コンパクトデジカメのロングセラー、ソニーRX100から“勝つメーカー”のヒミツを考える

評価ポイント

満足な性能:RX100はA4程度までのプリントやモニター鑑賞には十分な画質を提供。

コスパは良好:大手量販店の売価はRX100が44,000円+10%のポイント還元。ネット最安値は35,000円を下回る(2015年9月現在)。

投資へのインプリケーション:スマホに押されたコンパクトデジタルカメラは高性能低価格になり、消費者にとってはお買い得感あり。メーカーの立場としてはロングセラー化が利益最大化のカギかもしれない。

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総合評価:100

家族イベント用のカメラとして3年前に購入

今回取り上げるのは、ソニーのコンパクトデジタルカメラ、RX100です。発売は2012年6月。ちょうど7月に家族旅行があったので、そのために購入しました。「高級コンパクトカメラ」という位置付けでしたので、価格は確か5万円から6万円の間だったと記憶しています。

実は筆者はかなりのカメラ好き。デジタル一眼やミラーレスを使うのですが、家族イベントや海外旅行ではデジタルコンパクトカメラがベストだと考えています。

旅先で知らない人に撮影を頼んでも失敗がない

持ち歩きが簡単で、大きなカメラでは場の雰囲気を壊すような時にも確かな写真が残せるのもメリットですが、筆者が考える最大のメリットは、知らない人に撮影を頼んでも失敗なく撮れることです。

特に海外旅行では言葉の通じない人に撮影をお願いするので、オートで撮影してもピントも露出も失敗しないのは大変助かります。画質にも妥協がないので本当に重宝します。もちろん、今時のスマホでも十分ですし、自撮棒を使う方もいますが、そこはカメラ好きのひいき目だと思ってください。

今でもまったく色あせない性能

現在、デジタルコンパクトカメラのメインは1型とよばれるセンサーが主流です。スマホカメラのレベルが上がるにつれて、デジタルコンパクトカメラは徐々にセンサーのサイズを大きくしてきました。さらに大きなセンサーになると、レンズのサイズがコンパクト化できなくなってきます。1型センサーは画質と携帯性を両立する最適なポイントなのです。

1型センサーは、縦8.8㎜×横13.2㎜サイズになります。指先くらいの大きさです。RX100はこの中に約2,000万個の光を捉える素子(画素といいます)が形成され、ここから2,000万画素の画像データが生成されます。

今、4Kテレビの画像がきれいだと言われていますが、4Kテレビを画素数で考えると実は800万画素に過ぎません。ですから、モニター鑑賞では2,000万画素が十二分なデータ量だということがお分かりになるでしょう。プリントする場合でも、2,000万画素あればA4サイズはもちろんのこと、A3サイズにも十分耐えると言われています。

RX100はセンサーとレンズが一体に作られているので、こうした高いクオリティの画像を結ぶことが可能なのです。今回、この記事を執筆するにあたって改めてこのカメラで撮影をしましたが、本当にほれぼれする画質でした。

ちなみに、iPhone6に搭載されている800万画素センサーの大きさは推定4.8㎜×6.1㎜と言われています。この推定が正しいとすると、RX100の4分の1の大きさに過ぎません。画素数の差は2.5分の1ですのでiPhoneのメインカメラの1画素あたりの大きさがRX100に比べてかなり小さいことになります。

1画素あたりのサイズが大きいほうがリッチに光を受けることができ、これが画質に直結します。RX100はスマホより1画素あたりのサイズが大きく、しかも画素数が多いため、良い画質を提供していることがお分かりいただけると思います。

個人的には、この性能が実質4万円で手に入ることは夢のように思えます。

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RX100のロングセラー化から学ぶべき投資のヒントとは

実はRX100はシリーズ化され、毎年6月ごろに新しいバージョンの製品が発売されています。最新機は2015年6月に発売されたRX100M4で、市場価格は10万円を超えています。しかし今でもRX100は併売されています。どうしてでしょうか。

RX100は今でも十分実用に耐えるカメラですし、製造コストも低下していますから売価を下げても十分採算が取れます。他社がRX100に正面から対抗しようとすると、RX100より際立った性能を示し、RX100より高く売って製造コストをカバーする必要がありますが、RX100の出来が良いのでなかなかRX100のコストパフォーマンスには勝てません。

そうこうするうちに、最初にRX100を買ったお客さんがカメラの買い替えでお店に行ったとき、そのまま使い慣れたRX100を割安に買うもよし、昔買った値段くらいで機能アップしたRX100の後継機を買うもよしとなるのです。

ソニーとしては、このサイクルをうまく活かし、年1回のバージョンアップで構わないので、きっちりと付加価値を引き上げた後継機を出せば成功です。他社を退け、自社の顧客に選択肢を提供し、しかも儲けもしっかりついてくる。こういう好循環が生み出せます。

いいものをしっかり作り込んで世に問う、という形で成功している例はたくさんあります。アップルしかり、富士重工しかり。投資アイデアを考える上で、こうした好循環を実現できている会社に注目していきたいと思います。

【2015年9月10日 投信1編集部】

■参考記事■

>>失敗しない投資信託の選び方:おさえるべき3つのNGと6つのポイント

>>ネット証券会社徹底比較:株も投資信託も気になるあなたへ

投信1編集部

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