スカイマークのキャビンクルーに安くて古いビジネスホテルで遭遇した

アナリストが気づいた3つのポイント

中国の国慶節にあたった10月初旬は、日本国内のホテル事情が厳しく、なかなか予約が取れない状況でした。インバウンド需要は依然として侮れません。

安くて古いビジネスホテルで、業務で宿泊していたスカイマークのキャビンクルー(客室乗務員)一行と遭遇し、大変驚きました。コスト削減の一環かもしれませんが、心が痛みました。

スカイマークは再生計画案が認可されましたが、経営再建中であることに変わりありません。

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中国の国慶節だった10月1~7日は、日本のホテル事情も相当に厳しかった

筆者は先週末から私的な用事で、とある地方都市に滞在していました。今回滞在した都市は日本の政令都市の1つ。人口も5本の指に入る大都市で、筆者もよく訪問しています。ところが、今回は宿泊事情がいつもと違いました。ご存知の方も多いと思いますが、10月1日から約1週間は中国の国慶節でした。

国慶節とは、1949年10月1日に天安門広場で毛沢東により中華人民共和国の成立が宣言され、中華人民共和国の建国式典が行われたことにちなむ祝日です。一般には、この10月1日を挟む前後1週間が大型連休となりますが、今年は10月1日~7日が該当しました。そして、この国慶節に合わせて、多くの中国人が訪日すると言われていたのです。

筆者が宿泊したのは1泊4,500円の古いビジネスホテル

実際に大勢の中国人が訪日したのか定かではありませんが、それにより、日本国内のホテル予約が難しくなったことは間違いありません。恐らく、多くの旅行会社が事前にホテルを押さえてしまったのでしょう。筆者もこの状況に巻き込まれ、いつもは比較的簡単に予約が取れるホテルは満室。他のホテルも同じような状態でした。

結局、あの手この手を尽くして予約が取れたのは、1泊4,500円(概算、税込み)のビジネスホテルでした(注:曜日により値段が異なりますので、今回の1日平均金額を掲載しました)。今の時代、政令都市で1泊4,500円というのは、相当に安い部類であり、少し高いカプセルホテルと大差ない価格と言えましょう。

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設備の老朽化が進むホテルで衝撃的な場面に出くわす

さて、そのホテルにチェックインすると、フロントスタッフの方々は笑顔で丁寧に対応してくださり、ホテル内はきれいに清掃されているようでした。ただ、設備の老朽化は隠しようがありません。また、部屋の中を含めた至る所で、微妙にカビ臭い匂いが鼻にツーンと刺さりました。お世辞にも快適とは言い難い状況でしたが、筆者は「ホテル代が安く済んだからよしとしよう」という前向きな気持ちでした。そうこうした後で、外出するために筆者の部屋がある10階からエレベーターに乗り、1階に降りていく途中で衝撃的な場面に出くわしたのです。

航空会社のキャビンクルー一行が宿泊していた!

途中の6階でエレベーターが止まって、何と、制服を着たパイロットと思われる2名の男性が乗ってきたのです。業務用のカバンを持っていましたから、これから乗務のため空港に行く模様です。エレベーターが1階に着くと、ロビーには数名のフライトアテンダントの方々もいました。このホテルに宿泊し、チェックアウト後に皆で空港に向かうようでした。正直、筆者はかなり驚きました。「あの“スッチー”がこのホテルに泊まっていたのか…」と、半分呆然としました。

クルーが高級ホテルに宿泊するのは半ば常識のはず

読者の中には、「だから何だ」「それがどうした」「別にいいじゃないか」と思う方もいらっしゃるでしょう。しかし、キャビンクルーが国内外を問わず、業務で高級ホテルに泊まるということは半ば常識だったと思われます。いや、今でもそうだと思います。特に、スッチー…じゃなくて、フライトアテンダントにとって、高級ホテルに宿泊できるということは重要なステイタスであり、大きなモチベーションであると考えられます。今でもフライトアテンダントの採用競争率が非常に高いのは、表向きの理由はともかく、こうした背景があることは否めないはずです。

遭遇したのは経営再建中のスカイマークのクルーだった

筆者は当然、写真撮影は控えましたが、そのキャビンクルーたちがスカイマークの乗務員であることはすぐに分かりました。スカイマークは、2015年1月28日に民事再生法の適用を申請し、事実上倒産した航空会社です。その後、全日空(ANAホールディングス)が支援する再生計画案が認可され、投資ファンドが大株主となって新たなスタートを切ったばかりです。

現在は通常通りの運航を行っていますが、経営再建中という状況に変わりはありません。これから事業再生を果たしていく中で、抜本的なリストラが実施される可能性は否定できません。そして、そのリストラの中には、人員削減も含まれているでしょう。経営破綻した企業が再生を成し遂げるのは、言葉で言うほど簡単なものでないはずです。

スカイマークの再生を願う

もしかしたら、クルーの方々も筆者と同じように、いつものホテルが満室で仕方なくこのホテルに宿泊していたかもしれません。しかし、スカイマークの債権者や株主から見れば、経営再建中の立場で高級ホテルに宿泊など論外、カプセルホテル並みの安いビジネスホテルで十分という思いでしょう。筆者も全く異論ありません。

ただ、今回偶然に遭遇したキャビンクルーたちの心情を察すると、少なからず心が痛みました。それでも、恐らく、好きで就いた職業だから、こうした苦難にも耐えられるのでしょう。空港のチェックインカウンターでは、職員が笑顔で対応していました。筆者も、そのうち一度、スカイマークに乗ってみようと思います。

【2015年10月7日 持丸 強志】

■参考記事■

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持丸  強志

東京工業大学工学部卒業後、日興證券に入社。
その後ドレスナー・クラインオートベンソン証券、㈱大和総研、メリルリンチ日本証券、ドイツ証券、リーマン・ブラザーズ証券、バークレイズ証券等を経て、2013年まで三菱UFJモルガン・スタンレー証券にシニアアナリストとして勤務。
ほぼ一貫して約20年間にわたり、自動車・自動車部品産業の分析、及び、大手自動車メーカーを始めとする企業分析を担当。
日本証券アナリスト協会検定会員。