この記事の読みどころ

2015年8月11日、九州電力の川内原発が再稼働されました。

川内原発の再稼働後に九州電力の株価が反落しているのはなぜでしょうか。

今後注目されるのは、原発の再稼働で業績がどこまで回復するかです。

川内(せんだい)原子力発電所が再稼働

2015年8月11日、九州電力の川内原発が再稼働されました。業績だけを考えるなら、これまで稼働しなかった原発が稼働したのだから株価も上昇して当然、と考えたくなるところです。しかし、実際はそれとは逆の動き――川内原発の稼働後に九州電力の株価は反落しています。なぜでしょうか。

下図は、九州電力(証券コード9508)と、いまだ稼働しない浜岡原発を保有する中部電力(証券コード9502)、そして日本の代表的な株式指数であるTOPIX(東証株価指数)について、2013年末を100として比較したものです。

川内原発といえば、東日本大震災後に初めて再稼働する原発の最有力候補になっていたのを記憶されている方も多いのではないでしょうか。こうした見通しもあってか、過去を振り返ってみても、2015年3月以降、川内原発を保有する九州電力の株価は大きく上昇しています。株価上昇のタイミングは、再稼働の可能性が低いとされていた浜岡原発を保有する中部電力よりも早いことが見てとれます。2015年に入ってからを見ると、電力株は良い投資先だったとも言えるでしょう。

なぜ電力株は下落したのか

そもそも原発再稼働の気運が高まる中、再稼働による業績改善の期待を集めていたこともあるのでしょう。川内原発が再稼働され、その期待が実際のものとなった時点で、利食いの売りがあったと見ることもできます。

また、中国の景気に対する不安から世界同時の相場下落が続いている中では、投資家はリスク回避的になります。原発再稼働というイベントで「株価が上がる」と睨んで流入した投機的な資金が電力株から逃げ出したことも考えられます。さらに、九州電力に関しては桜島の噴火警戒レベルを意識したことなども考えられます。

今後の九州電力株価の読み筋

今後注目されるのは、原発が再稼働されたことで業績がどこまで回復するかです。注目点は、2016年3月期通期で当期純利益が黒字になるかどうかであり、復配ができるかどうかです。九州電力は2012年3月期以降4期連続当期純損失となっています。原発再稼働による黒字化で投資家を安心させることができるのか、注目されます。

LIMO編集部