この記事の読みどころ

9月15日(火)21:30発表予定の米小売売上高の見どころを事前にチェックしておきましょう。

米小売売上高の結果は、短期的に米小売株と相関性の高い経済指標です。

中長期的には、8月米小売売上高が米GDPの成長に寄与するかがポイントです。

9月15日(火)21:30発表予定の米小売売上高の動向に注目

9月15日(火)21:30に発表予定の米小売売上高は、株式・為替市場の動向に影響を与えうる重要なデータですので、ぜひ意識しておいていただきたいと思います。個人消費は米国のGDPの約70%を占めています。そのため、米小売売上高は、個人消費の動向を把握する上で重要な経済指標なのです。

米小売売上高の数字の良し悪しは、投資家が米GDPの成長率を考える上での材料の1つになります。GDP成長率は株価に大きな影響を与える要素ですから、米株式市場を対象としたパッシブ型(インデックス型)の投資信託に関心がある方にとっては、特に重要な指標といえるでしょう。

米小売売上高で足元の株価動向を探る

米小売売上高全体は、サブプライムローン危機が報じられ始めた2007年夏頃から伸び悩み、リーマンショックで大幅に減少しました。しかし現在では、リーマンショック前を上回る水準にまで回復しています。ここで覚えておいていただきたいのは、米小売売上高は、住宅価格や株価上昇の恩恵を受けやすい構造となっていることです。特にリーマンショック以前は、この資産効果が顕著に表れていました。

8月の市場予想は前月比+0.3%となっています。9月15日に発表される数字が市場予想を上回る場合、短期的に米小売株の上昇に寄与するでしょう。

一歩進んだ個人投資家のための、米小売売上高活用法

プロのエコノミストは、上記の数値に加え、自動車・ガソリン・建材・外食を除いたコア売上高を算出して重要視します。これは、GDPの算出に使用される個人消費支出との相関性が最も高いと考えられているからです。ただし、これは確認に多大な手間がかかります。

個人投資家の皆さんには、もっと簡単で効果的に景気変動を確認できる方法をお伝えしたいと思います。具体的には、小売売上高全体の前月比(季節調整済)のチェックに加えて、一段とブレの大きい自動車・同部品を除いた数値をチェックすることです。

米小売売上高の推移(年度ベース・季節調整済)

(単位:百万ドル)

20150913_投信1_グラフ.001a.jpg
出所:SPEEDAをもとに筆者作成

【参考情報】 米小売売上高の基礎知識

そもそも、米小売売上高とは?

米商務省センサス局が、翌月第9営業日に発表(例:8月のデータは9月の第9営業日に発表)します。集計対象は百貨店を含む小売・サービス業の約5000社の月間売上高です。これは、母集団となる約300万社売上高の約65%を占めるため、ある程度実態に即した統計と言えそうです。前月比は、既存店ベース(新店舗は考慮しない)で算出され、季節要因・休日・営業日を考慮します。

この統計を見る上での注意点は、「ブレの大きい統計であるため、3~4か月の幅で傾向を捉えるのが望ましい」ということです。中でも、自動車・同部品は全体に占める比重が大きく、個人消費の動向を確認する上で重要ですが、振れ幅も大きいことには注意したいところです。

なお、この結果は、米国商務省経済分析局(BEA)のGDP概算の基礎資料や、米労働省労働統計局による生産者物価指数(PPI)のデータにも活用されます。

※元データの確認は、米商務省センサス局のウェブサイトをご参照ください。

【2015年9月14日 投信1編集部】

■参考記事■

>>失敗しない投資信託の選び方:おさえるべき3つのNGと6つのポイント

>>資産運用の始め方に迷ったらとりあえずバランス型投資信託

>>投資信託の初めての買い方:金融機関選びが成功への第一歩

岡野 辰太郎