独立系老舗運用会社スパークスの阿部社長が投資家としての集大成と位置付ける投資信託PR

スパークス・アセット・マネジメント株式会社 代表取締役社長 阿部修平

スパークス・アセット・マネジメント株式会社 代表取締役社長 阿部修平氏に、2014年12月1日に設定された投信「スパークス・日本株式スチュワードシップ・ファンド」[リスクと費用] の運用哲学と手法についてお伺いしました。

投資家に伝えたい3つのポイント

銀行が安定株主の役割を終え、あらゆる日本の上場企業が株主価値最大化に本腰を入れる時代が来た。

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潜在力は高いが、事業戦略・財務戦略に改善余地の大きい企業が多い。

企業との建設的な対話を通じ高いリターンが狙えるため、独立系運用会社としての豊富な知見をフル活用したい。

株主構成の構造変化が企業価値革命を迫る

――スパークス・アセット・マネジメントでは「スパークス・日本株式スチュワードシップ・ファンド」を運用されていますが、スチュワードシップという言葉が耳慣れない読者も多いと思います。まず、はじめにこのファンドを立ち上げた背景を説明してください。

スパークス・グループ株式会社 代表取締役社長 阿部修平(以下、阿部):アベノミクスのもとで「コーポレートガバナンス」や「スチュワードシップ」という言葉が言われるようになりましたが、その背景には実は日本の企業の株主構造の大きな変化があります。かつては、銀行が政策保有株を大量に抱えていましたが、バブル崩壊以降過去20年以上をかけて銀行は株を売却してきました。新しい株主として台頭してきたのは、外国人投資家、個人投資家、そして年金や投資信託を運用管理する信託銀行です。

スパークス・アセット・マネジメント株式会社

代表取締役社長 阿部修平

――株主構成が変わると企業はどう変わる可能性があるのですか。

阿部:東京証券取引所のデータによれば、先ほど述べた新しい投資家の保有比率は2014年度末に67%まで上昇しています。銀行が株主であれば貸出、従業員取引、銀行からの人材の受け入れといった総合的な取引関係を維持することが企業の大きな命題になっていました。しかし新しい株主は純粋に株主としてのリターンを求めます。企業価値を最大化しないと、新しい株主から評価されない時代になりました。株価にも、株主総会にも今までにない緊張感が生まれています。

アベノミクスも日本企業の稼ぐ力に変革を迫る

――こうした株主構成の変化は長期的に進んできました。なぜ今これが重要なのでしょうか。

阿部:アベノミクスで状況が大きく変わりました。2つの側面からお話しましょう。まず1つめは「脱デフレ」です。銀行システムが脆弱化したり、円高になったり、そしてデフレが長く続いたことで日本企業には守りの経営が染み付いてしまいました。利益を現金としてバランスシートに貯め込むことが続き、これが株主資本の効率の低下を招いています。

しかし、アベノミクスで景色は一変しようとしています。「脱デフレ」を掲げ、企業の抱える現金を有効な投資に向けさせようとしています。経営者は守りから攻めへとシフトチェンジを求められています。最近の日銀のマイナス金利の導入も、企業の余剰現金を生産的な投資に振り向けさせる狙いが見て取れます。

もう少し広い視野で考えると、2015年12月の米国のひさびさの利上げも重要です。世界的に見ると金利の正常化の第一歩となるからです。金利がゼロでなくなれば、投資家が株式に求めるリターンもより厳格なものになるはずです。

――脱デフレの時代には、現金を抱え込む守りの経営だけでは、株主価値に鋭敏な株主を納得させられないということですね。アベノミクスのもう1つの側面は何ですか。

阿部:株主価値をきちんと高めることができるように、すべての経営者とすべての資産運用会社それぞれが従うべき規範を作ったことです。

企業価値を高めるためには、経営者は、株主から集めた資金とこれまでの利益の蓄積を効率よく活用して利益を生んでいく必要があります。これは株主資本でどれだけ利益を出せるか、ROE(株主資本利益率)をどう高めるかということです。このために必要な経営の仕組みの原則を示すものがコーポレートガバナンス・コードです。

