもブラック企業の特徴です。

仲間

「仲間」という言葉もブラック企業ではよく聞くフレーズです。仲間なのだからと連帯感を持たせる、仲間が頑張っているんだから同じように長時間働け、というように使われているケースが多いようです。

感謝

「採用してやったのだから感謝しろ」、「会社に対して文句をいうな」、といった意味がこの言葉には込められているようです。苦労して就職や転職活動を行った末にやっと入ったというような人だと、この言葉を聞くたびにせっかく採用してもらったのだから感謝しなければというような、ある種洗脳状態になってしまうことも多いようです。

ブラック企業でよく見られるハラスメントの特徴

ブラック企業は体育会系のところが多く、上下関係が非常に厳しいという特徴があります。そのため、上司や社長のいうことは絶対で、逆らうことができないという体質ができあがっていることが多いのです。たとえ理不尽な内容であっても従わなければいけない、従わないとどうなるかわからない、というような恐怖で縛り付けていることも多く、これが行き過ぎるとパワハラやセクハラといったハラスメントにつながります。

パワハラ

上司によるパワハラが横行しているのもブラック企業の特徴です。「売り上げ目標に届かなかったら給料をカットする」、「過度な仕事を押し付けて残業を強いる」というようなことがよくあるのですが、ほかの従業員もそれらの言動になれていて見て見ぬふりをする、もしくはそれが正しいことだというように日常的に行われるということが特徴です。

セクハラ

ブラック企業はコンプライアンス意識に欠けているところが多く、セクハラなどもよく見られるようです。給与や待遇などを引き合いに出して相手が拒否できないのをいいことに、身体などに触る接触行為をしてくる、性的な内容の話をしてくるといったことで悩む社員がいることも少なくありません。

もし入社した企業がブラック企業だったら?

良い会社だと思って入ったらブラック企業だったというようなケースは誰にでも起こり得ることです。もし、ブラック企業に勤めてしまったらどうすればよいのでしょうか。

ブラック企業を改善する

まだ改善の余地がある、今の会社で働き続けたいというような場合にはブラック企業を改善することができないか考えてみましょう。

ブラック企業の場合、労働組合がないこともあるでしょうから、そのような時には誰でも加入できるユニオンのような合同労働組合へ加入してみるのもひとつの手です。1人からでも加入できますし、社内で秘密裏に賛同者を増やしていけば改善することも可能かもしれません。また、労働基準監督署の力を借りるということもひとつの方法ですので検討してみましょう。

辞める

会社に未練がない、改善の余地がないということであれば思い切って辞めてしまうというのもいいでしょう。会社はひとつではありませんから、辞めることを決意したら転職先を探し始めておくと、退職後の活動もスムーズに進みます。忙しくて転職活動を進め辛いのであれば、転職エージェントを活用するのもおすすめです。

ブラック企業と戦う

違法性が高い、身体に影響が出ているという場合には会社と戦うという選択肢もあります。労働者が手軽に法的処置を行うための労働審判というものもありますし、残業代などの未払い金を取り戻すための対策などもあります。きちんと働いた分の給料をもらいたいと思うのなら、労働基準監督署などに相談してみるといいでしょう。また、各自治体には法律相談などもあるので、必要に応じて利用しましょう。

おわりに

このように、ブラック企業にはさまざまな特徴があります。自分の働いている会社がブラックかもと思ったら、今回の記事と照らし合わせて確認してみましょう。また、ブラック企業に入社してしまったら、辞めるということ以外にも選べる選択肢はあります。自分が勤める企業のブラック度やその職場でまだ働きたいかなどを冷静に考えて、その後の対策を考えてみるとよいでしょう。

LIMO編集部