マイナンバー制度導入はあなたの資産の現状を把握する好機

この記事の読みどころ

マイナンバー制度は税と社会保障がからむ制度です。

マイナンバーでひもづく情報は、収入や資産など個人の経済的な情報の大半をカバーするものと予想されます。

マイナンバー制度を機に、資産と負債の棚卸しをして「個人の貸借対照表」をつくることは資産運用を行う上でも非常に有益なことです。

2015年10月からマイナンバーの通知開始

10月になり、日本国内で住民票を有するすべての個人には、12桁の個人番号(マイナンバー)が通知されます(法人は13桁)。「そもそもマイナンバーに何のメリットはあるのか」、「届いたら何をしたら良いか」、「セキュリティが心配」といった内容がテレビ報道や新聞記事をにぎわしています。今回は、そういった話とは別に、資産運用の観点でマイナンバー制度を論じてみたいと思います。

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マイナンバーでは個人の経済的情報の大半がカバーされる

マイナンバー制度は、2015年10月から番号の通知が始まり、2016年1月から利用が開始されます。さらに、国の機関での連携は2017年1月から、地方公共団体との連携は2017年7月からそれぞれ始まる予定です。

1つの個人番号で、社会保障、税、災害対策の3分野で個人情報を管理することになっています。国や地方公共団体での連携が進むにつれて、また、公共料金やクレジットカードなどとの連携も議論されていることから、思っているよりも多くの生活の場面でマイナンバーが必要になるものと予想されます。

税と社会保障がからむ仕組みですので、マイナンバーでひもづく情報は、収入や資産などの個人の経済的な情報の大半をカバーするものと考えられます。見方を変えれば、マイナンバーが使われるところをたどっていけば、今の自分の資産や負債の状況を把握することができるということになります。

今の資産と負債を棚卸しして「個人の貸借対照表」をつくってみる

企業の財務諸表の1つに貸借対照表があります。ある時点の財産の状態を示すもので、表の左側(貸方)が資産、右側(借方)が負債と純資産で示される表です。個人でも、貸借対照表をつくってみると、今の財産の状況を把握することができます。資産や負債は、ここでは以下のように定義してみます。

  • 資産:生活や将来のライフイベントのために使う財産(現預金、金融商品、不動産など)
  • 負債:将来支払う義務がある金額(住宅ローン残高、クレジットカード残高、未払い税金など)
  • 純資産:資産と負債の差額で、正味の財産

純資産は資産と負債の差額ですから、資産と負債の内容と金額をそれぞれリストアップしていけば貸借対照表をつくることができます。株式や投資信託など価額が変動するものは、時価で計算します。

また、企業の貸借対照表とは異なり、個人の貸借対照表では、「今手元にあって金額が確定しているもの」だけでなく、「今は手元になく、将来の何らかのイベントが引き金になって出現するもの」も含めて考えた方が、全体を把握しやすくなります。

前者の例は、銀行預金(資産)です。通帳を見れば今の残高が分かりますし、銀行に行けばすぐに引き出すことができます。住宅ローン残高(負債)も、金融機関から送られる資料で今の残高が分かりますし、月ごとにいくら返済するかが決まっています。

一方、後者の例では以下のようなものがありますが、「その時になってみないと金額が分からない」という共通点があります。内容については、証書や通知などで確認していきます。今後は、これらの手続きを行うときにマイナンバーが必要になってきます。

  • 受取保険金(資産):病気になったり、損害を受けたりして初めて受け取ることができる
  • 年金(資産):一定の年齢に達したら受け取る権利が発生する
  • 相続税負担(負債):身内に不幸があり相続人になって初めて発生する

資産配分(アセットアロケーション)を考えるのは現状を把握することから始まる

資産運用する目的を明確にすることと同じくらい、現状を把握することは大切なことです。資産運用において重要とされるアセットアロケーションを考える上で、どのような資産を持っているかがポイントになってくるからです。良くも悪くもマイナンバー制度が導入されるわけですから、これを機に、今の資産と負債を棚卸しして「個人の貸借対照表」をつくってみることをお勧めします。

2015109日 藤野 敬太

■参考記事■

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藤野   敬太

東京大学経済学部を卒業後、プライスウォーターハウスクーパースコンサルタント(現日本アイ・ビー・エム)等を経て、2001年から2013年まで、日興アセットマネジメントにて、アナリストおよびファンドマネージャーとして日本株ファンドの運用に従事。
現在は、オフィス・ラコルドの代表として、ファミリー向け・ファミリービジネス向けのコンサルティングおよびアドバイザー業務を展開する。
CFP(日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、シニア・プライベートバンカー(日本証券アナリスト協会認定)。