経営者と株主が一緒に価値を高める局面が来た

――資産運用会社はどう行動すればいいのですか。

阿部:私たちは投資家の方々から大切な資金をお預かりし運用する、いわば投資家のエージェントです。従って投資家の投資リターンが中長期的に拡大していくようにしっかり運用をしなければなりません。こうした原則を示すものがスチュワードシップ・コードと呼ばれます。

――これが、ファンド名の由来になるわけですね。

阿部:その通りです。先ほど述べましたが、経営者は脱デフレに向かう経済環境にシフトチェンジをしなければなりませんが、日本の市場を見ると、実力や体力はあるにもかかわらず、シフトチェンジができていない企業がかなりあるのです。スパークスでは、こうした企業に着目し、経営者と建設的で活発な対話を通じて企業のシフトチェンジをサポートし、中長期的に大きなリターンを投資家に届けたいと考えました。経営者と株主が一緒になって企業価値を高めていく局面が来たと考えます。

スパークス流割安株投資の極意-企業価値を中長期的に高めるための建設的な対話

――運用方針を具体的に説明してください。

阿部:株価が割安であること、現在割安である理由が明確であること、スパークスが経営者と建設的対話を行い触媒となることで本来あるべき企業価値を実現できること、の3つがポイントです。5%~10%の発行済み株式を持ち、中期的にコミットできる会社を厳選することが重要です。

――割安な株というのはたくさんあるのですか。

阿部:1つの例として株価が一株当たり純資産を下回っている企業、つまり簡単に言うと株価が解散価値を下回っている企業を探すと、相当数にのぼります。このことは東証2部全銘柄の平均値が0.88倍(2016年2月5日現在)であることからもうかがえます。われわれはこの中から、高い潜在価値を持ち、しかも我々の関与でそれを実現できる企業へ厳選投資をしたいと考えます。

――割安な状態が解消され、潜在的な価値が具現化していくにはどのような条件が必要ですか。

阿部:これまでお話ししたように、多くの日本企業の課題はバランスシートに貯め込んだ現金を、脱デフレを睨んでどれだけ有効活用できるかに尽きます。つまり、その企業の強みを生かし企業価値を一段と高める投資をきちんと実行すること、それでも余剰な現金があれば株主還元に充てることです。こうすれば、ROEの分子である将来の利益成長を図りながら、分母である株主資本の規模の適正化(縮小)をして全体としてROEを高めることができるのです。

現在多くの投資家が、企業に余剰現金による増配や自社株買いを求めています。ROEを手っ取り早く改善するには分母を小さくすることが有効なことは間違いないでしょう。しかし我々はそれだけでは満足しません。適切な成長投資を通じて利益の成長を実現してこそ、投資リターンが最大化すると考えています。

――単純に割安な株は数多くあるといっても、この投信が投資する銘柄は厳選されるのですね。

阿部:そうですね。1つ1つの企業について潜在価値がどこでどれほど生まれるのか丹念に精査しながら投資先を絞り込んでいます。今後運用金額が増えていっても、いたずらに銘柄数を増やすつもりはありません。今の投資環境は、アナリストの創造性が試される、アナリスト冥利に尽きる局面だと思います。大変わくわくしています。

――なぜ建設的な対話が必要なのですか。

阿部:投資先の潜在価値をフルに顕在化させるには、経営者に敬意を払い、我々の考えを正確に伝えて対話を継続していくことが不可欠です。そのためには建設的な対話が必要になります。敵対的な態度で株主還元の強化を要求するような運用会社もありますが、我々は中長期の投資効率の観点からじっくり経営者と向き合うことが得策だと見ています。外科療法より漢方薬というイメージでしょうか。

