FXではなぜ、「私が買うと下がり、売ると上がる」のか

FX初心者が最初に直面する「FXは難しい」という壁

FX(外国為替証拠金取引)が、資産運用の選択肢の一つと認知されるようになってきました。FX取引業者(FX会社)によっては1万円以下の証拠金で手軽に取引ができたり、24時間いつでも取引ができたりといった特長もあって、サラリーマンやOL、主婦の方などでFXを始める人が増えています。

ところが、FXを始めたばかりの人たちが共通して口にするのが「FXは当たらない」、「FXはもうからない」というもの。なかなか自分が思うように値が動かないというわけです。

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「私が買うと下がり、売ると上がる」という声もよく聞きます。「誰かが、私がエントリー(取引を開始すること)するのを見ていて、相場を逆に動かしているのではないか?!」と言う人もいます。もちろん、そのようなことはないわけですが、気持ちはわかります。

「私はFXに向いていないのか」と考えるかもしれませんが、その心配は無用です。実は、FXは「私が買うと下がり、売ると上がる」が起こりやすいのです。以下でその理由を説明します。

FX相場の特徴の一つは「もみ合い(レンジ相場)」が多いこと

FXで「私が買うと下がり、売ると上がる」という現象が起こりやすい理由は、FXは「もみ合い(レンジ相場)」になっている時間帯が多いことです。言い換えれば、相場が動く時間が限られているのです。

相場が動きやすい時間は、日本時間であれば、

  • 中国人民銀行がその日の人民元の対米ドル基準値(レート)を発表する午前10時15分ごろ
  • 東京証券取引所の大引けである午後3時ごろ
  • ロンドン市場が動き出す午後5時ごろ(冬時間の場合)
  • ニューヨーク市場が動き出す午後10時ごろ(同)
  • 米雇用統計をはじめ、各種経済指標の発表時間前後

などです。これらの時間帯以外の時間では「材料待ち」で動きが緩やかになることがほとんどです。

レンジ相場のときにエントリーをしてしまうと、値段は一定の幅で上下することになります。たとえば買い(ロング)でエントリーしたら、ちょっと上がったと思ったらすぐ下がります。

ここで「レンジ相場だからどうせまた上がる」と思えるといいのですが、実際は、「どんどん下がってしまうのでは」と心配になり、結局はマイナスで損切り(ロスカット)することになります。

リスクヘッジのつもりの「ストップロスオーダー」がネックに

FXに限らず、相場の格言に「損小利大」という言葉があります。「損失は小さく、利益は伸ばすべき」という意味です。株式投資の場合、「もうはまだなり、まだはもうなり」と言うように、株価が下がっても「まだ大丈夫」と損切りができず、傷口を広げてしまう人が少なくありません。

ところがFXでは、きちんと損切りをしているのに失敗するケースが多いのです。

FXの入門書などには必ず、「相場が予想に反して動いた場合に備え、ストップロスオーダー(損切り注文)を入れておきましょう」と書いてあります。実際に、ストップロスオーダーを使っている投資家がほとんどでしょう。ところが、それを杓子定木にとらえるとミスになりかねません。

たとえば、いつでも「エントリーから10pips(米ドル/円の場合10銭)下がったらロスカット、収益目標は25pips以上」とするとしましょう。理論上は「サイコロを振ってエントリーしてももうかる」かような気がしますが、そのようにはなりません。その理由は価格の上下の動きです。

たとえば今、変動幅が上下30pipsのレンジで値が動いているとします。「10pipsでロスカット、目標25pips」のルールで利確するためには、底値から+5pips以内でロングエントリーするか、天井から-5pips以内でショート(売り)エントリーしなければなりません。これはなかなか厳しいです。

一方で、ロスカットのほうは、底値から+9pips以内でロングするか、天井から-9pips以内でショートしないと、次の谷や山ですぐにロスカットになってしまいます。(下図参照)

自信がなければ、レンジ相場を避けるのも一つの方法

結論を言えば、レンジ相場では極めて早い段階でエントリーしないと、目標の収益が得られず、すぐにロスカットになりやすいのです。

それを防ぐためには、レンジ相場を避けるという選択肢もあります。レンジ相場内の動きよりも、レンジ相場を上抜けまたは下抜けた後のほうが、動きもスムーズで伸びも大きいため、判断しやすいでしょう。

加えて、相場の動きが小さいときは、目標収益にこだわらず、損にならない(利益が出ている)段階で、利確してしまう(逃げてしまう)のも一つの方法でしょう。

【2016年2月11日 下原 一晃】

■参考記事■

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下原 一晃

マーケティング会社、リクルートなどを経て、PRプランナー・ライターとして独立。
株式投資、投資信託をはじめとする資産形成や、年金、相続などに関する情報提供を行っている。あわせて、個人投資家がテクニカル理論を身に付けるためのヒントや知識の紹介にも取り組んでいる。
日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト(CMTA)。