株式投資の“情報格差”はIRイベントで埋められる

投資判断に役立つ生の情報を企業から引き出す4つのヒント

この記事の読みどころ

  • 株式投資(特に個別銘柄投資)をする際、活字情報のほか、企業の当事者から直接話を聞いて得られる生の情報は貴重です。
  • 個人投資家であっても、証券取引所や金融メディアが主催するIRイベントでは、企業の担当者と直接話をする機会があります。これを投資の意思決定に役立てない理由はありません。
  • 先日行われた名証EXPOに参加して実際にブース巡りをしてきた経験をもとに、アナリスト視線に基づいた、投資判断に役立つ情報の引き出し方の例をいくつかご紹介いたします。
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投資には情報収集が大切

資産運用の意思決定のためには、情報収集が必要なのは言うまでもありません。投資スタイルによっても異なりますが、株式投資、特に個別銘柄へ投資をするのであれば、投資対象となる企業のことを良く知る必要があります。

投資しようとしている企業がどのような事業をしているのか、何を強みとしているのか、今後どう展開していこうとしているのか、などの情報は、いわゆるファンダメンタルズ投資で臨む場合、特に重要です。

では、企業の情報を集めるには、どうすれば良いでしょうか。企業のウェブサイトを見る、有価証券報告書などの決算資料を調べる、新聞や雑誌で関連する記事を読む、などいろいろあります。たいていの場合、これらの情報をもとに投資対象を見つけたり、投資企業の状況を確かめたりしているかと思います。

こうした情報はどれも有益ではありますが、活字情報である分、生の情報とは言いづらいかもしれません。

個人投資家でも会社関係者から直接話を聞く機会がある

生の情報と言えば、何と言っても当事者から直接聞く話が一番です。仮に同じ内容だとしても、単に文字で読む情報と、人から聞く情報では、伝わり方や理解の深まり方において大きな差がありますし、こちらが聞きたいことを集中的に聞くこともできます。

問題は、投資対象企業の当事者から直接話を聞く機会をどう得るかということです。

アナリストやファンドマネージャーという、いわゆるプロとして投資関係の仕事している人たち(以下、職業投資家と呼びます)であれば、「話を聞かせてほしい」と希望すれば、経営陣とのミーティングの機会を得ることが可能です。

また、企業が決算公表時に実施する決算説明会も、機関投資家やアナリスト限定のものがほとんどです(最近は説明会資料をウェブサイトに掲載する企業は増えてきました)。

こう考えると、企業の当事者から直接話を聞く機会という点では、個人投資家よりも職業投資家の方が恵まれていると言えます。

それでも、個人投資家にもまったく機会がないわけではありません。その1つが、今回ご紹介する、証券取引所や金融メディアが主催するIRイベントです。職業投資家との情報格差を埋めるという意味でも、これを活用しない手はありません。

名古屋証券取引所の個人投資家向けIRイベントに行ってみた

証券取引所等が主催するIRイベントは、特定の銘柄にフォーカスするというよりは、市場取引全体が活性化することを主眼としています。そのため、数十社の上場企業がブースを出展し、個人投資家がそのブースを巡る形式になっています。

今回、7月15日(金)、16日(土)に行われた、名古屋証券取引所(以下、名証)主催の「名証 IR EXPO 2016」というイベントに参加してみました。名古屋証券取引所に上場する91社が出展し、それぞれブースを構えていました。

企業によって異なりますが、10人程度の席を用意してミニ説明会を開く形式にしているブースもあれば、企業担当者と1対1で面談できる形式にしているブースもあります。

比較的多くの人が来ると見込まれる企業や、まずは企業の全体像を伝えたいと考えている企業がミニ説明会方式に、一方、来場者にじっくり伝えて深く理解してもらいたい、と考えている企業が面談形式にしているような印象を受けました。

ミニ説明会形式でも面談形式でも、企業担当者と直接話をすることができるのは貴重な機会です。これ以上の生な情報はありません。

アナリスト視線を持ってブース巡りをしてみよう

せっかくの貴重な機会を有効活用するために、ブースを巡る際のポイントの一部をご紹介いたします。

1.企業担当者に業界のことを解説してもらう

その企業が属している業界について、「企業としてどのような業界だと認識しているか」と質問してみてください。

もう先のない業界と思われていても、実は成長しそうな要因があったとか、法改正等によって業界全体が大きく変動する兆しが見えてきたとか、思わぬ話を聞けることがあります。業界や企業に対する見方が変わるかもしれません。

2.その企業の強みや特徴について質問してみる

「御社の強みはどこにありますか」、「同業他社と比べて大きく異なる特徴は何ですか」という質問をしてみてください。

自社のことをきちんと認識している企業は、しっかりした企業が多いです。また、返ってくる答えの内容もさることながら、企業の担当者がそうした質問に自信持って答えているかどうかについても意識してみてください。

3.ブースの雰囲気を感じる

今回の名証EXPOでブース巡りをしてみて気づいたのは、会社によってブースの雰囲気が大きく異なるということです。

言葉ではうまく説明しきれないのですが、ブースの雰囲気はその会社の社内の雰囲気を映し出しているはずです。全員が一致してブースを盛り上げようとしている企業は、きっとチームワークも良く、社内の雰囲気も良好な可能性が高いはずです。

4.社長や役員がブースにいるかどうか確かめる

ミニ説明会に社長挨拶の時間を含めるなど、社長や役員がブースに出てくる企業は、「自分の会社のことをしっかり伝えよう」という姿勢が感じられることが多いです。それはマネジメント層の経営に対する自信を示していることがあります(もちろん、いないから良くないということではありません)。

今後予定されているIRイベント

今回、名証EXPO2016に参加してみて、そもそも知らなかった企業のことを知ることができましたし、以前から知っている企業であっても、「昔はなかった事業が大きくなっていた」、「業界におけるポジションが強くなっていた」など、たくさんの発見がありました。

最後に、現在予定されているイベントを紹介いたします。貴重な機会をぜひ活用したいものです。

 

藤野   敬太

東京大学経済学部を卒業後、プライスウォーターハウスクーパースコンサルタント(現日本アイ・ビー・エム)等を経て、2001年から2013年まで、日興アセットマネジメントにて、アナリストおよびファンドマネージャーとして日本株ファンドの運用に従事。
現在は、オフィス・ラコルドの代表として、ファミリー向け・ファミリービジネス向けのコンサルティングおよびアドバイザー業務を展開する。
CFP(日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、シニア・プライベートバンカー(日本証券アナリスト協会認定)。