いまさら聞けない、「リキャップCB」って何? 個人投資家が知っておきたい3つのポイント

そもそもリキャップCBとは

2016年4月1日に工作機械メーカーのソディック(6143)は、80億円の新株予約権付社債(CB)の発行と30億円を上限とする自社株買いを実施すると発表しました。

また、過去1か月間では、富士機械製造(6134)、協立メンテナンス(9616)、京阪電気鉄道(9045)も同様なスキームの資金調達を実施しています。

このように、CBで資金調達を行うと同時に、その一部あるいは全額で自社株買いを行うことをリキャップCBと呼びます。

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リキャップはリキャピタライゼーション(recapitalization)の略称で、CB発行により借入金の割合を増やし、自社株買いの実施により株主資本を圧縮する取り組みを意味します。

発表後の株価は上昇

一般的には、CBを含むエクイティファイナンスを発表した翌日の株価は下落します。将来の株式数の増加による一株利益の希薄化が懸念されるためです。

ただし、CBの発行と同時に自社株買いを実施するリキャップCBの場合は、株価が上昇するケースが多く見られます、実際に、上記4社の株価も翌日には上昇していました。

これは、将来、株価が転換価格まで上昇すれば希薄化する可能性はあるものの、目先は自社株買いによりROEが改善することや、株式の需給関係が好転することが好感されたためと考えられます。

個人投資家が注意するべきポイントは?

「リキャップCB発表後に株価が上昇」というニュースを目にすると、急にその銘柄が魅力的ものに変化したのではという錯覚に陥りがちですが、これはあくまでも短期的な株価の動きの説明に過ぎません。正しくこのニュースを理解するために、個人投資家は以下の3点に気を付けましょう。

第1は、リキャップCBによる企業の将来の収益力の変化です。

調達資金を全て自社株買いに使う場合は、資本構成の変化に過ぎないので、その企業の将来の「稼ぐ力」が変わることはありません。

一方で、リキャップCBで調達された資金を自社株買いだけではなく、設備投資にも使う予定があるのであれば、それにより将来の成長性が高まるのかを見極めることが大切です。

第2は、CBが株式に転換せずに償還を迎えた時も健全な財務体質を維持できるかです。

転換価格まで上昇し、CBが株式に転換して資本に組み込まれるのであれば、そうした心配は不要ですが、株価次第では確実にそうなるとは限らないためです。

CBはいずれ株式に転換するからと過度に楽観していていると、将来もし大不況が来たら、償還資金確保のための資金繰りに四苦八苦する可能性も否定できません。

ちなみに、それならば資本か負債かが紛らわしいCBではなく、初めから普通社債(SB)で自社株買いを行えばよいのにとも考えられますが、SBはゼロクーポンでは発行できないため、多くの証券会社は事業会社に対してリキャップCBの発行を勧めているようで、また、事業会社もそれに従っているのが現実です。

第3は、リキャップCBで自社株買いが行われても、将来、株価が転換価格まで上昇した場合は、株への転換が進むため、再び希薄化が起ることには当然注意が必要です。

こう考えると、自社株買いを行う場合は、手元の現預金を活用することが、既存株主にとって最もシンプル、かつベストな株主還元策ということになります。

とはいえ、現実には、年初から続く売買代金の低迷の影響を受けて手数料収入の減少に苦慮している証券会社は、今後も積極的に事業会社に対してリキャップCBの発行を勧め、それによる発行手数料の獲得に注力すると見られます。

よって、今後もリキャップCBの発行は続くと考えられるため、リキャップCBのニュースに惑わされないために、本質を十分に理解しておくことが大切だと考えます。

【2016年4月6日 投信1編集部】

■参考記事■

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投信1編集部

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