投資信託の基準価額とは

投信1編集部から投資信託初心者に伝えたい3つのポイント

  • 基準価額とは、ファンドの資産合計の純資産総額を口数で割ったもの。

  • 投資信託設定当初の基準価格は1万円。さて、これはなぜか。

  • 基準価額が1万円を割り込んでいても、将来再び1万円を超えてくることもある。

投資信託の基準価額とは何か

最近、ネット証券で取引口座を開設し、人生で初めて投資信託を購入した40代後半のOL、相場晴子(アイバ・ハルコ)さんが、大学時代の同級生で日系資産運用会社のファンドマネージャーである投信博士(トウシン・ヒロシ)さんに、何やら投資信託の基準価額について質問をしています。早速、聞き耳を立ててみましょう。

投資信託の基準価額は株価と同じか

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相場:ねぇ、博士。私、最近初めて投資信託を15万円分購入したの。それで、投資信託を買った時に「基準価額」というのがあったんだけど、この基準価額って何なのかしら?

投信:ストレートな質問にして、良い質問だね。

相場:ちゃかさないで、ちゃんと教えてよ。私が購入した投資信託の基準価額が1万5,000円だったので、結局10口(くち)を購入したことになったのね。

投信:うーん、概ねそういう理解でよいと思うけど、正確に言うと違うね。

相場:ねぇ、正しい内容を教えてよ。

投信:一言でいうと、ファンドとよばれる投資信託に組み入れられている資産の時価を合計し、その合計値を総口数(くちすう)で割ったものを基準価額と呼んでいるね。通常の投資信託は、設定時に1口1円とされ、1万口の価額を日本経済新聞などで「オープン基準価額」として公表される。

相場:ふーん、でもなんで、1万口を基準価額としているのかしら。

投信:実は、恥ずかしながらそれは僕も知らない。今度調べておく。

基準価額と口数と純総資産総額

相場:ところで、基準価額と口数の2つを理解すると、他にどんなことが分かるのかしら?

投信:そうだなぁ、基準価額に総口数をかければ、そのファンドの資産規模がわかるよね。まぁ、当然なんだけど。そうそう、ファンドの資産の時価の合計値を「純資産総額」と呼んでいるよ。

相場:ふむふむ。純資産総額、基準価額、口数の関係はよくわかったけど、一つ質問があるの。

投信:ほう、どんな質問だい?

相場:日本経済新聞の朝刊に記載されている投資信託のオープン基準価額欄を見ていると、基準価額が1万円を大きく超えたものや、1万円を大きく割り込んで数千円前半のものがあったりするわ。基準価額って、てんでバラバラよね?

投信:まあ、投資信託の基準価額は、ファンドで保有する資産の価値で評価されるわけだ。だから、投資信託を最初に設定した際の基準価額である1万円であり続ける理由はないよね。

基準価額が1万円を割った投資信託

相場:そうよねー。だとすれば、そもそも基準価額が1万円を割っている投資信託って、運用に失敗したということかしら?

投信:「投資信託を設定した当時の基準価額である1万円を割っている」というのが正しい表現かな。

相場:禅問答の様で、意味が分からないわ。

投信:投資信託の基準価額は、設定後の運用次第で1万円を大きく超えていくこともある。もちろん、そのまま1万円に戻らないこともある。

相場:そりゃそうでしょ(笑)。でも、1万円を割った投資信託って、少し手を出しずらいわよね。そこはどうなのよ、博士!

投信:相場さん、何度も言うけど、それは投資信託を設定したタイミングが大きく影響している。だから、基準価額が1万円を割っていること自体で投資信託の商品性やファンドマネージャーの運用手腕を疑うのは酷だね。

相場:そんなものかしらねぇ?!

投信:資産運用は、基本は未来にかけて資産を増やそうとするものだから、仮に基準価額が1万円を割っている投資信託を購入して、その後増えることもある。ただし、今時点で1万円を割っている投資信託を1万円で購入した個人投資家の資産は、その後に減っていることは確かだね。

相場:ほら、やっぱり資産を減らしているのじゃないの。

投信:うーん、一概にはそうは言えなくて、投資信託でも分配を定期的に実施するファンドもあるので、個人投資家の手元に配当金が入ってきている場合には、基準価額と分配金を合計したベースで比較する必要もある。

相場:分配金?株式の配当のようなものかしら?

投信:全く同じとは言えないけれども、投資家がもらう権利があるという意味では同じかな。分配金については、別の機会に話すことにしようか。今日は、基準価額と純資産総額と口数の関係について理解してくれればそれでいいよ。

相場:なんだか今日は冷たいわね。

投信:今日は相場(そうば)もよくないんでね、ちょっと気分はよくないね。

登場人物

相場晴子(アイバ・ハルコ)。国内の大手生命保険会社の本社で勤務するOL。40代後半。未婚。慶早大学・文学部卒。最近、少し貯金も貯まってきたのでオンライン証券で口座を開設して、初めて投資信託を購入。外貨建ての銀行預金を除くと初めての投資。購入したはじめての投資信託は日本株のアクティブ運用の投資信託。でも、実は自分でどういった金融商品に投資をしたいかは十分に理解していない。

投信博士(トウシン・ヒロシ)。相場晴子の大学時代の同級生。慶早大学・経済学部卒。現在は、資産運用会社に勤務。大学卒業後、企業を調査する証券アナリスト、シンクタンクに出向しエコノミストとしてマクロ分析を経験した後、現在は株式のファンドマネージャー。趣味はスマホゲームと釣り、サッカー観戦。

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投信1編集部

投信1編集部は、証券アナリストやファンドマネージャーとして長年の調査経験を持つメンバーで構成されており、金融・経済ニュースや投資に関する知識・アイデアをわかりやすくお届けします。