債券型投資信託の注意点―毎月分配型を見極めるポイント

これから資産運用を始めよう!という時に、いろいろな資産を検討されて、まずは投資信託から始めてみようという方も多いと思います。

また、資産運用を始めるにあたって、投資先は投資信託に決めたものの、やはりあまりリスクを取らない運用を心掛けたいとお考えの場合には、株式型よりも債券型投資信託が良いという方もいらっしゃるでしょう。

ただし、現在日本で人気の債券型投資信託は毎月分配型の投資信託が大半を占めており、必ずしもおすすめ!とは言い切れません。長期運用に向いていない投資信託が含まれていることに注意が必要です。

続きを読む

ここでは、そうした注意すべきポイントを理解していただけるよう、ご説明いたします。

■目次■

1 債券型投資信託の仕組み
 1.1 債券型投資信託にはどのような債券が組み込まれているのか
 1.2 債券の格付けと利回り
2 債券型投資信託のリスク
 2.1 金利と債券型投資信託の基準価額の関係
 2.2 為替と債券型投資信託の基準価額の関係
3 債券型投資信託の選び方
 3.1 毎月分配型か否かを確認しよう―長期投資家に毎月分配は必要なし
 3.2 パフォーマンスは基準価額+分配金で確認しよう-分配金は毎月同じとは限らない
 3.3 デュレーションを確認しよう―デュレーションはリスク管理指標の1つ
 3.4 信託報酬を確認しよう
4 債券型投資信託の純資産ランキング・トップ10-すべてが毎月分配型!
5 それでもどうしても債券を持ちたい方へ―まとめにかえて

1 債券型投資信託の仕組み

1.1 債券型投資信託にはどのような債券が組み込まれているのか

そもそも債券型投資信託はどのような資産で運用されているかというと、一般的には、次のような資産が含まれています。

  • 国債
  • 地方債
  • 社債
  • 一般

たとえば、三菱UFJ国際投信の「グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)」は米国やヨーロッパ各国の国債で構成されています。国債に加えて、州政府債や政府機関債などで構成されています。

投資信託名 信託報酬(年率、税込み) 主な取扱ネット証券と手数料
グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)
1.350%
SBI証券:0%
楽天証券:0%
マネックス証券:0%
フィデリティ証券:0%
カブドットコム証券:0%
SMBC日興証券 :0%
岡三オンライン証券:0%

フィデリティ投信の「フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド」は自動車ローン会社や病院経営サービス会社、通信会社の比較的低格付けで利回りが高い社債などが含まれています。

投資信託名 信託報酬(年率、税込み) 主な取扱ネット証券と手数料
フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド
1.7064%
SBI証券:2.16%以内
楽天証券:2.16%以内
マネックス証券:2.16%以内
フィデリティ証券:1.782%以内
カブドットコム証券:2.16%以内
SMBC日興証券 :3.24%以内
岡三オンライン証券:2.16%以内

このように、各債券型投資信託のコンセプトに応じて、どういった債券で運用されるかが決まります。

1.2 債券の格付けと利回り

債券は株式とは異なり、格付けがされます。債券の信用力は利回りと関係があり、高格付けのものは利回りが小さく、特にジャンクボンドと呼ばれるは低格付けの債券は利回りが高くなる傾向があります。優良企業は低金利でお金を借りることができ、業績の悪い企業はお金を借りるのに高い金利を払うのと同じ構図です。

米国ではスタンダード&プアーズ(S&P)やムーディーズ、日本ではR&Iといった格付け機関が格付けを行います。

下表は、スタンダード&プアーズが、格付け符号が示す信用力に関する意見の一般定義を解説したものです。以下の一覧のうち、BBB-より上位を投資適格水準、BB+以下を投機的水準と呼びます。