――スパークスの強みはどこでしょうか。

阿部:スパークスは1989年の創業以来中小型株を主戦場の1つにしてきました。中小型株投資にはミクロの企業分析や経営者との対話が不可欠です。独立系の運用会社として、純粋に株主価値の視点から経営者とコミュニケーションをとってきたことが我々の他社にはない強みです。従って、このファンドの運用スキルは我々が長年にわたり蓄積したノウハウとネットワークをそのまま生かすことができると考えています。私自身も上場企業の経営者の立場にありますので、投資先の経営者と目線が同じです。これも経営者と対話を深める意味で他社にはない強みだと思います。

――投資成果が出るまでに時間がかかるのですか。

阿部:1つの投資先で我々が考えるリターンを最大限発揮するには少なくとも1ビジネスサイクルと考えて、3~5年くらいがめどだと思います。機関投資家の中で3年くらいを見据えてじっくり投資をするというのは実のところ難しくなっています。それは四半期ごとの成績を追いかける必要に迫られているからです。

その点、個人投資家は3年くらいの期間じっくり腰を据えて投資することが可能です。これは大きなアドバンテージですので、当ファンドを生かしていただきたいと思います。

投資先との対話の現場

――阿部社長やスパークスのアナリスト陣が実際にどうやって投資先を探しコミュニケーションをしているのか、紐解いていただけますか。

阿部:ある老舗の企業の例をあげましょう。中興の祖が会長として君臨し非常に高齢になっています。この企業のビジネスはしっかりしているのですが、IRへコンタクトしようといくら電話をかけても出てくれません。IR活動もしていません。

そこで私が会長に手紙を書きました。するとすぐに返事が返ってきました。その後2回役員クラスと面談しました。同社としては、我々が初めて接触した投資家ということでした。こうした機会を捉えて、じっくり関係を築きながら社長と直接対話をしようとしています。この会社の場合、潜在需要が急速に拡大しているうえ、過去に一度業績不振に陥ったことから極度に保守的なバンランスシート運営をしていることから、大いに企業価値を高める機会があると見ています。

このケースが示唆するところは、老舗企業の経営者といえども、最近のコーポレートガバナンス重視の潮流には逆らえないと気づいていることです。こうした企業を1つずつ掘り起し、私自身がハンズオンでコミュニケーションをし、あるべき方向へ企業が向かうためにサポートしていくなど、まだまだできそうなことがありそうだと思っています。

一旦コミュニケーションが確立できれば、私自身とアナリストがうまく分担して投資管理を行っていきます。

内需企業がアジアの成長を取り込めるか

――潜在価値を見定めるテーマを教えてください。

阿部:日本には自らを内需企業と認識し縮小する経済の中でやりくりしているものの、世界の成長エンジンであるアジアで仮に適切に事業を展開すると、いかんなくその実力を発揮できそうな企業がたくさんあります。少し考えてみても、日本の消費財関連の企業は面白いと思います。たとえば、お菓子や文具などはきわめて品質が高く、品質に対する価格が安価な例が多いと気づかれるでしょう。我々は、こうした事業ポテンシャルのアップサイドを常に考えながら、建設的な対話を通じてリターンを上げていきたいと思います。

このファンドを投資家としての「全集」にしたい

――最後に個人投資家の方にメッセージをお願いします。

阿部:私は61歳になりますが、「やっと時がきた」と感じています。ファンドとしてリターンをしっかり出しながら、こつこつと1つ1つの投資先に向き合い、さまざまな成功事例を積み重ね、投資家の方にも、そして経営者の方にも、「スパークスとともに成功した」と言われるようなファンドを目指していきます。投資家としての「全集」、あるいはライフワークと位置付けるファンドで、必ず日本でメジャーなファンドになると確信しています。ぜひよろしくお願いします。

――本日は貴重なお話をありがとうございました。

阿部:こちらこそありがとうございました。

※本インタビューは、楽天証券株式会社との共同インタビューとなります。

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