個人型確定拠出年金、金融機関選びで失敗しないために

金融機関によって手数料や品揃えに大きな差!

個人型確定拠出年金のメリットは税の軽減

個人型確定拠出年金制度(以下、個人型DC)が注目されています。これまでは自営業者や、勤務先に企業年金がない人しか個人型DCを利用することができませんでしたが、2017年1月からは企業年金の加入者や公務員、専業主婦なども個人型DCを利用できるようになります。

個人型DCが注目される理由は、節税メリットが大きいことです。掛け金の全額を所得控除できることに加え、利子や配当などの運用益に対する源泉分離課税等もありません。

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自営業者の場合、個人型DCの掛け金の上限は月6万8,000円(年81万6,000円)です。課税所得金額が695万円超900万円以下の場合(税率23%)、税の効果(軽減)額(年額)は18万7,680円にもなります注1

注1:個人型年金に加入した場合の所得控除の効果(厚生労働省)

これは大きいですね。これほどのリターンを出せるような金融商品はありません。

また、老齢給付金を年金として受け取る場合には、雑所得として公的年金等控除の対象となります。また一時金として受け取る場合には、退職所得として退職所得控除の対象となります。

個人型DCを利用するために必要な3つの手数料とは

メリットが多いことから、個人型DCを活用して資金を長期運用し、老後に備えたいと考える人もいるでしょう。

個人型DC制度を実施しているのは、国民年金基金連合会です。加入の申し込み手続きは金融機関を窓口にして行い、金融機関(運営管理機関)経由で連合会に申し出ます。金融機関は、銀行、信用金庫などのほか、証券会社、信託銀行、保険会社、さらには専業会社もあります注2

注2:運営管理会社の一覧(国民年金基金連合会)

金融機関選びのポイントの1つは手数料です。個人型DCでは3つの手数料がかかります。以下、加入者(積立を行う人)の例で紹介します。

まず、国民年金基金連合会に支払う手数料が毎月103円(年間1,236円)。2つ目が金融機関の運営管理機関手数料。3つ目は、事務委託先金融機関手数料と呼ばれる、国民年金基金連合会から委託を受けて個人別資産を管理する信託銀行に支払う手数料が毎月64円(年間768円)です。

1つ目の国民年金基金連合会に支払う手数料と3つ目の事務委託先金融機関手数料は、個人型DC制度を利用するためには必ず必要です。つまり、両者の合計である年間2,004円は最低でもかかるということになります。

2つ目の運営管理業務に係る手数料は、金融機関がその名のとおり運用管理を行う手数料および、レコードキーパー(RK)と呼ばれる記録関連運営管理機関に支払う手数料の合計です。

金融機関によっては「運営管理機関手数料無料」を打ち出しているところもあります。RKに支払う手数料も金融機関が負担するというわけです。この場合、年間に必要な手数料は最低額の2,004円になります。

運営管理機関手数料は、金融機関によって無料~5,000円程度と大きな差があります。このほか、加入時の手数料も金融機関によってかなり異なります。

金融機関によって、金融商品の品揃えや投資信託の信託報酬にも大きな差

金融機関選びのためのもう1つのポイントは運用する金融商品の品揃えです。

個人型DCは投信信託や保険のほか、預貯金も選ぶことができます。運用損を出したくないという人は預貯金で積み立てる方法もあります。その場合は、できるだけ手数料が安い金融機関がいいでしょう。

投資信託で運用する場合、信託報酬がかかります。長期にわたり運用するわけですから、低コストのインデックスファンドを多く揃えているところがいいでしょう。

ところで、運営管理機関手数料が安いところは信託報酬が高いのではと思いがちですが、そうとも限りません。逆に、運営管理機関手数料も信託報酬も高い金融機関もあります。また、金融機関によっては、掛け金の残高や他のサービスとの併用で手数料を割り引くところもあります。

金融機関は後から変更することも可能ですが、手続きは面倒です。まずはしっかりと比較検討したいところです。

 

下原 一晃

マーケティング会社、リクルートなどを経て、PRプランナー・ライターとして独立。
株式投資、投資信託をはじめとする資産形成や、年金、相続などに関する情報提供を行っている。あわせて、個人投資家がテクニカル理論を身に付けるためのヒントや知識の紹介にも取り組んでいる。
日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト(CMTA)。