格付け コメント
AAA 債務を履行する能力は極めて高い
AA 債務を履行する能力は非常に高い
A 債務を履行する能力は高いが、事業環境や経済状況の悪化からやや影響を受けやすい
BBB 債務を履行する能力は適切であるが、経済状況の悪化によって債務履行能力が低下する可能性がより高い
BBB- 市場参加者から、投資適格水準の格付けのうち最下位と見なされている
BB+ 市場参加者から、投機的要素が強い格付けの中で同要素が最も低いとみなされている
BB 短期的には脆弱性は低いが、事業環境、財務状況または経済状況の悪化に対して大きな不確実性を有している
B 現時点では債務履行能力を有しているが、事業環境、財務状況または経済状況が悪化した場合には債務を履行する能力や意思が損なわれやすい
CCC 債務者は現時点で脆弱であり、その債務の履行は、良好な事業環境、財務状況および経済状況に依存している
CC 債務者は非常に脆弱であり、債務不履行はまだ発生していないものの、事実上確実と予想される
C 債務者は現時点で支払い不履行に陥りやすい状態にあり、より高い格付けの債務に比べて最終的な回収率が低いと予想される
D 債務の支払いが行われていないか、想定された約束にも違反がある

出所:スタンダード&プアーズのウェブサイトを基に投信1編集部作成

2 債券型投資信託のリスク

2.1 金利と債券型投資信託の基準価額の関係

金利が上昇すれば債券価格は下落し、金利が下落すれば債券価格は上昇します。まずはこれを頭に入れてください。厳密には、割引債と利付債で分けて考える必要がありますが、ここはひとまず理解をしやすくするために、詳細は突き詰めずに先に話を進めましょう。

また、金利が変化することで、どの程度債券価格が変化するかは、デュレーションという債券に投資した資金の回収期間が影響します。債券投資には投資した債券の回収期間を意味するデュレーションの理解が必要ですが、まずは債券価格の変動にはデュレーションという指標が関係しているとだけ覚えておいてください。

2.2 為替と債券型投資信託の基準価額の関係

円建て債券に投資をしている場合には、為替レートの変動に伴うリスクはありませんが、外国通貨建てで為替をヘッジしていない資産に投資をしている場合には、為替レートの変動リスクを取っていることになります。ご自身が投資をしようとしている債券型投資信託が為替変動リスクを取っているのか、そうでないかを事前に確認するとよいでしょう。為替ヘッジを行っている場合には、「為替ヘッジあり」と表記されています。

3 債券型投資信託の選び方

3.1 毎月分配型か否かを確認しよう-長期投資家に毎月分配は必要なし

日本では、債券型投資信託の中でも毎月分配型の投資信託が非常に人気です。毎月自分の銀行口座に入金が確認できるのは、投資家として安心できるということは理解できますが、長期投資を目指す投資家にとっては、本来毎月分配は必要ないはずなのです。むしろ分配金を再投資に回してくれる方が、新たな資産運用機会を探す手間も省けます。投資を検討される場合には、事前に確認し、自分が投資信託を購入する目的を再確認することをお勧めします。

3.2 パフォーマンスは基準価額+分配金で確認しよう-分配金は毎月同じとは限らない

毎月分配型投資信託だけでなく、そうでない投資信託も含めてパフォーマンス(運用実績)を評価するためには、“基準価額+分配金”でのパフォーマンスを確認する必要があるでしょう。

特に、“基準価額+分配金”のパフォーマンスが悪化しているにもかかわらず、毎月の分配金の金額が変わっていない投資信託については、将来分配金が減額される可能性が高くなります。

3.3 デュレーションを確認しよう-デュレーションはリスク管理指標の1つ

債券型投資信託のポートフォリオマネージャーは、将来の金利動向の見通し等に基づいて、運用しているポートフォリオ(資産の組み合わせ)で保有する銘柄の入れ替えを行います。ポートフォリオのリスク管理を行うためです。デュレーション(「2.1 金利と債券型投資信託の基準価額の関係」参照)が短いほど金利変化に伴う価格変化は小さくなり、長くなれば価格変化は大きくなります。

たとえば、フィデリティ投信の「フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド」の修正デュレーション(2015年7月31日時点)は4.1年、DIAMアセットマネジメントの「DIAM高格付けインカム・オープン」の修正デュレーション(2015年9月7日時点)は6.17年、大和投資信託の「ダイワ日本国債ファンド(毎月分配型)」の修正デュレーション(2015年8月31日時点)は6.8年です。

