人口減少率が全国一の秋田を歩いてみた

アナリストが気づいた3つのポイント

人口減少率が全国一の秋田県に行き、秋田市内を散策してみましたが、やはり、強い疲弊感を感じます。

約40年前に最盛期を誇った老舗百貨店の現状を見て、栄枯盛衰のはかなさを実感しました。

これは数十年後の日本の姿かもしれず、地方創生よろしく、地方経済の活性化、及び、本腰を入れた少子化対策はもう待ったなしです。

人口減少率が全国トップの秋田県へ行き、秋田市内を散策

先日、所用で秋田市(秋田県)に行ってきました。今回はアナリスト業務とは一切関係ない雑用だったのですが、日本海側の東北地方に行くのは初めてです。実際に行くとかなり遠く、東京から秋田新幹線で約4時間を要しました。悪天候が心配されましたが、幸いにも天候は持ちこたえてくれたので、限られた範囲ですが市内を散策してみました。

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実は、着いてから初めて知ったのですが、秋田県は全国で人口減少率が最も高い都道府県です。総務省統計局が発表する人口統計によれば、秋田県の人口増減率は平成25年が▲1.18%、平成26年は▲1.26%でしたが、これは全国平均(両年とも▲0.17%)を大幅に下回る最下位となっています。ちなみに、平成24年は最下位から2番目でしたが、最下位だった福島県が原発事故の影響を受けたことを勘案すると、事実上は3年連続と見てよさそうです。

他の地方都市以上の強い疲弊感を感じた

最近の地方都市は、人口減少に加えて、長年にわたるデフレの影響等により強い疲弊感があります。それもあり、駅前は人通りも少なく、商店街もいわゆる“シャッター街”と呼ばれる状況が珍しくなくなりました。筆者も様々な地方都市でそのような状況を見てきましたので、もう驚くようなことはありません。ただ、今回の秋田市では、全国一の人口減少率(注:秋田県全体で)という先入観を差し引いても、強い疲弊感を感じずにはいられませんでした。地方都市で感じる“時間がゆっくり過ぎていく”というのではなく、時間が動かない、空気が淀んでいる、と感じてしまったのです。

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約40年前に最盛期を誇った老舗百貨店の現状

筆者が散策した限りですが、駅前はまだそれなりに人の動きがあるものの、そこから少し離れると非常に寂しい雰囲気です。ここに掲載した写真は、いずれもJR秋田駅から徒歩数分以内のものです。散策中も数多くのテナント募集物件(オフィス空室)、シャッターが閉じた店、寂れた建物を見ました。

その中で最も印象深かったのは、駅から徒歩5分ほどの老舗の百貨店でした。百貨店と名はつくものの、売り場は1階のみで衣料品と化粧品だけで、衣料品の品揃えも少なく感じました。営業は何と週休2日(水・木)で、夕方5時に閉店。筆者が訪れたのが平日だったということもありますが、来店客はまばらでした。聞くところによると、最盛期を誇った1970年代から80年代前半には「秋田の三越」と称されたそうです。その後に顕著になったモータリゼーションへの対応が遅れた(買い物客が郊外店舗へ流れた)ことが衰退の主要因と言われていますが、人口減少がそれに追い打ちをかけたことは明らかです。

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数十年後の日本の姿が凝縮されているかもしれない

恐らく、30年くらい前までは、この老舗百貨店を始めとした市内も賑わっていたのでしょう。大勢の人が行き来していたと推測できます。当時を見たわけではないので単純に比較することはできませんが、今の減退状態を見て心が痛みました。そして、これは数十年後の日本の姿ではないか?と危機感を感じずにいられません。政治の世界では「地方から日本を元気に」といった類のフレーズを聞きますが、実際は何も進んでいないのではないでしょうか。地方経済の活性化、及び、本腰を入れた少子化対策はもう待ったなしのところに来ていると強く感じました。秋田市を散策してもう1つ気付いたことは、外国人旅行客をほとんど見かけなかったことです。残念ながら、よく言う“訪日外国人バブル”とは無縁のようです。筆者が強い疲弊感を感じた一因かもしれません。

美味しかった秋田のお米と稲庭うどん

さて、何だか秋田市の批判的なことを書いてしまったかもしれませんが、食べ物は美味しいし(特にお米と稲庭うどん)、皆さんとても親切でした。自転車で通学している中学生や高校生も、都会の学生には見られない素直さがあったような気がします。秋田市、秋田県がもっともっと元気になるように応援したいと思っています。

【2015年9月10日 持丸 強志】

■参考記事■

>>資産運用の始め方に迷ったらとりあえずバランス型投資信託

>>失敗しない投資信託の選び方:おさえるべき3つのNGと6つのポイント

持丸  強志

東京工業大学工学部卒業後、日興證券に入社。
その後ドレスナー・クラインオートベンソン証券、㈱大和総研、メリルリンチ日本証券、ドイツ証券、リーマン・ブラザーズ証券、バークレイズ証券等を経て、2013年まで三菱UFJモルガン・スタンレー証券にシニアアナリストとして勤務。
ほぼ一貫して約20年間にわたり、自動車・自動車部品産業の分析、及び、大手自動車メーカーを始めとする企業分析を担当。
日本証券アナリスト協会検定会員。