下落が続く金価格、それでも輝きは色褪せず

この記事の読みどころ

海外市場での金価格は5年9か月ぶりの安値を付け、4年前のピーク時の半値に近くになりました。

実施が見込まれる米国の利上げが大きく影響していますが、相当分を織り込みつつあるかもしれません。また、最近の世界情勢の変化にも注目です。

日本国内では、円建て価格の下落は限定的に止まっています。円安進行が功を奏しています。

下落が続く金価格、ドル建て価格はピークの半値近くに

昨年秋の原油価格暴落から始まった商品市場の低迷を背景に、金(ゴールド)の価格も軟調が続いています。

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2015年11月13日の海外市場では一時1,080ドル(ロンドン市場の1トロイオンス当たり、以下同)を割り込むなど、2010年2月以来の安値を付けました。

今から約4年前の2011年9月に記録した史上最高値1,897ドル(注:ニューヨーク市場では1,924ドル)から約▲43%の大幅下落となっています。ザックリ言うと半値近くに値下がりしているのです。

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出所:LBMA(London Bullion Market Association)。ドル建価格はPMセッションの月中平均値。円建て価格は、(株)田中貴金属が公表する小売価格の月中平均値(消費税抜き)

今も注目度が高い金投資

2003年に金ETFが登場して以降、日本でも金投資に対する人気が高まってきました。しかし、それでもまだマイナーな感は否めません。

しかし、海外市場では、多くの投資家が様々な観点から金価格に注目しており、代表的なオルタナティブ投資の1つと認知されています。

金には2つの位置付けがあります。1つ目は「通貨」、もう1つは「投資資産」です。

今から44年前の1971年に起きた“ニクソンショック”まで、金は名実ともに通貨としての役割を果たしていました。

現在も実質的には通貨の役割を担っていますが、“ニクソンショック”以降は、投資資産としての価値が注目され、今日に至っています。

金投資の特徴、メリット、デメリットとは

投資資産としての金の特徴は、1)価格は米ドルと逆相関の関係にある、2)世界が暗い時代(戦争、テロ、大不況等)になると上昇、の2点です。

これらの特徴は、常に当てはまるとは限りませんが、大きな観点ではこのような動きをします。また、最大のメリットはインフレに強いことであり、最大のデメリットは金利が付かないことです。

金価格の大幅下落の最大の理由は、米国利上げの影響

最近の金価格の低迷の最大の理由は、米国で実施が囁かれている利上げによる影響だと考えられます。

米国で利上げが実施されれば、米ドルの価値が高まりますので、逆相関の関係にある金の価値が低下するからです。金は保有していても金利が付きませんので、金利が付く米ドルへ資金がシフトするのは自然な流れとも言えましょう。

また、リーマンショック以降、金の需要拡大が続いていた中国やインド等の新興国経済がスローダウンしていることも、金価格の下落に拍車を掛けているとも言えましょう。

一方で、昨今の金価格下落は、米国の利上げ影響を相当に織り込んできたと見ることもできます。

金は株式や債券と違った実物資産ですから、万が一のことがあっても“紙切れ”になることは絶対にありません。何処かのタイミングで底値を付けて、反転に向かう可能性は十分あると考えられます。

物騒な事件が増えている昨今の世界情勢にも要注目

経済情勢だけではなく、最近の政治・社会情勢にも注意が必要です。

大きな世界戦争こそ勃発していませんが、中近東での軍事衝突が相次いでいます。その他、ウクライナ情勢、シリアからの難民問題、南シナ海での権益論争など不安要素は数多くあります。

また、先週末にフランスで同時多発テロ事件が発生するなど、世界が暗い方向へ向かっている印象は拭えません。過去を振り返る限り、こうした世界情勢の不安時には、実物資産の王様である金が重宝されてきました。

円建ての金価格は、円安の恩恵で思ったほど下がっていない

もう1つ重要なことがあります。日本国内で金は円建て価格で取引されます。

冒頭に述べた通り、ドル建ての金価格はピークから半値近くに下落しましたが、円建て価格はピーク(1グラム当たり約5,000円弱、税抜き)から▲12%程度の下落に止まっています。これは、言うまでもなく、2013年以降の円安進行によるものです。

実は、日本国内での金投資は、ドル建て外貨預金の一面も持ち合わせているのです。

金投資は、世界経済や社会情勢を全て含む包括的な投資とも言えます。少しは興味を持っていただければ幸いです。

【2015年11月16日 投信1編集部】

■参考記事■

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投信1編集部

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