投資信託名 信託報酬(年率、税込み) 主な取扱ネット証券と手数料
フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド
1.7064%
SBI証券:2.16%以内
楽天証券:2.16%以内
マネックス証券:2.16%以内
フィデリティ証券:1.782%以内
カブドットコム証券:2.16%以内
SMBC日興証券 :3.24%以内
岡三オンライン証券:2.16%以内
DIAM高格付インカム・オープン(毎月決算コース)(愛称:ハッピークローバー)
1.08%
SBI証券:1.08%以内
楽天証券:1.08%以内
マネックス証券:1.08%以内
フィデリティ証券 :1.08%
カブドットコム証券:1.08%以内
SMBC日興証券 :1.08%以内
岡三オンライン証券:1.08%
ダイワ日本国債ファンド(毎月分配型)
0.756%以内
SBI証券:0.54%以内
楽天証券:0.54%以内
マネックス証券:0.54%
フィデリティ証券 :0.54%以内
カブドットコム証券:0.54%以内

3.4 信託報酬を確認しよう

債券型投資信託は、株式型投資信託と比較してリスクは抑えられている一方、リターンも限られています。したがって、投資家にとって確実にキャッシュアウト(お金が手元から出ていくこと)する費用である信託報酬はそもそも低くあってほしいですし、アクティブファンド*である株式型投資信託よりも低くいものを選択したいものです。しかし、実際はそうでない債券型投資信託が多いことにも注意が必要です。

(注)アクティブファンドとは市場平均の収益率を上回る運用成績を目指すタイプのもの

4 債券型投資信託の純資産ランキング・トップ10-すべてが毎月分配型!

では、日本ではどのような債券型投資信託の純資産額が大きいのでしょうか。楽天証券で取り扱っている投資信託を中心にまとめてみました。

トップ10の特徴として以下のような3つのポイントをあげることができます。

  • トップ10の投資信託すべてが毎月分配型の投資信託
  • 海外資産を取り扱った投資信託が多い
  • 信託報酬は、アクティブファンドである株式型投資信託よりも低いものあるが、圧倒的に低いとは言えない
ファンド名 運用会社 純資産(億円) 信託報酬(年率・税込み) 毎月分配
フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド フィデリティ投信 10,510 1.7064%
グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型) 三菱UFJ国際投信 8,876 1.35%
大和高格付けカナダドル債オープン(毎月分配型) 大和投資信託 4,873 1.35%
ハイグレード・オセアニア・ボンド・オープン(毎月分配型) 大和投資信託 4,840 1.35%
高金利先進国債券オープン(毎月分配型) 大和住銀投信投資顧問 4,404 1.35%
短期豪ドル債オープン(毎月分配型) 日興アセットマネジメント 4,311 0.972%
ダイワ日本国債ファンド(毎月分配型) 大和投資信託 4,132 0.756%
DIAM高格付インカム・オープン(毎月決算コース) DIAMアセットマネジメント 2,566 1.08%
三菱UFJグローバル・ボンド・オープン(毎月決算型) 三菱UFJ国際投信 2,239 1.188%

出所:楽天証券ホームページを基に投信1編集部作成(2015年9月25日現在)

5 それでもどうしても債券を持ちたい方へ―まとめにかえて

日本で人気の債券型投資信託は毎月分配型がほとんどで、信託報酬も魅力的な水準とは言えない投資信託が多いです。どうしても債券型投資信託を購入し運用をされたい方は、“毎月分配型ではなく、信託報酬が圧倒的に低い”投資信託という消去法で選ぶのが良さそうです。

たとえば、2015年9月から三井住友アセットマネジメントは、確定拠出型年金専用(DC)ファンドの提供を楽天証券で始めました。アクティブファンドでないものの、日本債券インデックスファンドの信託報酬は0.173%(年率・税込み、以下同)、外国債券インデックスファンドは0.227%となっています。こうした商品が今後も出てくることで、投資家の選択肢が広がることは良い方向です。

また、別の選択肢としては、バランス型投資信託を検討することもできます。バランス型投資信託は必ずと言ってよいほど債券投資を行っているからです。

いかがでしたでしょうか。リスクを抑えた債券型投資信託での資産運用にもいくつか注意すべきポイントがあるので、そうした点を頭に入れながら投資信託選びの参考にしていただければと思います。

投信1編集部

投信1編集部は、証券アナリストやファンドマネージャーとして長年の調査経験を持つメンバーで構成されており、金融・経済ニュースや投資に関する知識・アイデアをわかりやすくお届けします。