投資信託の分配金利回り

投信1編集部から投資信託初心者に伝えたい3つのポイント

  • 年間の分配金を基準価額で割った“分配金利回り”に着目する投資家がいる。

  • 分配金利回りが高いからといって運用成績の良い投資信託とは限らない。

  • 投資信託の運用側が運用成績に見合わない分配金を払い出していないのかには注意。“基準価額+分配金”の累計額の推移を考える。

投資信託の分配金利回りを考える

投資信託を保有することで得られる年間の分配金を合計し、その投資信託の基準価額で割った“分配金利回り”に注目した投資家が増えています。そうした指標は、運用成績の良い投資信託を探すひとつの切り口と言えますが、分配金利回りの良い投資信託が必ずしも運用成績の良いとは限りません。最近ネット証券ではじめて投資信託を購入した投資信託入門者・相場晴子(アイバ・ハルコ)さんと大学の同級生で資産運用会社に勤めるファンドマネージャーの投信博士(トウシン・ヒロシ)さんも分配金について話しています。聞き耳を立ててみましょう。

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投資信託の分配金利回りとはどのような指標か

相場:インターネットで投資信託を調べていると「分配金利回りランキング」が載っているわ。これはどういう意味かしら。

投信:へー、相場さんもあっという間に投資信託の研究家になったね。分配金利回りの計算式は、株式の配当利回りに似ているよ。

相場:まあ、私が思うに、年間の分配金を合計してみて、それを基準価額で割ればいいのかしら。

投信:その通りだよ。ただし、この指標、実際の使い方が難しい。この指標で運用成績の良い投資信託に必ずしもたどり着けるわけではない。

運用の良い投資信託の分配金利回りはどうなる?

相場:うーん、ピンとこないわ。どういうことかしら。

投信:基準価額が10,000円の投資信託を考えてみようか。1年後、その投資信託が10%のリターンを出すとしよう。そして、一年後にそのリターンを全額分配するとする。この時(税金支払い前の)分配金はいくらだろうか。

相場:10,000円の基準価額で10%リターンだから、金額にすれば1,000円が投資信託のリターンね。そのリターンを全額分配するのだから、分配金は1,000円ね。

投信:その通り。分配金を支払った後、その投資信託の基準価額はいくらになると思うかい。

相場:10,000円よね。

投信:さて、このとき、その投資信託の分配金利回りはいくらになるだろうか。

相場:分配金が1,000円で基準価額が10,000円だから、1,000÷10,000で10%ね。あら、なかなかいい投資信託じゃない。

運用の良い投資信託が分配金を支払わず全額再投資に向けたとき分配金利回りは?

投信:では次のようなケースはどうだろうか。先ほどの投資信託と同様に、基準価額が10,000円で1年後に10%のリターンが出るとしよう。今度は、その投資信託は分配金を一切支払わず、リターンをすべて再投資に回したとしよう。この時の分配金利回りはどうであろうか。

相場:分配金はゼロだから、当然分配金利回りは0%よね。

相場:同じ成績のファンドでも、分配金をどう支払うかによって分配金利回りは全く変わってしまうのね。

投信:投資信託の実力は、分配金利回りだけでは必ずしも適切に表現できない、ということがわかってもらえただろうか。もう少し分析が必要なケースもある。

相場:あら、どんなケースかしら。

運用成績の悪いファンドの分配金利回り

投信:今度は運用成績の悪いファンドを考えてみよう。基準価額が10,000円でスタートし、1年間の運用成績がマイナス10%だったとしよう。分配金は成績が悪いので支払わないとする。このとき分配金利回りと分配金利回りはどうなると思う。

相場:分配金がゼロだから、今回のケースは当然、分配金利回りはゼロ%ね。

投信:ではこの投資信託が、運用成績がマイナス10%であったのに、分配金を1,000円支払ったとしよう。このとき分配金利回りはどうなるだろうか。

相場:期初の基準価額は10,000円、期末の基準価額は分配金支払後10,000円 × (1-0.1)-1,000円=8,000円ね。分配金利回りは、分母を期初の基準価額とすると10%、分母を期末の基準価額とすると1,000円÷8,000円=12.5%になるわ。えーっ!すごく高い!

投信:運用成績が悪くても、分配金を多く支払うと分配金利回りが高く見える。分配金利回りを見ていても、運用の実力は必ずしもわからないことが分かるよね。

「基準価額+分配金累計額」、または「分配金再投資基準価額」をチェックしよう

相場:なるほどー、分配金利回りは投資信託を探すきっかけになるけど、それだけでは投資信託の運用の実力はわからないのね。やっぱり投資信託の初心者には最初に知っておくべきことは多いわね。ねえ、博士、投資信託入門!みたいなお勉強コンテンツないかしら。

投信:いやー、十分に僕の話で勉強になっているはずなんだけど(汗)。

相場:でも、分配金利回りだけじゃ投資信託の運用成績は必ずしもわからないんでしょ。投資信託初心者はどうやって判断すればよいのかしら。なんだか話がはじめに戻った気がする(笑)。

投信:そうだね。投資信託に詳しい人は「基準価額+分配金累計額」や「分配金再投資基準価額」などをチェックして投資信託の運用の実力を判断していることが多いかな。

相場:なるほどね、基準価額と分配金を足すのね。でも、分配金をもらうと税金の支払いも発生するのよね。

投信:分配金も税金がかかる場合とそうでない場合がある。

相場:えっ! そうなの?

投信:そうだよ。でも、ちょっと話が長くなるから、また別の機会にしよう。

相場:なんだかいいところで今日は終わるわね。

登場人物

相場晴子(アイバ・ハルコ)。国内の大手生命保険会社の本社で勤務するOL。40代後半。未婚。慶早大学・文学部卒。最近、少し貯金も貯まってきたのでオンライン証券で口座を開設して、初めて投資信託を購入。外貨建ての銀行預金を除くと初めての投資。購入したはじめての投資信託は日本株のアクティブ運用の投資信託。でも、実は自分でどういった金融商品に投資をしたいかは十分に理解していない。

投信博士(トウシン・ヒロシ)。相場晴子の大学時代の同級生。慶早大学・経済学部卒。現在は、資産運用会社に勤務。大学卒業後、企業を調査する証券アナリスト、シンクタンクで出向しエコノミストとしてマクロ分析を経験した後、現在は株式のファンドマネージャー。趣味は、スマホゲームと釣り、サッカー観戦。

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投信1編集部

投信1編集部は、証券アナリストやファンドマネージャーとして長年の調査経験を持つメンバーで構成されており、金融・経済ニュースや投資に関する知識・アイデアをわかりやすくお届けします。