私がマイホームの方が不動産投資より怖いと思う5つの理由

この記事の読みどころ

一般的に不動産投資は怖いと思われていますが、マイホームの購入はそう思われていません。

私が、実はマイホームの購入の方が怖いと思う理由を5つ挙げます。

なぜ人は住宅ローンを組んでマイホームを購入することを怖いと感じないのか、考えてみます。

不動産投資は怖い?

唐突ですが、私は個人的に何千万円も借入をして1棟10室の賃貸アパートに投資をしています。人からは「よくそんなリスクを取るね」と言われるのですが、私に言わせると世間一般の人が平気でやっているような、住宅ローンを組んでマイホームを買うことの方がよほど怖いと思うのです。

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以下、私が不動産投資(の借入)よりマイホーム(の住宅ローン)が怖いと思う理由を5つ、列挙します。

1. キャッシュフローを生まない

当たり前ですが、賃貸不動産と違ってマイホームはキャッシュフローを生みません。そこに住むことによって「消費」してしまうので、キャッシュフローは常にマイナスです。35年ローンであれば35年後まで働いていて、今以上の十分な収入があることが前提になっているのです。なんと恐ろしい、信じられません。

不動産投資であれば借入を返すための原資は基本的にはその物件から入ってくる賃料であり、万一空室などで原資が不足した場合に給料から払いますが、マイホームの場合は最初から給料が返済原資です。給料がなくなった場合のバックアップはありません。物件を売って全額返せれば良いですが、最悪の場合は破産です。

そう、マイホームは収益を生まないのでそもそも投資ではなく、高額な消費です。よほどの地価上昇があるタイミングを例外として、新築物件であれば買った瞬間に売ろうとしてもかなり損をするはずなので、投資としては説明がしづらいものです。

2. 賃貸を前提に作られていない

駅近のタワーマンションであればこの点は問題ありませんが、一戸建ての物件だと、将来誰かに賃貸をする前提では選ばないでしょう。自分たちが快適に生活できることを前提に建てられ、または選ばれているので、いざというときに借り手がすぐに見つかるのかは考慮されていません

なので、売却する場合にも価値が低く評価されがちですから、賃貸用の物件と比較すると流動性にもやや欠けると言えるでしょう。

3. インフレ金利の上昇に対応できない

国土交通省の「平成26年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」によれば、貸出残高ベースで、

“平成25年度末時点では「変動金利型」(52.4%)の割合が最も多く、次いで「固定金利 期間選択型」(35.7%)が多くなっている。”

とあり、全期間固定を選択する人は圧倒的に少数派です。超低金利の恩恵を受けるべく、フラット35を使えば良いのにと個人的には思いますが、多くの人はより見た目の金利が低い、変動金利を選択しているのですね。

たとえば国家財政が今より逼迫し、国債の償還に対する不安が高まると、インフレが起こると同時に金利が上昇します。いわゆる「悪い金利上昇」が起こるわけです。その際、変動金利を選択しているとローンの支払負担は大幅に増える可能性があります。

変動金利で借入をしている人は、「金利が上がりそうになったら固定金利に切り替える」と言うのですが、変動金利が少し上がったタイミングでは固定金利は大幅に上がっているはずなので、たとえ大企業の財務担当者でもその借り換えは非常に難しいです。

ましてや、日常的に金利をウォッチしているわけでもない個人の方が金利上昇に気付いたときには、既に手遅れになっている可能性が極めて高いでしょう。

4. サラリーマンには転勤がある

「マイホームを買った瞬間を狙っていたかのように、転勤になった」という話をよく聞きます。まあ多くは偶然の一致であり、半分以上は都市伝説のようなものですが、人事部から見ると「マイホームを買った今、この人はよほどのことがない限り会社を辞めないだろう」という安心感があるのも事実でしょう。

転勤すると、せっかくのマイホームに住めなくなります。では誰かに貸し出そうとしても、物件自体が賃貸を前提に作られていないので、すぐに入居者が見つからなかったり、賃料が低めになってしまいがちです。単身赴任をするとしても、転勤先での賃料も発生しますから、支払負担が重くなります。

転勤になった結果マイホームを売却してしまう知人の事例を目にすると(複数知っています)、いたたまれなくなります。なぜそんなに発生する確率の高いケースすら想定せずに、何千万円もの消費をしてしまうのだろうか、と。

5. ライフステージが変わることを想定していない

マイホームを購入する人は「どうせ賃料を払い続けるのだから、買った方が得」と言います。一見正しく見えるのですが、これは間違っています。既述の転勤もそうですが、ライフステージは常に変わるのです。子供は何人生まれるか、それに生まれればどんどん大きくなり、そのうち巣立っていきます。

住んでいる場所に飽きたり、給料が大幅に減ったり、会社を辞めてしまうことになるかもしれません。病気になったらどうするのでしょう。ご両親の介護が必要になるかもしれません。この先35年間、あなたが同じステージに留まり、同じ物件がぴったりだということは、実はむしろ考えにくいのではないでしょうか。

私は賃貸派です。家族構成や収入の多寡に応じて、適切なところに引越をすれば良いと考えています。

マイホームの住宅ローンはなぜ怖く感じないのか

賃貸か購入のどちらが良いかは、永遠のテーマです。おそらく、「それぞれの良さがあるよね」というのが結論でしょう。しかし、マイホームの住宅ローンが不動産投資の借入より怖いということは、断言できます。なのになぜ、みんな平気で35年ローンを組んでしまうのか。

それはまさに、「みんながやっているから」です。赤信号、みんなで渡れば怖くない。それだけです。本当に金利上昇みたいなことが起こったら、政府が救済してくれるだろうと何となくみんな思っています。多くの国民が破産するようなことになるはずがないだろうという、一種の思考停止です。

誰でもマイホームを買う際には嬉しくて舞い上がってしまうものですが、大きな買い物ですから、起こりうるリスクとその際のインパクトを自分の頭で考えて、冷静に判断したいものですね。

それでは、また。夢とお金の専門家、シナジーブレインの安田 修でした。

【2015年10月8日 安田 修】

■参考記事■

>>失敗しない投資信託の選び方:おさえるべき3つのNGと6つのポイント

>>資産運用の始め方に迷ったらとりあえずバランス型投資信託

 安田 修
  • 安田 修
  • ㈱シナジーブレイン
  • 代表取締役

(社)人生計画協会」代表理事、中小企業診断士、GCS認定プロフェショナルコーチ、証券アナリスト、AFP他。

北海道大学卒業後、日本生命に15年勤務。企業財務を中心に経験。ビジョンとキャッシュフローの「全員経営」で中小企業の経営をサポートする一方、サラリーマンの起業を支援するための会員制度「人生計画フォーラム」を主催。