「貴族」投信がトランプ氏勝利後に新たにランクイン【売れ筋投信解説】

金利上昇に対応しながら利回りも狙う戦略が広がり始めた!?

トランプラリーで世界的リスクオン相場になった2016年11月21日-11月25日

2016年11月21日-11月25日の世界の株式市場はほぼ全面高でした。特に上昇が目立ったのはロシア、ブラジル、オーストラリアなどの資源国の株式市場でした。米国ではニューヨークダウ工業株30種平均、ナスダック、S&P500が揃ってしっかり上昇しました。ただし、フィリピン、トルコ、インドネシアなどの一部新興国では株価が下落しました。

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このような投資環境で、どのような投信が人気を集めたでしょうか。このところ楽天証券のランク上位には新しい顔ぶれが姿を現す機会が増えています。今回も興味深い動きが見られますので、一緒にランキングを見てみましょう。

楽天証券の2016年11月21日-11月25日の週間売れ筋ランキングを見る

まず、楽天証券の全体売れ筋ランキングのトップ5を見ていきます。

第1位:日本株ハイインカム(毎月分配型)(ブラジルレアルコース)

第2位:楽天日本株4.3倍ブル

第3位:ニッセイ日経225インデックスファンド

第4位:SMT米国株配当貴族インデックス・オープン

第5位:楽天日本株トリプル・ベアIII

楽天証券の2016年11月21日-11月25日の積立週間売れ筋ランキングを見る

次に、楽天証券の積立売れ筋ランキングのトップ5を見ていきます。

第1位:ニッセイ外国株式インデックスファンド

第2位:世界経済インデックスファンド

第3位:SMTインデックスバランス・オープン

第4位:ニッセイJリートインデックスファンド

第5位:ひふみプラス

金利上昇に備えながら利回りを確保したいニーズが顕在化

いかがでしょうか。

前回ご案内したように、これまで非常に人気の高かった海外リートを組み入れた毎月分配型投信は今回もランキング上位から姿を消しています。特に、2016年11月15日に「フィデリティ・USリート・ファンドB(為替ヘッジなし)」の毎月分配金が100円から70円に引下げられたことが効いているようです。

トランプラリーでは、米ドル高・長期金利上昇・株高が進みましたが、アメリカの新政権の経済政策次第では長年続いた低金利に終止符が打たれ、債券投資のリスク(債券価格の値下がりリスク)が従来にも増して心配されるようになっています。

リートは債券と株式の中間の立ち位置にあり、金利上昇に弱いとは言い切れませんが、盤石とは言えません。投資家は新しい投資環境にふさわしい投信を探していると考えられます。

長期増配継続の米国株式に投資する「SMT米国株配当貴族インデックス・オープン」がランクイン

今回注目したいのは、全体ランキングの第4位にランクインした「SMT米国株配当貴族インデックス・オープン」です。実に絶妙なネーミングの投信ですが、ベンチマークをS&P500配当貴族指数(税引後配当込み、円換算ベース)とし、これに連動する成果を目指すインデックス型の投信です。

肝心の指数の中身ですが、これはS&P Dow Jones Indices LLCが公表する指数で、S&P500指数の構成銘柄のうち、原則として25年以上連続して増配している銘柄を対象に、40銘柄以上で構成されるインデックスになります。

同投信は2016年10月末現在51銘柄に投資をしており、その投資先からの配当をファンドの純資産で割った配当利回りは2.64%になります。買付手数料は証券会社次第(楽天証券などではゼロ)ですが、運用管理費用(信託報酬)は年率0.594%であり、良心的と言えるでしょう。なお、この投信は年2回分配で毎月分配型ではありません。

したがって、この投信は2.64%マイナス0.594%の約2%のネット配当利回りを享受しながら、増配、ドル建て株価の値上がり、円安を狙う投資家向きです。現在は世界的に金利の底入れが進み、債券から株式に資金がシフトしています。この流れの中で配当を重視した銘柄に重点投資をするという戦略もアリだ、そう考えた投資家がこの投信を購入しているものと想像されます。

ちなみに、積立週間売れ筋ランキングにはニッセイJリートインデックスファンドがランクインしてきました。これは、米国に比べて日本の金利の上昇余地は小さいと見て、利回りの上昇したJリートに値ごろ感を感じた投資家の買い出動があったものと解釈されます。

世界的な金利底入れ機運で、投資対象にも変化が生まれています。利回りを重視する投資家は、海外リート型一辺倒から、より多様な投資戦略を取っていくと考えられます。今後も売れ筋投信分析を通して、投信投資の新しいアイデアをご案内したいと思います。

 

投信1編集部

投信1編集部は、証券アナリストやファンドマネージャーとして長年の調査経験を持つメンバーで構成されており、金融・経済ニュースや投資に関する知識・アイデアをわかりやすくお届けします。