資産運用でリスクを避けると、人生トータルのリスクは増える-資産運用初心者へのアドバイス

この記事の読みどころ

あらゆるリスクに対応できる資産運用方法はありません。

リスクとリスクをぶつけて全体のリスクを減らすことができます。

人生には種類の違うリスクがあるので、資産運用のリスクだけを考えれば良いというものではありません。

リスクを取らないこともリスク

「リスクを取らないこともリスク」などと言われますが、私もこれはその通りだと思います。また、ある種類のリスクを積極的に取ることで、リスクとリスクをぶつけて全体のリスクを減らすことができる、とも。今回は、資産運用のリスクと人生トータルのリスクの関係について、考えてみましょう。

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安全な資産運用とは

一般的に、安全な資産運用とは「現預金」を指します。債券ならまだしも、株や不動産、外貨への投資なんて元本毀損の可能性があるし、危なくてやっていられないというわけです。現金・タンス預金だと盗まれることもありますから、普通は大部分を預貯金にしておくことでしょう。

万一銀行が潰れても、ペイオフにより「1金融機関あたり元本1千万円とその利息」が保護されますから、いくつかの銀行に分けて預けておけば返ってこないことはまずありません。なので、できるだけ多くの現預金を貯めておくのが一番安全だと。でも実はこれ、角度を変えて考えるとそうでもないんですね。

単に長生きするだけで、そのプランは崩壊する

例えばある夫婦が、退職金込で3000万円貯め、65歳からは年金の他に年150万円使う計画を立てていたとします。そうすると20年生活できるので85歳までですね、贅沢はできないけれども悠々自適だと。かなり頑張った方ですよね。実際にひと昔前ならこの計画で十分、逃げ切れたと思います。

ただ、今はそもそも年金がきちんと受け取れるかどうか、そこも相当怪しいですよね。ゼロにはならないにしても時期の遅れ、減額は十分にあり得ます。そして、85歳までの資金を準備すれば十分かは誰にもわからないのです。

幸運により、もしくは医療技術が発展し、ご夫婦共に100歳まで長生きしたら(人生としては良いことですが、経済上、長生きはリスクです)どうでしょうか。このように「安全」なはずだったプランも、単に長生きするだけで崩壊します

死亡したら?勤めている会社が倒産したら?

人生におけるリスクは長生きだけではありません。稼ぎ手である旦那様が死亡する場合はどうでしょう。これは生命保険などで手当てをします。資産運用のリスクを嫌う人でも、生命保険くらいは入られていますよね。

では、お勤めの会社が倒産する場合はどうでしょう。倒産せずともリストラであるとか、不本意な仕事を命じられる、嫌な上司に当たるなど、「これまでの仕事を働き続けられなくなる」事態が起こる可能性は常にあります。その場合は、現預金や保険は何の役にも立ちません

この種類のリスクに対しては、転職や起業をしても通用する実力や人脈を持っておくか、副業や不動産投資などで収入を複線化しておくなどの対策が有効になります。つまり、人生には種類の違うリスクがあるので、資産運用のリスクだけを考えれば良いというものではない、ということです。

国家破綻のリスクを考える

次に、日本が破綻するリスクはどうでしょう。「そんな、空が落ちてくるような話をする意味が無い」と思われる方も多いと思いますが、過去、国家は実際に破綻していますし、日本の国債は1千兆円を超え、過去例のないところにまで膨れあがっています。もはや、通常の税収の中から返済することは不可能と思える水準です。

実質的に返せないとなると何が起こるか。債務不履行(デフォルト)、までは行かないかもしれません。しかし、通貨・国家が信認を失い、それなりのスピードでインフレが起きる(起こす)ことは十分に考えられます。インフレが起こるとお金の価値が下がりますから、借金が減るのと同じ効果があるのです。

インフレとはつまり、少し前までラーメン1杯500円だったのが、1杯1万円になるわけです。国債は変わらず千兆円でも、負担はラーメン換算で20分の1になるわけですね。日本円の価値が下がるわけですから、その場合にはドルとかユーロなど、外貨を持っていればその分はリスクを回避することができます

他にも、不動産や株にしておくと、それらはラーメンと同じように値段が上がりますからリスクヘッジになります。金やプラチナでも良いでしょう。現預金だけがインフレの影響をまともに受けて、大損してしまうわけです。私たちはすっかりデフレに慣れてしまいましたが、インフレの怖さも知っておかなくてはなりません。

種類の違うリスクを組み合わせる

このように、投資の失敗によって元本が減ってしまうこと以外の様々なリスクが、人生には溢れています。ある種類のリスク(例えば株や不動産)を取ることで、他のリスク(例えばインフレ)が減るということがありますから、「リスクとリスクをぶつけて全体のリスクを減らす」という発想を持つべきです。

あらゆるリスクに対応できる資産運用方法は、残念ながらありません。現預金も安全ではないということは、知っておいて下さい。自ら勉強をして、人生の様々なリスクについて知識を得て、その上で自分の頭で考えること。それが最大にして唯一のリスクヘッジなのかもしれませんね。

それでは、また。夢とお金の専門家、シナジーブレインの安田修でした。

【2015年9月3日 安田 修】

■参考記事■

>>失敗しない投資信託の選び方:おさえるべき3つのNGと6つのポイント

>>資産運用の始め方に迷ったらとりあえずバランス型投資信託

 安田 修
  • 安田 修
  • ㈱シナジーブレイン
  • 代表取締役

(社)人生計画協会」代表理事、中小企業診断士、GCS認定プロフェショナルコーチ、証券アナリスト、AFP他。

北海道大学卒業後、日本生命に15年勤務。企業財務を中心に経験。ビジョンとキャッシュフローの「全員経営」で中小企業の経営をサポートする一方、サラリーマンの起業を支援するための会員制度「人生計画フォーラム」を主催。